病理学

病理学 · C/28

上気道の病変

Lesions of the upper respiratory tract

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疾患
普通感冒

🧠 全体像:上気道の病変は解剖学的に上から下(鼻→咽頭→扁桃→中耳→喉頭→気管)へ並べて読むと整理しやすく、大半はウイルス性で自然軽快する一方、・・のように放置すると危険な細菌性疾患を見分けることが臨床的に重要になる。

上気道感染症

普通感冒

  • 最も多い
  • 臨床像:鼻閉+水様分泌、くしゃみ、乾いた、軽度発熱
  • 主な病原体:が50〜80%。ほかにコロナウイルス、、パラインフルエンザ/インフルエンザ、、、1
  • ⚠️ は原則ウイルス性である。 はに寄与しうるが、その本体は咽頭炎であり(成人の10〜15%・小児の15〜30%)、の起因菌として並べない1
  • 秋・冬に発症、自然軽快(約1週間)

鼻炎(鼻粘膜の炎症)

  1. ()
    • 植物花粉、真菌、ダニ、動物アレルゲンが誘因
    • のI型過敏:アレルゲン → B細胞活性化 → IgE → 肥満細胞への結合 → 再曝露 → ヒスタミン放出 → 掻痒、腫脹、
  2. 感染性鼻炎()
    • 起因ウイルス:、、
    • 症状:(粘液の貯留)
  3. 慢性鼻炎
    • 急性鼻炎+二次細菌感染の続発
    • やと関連(非腫瘍性のアレルギー反応、組織像:粘膜+)

扁桃炎

副鼻腔炎

急性咽頭炎

中耳炎

  • 中耳の炎症、(の炎症による)
  • 幼児に多い
  • :突然の、 → 空気貯留、起因菌:S. pneumoniae、H. influenzae、
  • :通常無症状、中耳の液体貯留

喉頭炎

気管炎

  • 気管の炎症()、最も多い原因の一つ:S. aureus(しばしばウイルス性に続発)
  • 幼児で最も重篤(小さな気管が腫脹で容易に閉塞)
  • 症状:(高調な喘鳴)、咳、胸痛、発熱

💡 ポイント: = IgE/I型過敏。 → 糸球体腎炎+(抗菌薬で防げるのはと膿瘍、糸球体腎炎は防げない)。咽頭炎: = A、 = 単核球症。 = H. influenzae、小児(小児例の大部分はで予防可能)。ジフテリア = C. diphtheriae、 → 気道閉塞。

まとめ

  • は最も多いで、など多彩な病原体により秋・冬に発症し自然軽快する。
  • 鼻炎はアレルギー性(I型過敏)、感染性、慢性(続発性細菌感染)に分かれる。
  • は・・膿瘍を合併しうる。早期の抗菌薬治療で防げるのはと化膿性合併症で、糸球体腎炎の発症は防げない。
  • 咽頭炎の水疱・潰瘍()はA、()はによる。
  • は幼児に多く、と_S. pneumoniae_・_H. influenzae_などが原因。
  • ではがから気道閉塞に至り、は_H. influenzae_による突然発症の有痛性気道閉塞(普及後は小児例が激減)。長期挿管では喉頭のを生じる。
  • ()はによる小児のが特徴。
  • は_S. aureus_が主な原因の一つで、幼児で最も重篤となる。

出典

  1. 1.Upper Respiratory Tract Infections With Focus on The Common Cold(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)普通感冒の病原体としてライノウイルス(50〜80%)・コロナウイルス・アデノウイルス・パラインフルエンザウイルス・インフルエンザウイルス・RSウイルス・エンテロウイルス・ヒトメタニューモウイルス・ボカウイルス・麻疹ウイルスを挙げ、A群β溶血性連鎖球菌は上気道感染症状に寄与しうる細菌として別に列挙したうえで、咽頭炎の最多の細菌性起因菌(成人の10〜15%、小児の15〜30%)と位置づけていることを確認した。閲覧 2026-09-02
  2. 2.Clinical Practice Guideline for the Diagnosis and Management of Group A Streptococcal Pharyngitis: 2012 Update by the Infectious Diseases Society of America(Clinical Infectious Diseases・2012)全文(PMC7108032、ブラウザUA付きのPMC HTML)で、GAS咽頭炎の正確な診断と適切な抗菌薬治療が急性リウマチ熱の予防、扁桃周囲膿瘍などの化膿性合併症の予防、症状の改善、感染性の速やかな低下と伝播の抑制のために重要であること、発症9日以内の治療が急性リウマチ熱の予防に有効であること、一方で逐語「treatment of pharyngitis does not affect the development of poststreptococcal glomerulonephritis」と咽頭炎の治療は溶連菌感染後糸球体腎炎の発症に影響しないとしていることを確認した。GASは急性咽頭炎の最多の細菌性原因で、成人の咽頭痛受診の5〜15%、小児の20〜30%を占めるとしている。閲覧 2026-08-27
  3. 3.2025 Clinical Practice Guideline Update by the Infectious Diseases Society of America on Group A Streptococcal Pharyngitis: Risk Assessment Using Clinical Scoring Systems in Children and Adults(Infectious Diseases Society of America・2026)Europe PMC の抄録とIDSAのガイドライン掲載ページで、この文書が2012年のGAS咽頭炎ガイドラインの改訂の第1部(Part 1)であり、咽頭痛の患者で迅速抗原検査・分子検査・咽頭培養を行う対象を臨床スコアで選ぶべきかだけを扱い、評価の一部として臨床スコアを用いることを支持していることを確認した(2025年12月4日オンライン公開、Clin Infect Dis 82巻 Suppl 3)。IDSAの掲載ページの本文に糸球体腎炎(glomerulonephritis)の語は現れない閲覧 2026-09-24
  4. 4.Genomic regulation of the diphtheria toxin gene and Its implications for molecular diagnostics and surveillance in low-resource settings(Molecular Biology Reports・2026)ジフテリアの病原性が主にジフテリア毒素によって決まり、その毒素をコードするtox遺伝子がバクテリオファージ由来の因子で水平伝播しうること——毒素産生能はCorynebacterium diphtheriaeという菌種そのものの性質ではなく、溶原化したファージが持ち込む性質であることを確認した。閲覧 2026-08-27
  5. 5.Acute epiglottitis in children and adults in Sweden 1981-3(Archives of Disease in Childhood・1990)スウェーデンの1981〜83年の後方視的調査(小児485例・成人356例)で、急性喉頭蓋炎の年齢別発生率は小児(0〜14歳)10/10万人・成人(15歳以上)1.8/10万人であり、血液培養からのH. influenzae検出率は小児92%・成人53%、死亡は小児485例中6例・成人356例中2例と低頻度だったことを確認した。成人例も一定数存在し、幼児に限られる疾患ではない。閲覧 2026-08-27
  6. 6.Disappearance of epiglottitis during large-scale vaccination with Haemophilus influenzae type B conjugate vaccine among children in Finland(The Laryngoscope・1994)抄録で確認した。フィンランドの1985〜1992年の血液培養陽性喉頭蓋炎サーベイランスで、小児(16歳未満)例の97%(226例)がHibによるものだった。1986年からHib結合型ワクチンの接種が始まり乳児の94〜98%が接種を受けるにつれ、小児のHib喉頭蓋炎は1985〜86年の年50〜60例から1992年の2例へ減少し、他の病原体による喉頭蓋炎の増加は認めなかった。閲覧 2026-09-24