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Symptoms · Published

眼筋麻痺

Ophthalmoplegia

臓器系
神経
科目
Neurology
トピック
神経内科 G2-02:眼球運動・注視の障害神経学 G1-31:ギラン・バレー症候群
関連疾患
ウェルニッケ・コルサコフ症候群ギラン・バレー症候群ジフテリアミトコンドリア病海綿静脈洞血栓症重症筋無力症

🧠 全体像の診断は、患者の訴えるを分解していく作業である。が最大になる方向が、麻痺した筋の主作用方向——この1点で責任神経がほぼ決まる。決まったあとに問うのが瞳孔で、麻痺では瞳孔を巻き込むかどうかが虚血性と圧迫性を分け、そのままになる。どの単一神経のパターンにも当てはまらないときは、神経ではなく・筋・眼窩を疑う。局在の一般的な枠組みはを参照。

複視から責任神経を決める

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Diplopia'>複視</span>"] --> B{"片眼を覆うと消えるか"}
    B -->|"消えない"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='monocular diplopia'>単眼複視</span>:屈折・角膜・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens'>水晶体</span><br>神経の問題ではない"]
    B -->|"消える"| D{"両眼が同じ方向へ行けないのか<br>片眼だけ動かないのか"}
    D -->|"両眼が同方向へ行けない"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Supranuclear'>核上性</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conjugate gaze palsy'>共同注視麻痺</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='internuclear ophthalmoplegia (INO)'>核間性眼筋麻痺</span>"]
    D -->|"片眼の特定方向"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Diplopia'>複視</span>が最大になる方向を特定"]
    F --> G["外側の像が麻痺眼の像<br>III・IV・VIのどれかに決まる"]

最初のふるいは片眼を覆うことである。 片眼で見ても像が二重なら眼球運動系の問題ではない。

神経 麻痺した筋と眼位 の出方 随伴所見
内転・が落ち、眼球は外下方を向く あらゆる方向、とくに内側・上方視 消失(巻き込む場合)
(IV) 。内転位でのが落ちる 垂直(斜め)が下方視で悪化を下りる、読書で困る 顎を引き頭をへ傾ける
(VI) 。外転が落ちとなる 患側を向くと悪化する水平。遠見で強い 単独なら頭蓋内圧亢進によるの可能性

💡 が揃えば麻痺と分かるが、眼瞼が完全に下がってを訴えない例がある。「見えづらい」だけので来ることを知っておく。

瞳孔が緊急度を決める

の副交感(瞳孔)線維は神経の外側表層を走り、から直接栄養される。だから外から押されると真っ先に落ち、内部の虚血には強い。この解剖がそのまま鑑別になる。

瞳孔を巻き込む麻痺 瞳孔回避型の麻痺
機序 外からの圧迫 神経幹内部の微小血管虚血
代表的な背景 、腫瘍、 糖尿病・高血圧などの血管危険因子
経過 進行性。急性・疼痛性のことが多い 疼痛を伴うこともあるが進行せず、多くは3か月以内に改善
対応 緊急の血管画像前の唯一ののことがある 危険因子の管理と経過観察。改善しなければ再評価

⚠️ 瞳孔回避を「安心してよい」と読み替えない。 40歳未満、麻痺が部分的、瞳孔が部分的にしか保たれない、他のを伴う、3か月で改善しない、いずれかがあれば画像を行う。非侵襲的な血管画像が普及した現在は、瞳孔所見にかかわらず全例に画像を行うべきだという意見も多い。詳細は麻痺に譲る。

神経のパターンに合わないとき

⭐ III・IV・VIのどの支配にも収まらない運動制限は、神経より末梢を示す。ここでも瞳孔が手掛かりで、と筋の病変では瞳孔は障害されないの平滑筋は骨格筋型のを介さない)。

手掛かり 示唆するもの
日内・時間内で変動し、反復運動で悪化。を伴い瞳孔は正常 の障害。を誘発して確認する
・外転の制限、 や眼窩の占拠性・
外傷後の上方視制限と頬部の によるの絞扼
+失調+ のフィッシャー亜型
+失調+意識・注意の変容 。検査を待たず補充する
片眼の内転障害+対側眼の外転時眼振
両眼が同じ方向へ行けない

💡 障害ではが出にくい。 両眼が揃って動かないので像がずれず、患者は「目が動かない」ではなく「片方を向けない」と訴える。の有無そのものがを分ける情報になる。

まとめ

  • 片眼を覆ってが消えなければで、眼球運動系の問題ではない。
  • が最大になる方向が麻痺筋の主作用方向、外側の像が麻痺眼の像。
  • 、下方視で悪化する垂直、患側で悪化する水平
  • は神経の表層を走るため、圧迫では早期に落ち、虚血では保たれる。
  • 瞳孔を巻き込む麻痺は緊急の血管画像。瞳孔回避でも若年・進行性・他のがあれば画像を行う。
  • 単一神経のパターンに合わない制限は・筋・眼窩を疑う。この群では瞳孔は障害されない。
  • 両眼が揃って動かない場合はで、を伴わないことが多い。