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Drug Atlas · C6 Antivirals / 抗ウイルス薬

ネビラピン

nevirapine

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
ビラミューン
商品名(EU)
Viramune
科目
Pharmacology
トピック
C6: Antiretroviral agents
承認適応
HIV感染症・AIDS
標的微生物
HIV-1
副作用
皮疹黄疸発熱悪心頭痛傾眠
相互作用
リファンピシン

🧠 全体像:は、最初期に承認された(NNRTI)である。逆転写酵素のに結合してを止める。かつては初回治療の主役の一つだったが、重い肝障害と皮膚障害()、14日間の、とCYP3Aを介した相互作用の多さ、で耐性化する低いという弱点が重なり、が中心の現在は成人の初回治療から外れている1。日本でも錠は発売中止予定で、2025年3月版のガイドラインから削除された2。試験や国試では「NNRTIの代表的な副作用=発疹と肝障害」の典型例として押さえる薬である。

薬効群の中での位置づけ

世代・薬 特徴
、。単一の変異(Y181C、K103Nなど)で一斉に効かなくなりやすい
、、。変異に比較的強い設計
クラスに共通の限界 HIV-2には効かない(逆転写酵素の構造が違う)3

⭐ 現在の位置づけ:欧州のEACS 2025年版では、成人の初回治療の推奨・代替レジメンには載っていない。NNRTIで挙がるのは(推奨)、と(代替)である1。が残るのは小児と新生児の表で、0〜4週、4週〜3歳、3〜6歳の代替アンカー薬として載る。さらに、早産児(在胎37週未満)に使用が承認されているは・・だけとされている1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nevirapine'>ネビラピン</span>が逆転写酵素の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydrophobic pocket'>疎水性ポケット</span>に結合<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active site'>活性中心</span>ではない)"] --> B["酵素の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='three-dimensional structure (conformation)'>立体構造</span>が変化し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='catalytic activity'>触媒活性</span>が低下"]
    B --> C["RNA依存性・DNA依存性の<br>DNA合成がともに阻害される"]
    C --> D["ウイルスRNAから<span class='jp-term jp-term-diagram' title='double-stranded DNA'>二本鎖DNA</span>ができない"]
    E["核酸と競合しない"] -.->|"NRTIとは別の止め方"| A
    F["181番・106番などのアミノ酸が変異"] -.->|"結合できず耐性化"| A

はとは作用様式が異なり、核酸(基質)と競合しない3。HIV-1の逆転写酵素だけを阻害し、HIV-2の逆転写酵素やヒトのDNAポリメラーゼは阻害しない。群O株のHIV-1にもで活性がない4。

💡 耐性は「ポケットの1アミノ酸」で決まる。 耐性は主に逆転写酵素の181番および/または106番の変異による。耐性患者のウイルスの79%に181番の変異があり、103、108、188、190番の変異も見られる。単独投与や、とだけの併用では、治療開始直後から感受性が低下し、8週間以内にが観察された3。このため必ず他のと併用し、他のNNRTIとの併用も避ける(があり、2剤併用の有用性も示されていない)。

薬物動態

日本の電子添文に記載されたは次のとおり3。

項目 内容
吸収 はで93%。食事やで吸収速度は遅れるがAUCは変わらない
分布 は約1.2 L/kg、は約60%、広く組織に分布する
代謝 CYP3A4・CYP2B6・CYP2D6による酸化。しかも自身がCYPの誘導剤で、がある
半減期 単回投与で約40〜45時間。後はクリアランスが1.5〜2倍に増え、約25〜30時間に短縮する
排泄 の約81%が尿中、約10%が糞中。尿中の未変化体は約3%で、ほとんどがとその
で軽度〜中等度(スコア7以下)ではが不要とされたが、スコア8で腹水を伴う例で血中濃度が上昇した。重篤な肝障害には使わない
・透析 だけでは差がないが、透析を受けている患者では1週間以上投与するとAUCが約44%低下する
  • 💡 のため、でのクリアランスは単回投与時の1.5〜2倍になる。 (1日200 mg)の目的として添付文書が述べているのは、発疹の頻度を下げることである4。

適応

HIV-1感染症。必ず他の(またはHIV)と併用する3。

国・文書 適応の範囲
日本(電子添文) HIV-1感染症。小児等を対象としたは実施していない
米国(添付文書) 成人と生後15日以上の小児のHIV-1感染症4
  • 日本の電子添文は、治療開始の指標について国際的な勧告を参考にCD4数とHIV RNA量を確認するよう求める。
  • 臨床成績は主に古い試験で、未治療者151例を対象に++の3剤を52週投与したところ、投与40〜52週に45%の患者でHIV RNAが(20 copies/mL)以下になり、他の2つの併用群より有意に優れていた。現在のINSTIベースのレジメンとは比べられない。

用法・用量

項目 日本 米国
(最初の14日間) 1回200 mgを1日1回3 200 mgを1日1回(小児は150 mg/m2を1日1回)4
1日400 mgを2回に分けて投与 200 mgを1日2回(小児は150 mg/m2を1日2回。1日総量は400 mgまで)
発疹が出たとき 発疹が完治するまで増量しない 増量せず、は28日を超えて続けない
中断後の再開 7日以上中断したらからやり直す 7日を超えて中断したら14日間の導入からやり直す

⚠️ を飛ばして最初から1日2回にしない。 を守ることで発疹の頻度が下がることが確認されている。

禁忌・注意

  • ⚠️⚠️ (米国)/(日本):重篤なと皮膚障害。最初の18週間が危険な期間で、特に最初の6週間に重症の事象が集中する4。
  • 肝機能の監視:日本の電子添文は、投与前に肝機能検査を行い、投与開始後6か月間は少なくとも月1回の検査を求める。米国も最初の18週間の集中的な監視を要求し、発疹が出た患者では直ちにを確認する。
  • 危険因子:女性、そしてCD4値が高い患者(日本:女性250/mm3以上・男性400/mm3以上)で肝障害の発現率が高い。米国は、成人女性のCD4が250/mm3超、成人男性で400/mm3超の患者では、利益がリスクを上回る場合を除き開始を勧めない。CD4が250/mm3を超える女性(妊婦を含む)で最も危険が大きいとされる。
  • 禁忌(日本):成分への過敏症の既往、重篤な発疹・全身症状を伴う発疹が出た患者、重篤なのある患者、本剤でが出た患者、経口の(国内未発売)、経口避妊薬(避妊を目的とするを含む)3。
  • 禁忌(米国):中等度・重度(Child-Pugh B・C)の肝障害、曝露後予防(PEP)としての使用4。HIVに感染していない人がPEPで服用して肝不全を起こした報告がある。
  • ⚠️ 再投与しない:、と発疹などの併発、重篤な皮疹、過敏症反応が出た場合は、回復後も再開しない。
  • と/蓄積にも注意する。

相互作用(日本の電子添文)

区分 薬 内容
経口避妊薬 避妊薬の血中濃度が下がるおそれ。避妊を目的とするを併用しない
(経口) 併用でのAUCが63%低下し、本剤が上昇
併用注意 HIV(など) の血中濃度が低下
併用注意 リファンピシン・ リファンピシンとの併用で定常状態の本剤のAUCが58%、Cminが68%低下
併用注意 CYP3A(、マクロライド、) 本剤のCminが7〜17%上昇
併用注意 代謝促進で血中濃度が低下。摂取しない
併用注意 ワルファリン、避妊目的でない、 時間の変化、ホルモン効果の低下、血中濃度の変動

副作用

頻度 内容(日本の電子添文)3
高頻度 発疹(12.2%)、悪心(6.2%)、発熱(6.3%)、頭痛(5.3%)、傾眠(5.2%)
重篤・まれ ・(0.7%)、、肝炎(を含む)・・黄疸・肝不全(6.3%)、アナフィラキシー(0.2%)
その他 、うつ病、、、脱水症などが報告されている(まとめて4.2%)

まとめ

  • =。逆転写酵素のにに結合する。HIV-2と群O株には効かない。
  • 弱点は、(181番・106番など)で耐性化しやすいこと、とCYP3Aを介した多数の相互作用、そして肝障害と皮膚障害()。
  • 用法は14日間の導入(200 mg 1日1回)→維持(1日400 mgを2回)。を守って発疹の頻度を下げ、7日以上中断したら導入からやり直す。
  • 肝障害と皮疹は最初の18週間、特に最初の6週間に集中する。女性、CD4高値(女性250/mm3以上、男性400/mm3以上)で危険。肝機能を定期的に測り、発疹があれば肝機能も確認する。
  • 日本では経口避妊薬(避妊目的のを含む)が。リファンピシンとの併用で血中濃度が大きく下がる。
  • 成人の初回治療からは外れ、日本では錠が発売中止予定でガイドラインから削除された。新生児・早産児を含む小児の表には今も残る。

出典

  1. 1.Major revision version 13.0 of the European AIDS Clinical Society guidelines 2025(HIV Medicine (European AIDS Clinical Society)・2026)PMC全文(PMC12757896、CC BY-NC-ND)の本文を読んで確認した。成人HIV-1の初回治療(Table 1)の推奨・代替レジメンにネビラピンは載らず、NNRTIはドラビリン(推奨)、エファビレンツとリルピビリン(代替)である。ネビラピンは小児・青年の初回治療の表(Table 3)に、0〜4週、4週〜3歳、3〜6歳の代替アンカー薬として載る。注として、ZDV・3TC・NVPが早産児(在胎37週未満)への使用が承認されている唯一の抗レトロウイルス薬と記載される。閲覧 2026-11-03
  2. 2.抗HIV療法のガイドラインに関する研究(HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究 分担研究報告書)(厚生労働行政推進調査事業費補助金(エイズ対策政策研究事業)/四本美保子ほか・2025)PDFからテキストを抽出して本文を読んで確認した。2025年3月版の抗HIV治療ガイドラインで、ビラミューン錠(ネビラピン)は発売中止予定であり使用頻度が低いことから、ガイドラインから削除されたと記載されている。初回治療の「大部分のHIV感染者に推奨されるレジメン」はBIC/TAF/FTC、DTG+TAF/FTC、DTG/3TCの3つで全てINSTIベース。閲覧 2026-11-03
  3. 3.ビラミューン錠200 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/ベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社・2023)電子添文(2023年8月改訂、第2版)の本文を開いて確認した。販売名ビラミューン錠200、一般的名称ネビラピン、承認番号21000AMY00263000、販売開始は1998年12月。警告に皮膚障害(中毒性表皮壊死症、皮膚粘膜眼症候群、過敏症症候群。発疹は投与開始後概ね18週まで、重篤な発疹は概ね6週までに多い)と肝機能障害(投与開始後6か月間は少なくとも月1回の肝機能検査)。禁忌は成分過敏症、重篤な発疹・全身症状を伴う発疹の既往、重篤な肝機能障害、投与による肝機能障害の既往、経口ケトコナゾール、経口避妊薬(避妊を目的とするホルモン療法を含む)。用法は成人に1回200 mgを1日1回14日間、その後は1日400 mgを2回に分けて投与。7日以上中断したときは導入期からやり直す。CD4値が高い患者(女性250/mm3以上、男性400/mm3以上)で肝機能障害の発現率が高く、女性でも発疹と肝障害の発現率が高い。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。CYP3Aで代謝され自己誘導がある。リファンピシンの併用で本剤のAUCが58%低下。副作用は発疹12.2%、肝炎・肝機能障害・肝不全6.3%、Stevens-Johnson症候群・Lyell症候群0.7%など。単回投与の半減期は約40時間で、反復投与後は約25〜30時間に短縮。HIV-2逆転写酵素は阻害しない。耐性は主に逆転写酵素の181番と106番の変異。閲覧 2026-11-03
  4. 4.NEVIRAPINE tablet (Aurobindo Pharma Limited) - Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)/Aurobindo Pharma Limited・2026)DailyMed SPL APIで同じsetidのXMLを取得し(SPLの有効日は2026年10月8日)、本文を読んで確認した。適応は他の抗レトロウイルス薬との併用によるHIV-1感染症で、成人と生後15日以上の小児。枠組み警告は生命を脅かす肝毒性と皮膚反応で、最初の18週間が重要、特に最初の6週間が最も危険。女性とCD4高値(女性250/mm3超)が危険因子で、PEPへの使用は禁忌。14日間の導入(200 mgを1日1回)を守ることで発疹の頻度が下がる。再開しない条件は臨床的肝炎、トランスアミナーゼ上昇と発疹の併発、重い皮疹、過敏症反応。禁忌は中等度・重度(Child-Pugh B・C)の肝障害とPEP。成人女性でCD4が250/mm3超、成人男性で400/mm3超の患者では、利益がリスクを上回る場合を除き開始を勧めない。導入中に発疹が出たら増量せず、導入を28日を超えて続けない。成人は200 mgを14日間1日1回、その後200 mgを1日2回。小児は150 mg/m2を同様に。NNRTIでHIV-2と群Oには活性がない。閲覧 2026-11-03