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Disease Atlas · 神経 · 症候群

McLeod症候群

McLeod neuroacanthocytosis syndrome

別名
McLeod神経有棘赤血球症候群
臓器系
神経血液循環器
科目
Neurology
トピック
神経内科 G3-12:運動過多性運動障害神経内科 G2-18:大脳基底核系の障害
鑑別疾患
ハンチントン病有棘赤血球舞踏病
合併症
拡張型心筋症心房細動
関連疾患
デュシェンヌ・ベッカー型筋ジストロフィー
治療薬
チアプリドクロザピンクエチアピンテトラベナジン
症状
舞踏運動有棘赤血球発作腱反射消失筋力低下肝腫大脾腫
検査値
クレアチンキナーゼ乳酸脱水素酵素
画像所見
FDG-PET

🧠 全体像:は、そっくりの・・精神症状で来るX連鎖性のだが、⭐ 神経内科だけで完結しない。分かれ目は2つある——赤血球のが欠如しの発現が減弱するという(これが病名の由来)と、⚠️ 経過中に約60%が発症する心病変である1。臨床で最も重いのは輸血で、⚠️ を持つ血液を入れるとによる強いが起こりうるため、診断がついた時点での保存を勧める2。そしてが早期死亡の主要因なので、症状が無くても心臓を定期的に見に行く1。⭐ 「神経の病気だと思って診ていると、輸血と心臓で足をすくわれる」——これがこの症候群の要点である。

神経有棘赤血球症候群という枠と、その中の位置

⭐ 「」は今日、VPS13AとXKの変異による2疾患だけを指す2。かつて含められていた(PKAN)は細胞病態が異なるため「」の原型として枠から外れ、(HDL2)も調べた12例中12例でを認めなかったという報告により除外された2。

💡 2疾患が似るのには分子的な理由がある。 XK蛋白はの4.1R内でKellと結合するで、小胞体とのでVPS13Aと相互作用する2。⭐ この相互作用が、両疾患の表現型が重なる機序的基盤とみられている。

有棘赤血球舞踏病(VPS13A病)との対比

(XK) (VPS13A)
遺伝形式 X連鎖性(Xp21.1)。罹患するのはほぼ男性
発症 中年男性が典型。18〜61歳で、60代発症の例もある2 より若く発症する
血液型 ⭐ 欠如+の発現減弱 正常
心病変 ⚠️ 経過中に約60%1。初発症状にもの適応にもなりうる2 あっても軽症1
言語・嚥下障害 一貫した所見ではない2 高度な・嚥下障害が典型
・ — ⭐ 習慣的な・が特徴的1
溶血・肝脾腫 がほぼ全例。約1/3に肝脾腫 目立たない
ほぼ全例。通常8〜30% 5〜50%。欠如することがある

⚠️ 「head drop・はに特異的」という理解は改められている。 GeneReviewsは、これらがかつてに特異的と考えられていた所見であり、の一部の患者にも head drop・・歩行異常が生じると明記している1。⭐ 鑑別に使えるのは・の習のほうであり、この2つは分かれ目にならない。 ⚠️ もどちらの疾患でも欠如したり遅れて出現したりするので、これも分かれ目にならない2。

⭐ 確実に分けるのは、X連鎖性であること・Kell/Kx血液型・心病変の重さの3点である。

ハンチントン病との対比

臨床像は区別できないことがある1。

遺伝 X連鎖性(男性間伝達が無い) ・
ほぼ全例 無い
最大40%(約20%は初発症状) 無い
・心筋症 あり 無い
血清 ⭐ 全例で上昇(最高4,000 U/L) 正常

症候——4系統に散らばる

flowchart TD
    A["XK蛋白(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scramblase'>スクランブラーゼ</span>)の欠如・機能異常"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythrocyte membrane'>赤血球膜</span>:4.1R複合体のKellと結合できない"]
    A --> C["線条体を中心とする<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurodegeneration'>神経変性</span>"]
    A --> D["心筋・骨格筋・末梢神経の障害"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Kx antigen'>Kx抗原</span>欠如+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Kell antigen'>Kell抗原</span>の発現減弱<br>(McLeod<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood group phenotype'>血液型表現型</span>)"]
    B --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acanthocyte'>有棘赤血球</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='compensatory hemolysis'>代償性溶血</span>"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alloantibody'>同種抗体</span>による<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transfusion reaction'>輸血反応</span>のリスク"]
    F --> H["約1/3に肝脾腫"]
    C --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chorea'>舞踏運動</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='frontal lobe'>前頭葉</span>型の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cognitive decline'>認知機能低下</span><br>精神症状・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='seizure'>けいれん発作</span>"]
    D --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dilated cardiomyopathy, DCM'>拡張型心筋症</span>・心房細動・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tachyarrhythmia'>頻脈性不整脈</span>"]
    D --> K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='loss of deep tendon reflexes'>腱反射消失</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='muscle wasting (muscle atrophy)'>筋萎縮</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='creatine kinase (CK)'>クレアチンキナーゼ</span>上昇"]

発症年齢は18〜61歳で、大多数は40歳未満に症候化する。 経過はである1。

症候 初発症状としての頻度 経過中の頻度
約30% 最大95%
精神症状(・不安・抑うつ・・・) 約20% 約80%
(通常は) 約20% 最大40%
型の 主要な初発症状ではない 少なくとも50%
心症状(・心房細動・) 稀 約60%

(1)

  • 神経筋:⭐ ほぼ全例でが消失する——大半は無症候性のの指標である。約50%が経過中に主体(も伴う)の筋力低下・を来すが、進行は緩徐で重度の筋力低下に至る例は少ない1。
  • ⚠️ ・・の上昇を肝障害と読まない。 これらは筋細胞の病変を反映しており、肝病変とすべきでないと明記されている1。⭐ むしろとの上昇が、より若年での診断の入口になりうる2。
  • 睡眠障害(睡眠時無呼吸・)が近年認識され、他の問題を悪化させうる2。
  • ⚠️ 血液型異常だけで見つかることがある。 McLeodを持つ男性の約30%は、診断時に神経筋・が無く、輸血部門の定期検査や家族評価で発見された。しかし長期経過観察では大半に神経症状が出現した1。50歳以降のは高く、完全に近い可能性がある1。

ヘテロ接合体の女性

XKの女性はKell/Kx血液型のモザイクを持ち、通常は中枢神経・を欠くが、一部でや遅発性のを来す1。が理由と考えられている。

⚠️ 原典が同じ章の中で食い違っている。 「Establishing the Diagnosis」節は「報告例に基づけば女性は赤血球のも血清上昇も示さない」とする一方、「Clinical Description」節はによりを持つと述べ、と上昇を伴った症例も挙げている1。⭐ 女性で赤血球所見やが正常であることを、除外の根拠にしない。

診断

  • ⭐ 血清学的な欠如との減弱・欠如は、McLeodを確定させる所見である1。⚠️ Kxが強く発現するKEL-null(K0)表現型と区別する。
  • 確定はで、罹患男性の90%はXKの、10%はXKを含むXp21.1の欠失による1。
  • ⭐ は「あれば手がかり、無くても否定しない」。 ほぼ全ての罹患男性に認められるが、証明は診断の必要条件ではない1。判定の手技も難しく、最良とされるのは全血をで1:1に希釈し室温で60分静置してから湿潤単層標本を作りで観察する方法である。正常対照では棘を持つ赤血球が6.3%未満、では通常8〜30%だが変動が大きく再検を要する1。赤血球形態そのものの読み方はの項に譲る。
  • が著明に遅く、2時間の読み取りで容易に確認できる1。
  • (貧血を伴わない溶血)がほぼ全ての罹患男性に認められる。抗Kx・抗K20・抗Km抗体などの高頻度抗原に対するは自己溶血には寄与しないが、⚠️ の際には必ず考慮する1。
  • 画像:・でとの萎縮を認めうるが、⚠️ 病初期には正常でありうる。FDG-PETでは症候性の全例に両側線条体のがあり、無症候の男性と女性でも低下がみられ、低下の程度はと相関する1。
  • 神経病理:線条体の高度萎縮とのより軽度の萎縮。⭐ と異なり、視床・黒質には病変を認めない1。

⚠️ 連続遺伝子欠失症候群として現れる

XKの隣に並ぶ遺伝子が一緒に欠失することがある1。

位置 遺伝子 欠失したときの疾患
XKの5’側 DMD
XKの3’側 CYBB
XKの3’側 RPGR RPGR関連
XKの3’側 OTC

⭐ **CYBBとXKの同時欠失が最も多く、5遺伝子すべての欠失は極めて稀である1。⚠️ **やとして診断された男児がMcLeodを併せ持つことがあり、この場合も輸血のはそのまま当てはまる。

⚠️ 輸血——この症候群で臨床上いちばん重い

⚠️ McLeodの男性には、を持つ血液を輸血しない。 Kx陰性血、あるいは可能であれば保存したまたは適合血を用いる1。⭐ 患者には将来の必要に備えてを保存するよう勧める——の可能性を避けるためである2。も避ける1。

💡 の女性は事情が違う。 Kx陽性とKx陰性の赤血球を併せ持つため、Kx陽性のを輸血できる1。

⚠️ 無症候の血縁男性を先に調べる意味がここにある。 発症前に遺伝的状態を明らかにしておけば、①Kx陽性のの輸血を防ぐ詳細な適合情報を持てる、②将来の輸血に備えて・血を予防的に凍結保存できる、③心血管イベントの予防に入れる——という3つの利益がある1。

治療と経過観察

標的 対応 注意
(・・)、 ⚠️ の有害事象のリスクから(など)を避ける1
⚠️ 神経筋系への悪影響の可能性からベンゾジアゼピンの長期使用を避ける1
神経筋 、十分なカロリー・蛋白の補給、必要ならビタミンD・B12の補充 ⚠️ 耐えられる範囲のは有用でありうるが、とくに遠心性のは避ける1
心症状 臨床像・心電図に応じた標準治療。予防的/、を考慮 を要した例がある2
血液 ⚠️ Kx陽性の輸血を避ける。 ・血の凍結保存を考慮 も避ける1
体重減少 の留置が有用な戦略でありうる2

⚠️ 抗精神病薬、とくにはのリスクを高める。 臨床と血清測定の両面で慎重に監視する1。

⭐ 心臓の監視は症状の有無によらず行う。 心病変が判明していない患者にも、・心エコー・(/I、pro )を2年ごとに行う1。特異的症状の有無にかかわらず定期的にスクリーニングすることが推奨されている2。⚠️ 過度の不随意運動があるとき、あるいは抗精神病薬を使っているときは、の指標としてを定期的に測る1。

予後

  • 発症から死亡までの期間は7〜51年、平均死亡年齢は53歳(31〜69歳)、診断から死亡までの平均は21年1。
  • ⚠️ 心疾患、とくにが早期死亡の主要な原因とみられている。 他の死因は肺炎・・自殺・敗血症である1。が無いのにした症例も報告されている1。
  • は無い。では3例にが投与されたが、赤血球での標的への作用は得られたものの臨床指標はほぼ変化せず、では中枢神経系への移行が得られないことが示唆され、現時点で一般に推奨できないとされた2。

は世界で約250例の報告から1,000万人に1人と推定される1。過小診断もあるとみられる2。

まとめ

  • はXK(Xp21.1)によるX連鎖性ので、中枢神経・神経筋・心血管・血液の4系統に症状を出す。発症は18〜61歳、大多数は40歳未満で、中年男性が典型。
  • ⭐ が病名の由来であり診断の核——の欠如との発現減弱が病理学的特異的である。Kxが強く発現するKEL-null(K0)表現型と区別する。
  • ⚠️ 臨床上いちばん重いのは輸血。 Kx陽性血でによる強いが起こりうるため、Kx陰性血かを用い、診断時から保存を勧める。の女性はKx陽性血を輸血できる。
  • ⚠️ 経過中に約60%が心病変(・心房細動・)を発症し、が早期死亡の主要因。症状が無くても・心エコー・を2年ごとに行う。平均死亡年齢は53歳。
  • 神経症候は(初発30%・経過中最大95%)、精神症状(経過中約80%)、(最大40%)、型の(少なくとも50%)。ほぼ全例でが消失し、全例でが上昇する(最高4,000 U/L)。⚠️ ・・の上昇は筋由来で、肝障害と読まない。
  • ⚠️ との鑑別に head drop・は使えない(かつて特異的と考えられていたがでも生じる)。⚠️ もどちらでも欠如しうる。⭐ X連鎖性・Kell/Kx血液型・心病変の重さの3点で分ける。
  • ⚠️ に注意。 5’側のDMD、3’側のCYBB・RPGR・OTCが一緒に欠けることがあり、CYBBとの同時欠失が最も多い。
  • 治療は対症的。に・・・を使い、⚠️ とベンゾジアゼピンの長期使用、遠心性のを避ける。 使用中はの指標としてを監視する。

出典

  1. 1.McLeod Neuroacanthocytosis Syndrome(GeneReviews(University of Washington, Seattle)・2021)Europe PMC経由でNBK1354の全文XMLを取得して確認した(2021年9月16日包括改訂)。McLeod症候群がXp21.1の`XK`によるX連鎖性の多臓器疾患で中枢神経・神経筋・心血管・血液の4系統に症状を出すこと、血液学的には赤血球のKx抗原の発現欠如とKell血液型抗原の発現減弱として定義される血液型表現型(初発の患者Hugh McLeodにちなむ)であり、血清学的なKx抗原欠如とKell抗原の減弱・欠如がMcLeod血液型表現型に病理学的特異的(pathognomonic)であること、Kxが強く発現するKEL-null(K0)表現型と区別されること、罹患男性の診断が90%で`XK`のヘミ接合性病的バリアント・10%でXKを含むXp21.1のヘミ接合性欠失により確定すること、舞踏運動が約30%で初発症状となり経過中に最大95%へ現れること、認知機能障害はMcLeod症候群の主要な初発症状ではないが前頭葉型の認知障害が経過中に少なくとも50%で認められること、約20%が精神症状(人格障害・不安・抑うつ・強迫性障害・双極性障害・統合失調感情障害)で初発し経過中に約80%へ精神病理が現れること、けいれん発作が約20%で初発症状となり最大40%が経過中に発作を経験し通常は全般発作であること、ほぼ全例で(大半は無症候性の)感覚運動性軸索障害の指標として深部腱反射が消失し約50%が経過中に神経原性主体(筋原性も伴う)の臨床的に意味のある筋力低下・筋萎縮を来すが進行は緩徐で重度の筋力低下に至る例は少ないこと、これまでに検査された罹患男性の全例で血清クレアチンホスホキナーゼ値が上昇し最高4,000 U/Lに達すること、LDH・AST・ALTの上昇も筋細胞病変を反映するものであり肝病変と誤読すべきでないこと、心症状(拡張型心筋症・心房細動・頻脈性不整脈)が初発症状となることは稀だが経過中に約60%が心症状を発症すること、心臓MRI研究でMcLeod症候群5例中4例が左室拡大・4例中2例が右室拡大・5例中3例が左室駆出率低下を示し4例中2例が心室頻拍を経験しトロポニンTとCK値がデータのある全例で上昇していたこと、7例中1例が心血管危険因子が無いにもかかわらず心筋症を呈し心臓突然死したこと、赤血球の有棘赤血球症がほぼ全ての罹患男性に認められるが有棘赤血球の証明は診断の必要条件ではないこと、有棘赤血球の正確な判定が難しく全血をヘパリン加生理食塩水で1:1に希釈し室温で60分静置したうえで湿潤単層標本を作り位相差顕微鏡で観察する方法が最良で正常対照では棘を持つ赤血球が6.3%未満であること、McLeod症候群の有棘赤血球は通常8〜30%だが変動が大きく再検を要すること、赤血球沈降速度が著明に遅く2時間の読み取りで容易に確認できること、代償性溶血(貧血を伴わない溶血)がほぼ全ての罹患男性に認められ抗Kx・抗K20・抗Km抗体などの高頻度抗原に対する同種抗体は自己溶血には寄与しないが同種輸血の際に考慮が必要であること、罹患男性の約1/3に代償性溶血に由来すると考えられる肝脾腫を認めること、頭部CT・MRIで尾状核と被殻の萎縮を認めうるが病初期には正常でありうること、FDG-PETで症候性の全例に両側線条体のブドウ糖代謝低下を認め無症候の男性および女性ヘテロ接合体でも低下がみられ低下の程度が罹病期間と相関すること、神経病理では線条体の高度萎縮と淡蒼球のより軽度の萎縮を認め有棘赤血球舞踏病と異なり視床・黒質に病変を認めないこと、`XK`と近接する遺伝子の連続遺伝子欠失として5'側に`DMD`(Duchenne型筋ジストロフィー)、3'側に`CYBB`(X連鎖性慢性肉芽腫症)・`RPGR`(RPGR関連網膜色素変性)・`OTC`(オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症)があり`CYBB`と`XK`の同時欠失が最も多く5遺伝子すべての欠失は極めて稀であること、神経症状の発症年齢が18〜61歳で大多数が40歳未満に症候化し経過は緩徐進行性であること、発症から死亡までの期間が7〜51年・平均死亡年齢が53歳(31〜69歳)・診断から死亡までの平均罹病期間が21年であること、心疾患とくに頻脈性不整脈が早期死亡の主要な原因とみられ他の死因が肺炎・けいれん発作・自殺・敗血症であること、McLeod血液型表現型を持つ男性の約30%が血液型異常の診断時に神経筋・中枢神経症状を持たず輸血部門の定期検査や家族評価の過程で発見されたが長期経過観察の大半で神経症状が出現したこと、男性における神経・神経筋症状の浸透率が50歳以降は高く完全に近い可能性があること、有病率が世界で約250例の報告から1,000万人に1人と推定されること、治療として舞踏運動にドパミン拮抗薬(チアプリド・クロザピン・クエチアピン)とドパミン枯渇薬テトラベナジンを用い⚠️ 錐体外路系有害事象のリスクから定型抗精神病薬(ハロペリドールなど)を避けること、⚠️ けいれん発作には抗発作薬を用いるが神経筋系への悪影響の可能性からベンゾジアゼピンの長期使用を避けること、⚠️ 神経筋管理では耐えられる範囲の持久運動は有用でありうる一方でとくに遠心性の筋力トレーニングを避けること、⚠️ 抗精神病薬とくにクロザピンは横紋筋融解症のリスク増加のため臨床と血清CK測定の両面で慎重に監視すべきであること、心症状に対して予防的ペースメーカー/植込み型除細動器の留置や心移植を考慮すること、⚠️ McLeod血液型表現型の男性にKx抗原を持つ血液の輸血を避けKx陰性血または可能であれば自己血・適合同種血の保存血を用いること、⚠️ ヘテロ接合体の女性はKx陽性とKx陰性の赤血球を併せ持つためKx陽性の同種血液製剤を輸血できること、心病変が判明していない患者にはHolter心電図・心エコー・心筋バイオマーカーを2年ごとに行うこと、ヘテロ接合体の女性が`XK`のモザイクを持ち通常は中枢神経・神経筋症状を欠くが一部で舞踏運動や遅発性の認知機能低下を来すこと、鑑別ではハンチントン病が表現促進を示し有棘赤血球・けいれん・ミオパチー・心筋症を欠きCKが正常である点で、有棘赤血球舞踏病が習慣的な咬舌・咬唇を特徴としパーキンソニズムを呈しうる一方で心疾患があっても軽症である点で区別されることを確認した閲覧 2026-09-03
  2. 2.Neuroacanthocytosis Syndromes: The Clinical Perspective(Contact(Walker RH, Peikert K, Jung HH, Hermann A, Danek A)・2023)Europe PMC経由でPMC10714877の全文を取得して確認した総説。「神経有棘赤血球症候群」の語が現在は`VPS13A`と`XK`の変異による2疾患だけを指すこと、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症(PKAN)は細胞病態が異なるため「脳内鉄沈着を伴う神経変性症」の原型として枠から外れ、ハンチントン病様疾患2型(HDL2)も調べた12例中12例で有棘赤血球を認めなかった報告により除外されたこと、`XK`変異による疾患がMcLeod症候群と呼ばれ命名がHarvardの歯学生であった最初の症例に由来すること、XK蛋白が赤血球膜の4.1R多蛋白複合体内でKellと結合するスクランブラーゼでありXKが欠如するとKell抗原の発現が著明に低下すること、XKが小胞体と形質膜の膜接触部位でVPS13Aと相互作用しこの相互作用が両疾患の表現型の類似の機序的基盤とみられること、XK病の症状が典型的には中年男性で現れVPS13A病より発症が遅く60代で発症する例もあること、CKとトランスアミナーゼの上昇(後者は時に肝由来と誤解される)がより若年での診断につながりうること、有棘赤血球はどちらの疾患でも欠如したり遅れて出現したりしうること、XK病の推定有病率が1,000万人に1人でVPS13A病よりさらに稀とみられるが過小診断もあること、XKが欠如するのではなく機能異常にとどまる変異では症状がより軽いとみられること、言語と嚥下の高度な障害はXK病では一貫した所見ではないこと、最も際立つ特徴が心筋の障害で相当の罹病率・死亡率をもたらし初発症状となることも心移植を要することもあること、骨格筋のミオパチーと末梢神経障害も罹病率の原因となりうること、睡眠時無呼吸や周期性四肢運動などの睡眠障害が近年認識されたこと、管理が対症的であり心合併症の年1回の監視で将来の合併症を予防すること、XK病の患者には将来の必要に備えて自己血を保存し輸血反応の可能性を避けるよう勧められること、特異的症状の有無にかかわらず心病変の定期的なスクリーニングが推奨されること、体重減少が大きくなりうるため経管栄養の留置が有用な戦略でありうること、VPS13A病を中心に深部脳刺激療法が少なくとも短期的な効果をもって施行されてきたこと、VPS13A病の3例に蛋白キナーゼ阻害薬ダサチニブを投与した試験では赤血球での標的への作用は得られたが臨床指標はほぼ変化せず、経口投与では中枢神経系への移行が得られないことが示唆され現時点で一般に推奨できないと結論されたことを確認した閲覧 2026-09-03