病態生理学

病態生理学 · P-2-30

尿色調異常の原因

Causes of abnormal urine color

前提:病態
肝機能障害(1)急性腎不全の原因と全身的影響
疾患
行軍ヘモグロビン尿
症状
濃色尿
検査値
ヘモグロビン尿

🧠 全体像: 尿の色は、水分濃縮の程度、血液由来色素、筋由来色素、、薬剤などで変化する。色だけでは原因を確定できないため、尿沈渣や試験紙所見と組み合わせて考える。⚠️ 赤い尿を見た時点で「血尿」と決めつけない。 ビート・薬剤・・(・)でも赤〜赤褐色になり、鑑別の骨格はと尿沈渣の赤血球の有無である。

正常な尿色

  • 生理的な尿色は淡い麦わら色である。

異常色と主な原因

原資料の整理は「麦わら色=生理的、や薬剤(リファンピシン)=橙色、赤=血尿、れんが色=・、ビール様暗褐色=、黒=遺伝性疾患・黒色腫」である。下表はこれに一般的な原因を補ったもの1。

尿の色 主な原因・考え方
濃黄色〜オレンジ色 (脱水・運動)、薬剤(例:リファンピシン、などの尿路、)、、ニンジン
赤色〜赤褐色 血尿とは限らない。下表「赤〜赤の鑑別」を参照
ビール様暗褐色 。を伴えば胆道閉塞・を疑う
褐色〜黒色 (代謝異常。放置した尿が空気に触れて酸化し黒変する)、悪性黒色腫(メラニン尿)、・メトヘモグロビン、薬剤(、、メトロニダゾール、・など)
緑色〜青緑色 の代謝物、投与、・などの薬剤、まれに緑膿菌などによる尿路感染
白濁 (尿路感染)、尿(・などでが尿に混入)、結晶(で放置すると)
紫色(長期のバッグ) 紫色バッグ症候群。インジゴ・インジルビン産生性細菌(Providencia stuartiiなど)が尿中を分解して生じる。長期・便秘の患者に多く、多くは無害だが背景の尿路感染は評価する2

赤〜赤褐色尿の鑑別

⚠️ 赤い尿でも血尿とは限らない。 まず試験紙のを確認し、陽性でも尿沈渣に赤血球がなければ血尿ではなくを疑う。

の 尿沈渣の赤血球 考えるべきこと
陰性 — 血液以外の着色。ビート・ブラックベリー・ルバーブなどの食事、リファンピシン・などの薬剤、(放置すると赤くなる尿は、で増えるの存在を示唆する1)
陽性 あり 真の血尿
陽性 なし・少数 ()または()。れんが色〜赤褐色を呈しやすい

💡 試験紙のはのを検出するだけで、赤血球・ヘモグロビン・を区別しない3。この一点が、赤〜赤の鑑別を血尿だけに矮小化させない鍵になる。では試験紙陽性・で赤血球なしという組み合わせが典型的である4。

flowchart TD
    A["尿色の異常を認める"] --> B["尿の濃縮・薬剤歴・食事歴を確認する"]
    B --> C["試験紙で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='occult blood'>潜血</span>・ビリルビンなどを確認する"]
    C --> D["尿沈渣で赤血球や結晶などを確認する"]
    D --> E["血尿・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pigmenturia'>色素尿</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemoglobinuria'>ヘモグロビン尿</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myoglobinuria'>ミオグロビン尿</span>)・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile pigment'>胆汁色素</span>尿・薬剤/食品性の着色を鑑別する"]

⚠️ とくに赤〜では、赤血球を伴う血尿と、・などのを区別する必要がある。を血尿として泌尿器科的に精査すると、背景にあるからのへの対応が遅れる。

色以外の外観所見

所見 示唆される内容
泡立ち
明らかな 膿、血液、結晶などの
淡い Tamm–Horsfallタンパク質()に由来する
尿の濃さ に反映される。原資料のは1.001〜1.030で、1.010は血漿と同程度のを表す

💡 泡立ちはの手がかりになるが、や一部の薬剤(など)でも泡立つことがあり、泡だけでとは言えない1。試験紙のタンパク質とで確かめる(尿検査の異常所見と)。

まとめ

尿の色・所見 考える原因
淡い麦わら色 生理的
濃黄色〜オレンジ色 、リファンピシン・などの薬剤、
赤色〜赤褐色 血尿、・(れんが色〜赤褐色)、食品・薬剤、。と沈渣の赤血球で切り分ける
ビール様暗褐色 (胆道閉塞・)
褐色〜黒色 、悪性黒色腫(メラニン尿)、一部の薬剤
緑色〜青緑色 、、一部の薬剤、まれに緑膿菌感染
白濁 、尿、結晶
紫色のバッグ 紫色バッグ症候群(長期・便秘)
泡立ち・ 泡立ちはの手がかり、淡いはTamm–Horsfallタンパク質

出典

  1. 1.Urinalysis(StatPearls Publishing(Queremel Milani DA, Jialal I)・2023)章の最終更新は2023年5月1日(Wayback の2026年6月の保存版で本文を取得)。尿色の原因として、濃黄色は濃縮尿(脱水・運動)、橙色は胆汁色素・ニンジン・ワルファリン・ニトロフラントイン・フェノチアジン・フェナゾピリジン・リファンピシン・ビタミンC、桃〜赤色はビート・ブラックベリー・食用色素・血尿・ヘモグロビン尿・ミオグロビン尿・月経血の混入・ポルフィリン・リファンピシン・ルバーブ・センナ・尿酸結晶など、褐色〜黒色(紅茶色)は胆汁色素・クロロキン・ホモゲンチジン酸(アルカプトン尿症)・レボドパ・メラニン・メトヘモグロビン・メチルドパ・メトロニダゾール・ミオグロビン・ニトロフラントイン・プリマキンなど、緑〜青色はアミトリプチリン・メチレンブルー・プロポフォール・インドメタシン・トリアムテレン・緑膿菌による尿路感染などを挙げること、放置して赤くなる尿は急性ポルフィリン症で増えるポルフォビリノーゲンの存在を示唆すること、泡立ちの原因に蛋白尿のほか胆汁色素・逆行性射精・フェナゾピリジンなどの薬剤があることを確認した。閲覧 2026-09-24
  2. 2.Purple urine bag syndrome: an alarming hue? A brief review of the literature(International Journal of Nephrology・2011)紫色蓄尿バッグ症候群は、インジゴ・インジルビン産生性細菌(Providencia stuartii・rettgeri等)が尿中トリプトファン代謝産物(インドキシル硫酸)を分解して生じる。長期尿道カテーテル留置・便秘が主要な危険因子であることを本文で確認した。なお尿のアルカリ性との関連は、2008年の酸性尿での発症例により疑問視されていることも本文に明記されている閲覧 2026-08-26
  3. 3.Bench-to-bedside review: Rhabdomyolysis -- an overview for clinicians(Critical Care・2005)尿試験紙はミオグロビン尿のスクリーニングに使えるが、試験紙の潜血反応の試薬はヘモグロビンとミオグロビンのどちらにも反応するため両者を区別できないことを本文で確認した閲覧 2026-08-26
  4. 4.Myoglobinuria(StatPearls Publishing (NCBI Bookshelf)・2026)ミオグロビン尿の評価では尿試験紙がヘムに対して陽性となる一方、顕微鏡検査では赤血球を認めないという所見の組み合わせがミオグロビンの存在を示唆することを確認した閲覧 2026-08-26