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Drug Atlas · B7 Calcium channel blockers / カルシウム拮抗薬

ニカルジピン

nicardipine

分類
Calcium channel blockers / カルシウム拮抗薬
商品名(日本)
ペルジピン
商品名(EU)
Cardene
科目
PharmacologyClinical Pharmacology
トピック
B7: Ca++-channel blockers and other vasodilators06: Fluid therapy, shock and hypertensive emergency19: Hypertension
承認適応
高血圧症
禁忌疾患
大動脈弁狭窄症
副作用
頭痛低血圧頻脈悪心嘔吐
相互作用
シクロスポリンタクロリムス
対象疾患
脳内出血(非外傷性)

🧠 全体像:は血管への選択性が高いのを、持続静注できるようにした薬で、細動脈を広げて血圧を下げる。心筋の収縮を抑えにくく、速度での程度を細かく調節できるので、・手術中の高血圧・で使う。覚えるのは3点——効き過ぎ(過・・頭痛)、禁忌が国で違うこと(日本はの重症例、米国は高度の、欧州の表は肝不全)、日本は μg/kg/分、米国は mg/時で用量を書くことである。

薬効群の中での位置づけ

薬 血管への作用 特徴
細動脈を拡張(を下げる) 心抑制が少なくが容易。と頭痛
α遮断+β遮断 徐脈・喘息・心不全で避ける。やでも第一候補になりうる
細動脈と静脈を拡張 作用発現が速く持続は短い。に注意
主に静脈を拡張 や向き

ESC高血圧協議会の文書は、ではまたは、ではの代替として、ではを優先しとを代替、重症・子癇ではまたはを挙げる1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nicardipine'>ニカルジピン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular smooth muscle'>血管平滑筋</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='calcium channel'>カルシウムチャネル</span>を遮断"] --> B["細胞内へのカルシウム流入が減る"]
    B --> C["細動脈が拡張し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='systemic vascular resistance (SVR)'>全身血管抵抗</span>が低下"]
    C --> D["血圧低下(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='afterload'>後負荷</span>の軽減)"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='baroreceptor reflex'>圧受容体反射</span>で交感神経が刺激される"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reflex tachycardia'>反射性頻脈</span>・頭痛"]

への作用が心筋より強く、動物でも冠血管を弛緩させる濃度ではがほとんど出ない。ただし重いではで心不全を悪化させうる2。

薬物動態

項目 内容
効果の・消失 持続静注中は数分で血圧が下がり始め、最終的なの約半分に約45分で達する。投与を止めると作用は約30分で50%消える2。ESCの表は作用発現5〜15分、持続30〜40分とする1
蛋白結合 95%超(米国)、90%以上(日本)23
半減期 後は3相で低下し、α相2.7分・β相44.8分・長期後のみ見えるγ相14.4時間2。日本の電子添文は、ので50〜63分、で109〜160分とする3
代謝・排泄 肝でCYP2C8・2D6・3A4により広範に代謝され、未変化体は排泄されない2。日本では主にCYP3A43
肝・腎障害 肝障害や肝血流の低下で血中濃度が上がり、中等度の腎障害ではクリアランスが下がる。米国は低用量で慎重に漸増する2

適応

国 適応
日本 手術時のの救急処置、、(のを含む)3
米国 経口療法が不可能または望ましくないときの短期の高血圧治療。長期の管理はへ移す2

高血圧の緊急症では、臓器障害に応じての速さと目標が変わる。すべてを急いで下げるのではない——ESCの文書は、を50%超下げるとや死亡と関連したと述べる1。

用法・用量

日本3 米国2
表記 体重あたり(μg/kg/分)。0.01〜0.02%(0.1〜0.2 mg/mL)に希釈して 絶対量(mg/時)。プレミックス製剤をそのまま
0.5〜6 μg/kg/分。0.5 μg/kg/分から開始 5 mg/時から開始、2.5 mg/時ずつ5〜15分ごとに増量、最大15 mg/時
手術時の 2〜10 μg/kg/分で開始。が必要なら10〜30 μg/kgを静注 (同上)
1 μg/kg/分で開始、0.5〜2 μg/kg/分で調節 適応なし
目標到達後 血圧を見ながら速度を調節 急速に増量した場合は3 mg/時へ減量

体重60 kgで換算すると、日本のの範囲(0.5〜6 μg/kg/分)は約1.8〜21.6 mg/時で、米国の上限15 mg/時とは設計が異なる。国外の表を日本の用量にそのまま移さない。

  • 日本の電子添文は、高齢者は0.5 μg/kg/分程度の低用量から始める、目標血圧が得られに切り替えられるときは切り替える、終了時は徐々に減量して血圧のに注意する、と記載する3。
  • 米国ではまたは太いから投与し、では12時間ごとに投与部位を変える。他剤と同じラインや容器で混ぜない2。
  • 経口に切り替えるなら、初回経口量はを止める1時間前に投与する2。

禁忌・注意

出典 禁忌
日本の電子添文3 成分への過敏症の既往。の患者のうち、高度な・、、90 mmHg未満の低血圧、。同じくで、発症直後で病態が安定しない重篤な
米国の添付文書2 高度の。効果の一部がの低下によるため、が下がると心筋の酸素バランスがかえって悪化しうる
ESC高血圧協議会の表1 肝不全

日本の禁忌の大半はに使う場合に限られることに注意する。肝不全は日米の電子添文の禁忌欄にはない。日本は「肝臓で代謝される」と記すのみで用量の指示はなく、米国はや肝血流の低下では低用量を考慮して反応を注意深く観察するよう求める。

  • ⚠️ 急性期・頭蓋内圧が亢進した脳卒中急性期:日本の電子添文はとして、緊急対応が可能な施設で最新のガイドラインを参照し、血圧などを十分にモニタリングしながら投与するよう求める3。
  • :のD-が代謝されて生じるで、低血糖や肝腎不全を誘発するおそれがある3。
  • 狭心症・心不全:冠動脈疾患で狭心症の誘発・増悪が1%未満にみられる。心不全やでは、とくにβ遮断薬の併用時に緩徐に増量する2。
  • 局所刺激:・血栓症を避けるため、動脈やなど細いへの投与を避ける2。
  • 妊娠:日本は有益性が危険性を上回る場合に限る3。ESCの文書は重症・子癇での静注にとともに挙げる1。

相互作用

相手 影響
・ のCYP3A4阻害での血中濃度が上がる。血中濃度を測って減量する23
・CYP3A4阻害薬 の血中濃度が上がり、作用が強まる23
リファンピシン CYP3A4誘導で作用が弱まる3
β遮断薬 多くは併用できるが、心不全では緩徐に増量する。日本はでの過度の低血圧と心機能低下に注意する23
ジゴキシン ジゴキシンの作用が強まり中毒症状が出うる3

副作用

頻度 内容
高頻度 米国の試験(144例)で頭痛15%、低血圧6%、頻脈4%、悪心・嘔吐5%(プラセボ群は2%・1%・0%・1%)。約12%が低血圧・頭痛・頻脈などで中止した2
局所 、血管痛23
重篤・まれ 、低酸素血症(市販後にの低下が報告された)、肺水腫、、血小板減少、・黄疸32

⚠️ 過が起きたときは中止し、速やかに戻すなら(ノルアドレナリン)を使う3。止めても作用が半分になるまで約30分かかる2。

まとめ

  • はの高いの静注製剤で、動脈拡張によりし、心抑制が少なく速度で調節しやすい。
  • 日本の適応は手術時の・・、米国は経口不能時の短期の高血圧治療。
  • 禁忌は国で違う。日本はに限った重症例、米国は高度の、ESCの表は肝不全。肝不全は日米の電子添文の禁忌ではない。
  • 日本は μg/kg/分、米国は mg/時で用量を書く。米国は5 mg/時から開始し最大15 mg/時、日本のは0.5〜6 μg/kg/分。
  • 主な副作用は頭痛・低血圧・。・の血中濃度が上がる。
  • は速ければよいのではなく、病態ごとの目標と速さを守る(急性期はあり)。

出典

  1. 1.ESC Council on hypertension position document on the management of hypertensive emergencies(European Heart Journal - Cardiovascular Pharmacotherapy(ESC Council on Hypertension)・2019)ESH掲載の全文PDFで確認した。臓器障害のない重症高血圧は経口薬で治療し急速な降圧を避け短時間作用型ニフェジピンを使わず、投与後少なくとも2時間観察すること。Table 3で病態別の時間と目標・第一選択・代替薬(悪性高血圧は数時間でMAPを20〜25%低下・ラベタロール/ニカルジピン・代替ニトロプルシド/ウラピジル、高血圧性脳症は直ちにMAP 20〜25%低下、急性冠イベントは直ちに収縮期140 mmHg未満・ニトログリセリン/ラベタロール、急性心原性肺水腫は直ちに収縮期140 mmHg未満・ニトロプルシドまたはニトログリセリン+ループ利尿薬、急性大動脈疾患は直ちに収縮期120 mmHg未満かつ心拍60/分未満・エスモロール+ニトロプルシド/ニトログリセリン/ニカルジピン、子癇・重症子癇前症/HELLPは直ちに収縮期160未満・拡張期105 mmHg未満・ラベタロールまたはニカルジピン+硫酸マグネシウム)を示すこと。MAPの50%を超える低下が虚血性脳卒中・死亡と関連したこと、圧利尿で脱水があり急な低下時は食塩液で補正できること、脳症ではラベタロールが脳血流を保ち頭蓋内圧を上げないこと、冠イベントでニトロプルシドは局所血流を下げること、大動脈疾患ではβ遮断薬が第一選択であること、妊娠でニトロプルシドは胎児シアン中毒のため禁忌でラベタロール累積量は800 mg/24時間を超えないこと、コカイン・アンフェタミンではまずベンゾジアゼピンを使い、褐色細胞腫ではラベタロールで高血圧が悪化した例があること、Table 2の診断検査とTable 4の静注薬の作用発現・持続・禁忌・副作用を確認した。閲覧 2026-09-26
  2. 2.CARDENE I.V. (nicardipine hydrochloride) premixed injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration(Baxter、2022年9月改訂版)・2022)米国添付文書(2022年9月改訂)の全文を取得して確認した。適応は経口療法が不可能または望ましくないときの短期の高血圧治療で、プレミックス製剤(0.1 mg/mLまたは0.2 mg/mL)は希釈不要であること、開始は5 mg/時、5分(急速)〜15分(緩徐)ごとに2.5 mg/時ずつ増量し最大15 mg/時、目標血圧に達したら3 mg/時に減量すること、末梢静脈では12時間ごとに投与部位を変更すること、禁忌は高度の大動脈弁狭窄のみ(後負荷低下が効果の一部であり拡張期圧の低下で心筋酸素バランスが悪化しうるため)であること、肝機能障害では低用量から慎重に投与すること、頭痛15%・低血圧6%・頻脈4%・悪心嘔吐5%(プラセボ群は2%・1%・0%・1%)が主な副作用で約12%が中止したこと、投与中止後の作用は約30分で50%消失すること、血漿蛋白結合が95%超でCYP2C8・2D6・3A4で代謝され未変化体は排泄されないこと、シクロスポリン・タクロリムスの血中濃度が上がること、市販後に酸素飽和度の低下が報告されたことを確認した。閲覧 2026-10-29
  3. 3.ペルジピン注射液2mg/ペルジピン注射液10mg/ペルジピン注射液25mg 電子添文(独立行政法人医薬品医療機器総合機構(LTLファーマ、2026年10月改訂・第3版)・2026)日本の電子添文(2026年10月改訂・第3版)の本文で確認した。効能は手術時の異常高血圧の救急処置、高血圧性緊急症、急性心不全(慢性心不全の急性増悪を含む)で、警告が脳出血急性期および頭蓋内圧が亢進した脳卒中急性期への緊急対応が可能な施設での慎重投与であること、禁忌が成分への過敏症の既往、急性心不全における高度な大動脈弁狭窄・僧帽弁狭窄・肥大型閉塞性心筋症・収縮期血圧90 mmHg未満の低血圧・心原性ショック、同じく急性心不全における発症直後で病態が安定しない重篤な急性心筋梗塞であること(肝不全は禁忌に挙がらず、9.3で本剤は肝臓で代謝されると記載)、0.01〜0.02%溶液として点滴静注し、手術時の異常高血圧は2〜10 μg/kg/分で開始、高血圧性緊急症は0.5〜6 μg/kg/分(0.5 μg/kg/分から開始)、急性心不全は1 μg/kg/分で開始して0.5〜2 μg/kg/分で調節すること、高齢者は0.5 μg/kg/分程度から始めること、添加物のD-ソルビトールにより遺伝性果糖不耐症で注意が必要なこと、主にCYP3A4で代謝され血漿蛋白結合率が90%以上であること、シクロスポリン・タクロリムス・シメチジン・CYP3A4阻害薬で作用や血中濃度が上がりリファンピシンで下がることを確認した。閲覧 2026-10-29