外科学

外科学 · G/10

移植の基礎概念(総論・脳死・適応・免疫抑制)

Transplantation: basic concepts, brain death, immunosuppression

🧠 移植外科は「臓器を取る → 守る → 配る → つなぐ → 拒絶を抑える」という5段の連鎖。 提供者側では適切な同意と臓器維持、運搬中は保存と虚血時間の管理、割り当ては臓器別にABO・HLA・・などを評価する。側では血管・排泄路を再建し、通常の臓器移植では長期の免疫抑制に伴う感染・悪性腫瘍・薬剤毒性を監視する。の基礎に加え、保存・再建・も発展しており、今日の課題は拒絶と合併症の低減、臓器不足への対応である。

1. 移植とは何か — 用語の整理

定義: 臓器・組織を提供者(ドナー)の体から取り出し、機能を失った臓器の代わりとして()の体に移す治療。適応のある腎不全患者では、透析と比較して腎移植が優先して検討されるである。手術から搬送・割り当てまで高度に組織化されている。

移植されるもの

区分 例
固形臓器 腎・肝・膵・小腸・心・肺
細胞・組織 血液、角膜、骨髄、細胞、皮膚
複合組織 顔面、手

提供者と受容者の関係による分類

用語 意味 例・ポイント
提供者とが同一個体 、血管移植。拒絶なし
間 最初の成功例(腎、1954年)。免疫抑制不要
の別個体間 ヒトからヒトへの通常の移植。拒絶が問題になる
異なる種の間 研究段階。・感染症が障壁

提供者の種類

区分 内容
対をなす臓器(腎)または一部(など)を提供する。ドナー自身の安全が最優先
()と、()に分かれる

移植部位による分類

用語 意味 臓器
本来の解剖学的位置に置く(病変臓器は摘出) 肝・心・肺
本来とは別の位置に置く(自己臓器は多くが残る) 腎()・膵

同所性肝移植では肝臓を元の位置で置換し、異所性腎移植では自己腎を残して移植腎を腸骨窩に配置する比較図

生成模式図(実際の患者画像ではありません)。

💡 同所性か異所性かは「その臓器の機能が失われたとき、置換が生命維持に直結するか」とも関係する。 肝・心・肺は代替手段が乏しく、悪化した臓器を取り除いて置き換える。腎・膵は透析やインスリンという代替手段があり、自己臓器を残したまま付け足せる。

虚血時間の用語

  • :血流が止まったが冷却されていない時間(心停止からまで、および吻合中に臓器が体温に戻る間)。
  • (CIT):冷却保存液で臓器を冷やして保存している時間。提供者での灌流開始(血管遮断)から、での再灌流(遮断解除)まで。

臓器ごとの治療目的

区分 臓器 意義
生命維持機能の回復 心・肺・肝・小腸 で保存的治療の限界と移植の利益を比較する
腎 透析でだが、適応のある患者では移植がの第一選択となる。利益は患者のやドナー腎の状態によって異なる
主に代謝・生活の質の改善 膵(多くは腎と同時) 重症低血糖を減らしを回復する。適切な患者では長期生存の改善も期待されるが、手術・免疫抑制の負担と比較する

2. 歴史の骨格

移植の歴史は「手技の完成 → 免疫の壁の発見 → の登場」の順で理解する。

年 出来事 意味
1902 Ullmann が犬の腎(5日間機能)。Carrel が法を確立 という外科手技が完成(Carrel は1912年ノーベル賞)
1914 Carrel:外科的側面は完成した、残る課題は拒絶という生物学的障壁 技術より免疫が壁になる
1933〜49 Voronoy が腎移植6例(全例不成功) 免疫抑制なしでは機能せず
1950〜53 Hume と Küss が免疫抑制なしで手技を改良
1924〜1960 Holman・Medawar:の「2回目の拒絶が早い」現象 拒絶は免疫反応であると証明(Medawar:1960年ノーベル賞)
1954 Murray:間の腎移植に成功 免疫の壁がない条件で初の成功(1990年ノーベル賞)
1958 Dausset:最初のを記述 HLAによる組織適合性の研究へ発展(1980年ノーベル賞)1
1963・1967 Starzl:初期のから長期生存へ 1963年の短期生存例と、1967年の1年超生存例を区別する2
1966 Lillehei・Kelly:
1967 Barnard:
1960年代以降 の開発、概念の確立 現在の移植医療の基盤
1995 生体腎ドナー ドナー負担の軽減

ハンガリーでは1962年にセゲドで(兄弟間)が最初に成功し、は1983年(ブダ)、は1992年、は1998年(ペーチ)に行われた。

💡 移植発展の4要因: ①外科手技の改良、②人工臓器(透析)による橋渡し、③とHLAの知見、④死の定義の見直し()と医療保険制度。

3. 脳死と法的枠組み

3.1 脳死の概念

とは、脳幹を含む全脳機能の不可逆的な喪失である。1968年のハーバード大学委員会報告が起点で、欧州ではフィンランドが1971年に最初に法的な死の指標として採用し、ハンガリーでは1972年に最初の法規定、1997年の保健法(1997年第 CLIV 号)で現行の枠組みが整備された。

の要件は次の4つである。

  1. 意識の不可逆的消失
  2. 無呼吸(で確認)
  3. の消失
  4. 上記が不可逆であることの証明

3.2 原因による分類

分類 内容
一次性 頭蓋内圧亢進を伴う脳外傷、、、水頭症など、脳そのものの損傷
二次性 後の低酸素など、全身要因による脳の障害

3.3 似た病態との区別

病態 脳幹機能 予後 法的な位置づけ
完全に消失 不可逆。人の死 =死
() 脳幹は保たれ睡眠・覚醒周期がある 回復しうる 生きている
昏睡 脳幹機能は残りうる 回復しうる 生きている

⚠️ 「意識がない」「昏睡」と「」は別物。 では自発呼吸が不可能で、を外せば心停止に至る。患者家族への説明でも、メディアの誤解(臓器バンクがある、提供者を探している)を解く必要がある。

3.4 脳死の宣告 — 判定の流れ

判定法と観察期間は法域別に確認する。 ハンガリーの規則では、と経過観察だけでを確認する場合、次の期間を定める。観察中は全所見が持続し、4時間ごとに記録する。規定の補助検査でを証明する場合は、この観察期間を要しない。3

年齢
3歳以上・成人 12時間 72時間
生後5週〜3歳未満 24時間 24時間
生後5週未満 72時間 72時間
  • 判定者: 移植に関与しない専門医3名による委員会(ハンガリーの規則)。3 2023年の米国の合意ガイドラインも、に関わるはに関与してはならないとし、判定医はに習熟し適切な訓練を受けていれば神経内科医に限定されず医なども担いうるとする4
  • 米国の観察期間: 上表のハンガリー規則と混同しない。米国の2023年ガイドラインは虚血性脳損傷の後なら24か月以上の小児・成人で少なくとも24時間、24か月未満では少なくとも48時間待つとする4
  • 診察の回数: 米国の2023年ガイドラインでは成人は1回以上(独立した2回目は任意)、小児は別々の2名が12時間以上あけて2回診察し、も各診察後に行う。37週未満の乳児はの対象にしない4
  • 補助検査: は臨床評価が原則で、補助検査は臨床評価を安全または完全に行えないときに限る。米国のガイドラインが使用してよいとするのは、、成人ので、・・・MRIは用いないことを勧める。低体温や鎮静薬の影響が残る状態では補助検査で診断しない4
flowchart TD
  A["昏睡・脳幹障害の患者"]
  A --> B["前提の確認<br>原因疾患が確定し、画像で不可逆的な脳損傷<br>治療可能な原因は治療済み"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='confounding factor'>交絡因子</span>の除外"]
  C --> C1["低体温"]
  C --> C2["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neuromuscular blocking agent, NMBA'>神経筋遮断薬</span>・鎮静薬の残存"]
  C --> C3["代謝性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endocrine (hormonal)'>内分泌性</span>昏睡"]
  C --> C4["中毒"]
  C1 --> D["意識なし・痛み刺激に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-response'>無反応</span>"]
  C2 --> D
  C3 --> D
  C4 --> D
  D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='brainstem reflex'>脳幹反射</span>の全消失<br>対光・角膜・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oculocephalic reflex (doll&#39;s eye)'>眼球頭反射</span>・前庭(温度)・咽頭・咳"]
  E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='apnea test'>無呼吸テスト</span><br>酸素化後に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ventilators'>人工呼吸器</span>を外し<br>PaCO2を上昇させても<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Movements in respiration'>呼吸運動</span>なし"]
  F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Irreversibility'>不可逆性</span>の確認<br>年齢・原因・法域に応じた観察<br>または規定を満たす補助検査"]
  G --> H["全基準の維持を確認<br>必要なら補助検査(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transcranial Doppler'>経頭蓋ドプラ</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiography'>血管造影</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cerebral blood flow, CBF'>脳血流</span>シンチ)"]
  H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='brain death'>脳死</span>の宣告<br>ハンガリーでは委員会3名の合意"]

3.5 脳死判定を宣告できない(交絡因子)

次の状態ではを行えない。これらが残る限りの消失をと解釈してはいけない。

注意点
低体温 を回復させてから評価する。米国の2023年ガイドラインは36度以上を求め、35.5度以下になっていたら36度以上へしてから少なくとも24時間待つ4
筋弛緩の残存を末梢神経刺激で確認する
代謝性・昏睡 肝性脳症、、重度の電解質・、など
中毒・鎮静薬 を測れないときは半減期の5倍以上待つ。肝・腎障害、肥満、低体温ではさらに長く待つ4
低血圧・ショック 低血圧は脳機能を抑えて偽陽性を招く。成人では100 mmHg以上かつ75 mmHg以上を保って評価する4

💡 の考え方: 100%酸素で十分に酸素化したうえでを外し、酸素を流しながら観察する。PaCO2が60 mmHg以上かつ基礎値より20 mmHg以上上昇し、pHが7.30未満になってもがなければ陽性とする(検査前はPaCO2 35〜45 mmHg・pH 7.35〜7.45に整える。慢性のCO2貯留があれば例外)4。これは延髄のが最も強く刺激される状況でも反応しないことを意味する。血圧低下・低酸素・不整脈が出たら中止し、補助検査へ切り替える。

⚠️ でもは残りうる。 四肢の自発的な屈曲、、いわゆる(腕を持ち上げる動き)は脊髄由来であり、の否定にはならない。・頻脈(に対する)も起こるため、術でも麻酔管理が必要である。

3.6 同意の仕組み

方式 内容
提供を認める意思表示を要する。意思表示の方法と家族の関与は各国法で定める
生前の拒否意思がなければ同意を推定する。拒否意思の検索と家族への説明を省略する制度ではない
未成年の提供 法定代理人の同意など、成人と異なる規定を確認する

同意方式と家族の役割は国ごとに異なり、本人のを要する方式(オプトイン)と、拒否の意思表示がない限り同意とみなす(オプトアウト)に大別される5。ハンガリーでは生前の拒否意思を・所持書類・で確認し、遺族へ説明する。未成年の提供では法定代理人の同意を確認する。の同意は提供と分けて扱う。3

3.7 提供者の管理(維持)

では視床下部・下垂体・脳幹の機能が失われ、次のような連鎖が起こる。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='brainstem herniation'>脳幹ヘルニア</span>の進行"]
  A --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cushing reflex'>クッシング反射</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sympathetic storm'>交感神経嵐</span><br>高血圧・頻脈・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='catecholamine'>カテコラミン</span>大量放出"]
  B --> C["心筋障害・肺水腫(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurogenic'>神経原性</span>)"]
  A --> D["脊髄からの交感神経遮断<br>血管拡張と低血圧"]
  A --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior pituitary'>下垂体後葉</span>機能の消失<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='diabetes insipidus, DI'>尿崩症</span>(多尿・高Na血症)"]
  A --> F["視床下部の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thermoregulation'>体温調節</span>消失<br>低体温"]
  A --> G["内分泌異常<br>甲状腺・副腎・インスリン低下"]
  A --> H["凝固異常(脳<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue factor'>組織因子</span>の流入)"]
  D --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decreased organ perfusion'>臓器灌流低下</span>"]
  E --> I
  F --> I
  I --> J["提供臓器の障害"]
管理項目 方針
循環 とでを維持(ショックにはステロイド・類も用いる)。水分過剰は肺を痛める
呼吸 ()、・誤嚥の予防
、輸液でナトリウム管理
体温 加温して低体温を防ぐ
内分泌・代謝 血糖・電解質とを管理し、副腎皮質ステロイドなどは状況と施設手順に応じて判断する。を全例の必須処置としない
感染予防・栄養 、無菌的処置

🧠 ASA 6 は「と宣告され、のために管理される患者」を示す米国麻酔科学会の身体状態分類。摘出術は手術であり、麻酔科が血行動態と筋弛緩を管理する。

の根拠には限界がある。 循環が不安定な心臓提供候補者を対象とした2023年の無作為化試験では、静注で移植される心臓数は有意に増えず、重症高血圧・頻脈が増加した。ホルモン低値だけを理由に一律補充する処置として覚えない。6

3.8 心停止後提供(DCD)

臓器不足を補うために、だけでなくの提供が広がった。分類は で、制御されたもの(の中止後のを予測して準備する)と制御されないものに分かれる。欧州の作業部会が用語と定義を見直して合意しており7、カテゴリーの細部(特にVの定義)は版によって異なるため、以下は授業資料の表である。

分類 状況 制御
I 搬入時死亡 制御されない
II 蘇生に失敗 制御されない
III 心停止を待つ(の中止後) 制御された
IV 後の心停止 制御された
V 入院患者の心停止(授業資料の定義。版により異なる) 制御されない

でもは可能である。 体外灌流で再灌流・機能評価した心臓を用いるが報告されている。8 また、(DCD)では生命維持中止後の心停止を待ち、()が起こらないことを確認するため後に一定のを置く(米国移植外科学会は5分間のを推奨している)9。使用可能な臓器は分類だけで決まらず、、臓器機能、保存方法、施設・法制度で判断する。

提供者の状態 循環が保たれた 後
阻血 提供者の体内で血流が保たれ、は最小 心停止からまでのがある
臓器の評価 に伴う循環・内分泌異常などを評価する の影響を評価する。腎の機能発現遅延や肝の胆管合併症が問題
提供できる臓器 臓器ごとの評価で決める 腎・肝・肺などに加え、対応する施設では心も対象となる

4. 提供者の選択と臓器の割り当て

4.1 臓器不足への対策

  • の管理と優先順位づけ
  • 臓器の質の基準を拡大する(:高齢・合併症のある提供者)
  • (1つの肝を2人のへ)、(区域)
  • の拡大
  • による臓器の質の改善

4.2 Eurotransplant による割り当て

Eurotransplant は、オーストリア・ベルギー・クロアチア・ドイツ・ハンガリー・ルクセンブルク・オランダ・スロベニアの8か国でドナー臓器の配分を担う組織で、者情報を一元管理する。移植可能な臓器が出ると、予後・・などの医療的・倫理的基準から候補者を順位づけし、臓器の国際搬送も調整する10。

腎の割り当て基準を整理する。

基準 内容
適合性 ABO適合、HLA適合、などを評価する。具体的な適合条件は配分制度と個別症例で異なる
移植後の見込み 提供腎とを組み合わせたときに期待される移植後の転帰
臨床的緊急性をが評価する
Eurotransplantの案内では、腎移植のは初回透析日から起算する
臓器の 国際的な臓器交換の均衡も考慮する
小児・ 小児優先やなどの特別な配分経路がある。詳細条件は改訂されるため、現行マニュアルを参照する11

Eurotransplantの腎配分には、一般配分のETKAS、高齢ドナー腎を高齢へ配分するESP、患者を対象とする制度、小児向けの優先制度がある。点数や適用条件は更新されるため、古い年齢・HLA条件を現行の一律基準として覚えない11。

💡 移植の適切な時期: 腎機能低下が進んだ患者には前から移植評価を始める。移植時期は腎機能、、提供腎の状態、透析に伴うリスクを合わせて判断する。

4.3 臓器保存と虚血時間

臓器は摘出時に血管を遮断し、冷たい保存液で灌流して冷却し、低温で保存する。保存の目的は代謝を落として阻血による傷害を遅らせることである。許容時間は臓器、提供者の状態、保存方法などで異なり、固定した最大時間はない。

  • 腎ではをできるだけ短くする。EAUは腎で18〜21時間、腎で12時間、腎で12〜15時間以内の移植を理想としている。これは一律の廃棄基準ではなく、ドナー腎の条件を踏まえた目標時間である12。
  • は、利用可能な場合にのを減らすために用いる。灌流時の抵抗値だけでを廃棄してはならない12。
  • が長いほど移植後の機能発現遅延が増えやすい。心・肺は腎より阻血に弱く、許容時間は臓器別の搬送・保存手順に従う。などの保存技術も含めて、臓器ごとに使用可能性を判断する。

4.4 臓器摘出(レトリーバル)

  • 摘出は手術であり、剖検ではない。麻酔と手術室が必要で、書類上も手術記録として扱う。
  • 流れ:全(腹部)と胸骨切開 → 露出と剥離(の胆管・・門脈、大動脈、下大静脈、上腸間膜血管)→ 大動脈に灌流用挿入 → 血管遮断と冷保存液による灌流、胸腔・腹腔内を氷で局所冷却 → 臓器の摘出 → 。

臓器摘出時に腹部大動脈のカニューレから冷保存液を肝臓と左右腎臓の動脈へ灌流する模式図

生成模式図(実際の患者画像ではありません)。水色の矢印は大動脈内のから肝臓・両腎の動脈へ向かう冷保存液の経路を示す。血管と臓器の配置は灌流の理解に絞った模式化であり、静脈還流やその後のは描いていない。

  • 摘出後はで血管・尿管の整形を行う。腎ではの作成、が短いため下大静脈の一部を付けたまま延長するなどの形成を行う。
  • 腎は左右一対で摘出することがあり、複数血管があれば灌流・還流を保つよう形成する。静脈を主な1本だけにまとめられるかは交通と還流の評価によるため、他の静脈を一律にするとは考えない。

5. HLA・拒絶の免疫学的基礎

5.1 主要組織適合遺伝子複合体

HLAは第6にある遺伝子群で、ペプチドをT細胞へ提示する分子をコードする。移植では、その多型が組織の免疫認識に関係する。

クラス 分子 発現 提示する抗原 活性化される細胞
クラスI HLA-A、B、C すべての 内因性ペプチド CD8陽性
クラスII HLA-DR、DQ、DP B細胞、マクロファージ、 外来性ペプチド CD4陽性

クラスIは膜に結合すると、クラスIIはとからなる。MHC領域のクラスIIIには補体関連遺伝子などがあり、クラスI・IIのようなペプチド提示分子ではない。

  • HLAは連鎖して遺伝するため、両親から1セット()ずつを受け継ぐ。同胞間では、HLA完全一致が25%、一致(片方が一致)が50%、両が異なる確率が25%となる(組換えなどを省いた基本モデル)。
  • HLAの一致度が高いほど、が良い。 授業資料に載る古い(の成績が不良だった時代の)成績では、10年はHLA一致同胞が約70%、親からが約40%、が約20%とされる。この数値は歴史的なもので、現在はの進歩で差は縮んだが、適合は今も重要である。

5.2 抗体と交差試験

用語 意味
DSA がもつ、提供者のHLAに対する抗体
PRA の血清が、HLAパネル細胞のうち何%と反応するか。高いほど()適合する提供者が少ない
提供者のリンパ球との血清を反応させ、既存の抗体による拒絶リスクを評価する。陽性は移植後の危険を高めるため通常の配分では避けるが、などを行う専門施設の選択例まで一律に禁忌とはしない

感作の原因は、妊娠、輸血、過去の移植である。

5.3 拒絶の種類(腎移植)

型 時期 機序 経過・治療
再灌流直後〜ごく早期 既存の抗体による・ の急激な虚血とを来す。・血液型適合性の評価で予防する
移植後早期から晩期まで起こりうる T細胞による傷害 腎機能悪化などを契機に生検で評価し、病型と重症度に応じて治療する
移植後早期から晩期まで起こりうる 、補体、微小血管傷害などが関与 抗体検査と生検を合わせて病型を判断する。移植後の病理像は原因に特異的ではなく、感染・・原疾患再発などを含む鑑別が必要13
慢性・混合病変 数か月〜数年 免疫性と非免疫性の傷害が重なりうる 「」と一括せず、生検所見から、、その他の病変を区別する。Banff 2024報告は分類を変更せず、病理像のを重視した13
  • 腎機能の悪化があれば、まず薬剤毒性、脱水、尿路閉塞、、、原疾患再発などを評価する。超音波は閉塞や血流異常の確認に用い、生検が治療を大きく遅らせない限り拒絶治療前に生検を行う14。生検は糸球体炎・間質炎・・・・C4d染色などの病変スコアを組み合わせて・境界病変・などの診断カテゴリーへ分類するBanff分類に沿って評価する15。Banff 2024報告は2022年分類を維持し、だけから機序を断定せず、抗体、補体、組織所見、臨床経過を合わせて鑑別するよう強調する13。
  • では副腎皮質ステロイドを用い、抵抗性・再発例ではATGなどを検討する。は病型ごとの根拠が限られ、では・免疫グロブリン・ステロイドを中心に個別化し、慢性に確立した単一の治療法はない1416。

⚠️ クレアチニン上昇の鑑別は拒絶だけではない。 の腎毒性、脱水、尿路閉塞やによる圧迫、、、原疾患の再発などを除外する。生検の前に超音波で閉塞と血流を確認する。

6. 腎移植

6.1 適応

適応は透析と同じで、不可逆的に進行するである。

GFR 対応
30 mL/分/1.73 m²未満(CKD G4〜G5) 移植について説明し、透析開始が見込まれる6〜12か月前に評価へ紹介する(KDIGO)17
15〜20 mL/分/1.73 m²未満、または2年間のリスクが40%超 先行的移植やの準備を計画する(KDIGO 2024)18
透析を始める時期 症状・徴候、生活の質、本人の希望、GFR、検査異常を合わせて決める。しばしばGFR 5〜10で開始されるが、一律の閾値ではない(KDIGO 2024)18

可能なら透析を経ずに行うが、成績が良い。KDIGOも、移植に適した患者ではからの先行的移植を望ましい治療とする17。

原疾患の例を表にまとめる。

区分 例
血管性 、、血管炎、、
尿路閉塞 、、腫瘍、、、、、
原発性糸球体疾患 、IgA腎症、、、、
二次性糸球体疾患 糖尿病、、関節リウマチ、強皮症、、血管炎、、、、、感染症(HBV、HCV、HIV)など
尿細管間質性疾患 、薬剤、感染、、慢性・、、、放射線、

6.2 候補者評価と移植を延期する状態

移植適応は「絶対・」の単純な一覧ではなく、透析を続ける場合との利益・危険を多職種で比較して決める。年齢や肥満など単一の項目だけで除外しない17。

状態 評価と対応
一般に感染を治療してから移植する。HCVは例外的に移植前後の治療を含め評価する。HBV・HCV・HIVは感染の有無だけで一律に除外せず、活動性や治療可能性をと判断する
原則として移植評価を延期し、と寛解を確認する。表在性などの例外があり、再開時期はがん種・病期と専門医の評価で決める
重症心疾患 症候性で是正できない重症心疾患は移植後の危険が高く、移植を見送ることがある。循環器専門医が治療可能性と腎単独移植・多臓器移植を評価する
重症呼吸器疾患 不可逆的で重症の閉塞性・肺疾患は腎単独移植に適さないことがある。呼吸器専門医と評価する
重症肝疾患 肝硬変または疑いがあれば肝臓専門医へ紹介し、を含めて検討する
不安定な精神疾患・継続中の物質使用 治療と支援で服薬・通院を安全に続けられるか評価する。診断名や障害だけを理由に除外しない
尿路異常・・ の留置場所、尿流の確保、創傷治癒、術後の支援を個別に評価する

年齢のみで除外せず、肥満のみでも除外しない。 BMI 35以上では減量支援や肥満を検討しうるが、最終判断は、、手術の難易度などを含めて行う17。

⚠️ 古いリストに注意: HIV感染を含む、年齢、肥満、精神疾患を一律の禁忌にするのは現在の考え方ではない。や治療中の悪性腫瘍では移植を延期するなど、と治療可能性に応じて評価する17。

6.3 生体腎ドナーのリスク

者は健康な人に手術を行うため、ドナーの安全と自由意思を最優先する。KDIGOは年齢、性別、腎機能、尿アルブミン、血圧、BMI、糖尿病、喫煙、家族歴などを組み合わせた個人別の評価を勧め、単一のリスク因子だけで判断しない19。

KDIGOがまとめたデータでは、提供に伴う腎不全の追加リスクは平均で15年間に1万人あたり約27人と推定されたが、追跡期間や研究数に限界があり、個人の生涯リスクには大きな不確実性がある。数値は集団平均であり、候補者個人のリスクを直接表すものではない19。提供後も定期的な健康・腎機能の確認を続ける。

6.4 手術の実際

移植腎の腎動脈と外腸骨動脈、腎静脈と外腸骨静脈、尿管と膀胱の3系統の接続

生成模式図(実際の患者画像ではありません)。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='back table'>バックテーブル</span>での腎の整形<br>血管・尿管の確認、余分な脂肪の除去<br>腫瘍や灌流不良部の確認"]
  A --> B["全身麻酔・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urinary catheterization'>導尿</span>カテーテル挿入"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iliac fossa'>腸骨窩</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='curvilinear incision'>弧状切開</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Gibson incision'>Gibson切開</span>)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='extraperitoneal approach'>腹膜外アプローチ</span>"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iliac vessel'>腸骨血管</span>の剥離と露出"]
  D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular anastomosis'>血管吻合</span><br>静脈:外<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iliac vein'>腸骨静脈</span>と端側<br>動脈:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='external iliac artery'>外腸骨動脈</span>(または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='common iliac artery'>総腸骨動脈</span>)と端側、または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='internal iliac artery'>内腸骨動脈</span>と端々"]
  E --> F["再灌流(遮断解除)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal allograft'>移植腎</span>の灌流・血流・止血を確認"]
  F --> G["尿管吻合<br>膀胱への新吻合(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Lich-Gregoir technique'>Lich-Gregoir法</span>)または尿管・尿管吻合"]
  G --> H["止血を確認し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='wound closure'>閉創</span><br>ドレーンは必要に応じて留置"]
  • : 病変腎は通常そのまま残す。
  • 腹膜外: に置くため、腹腔内には入らない。左右どちらに置くかはの状態、過去の手術・移植、尿路解剖などで決める。
  • 静脈は外と端側吻合。動脈は(または)と端側、あるいはと端々吻合。
  • 尿管は膀胱へ新吻合(を作る逆流防止型の など)し、を置くことが多い。膀胱が使えない場合は自己の尿管との吻合も行う。
  • 腎の基本再建は静脈・動脈・尿路の3系統である。血管が複数ある場合などは吻合数が変わる。肝・膵では別の血管・再建が必要になるため、数だけでなく、何をどこにつなぐかを理解する。

6.5 合併症

腎移植後リンパ嚢胞による尿管と腸骨静脈の圧迫

生成模式図(実際の患者画像ではありません)。

flowchart TD
  A["腎移植後の合併症"]
  A --> B["外科的"]
  A --> C["免疫学的"]
  A --> D["内科的"]
  B --> B1["一般:創感染・出血・ヘルニア"]
  B --> B2["特異的:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphocele'>リンパ嚢胞</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular complication'>血管合併症</span>・尿管合併症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='delayed graft function'>移植腎機能発現遅延</span>"]
  C --> C1["拒絶(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperacute'>超急性</span>・急性・慢性)"]
  D --> D1["感染症"]
  D --> D2["薬剤の副作用"]
  D --> D3["悪性腫瘍"]
合併症 起こる仕組み・症状 要点
周囲の貯留。尿管やを圧迫すると水腎症・を来す 超音波やCTで評価し、症候性ならドレナージなどを検討する
(DGF) 再灌流後すぐに十分な腎機能が出ず、透析が必要となることがある 、長い、提供腎の状態などが関係する。は発生を減らしうる12
動脈血栓・狭窄 から・腎機能悪化を来す。動脈狭窄は難治性高血圧や機能低下の原因となる 急なでは緊急の血流評価が必要
静脈血栓 の腫脹、疼痛、血尿、急激な機能低下 早期のとして迅速に診断し、緊急対応する
尿管閉塞・ 早期は尿管虚血や不全、晩期はなど 、腎機能悪化、発熱、創部や骨盤内の液体貯留を手がかりに画像評価する。感染を伴う閉塞や漏出は敗血症につながりうる
拒絶 免疫反応による障害 クレアチニン上昇だけで診断せず、生検と原因の鑑別を行う
感染症 細菌、、、、、真菌など 発症時期・免疫抑制強度・ドナーとの血清状態でリスクが変わる
悪性腫瘍 長期免疫抑制によりやなどが増える 皮膚・口唇の診察、、がん種に応じた検診を継続する

💡 移植後の感染症の時期区分: 術後1か月までは創・尿路・肺などの周術期感染、1〜6か月は免疫抑制が強い時期の日和見感染、6か月以降はや免疫抑制に関連する晩期感染・悪性腫瘍が増えるという大まかな整理が使えるが、時期は免疫抑制と患者の状態で変わる。予防にはST合剤を用いる。予防はドナーとの血清状態に応じ、予防投与またはウイルス量を監視して治療する方法を選ぶ。高リスクの提供者陽性・陰性の腎移植では、予防投与を選択する場合6か月を推奨する1420。

6.6 腎移植の利益

観点 内容
生存 適格な患者では腎移植が透析より優先して検討されるが、利益の大きさは年齢、、ドナー腎、移植時期などで異なる。移植直後の手術・免疫抑制に伴う危険も含めて比較する17
生活の質 透析通院から離れ、就労・就学、旅行、性機能や妊孕性などの改善が期待できる。ただし回復の速さにはがあり、復職・運転・運動は術後経過に合わせて再開する
妊娠 妊娠を計画する場合は移植後少なくとも1年待ち、機能が安定してから専門チームに相談する。など催奇形性のある薬剤は妊娠前に変更し、安定した投与を確認する21

腎移植を受けた腎が機能しなくなった後のも選択肢である。既往移植による感作、、、全身状態を改めて評価する。成績を評価するときは、の生存とのを区別する。が機能しなくなっても透析に戻ることができるため、両者は同じ指標ではない。

7. 免疫抑制

通常の臓器移植では、拒絶予防のため長期に免疫抑制を続ける。 や間の移植とは必要性が異なる。 薬は(移植直後に強く)と維持療法(長期に複数薬を併用)に分ける。KDIGOの腎移植ガイドラインは一覧で2009年版が現行掲載版であり、導入・維持療法の基本を学ぶための基盤として使う。薬剤選択や予防投与期間などの細部は、より新しい合意と施設プロトコルを優先する1422。

7.1 導入療法

薬剤 標的 備考
(ATG) T細胞の枯渇() 免疫学的に高リスクの例(KDIGOはよりを提案)・拒絶治療。、血小板減少14
IL-2受容体(CD25)の阻害 はの第一選択(KDIGO)。副作用が少ない14
OKT3(抗CD3) 歴史的薬剤(現在は使用されない)
(抗CD25) IL-2受容体 歴史的薬剤(現在は販売されていない)
リツキシマブ(抗CD20) B細胞 ・・

7.2 維持療法(基本は3剤併用)

分類 薬剤 作用 主な副作用
、 T細胞のIL-2産生を阻害 腎毒性、高血圧、、神経毒性(振戦)、糖尿病()、・()
、 リンパ球の(DNA合成)を阻害 消化器症状(下痢・悪心)、骨髄抑制、催奇形性()
、 IL-2に対する細胞増殖シグナルの阻害 、、、蛋白尿、、
副腎皮質ステロイド など 広範な抗炎症・免疫抑制 糖尿病、骨粗鬆症、肥満()、高血圧、感染、
  • 標準は「+(+ステロイド)」の併用で、KDIGOはではを、ではを第一選択とする。典型は++ステロイドである。免疫学的に低リスクでを受けた患者では、移植後1週間以内にステロイドを中止してもよいとされ、中止しなければ継続を勧める14。
  • は、機能が確立しが治癒するまで開始しない(KDIGO)14。
  • (、CTLA4-Ig)は腎毒性が少ない代替薬だが、の患者ではの危険が高く、この集団では禁忌である23。
  • と は治療域が狭く血中濃度()を測る。は次回投与直前のでモニターし、採血時刻は製剤とに合わせる。薬物相互作用が多い(・マクロライド・などで上昇、リファンピシンで低下)。結核治療でリファンピシンを使うときは血中濃度を測る14。
  • はとの併用で骨髄抑制が強まる。

7.3 免疫抑制薬の作用点

からの刺激でが活性化すると、を介してIL-2産生が進む。IL-2が受容体に結合すると細胞増殖シグナルが働き、T細胞が増殖する。主要薬はこの経路の異なる場所を抑える。

薬剤 抑制する段階
、 NFATを介したIL-2産生を抑える
IL-2受容体(CD25) IL-2がT細胞に結合する段階を遮断する
、 増殖に必要なを抑え、リンパ球増殖を抑える
mTOR 、 IL-2刺激後の細胞周期進行を抑える
CD80・CD86とCD28の結合を妨げ、T細胞の完全な活性化を抑える
ATGなど 既存のT細胞を減らし、や拒絶治療に用いる

このの違いを組み合わせることで、免疫反応を複数段階で抑えつつ、各薬剤の毒性が過度にならないよう調整する。

💡 免疫抑制の負担は3つに集約される。 ①薬剤毒性(腎・代謝・骨・神経・消化管)、②日和見感染と通常の感染の増加、③悪性腫瘍(や)。の外来管理は「拒絶の早期発見」と「この3つの予防」の両立である。

⚠️ ・の危険には免疫抑制の強さ・期間と患者の背景が関係する。 KDIGOは、生涯の日光曝露を減らして紫外線防護剤を使い、成人では年1回のによる皮膚・口唇診察を提案する。ドナー陽性・陰性の高リスク例は核酸検査でモニターし、疾患やではを減量または中止する。生ワクチンは避ける14。

8. 他の臓器の移植(総論的な整理)

臓器 要点
肝 同所性。・門脈、路、胆道を再建する。下大静脈置換術式では肝上部・肝下部下大静脈を含む5か所の吻合となるが、では静脈再建が異なる。いずれも選択肢で、解剖と施設の経験から選ぶ。24はで決める。分割肝・生体肝(区域)で臓器不足を補う。を最小化し、提供臓器の状態と保存方法を踏まえて評価する。
膵 β細胞機能の回復を目的とする。腎との同時移植、、を区別する。血管と外分泌の再建が必要で、血栓・・膵炎が重要
心 同所性。虚血の影響が大きいため、摘出から再灌流までの時間をできる限り短くする
肺 同所性(片肺・両肺)。提供肺の状態と保存・灌流方法を踏まえ、虚血時間を最小化する
小腸 救命的()

8.1 膵移植の目的と適応

1型糖尿病では主にβ細胞が破壊され、が不足する。はを回復し、重症低血糖・血糖変動と治療負担を減らすことを目指す。インスリン治療、CGMやポンプを含む適切な糖尿病治療と比較し、手術・免疫抑制の負担を上回る利益があるかを評価する。 糖尿病という診断だけで全例に行う治療ではない。

種類 主な対象・位置づけ 判断する点
(SPK) 糖尿病と高度のを併せもつ患者 腎単独移植との比較、、生体腎ドナーの有無、心血管リスク
(PAK) 腎移植を先に受け、さらにβ細胞機能回復の利益が見込める患者 追加手術の早期リスク、機能、代謝・生活の質の利益
(PTA) 腎移植を必要としない患者のうち、最適な治療でも重症低血糖・などが持続する場合 手術と免疫抑制の負担、腎機能と薬剤の腎毒性、代替治療
膵 移植膵機能が失われ、の利益が見込める場合 前回の喪失原因、感作、癒着・血管、全身状態

2型糖尿病でも、選択された患者ではSPKを検討できる。 国際合意は適格な患者での利益を認める一方、生体腎単独移植との比較や一部の病型では根拠が限られる。病型名だけで一律に除外・適応化せず、インスリン需要、、腎機能、肥満・心血管リスクなどを移植施設で評価する。25

💡 移植後もがすべて消えるわけではない。 ・神経障害・腎の組織変化などの改善や進行抑制は、重症度と血糖正常化の持続で異なる。高度に進んだ障害の回復は保証されず、の腎毒性なども残る。生活の質・長期生存の利益と早期のを分けて説明する。25

8.2 ドナー評価と膵移植の再建

膵ドナーでは、年齢・BMIに加え、の経過、や循環不安定、ナトリウム、、、臓器の損傷・、保存時間などを評価する。歴史的なP-PASSはこれらを組み合わせた提供膵の評価指標で、年齢とBMIの配点を重くしていた。点数や年齢だけで使用・廃棄を決めない。 国際合意は、ほかの条件が適切なら40歳超の下ドナーを年齢だけで禁忌とせず、複数のリスクと長い虚血時間の重なりを避けるよう勧める。25

全は、、体外での整形・血管再建、への移植という3段階で進む。膵臓だけでなく、膵液を受ける十二指腸の一部をに含める。

再建する構造 つなぎ方と目的
ドナーのY型で、移植膵のとをまとめる。共通の流入口をのなどへ吻合
静脈還流 の門脈を下大静脈・などへつなぐ、またはなどへのを選ぶ
外分泌 のをの十二指腸・小腸へ吻合し、膵液を腸管へ流す
腎の再建(SPK) 膵の再建とは別に腎の動脈・静脈・尿路を再建する

膵移植片のY型動脈グラフトと門脈から受容者腸骨静脈への吻合

出典:Minodaほか(2021)「Pancreas-kidney transplantation: what every radiologist should know」Fig. 3(CC BY 4.0)。PNGからWebPへ変換、内容変更なし。図はとを示す。外分泌は上表を参照。

移植膵に付属する十二指腸カフと受容者十二指腸の側々吻合および移植膵の血管再建

出典:Torroellaほか(2025)「Duodenoduodenostomy as an Attractive Option for Exocrine Drainage in Pancreas Transplantation」Fig. 4(CC BY 4.0)。原画像のWebPをそのまま使用、内容変更なし。のを十二指腸へ側々吻合する場合を示す。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='recipient'>受容者</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iliac artery'>腸骨動脈</span>など"] --> B["ドナーのY型動脈<span class='jp-term jp-term-diagram' title='graft'>グラフト</span>"]
  B --> C["移植膵の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='splenic artery'>脾動脈</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='superior mesenteric artery, SMA'>上腸間膜動脈</span>"]
  C --> D["移植膵の灌流"]
  D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='graft'>移植片</span>の門脈"]
  E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='recipient'>受容者</span>の全身静脈または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='portal system'>門脈系</span>へ還流"]

体外整形ではドナー脾臓を除き、の両端・腸間膜断端を処理し、膵頭部への動脈弓とY型を確認する。内分泌機能を補うための移植でも、外分泌機能は残るため、膵液の排出経路を確保しなければならない。 歴史的な膀胱へのではを含む液が尿へ失われ、脱水・代謝性アシドーシスや尿路合併症が問題となった。腸管と比べ、晩期の経路変更を要することが多い。25

8.3 膵移植の合併症と膵島移植

問題 学習の要点
早期喪失の重要な原因。血流評価と迅速な対応が必要
出血・・十二指腸の漏出・膵炎 外分泌組織と血管再建に関連。やにつながる
拒絶・感染・薬剤毒性・悪性腫瘍 他の臓器移植と共通。移植膵機能が良好でもを続ける

は施設プロトコルに従って出血リスクと比較する。抗凝固薬、、併用のどれが一律に優れるかを示す根拠は十分でない。25

はβ細胞を含むを分離して移植し、全に伴う大きな手術と外分泌再建を避ける。でも免疫抑制が必要で、重症低血糖の低減とインスリン離脱は別々の転帰として評価する。 で膵全摘後に行うは、とは適応と免疫抑制の必要性が異なる(を参照)。

9. 学習のためのまとめ図

flowchart TD
  A["提供者の発見<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='brain death'>脳死</span>下・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='post-cardiac arrest'>心停止後</span>・生体"]
  A --> B["提供形態に応じた適格性・同意の確認<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='post-mortem'>死後</span>提供では法に従った死亡判定"]
  B --> C["臓器の維持管理<br>循環・呼吸・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diabetes insipidus, DI'>尿崩症</span>・体温"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='organ procurement'>臓器摘出</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cold perfusion'>冷灌流</span>・冷却・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='back table'>バックテーブル</span>での整形"]
  D --> E["割り当て<br>ABO・HLA・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='waiting time'>待機時間</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urgency'>緊急度</span>・距離"]
  E --> F["冷保存・搬送<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cold ischemia time'>冷阻血時間</span>を最小化"]
  F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='recipient'>受容者</span>での移植手術<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular anastomosis'>血管吻合</span>・再灌流"]
  G --> H["通常の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='homologous'>同種</span>臓器移植では免疫抑制<br>導入と維持"]
  H --> I["経過観察<br>拒絶・感染・悪性腫瘍・薬剤毒性"]

まとめ

  • 移植は・同系・・に分け、同所性(肝・心・肺)と異所性(腎・膵)を区別する。腎移植は透析で生命を維持できる患者にも行う治療で、適格な患者では生存と生活の質の改善が期待される。
  • とは脳幹を含む全脳機能の不可逆的喪失で、昏睡やとは異なり=死である。判定は移植に関与しないが、の除外、の消失、で行う。ハンガリーの年齢・原因別観察期間と、米国の成人1回以上・小児12時間以上あけた2回の診察を区別する。34
  • 米国の2023年基準では36度以上などの前提を満たし、・代謝性昏睡・中毒・低血圧の影響を除く。はPaCO2 60 mmHg以上かつ基礎値より20 mmHg以上上昇し、pH 7.30未満でも呼吸がないことなどで判定する。法域別の基準を区別する。はでも残りうる。4
  • 提供者管理では後の血管拡張、、低体温、ホルモン異常、凝固異常に対応する。ASA 6 は提供者の分類。
  • ()は臓器不足を補うが、のため腎はが増える。
  • 割り当ては臓器別にABO・HLA・・保存時間・などを評価する。Eurotransplantは加盟国間の配分を担い、欧州全域の単一機関ではない。
  • は最小化する。腎では提供者の種類によって目標が異なり、固定の時間だけで使用・廃棄を決めない。はを減らしうる。
  • HLAはクラスI(、CD8)とクラスII(、CD4)。陽性は高リスクで、通常の配分では避けるが、専門施設でなどを行う選択例もある。
  • 拒絶は、T細胞関連、抗体関連、慢性・混合病変を区別する。機能悪化の原因を生検と臨床情報で評価し、病型に応じて治療する。
  • 腎移植の適応はGFR低下を伴う不可逆的な。手術ではの腹膜外に腎を置き、と吻合し、尿管を膀胱などへ吻合する。特異的合併症は・血栓・尿管合併症・機能発現遅延。
  • 免疫抑制は導入(ATG、)と維持(++ステロイド)。毒性・感染・悪性腫瘍(、)が代償である。

の基本はG/05: と合併症、腹部臓器の血管解剖はG/14: 腹部の解剖を参照する。

出典

  1. 1.Prof. Dr. Jean Dausset > CV(Lindau Nobel Laureate Meetings・2008)2008年の書籍から転載された主催団体の略歴で、1958年に最初の白血球抗原を記述したことを確認した。授業の1962年という発見年を修正する補助的歴史資料。閲覧 2026-10-13
  2. 2.First successful liver transplant(US Department of Veterans Affairs・2018)公式の歴史解説で1963年の手術後短期生存例と、1967年の1年超生存例を区別していることを確認した。閲覧 2026-10-13
  3. 3.18/1998. (XII. 27.) EüM rendelet az egészségügyről szóló 1997. évi CLIV. törvénynek a szerv- és szövetátültetésre, valamint -tárolásra és egyes kórszövettani vizsgálatokra vonatkozó rendelkezései végrehajtásáról(Nemzeti Jogszabálytár・1998)公式法令本文の第6〜8条と附則2を確認。3名の委員会、拒否意思の検索と遺族への説明、臨床観察による不可逆性確認の年齢・原因別12・24・72時間、4時間ごとの記録、規定の補助検査による観察期間の扱いを確認した。米国の2023年基準とは別の法域である。閲覧 2026-10-13
  4. 4.Pediatric and Adult Brain Death/Death by Neurologic Criteria Consensus Guideline(American Academy of Neurology / American Academy of Pediatrics / Child Neurology Society / Society of Critical Care Medicine・2023)脳死判定の前提(深部体温36度以上、成人は収縮期血圧100 mmHg以上かつ平均血圧75 mmHg以上、鎮静薬は半減期の5倍以上の経過)、無呼吸テストの陽性基準(呼吸なし、pH 7.30未満、PaCO2 60 mmHg以上かつ基礎値より20 mmHg以上上昇)、成人は診察1回・小児は12時間以上あけた2回、補助検査は臨床評価を安全に完遂できないときに限る(推奨は4血管造影・核医学・成人の経頭蓋ドプラで、脳波・CT血管造影・MRIは非推奨)閲覧 2026-10-12
  5. 5.Comparison of organ donation and transplantation rates between opt-out and opt-in systems(Kidney International(2023年にcorrigendumが公表されている)・2019)死後の臓器提供における同意方式は国により、本人の明示的同意を要するオプトイン(明示的同意)方式と、拒否の意思表示がない限り同意とみなす推定同意(オプトアウト)方式に分かれ、各国をいずれかに分類したこと。閲覧 2026-08-26
  6. 6.Intravenous Levothyroxine for Unstable Brain-Dead Heart Donors(New England Journal of Medicine・2023)Europe PMCで原著抄録を確認した。循環不安定な脳死心臓提供候補者の無作為化試験で、レボチロキシン静注は移植された心臓数を有意に増やさず、重症高血圧・頻脈が多かった。全文は未取得であり、他の甲状腺ホルモンや別の対象集団への効果は一般化しない。閲覧 2026-10-13
  7. 7.New classification of donation after circulatory death donors definitions and terminology(Transplant International・2016)心停止後提供の定義と用語について欧州作業部会がMaastricht分類を見直して合意した(抄録のみ確認し、各カテゴリーの定義文は未確認)閲覧 2026-10-12
  8. 8.Transplantation Outcomes with Donor Hearts after Circulatory Death(New England Journal of Medicine・2023)原著抄録をEurope PMCで確認。循環停止後提供の心臓を体外灌流で再灌流・評価して移植した無作為化非劣性試験があり、心停止後提供で心臓を移植できないという一律の記述は現在の知見と一致しない。全文・各国の実施条件は未確認。閲覧 2026-10-13
  9. 9.ASTS Position Statement on a 5-Minute Observation Period(American Society of Transplant Surgeons・2024)循環死後提供(donation after circulatory death)では、自己心拍再開(オートレサシテーション)が起こらないことを確認するため、循環停止後5分間の観察時間を置くことを推奨していること。閲覧 2026-08-26
  10. 10.Allocation(Eurotransplant・2026)Eurotransplantの8加盟国、中央待機リスト、腎の待機時間の起算日(初回透析日)、配分で考慮する移植後予後・緊急度・国間の臓器収支・待機時間を確認した閲覧 2026-10-12
  11. 11.EuroTransplant Manual(Eurotransplant・2026)公式マニュアル案内は第4章のETKAS・ESPを含む臓器別配分・登録・高緊急度の手順への入口を提供する。現行章本文は取得できなかったため、詳細な点数・年齢条件は採用しない閲覧 2026-10-12
  12. 12.EAU Guidelines on Renal Transplantation(European Association of Urology・2024)EAUの2026年版は2024年版の再掲である。腎の冷阻血時間を最小化し、脳死下提供腎は18〜21時間、心停止後提供腎は12時間、拡大基準ドナー腎は12〜15時間以内を理想とする。利用可能なら低圧・連続低温機械灌流を用い、遅延機能発現を減らす。灌流抵抗だけを根拠に臓器を廃棄しない閲覧 2026-10-12
  13. 13.The Banff 2024 Kidney Meeting Report: Rejection as a spectrum of phenotypes and focus on differential diagnostic reasoning(Banff Foundation for Transplant Pathology / American Journal of Transplantation・2026)Banff 2024会議では腎分類を変更せず、Banff 2022分類を維持した。移植腎生検の病変は原因に特異的でないため鑑別診断を重視し、微小血管炎症・抗体関連拒絶や混合・不完全な表現型に対する臨床推論を強調した閲覧 2026-10-12
  14. 14.KDIGO clinical practice guideline for the care of kidney transplant recipients: a summary(Kidney Disease: Improving Global Outcomes・2010)KDIGOの腎移植受容者ガイドライン(2009年版)に基づく導入・維持免疫抑制、急性T細胞関連拒絶の生検と治療、ニューモシスチス予防など。薬剤選択・用量や感染予防期間は更新される専門学会の指針と施設プロトコルで確認する閲覧 2026-10-12
  15. 15.A 2018 Reference Guide to the Banff Classification of Renal Allograft Pathology(Transplantation (Roufosse C, et al.)・2018)腎移植の拒絶反応は、糸球体炎・間質炎・尿細管炎・動脈内膜炎・傍尿細管毛細血管炎・C4d染色などの生検所見(病変スコア)を組み合わせて、抗体関連拒絶・境界病変・T細胞関連拒絶などの診断カテゴリーへ分類するBanff分類で標準化されていること。閲覧 2026-08-26
  16. 16.Recommended Treatment for Antibody-mediated Rejection After Kidney Transplantation: The 2019 Expert Consensus From the Transplantation Society Working Group(The Transplantation Society・2020)活動性抗体関連拒絶では血漿交換・免疫グロブリン・副腎皮質ステロイドを軸とする治療が提案されたが、慢性活動性病変では特定療法を支持する確実な根拠がなく、病型・移植腎機能・毒性を踏まえた個別判断が必要閲覧 2026-10-12
  17. 17.Summary of the Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Clinical Practice Guideline on the Evaluation and Management of Candidates for Kidney Transplantation(Kidney Disease: Improving Global Outcomes・2020)CKD G4〜G5の患者に移植を説明し、透析開始が見込まれる6〜12か月前に評価へ紹介する。肥満のみを理由に除外せずBMI 35以上は減量介入を検討する。活動性悪性腫瘍や感染は移植評価を延期し、待機期間はがん種や感染状況によって判断する。年齢のみでは除外しない。重症肝疾患は専門医へ紹介する閲覧 2026-10-12
  18. 18.KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease(Kidney Disease: Improving Global Outcomes・2024)成人ではGFR 15〜20 mL/分/1.73 m²未満、または2年間の腎代替療法リスク40%超を目安に先行的移植・透析アクセス準備を計画する。透析開始は症状、徴候、生活の質、患者の希望、GFR、検査値を合わせて判断し、しばしばGFR 5〜10で行うが固定閾値ではない閲覧 2026-10-12
  19. 19.KDIGO Clinical Practice Guideline on the Evaluation and Care of Living Kidney Donors(Kidney Disease: Improving Global Outcomes・2017)生体腎ドナー候補の評価は年齢・性別・腎機能・アルブミン尿・血圧・BMI・糖尿病・喫煙・家族歴などの複合リスクで行う。腎不全の提供に起因する平均追加リスクは15年で約0.3%だが推定の不確実性が大きく、生涯リスクの確定には不十分なデータしかない閲覧 2026-10-12
  20. 20.The Fourth International Consensus Guidelines on the Management of Cytomegalovirus in Solid Organ Transplantation(The Transplantation Society International CMV Consensus Group・2025)サイトメガロウイルス予防は提供者・受容者の血清状態と免疫抑制強度に基づいて選ぶ。腎移植では予防投与または先制治療のいずれも選択肢で、高リスクの提供者陽性・受容者陰性では予防投与を選ぶ場合6か月を推奨する閲覧 2026-10-12
  21. 21.Society for Maternal-Fetal Medicine Consult Series #66: Prepregnancy evaluation and pregnancy management of patients with solid organ transplants(Society for Maternal-Fetal Medicine・2023)2025年再確認の勧告として、移植後または急性細胞性拒絶後は少なくとも1年妊娠を延期し、移植腎機能が安定してから妊娠を計画する。催奇形性のあるミコフェノール酸などは妊娠前に適切な薬剤へ変更し、安定を確認する閲覧 2026-10-12
  22. 22.Transplant Recipient(Kidney Disease: Improving Global Outcomes・2026)KDIGO公式の腎移植受容者ガイドライン一覧には2009年版が掲載されている。推奨の更新状況を確認し、薬剤や感染予防の細部はより新しい専門家合意と施設プロトコルを優先する閲覧 2026-10-12
  23. 23.Post-transplant lymphoproliferative disorder risk and outcomes in renal transplant patients treated with belatacept(Frontiers in Transplantation・2023)ベラタセプトはEBウイルス血清陰性の腎移植患者で移植後リンパ増殖性疾患のリスク増加と関連し、この集団では使用が禁忌である(抄録で確認)閲覧 2026-10-12
  24. 24.EASL Clinical Practice Guidelines on liver transplantation(European Association for the Study of the Liver・2024)学会公開原文PDFの1063〜1064頁をウェブ本文で確認。下大静脈温存術式と全置換術式はいずれも選択肢で、一方の一律優先はない。温存術式ではレシピエント下大静脈を残すため、古典的な上下2か所の静脈吻合を全例に当てはめない。閲覧 2026-10-13
  25. 25.First World Consensus Conference on pancreas transplantation: Part II - recommendations(American Journal of Transplantation・2021)PMC8518376の全文と推奨表を確認した。SPK・PAK・PTAの利益と限界、選択された2型糖尿病患者のSPK、ドナー年齢40歳超を単独で禁忌としないこと、全身静脈・門脈への還流と腸管・膀胱への外分泌排液、術後血栓予防の施設プロトコルと確実な優越薬剤の根拠不足、慢性糖尿病合併症への効果が重症度で異なることを確認した。閲覧 2026-10-13