耳鼻咽喉科学

耳鼻咽喉科学 · 32

急性・慢性鼻副鼻腔炎と治療原則

Acute and chronic rhinosinusitis, principles of treatment

前提:病態
肺炎球菌
前提:正常
頭部:鼻腔と副鼻腔
疾患
アスピリン増悪呼吸器疾患急性副鼻腔炎歯性上顎洞炎鼻茸慢性副鼻腔炎
症状
顔面痛鼻汁
スコア
副鼻腔・鼻症状アウトカムテスト22

🧠 全体像:の大半はウイルス性で、持続またはから細菌性を見分ける。は12週以上の症状に所見が必要で、洗浄とを基本に、病型・・解剖を評価する。

定義と病態

鼻腔と副鼻腔粘膜の炎症である。閉塞または線毛機能障害により分泌物が停滞し、換気・排泄が障害される。

病型 期間・定義
(ARS) 4週未満。多くはウイルス性
(ABRS) 10日以上改善しない、または一度改善後に再悪化するなどから診断
亜急性 4〜12週という臨床的区分を用いることがある
12週以上の症状に、内視鏡またはコンピュータ断層撮影()による炎症の客観所見を伴う

小児ではが早期から発達するための主座になりやすい。成人では・がよく侵されるが、どの洞にも起こりうる。

素因

  • 、アレルギー
  • 、・、、腫瘍、
  • 、顔面外傷
  • 嚢胞性線維症、
  • 免疫不全、血管炎など

症状と診断

鼻閉、・、顔面痛・圧迫感、が中心で、発熱、頭痛、、咳、倦怠感を伴う。だけで細菌性とは限らない。

flowchart TD
    A["鼻閉・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rhinorrhea'>鼻漏</span>・顔面症状"] --> B{"10日以内で改善傾向?"}
    B -->|"はい"| C["ウイルス性を考え対症療法"]
    B -->|"10日超改善なし<br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='biphasic worsening'>二峰性悪化</span>"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute bacterial rhinosinusitis'>急性細菌性鼻副鼻腔炎</span>(ABRS)を考える"]
    A --> E{"12週以上?"}
    E -->|"はい"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic rhinosinusitis'>慢性鼻副鼻腔炎</span>(CRS)を疑う"]
    F --> G["内視鏡またはコンピュータ断層撮影(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span>)で炎症を確認"]

単純な急性例に画像は不要である。眼窩・、腫瘍、を疑う場合は緊急コンピュータ断層撮影()/を行う。

急性例の治療

  • 、、必要に応じで症状を和らげる。
  • 合併症のないでは、安全な追跡を前提とした経過観察を優先し、で抗菌薬治療も選択できる1。
  • 抗菌薬を選ぶ場合、成人ではアモキシシリン±が第一選択で、通常5〜7日を目安に個別化する1。
  • フルオロキノロンを機械的に「第二選択」とせず、アレルギー、、地域ガイドライン、有害事象を考慮する。
  • 適切な抗菌薬を開始して3〜5日で改善しない、または悪化する場合は診断、合併症、耐性菌を再評価する1。

慢性例の治療

  • とを基本とする。
  • の有無、喘息・過敏、アレルギー、免疫不全、線毛機能、歯性原因を評価する。
  • 有意または持続するが診察で確認できない成人には抗菌薬を漫然と用いず、も病型・利益と有害性に応じて選ぶ2。
  • 手術適応は症状、病型、生活の質、既治療、コンピュータ断層撮影()・内視鏡所見を統合して個別に検討する2。

は閉塞部を開放して換気・排泄と局所治療薬の到達を改善し、可能な限り正常粘膜を温存する。は限られた病型・洞で選択肢となる。

まとめ

  • 慢性の境界は8週ではなく、一般に12週である。
  • 急性例の大半はウイルス性で、色のついただけで抗菌薬を開始しない。
  • は症状だけでなく、内視鏡またはコンピュータ断層撮影()による所見で確認する。

出典

  1. 1.Clinical Practice Guideline: Adult Sinusitis Update(Otolaryngology–Head and Neck Surgery・2025)合併症のない成人急性細菌性鼻副鼻腔炎では経過観察を優先し、抗菌薬を用いる場合はアモキシシリン±クラブラン酸を5〜7日用い、適切な抗菌薬で3〜5日改善しないか悪化すれば再評価すること閲覧 2026-08-09
  2. 2.Clinical Practice Guideline: Surgical Management of Chronic Rhinosinusitis(Otolaryngology–Head and Neck Surgery・2025)成人慢性鼻副鼻腔炎で有意または持続する膿性鼻漏がなければ抗菌薬を処方せず、手術適応は症状、病型、生活の質、既治療から個別に判断すること閲覧 2026-08-09