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Disease Atlas · 腫瘍 · 腫瘍

甲状腺髄様癌

Medullary thyroid carcinoma

別名
MTC甲状腺髄様がんC細胞癌
臓器系
腫瘍内分泌・代謝
科目
PathologyInternal MedicineSurgery
トピック
病理学 C/86:甲状腺腫瘍病理学 C/89:多発性内分泌腫瘍症(MEN)/カルチノイド症候群内科学 E-03:甲状腺結節と甲状腺癌内科学 L-79:甲状腺腫瘍外科学 B/03:甲状腺腫瘍(症状・診断・治療)外科学 S-03:甲状腺悪性疾患と治療
上位概念
甲状腺癌
関連疾患
多発性内分泌腫瘍症
治療薬
セルペルカチニブバンデタニブカボザンチニブ
症状
嗄声下痢顔面紅潮
検査値
血中カルシトニンCEA
画像所見
甲状腺結節
スコア
TNM分類
原因となる疾患
C細胞過形成
適応薬
セルペルカチニブバンデタニブ
禁忌薬
チルゼパチド

🧠 全体像:(MTC)は、の中で唯一、ではなくから発生する組織型である。・・がいずれも由来でヨードを取り込みうるのに対し、MTCはC細胞由来であるためヨードを取り込まずが無効という決定的な違いを持つ。C細胞が生理的に分泌するカルシトニンがそのままになり、術前診断・の軸になる。もう一つの核心は遺伝性の重み——散発性が約75%を占める一方、約25%はRETのによる(MEN2A・MEN2B)に伴う家族性で、1例のMTCを診断したら必ずとの評価につなげる姿勢が診療の入口になる。

病態:起源細胞と遺伝子異常

C細胞は(第4から左右に生じ、発生の途中で甲状腺と融合する)に由来するで、甲状腺内に散在性に分布し、血中Ca²⁺濃度の上昇に応じてカルシトニンを分泌しを抑制する生理的役割を持つ。MTCはこのC細胞がしたものであり、・・(いずれも正中甲状腺由来のから生じる)とは由来するが異なる別系統の腫瘍である。

⚠️ 「C細胞は神経堤由来」という古典的な記述は、そのまま書かずに書き分ける。 神経堤由来説はウズラ‐ニワトリで鰓後腺へのの運命地図を作った所見に基づくもので、では検証されていなかった。マウスでの追跡ではSox17陽性の前方内胚葉のみがC細胞とその前駆細胞の供給源で、Wnt1陽性のは甲状腺の結合組織には寄与するがC細胞には寄与しない。ヒトについて示されているのは、でFOXA1・FOXA2が由来癌より高発現し、胚のC細胞前駆細胞と同じFoxa1/Foxa2の発現パターンが腫瘍で再現されるところまでである1。

💡 起源をめぐるこの改訂は、MTCの臨床的な扱いを変えない。 ではなくカルシトニン・がになるのも、ヨードを取り込まずが無効なのも、MTCが由来の癌ではないことから出てくる帰結であって、C細胞がどの胚葉に遡るかには依らない。上記の研究自身も、MTCを内胚葉起源のの系統へ分類し直すべきだと述べている1。

項目 MTC(C細胞由来) ・(由来)
起源 (=第4の内胚葉に由来) 細胞(正中甲状腺)
分泌物・マーカー カルシトニン、 ()
ヨード取り込み なし(RAI無効) あり(でRAI治療の根拠)
主要な遺伝子異常 RETの BRAF・RAS・TP53など
間質の特徴 (カルシトニン由来、で) 通常みられない

⭐ 「はの一種ではない」という誤解に注意する。は由来のがして生じる予後最不良の腫瘍だが、MTCは最初からC細胞由来の別系統であり、進行度もの種類に強く依存する。

RETはをコードし、により恒常的なシグナル伝達を引き起こす。散発性MTCでは主に体細胞性の変異(M918Tが高頻度)、家族性MTC(MEN2A・MEN2B・家族性MTC単独型)では生殖細胞系列の変異が原因となる。コドンによって浸潤・転移速度が大きく異なり、この違いが後述するの時期を規定する。

疫学とMEN2との関係

全体に占めるMTCの割合は数%程度にとどまるが、散発性が約75%、家族性が約25%を占め、家族性のほぼ全例が(MEN2A・MEN2B)または家族性MTC単独型に伴う2。一見散発性に見える患者の6〜10%にも生殖細胞系列RET変異が同定されるため、家族歴が明確でなくても全患者でを行う2。

MEN2A・MEN2Bの遺伝形式、責任コドン別の、・副甲状腺病変との組み合わせ、の時期の目安は、の該当節に譲る。ここで押さえるべきは、MTCの診断=のスクリーニング開始のトリガーであるという一点である。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid nodule'>甲状腺結節</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neck mass'>頸部腫瘤</span>でMTCを疑う"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serum calcitonin'>血清カルシトニン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='carcinoembryonic antigen'>CEA</span>測定"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fine-needle aspiration'>FNA</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='calcitonin immunostaining'>カルシトニン免疫染色</span>で確定"]
    C --> D["全患者でRET生殖細胞系列検査"]
    D --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pathogenic variant'>病的バリアント</span>を検出"}
    E -->|"陽性(家族性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multiple endocrine neoplasia type 2'>MEN2</span>)"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood relative'>血縁者</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='presymptomatic testing'>発症前検査</span>へ"]
    E -->|"陰性(真の散発性)"| G["手術計画へ進む"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pheochromocytoma'>褐色細胞腫</span>の有無を先に評価"]
    H --> G

臨床像

多くは無痛性のまたは頸部リンパ節腫大として発見される。進行すると嗄声(による)や気道・食道圧迫症状を来す。進行・転移例ではカルシトニンやの過剰分泌により、水様性の下痢やを来すことがあり、の内分泌症状として先に気づかれることもある。に伴う場合はによる・や、MEN2Bに特徴的な・が併存し得る。

診断

血清カルシトニンとCEAはいずれもC細胞量と相関する診断・予後・治療反応性ので、の評価でMTCが疑われた時点で測定する。散発性MTCの診断は主として()とによる2。⚠️ ただし術前診断が付くとは限らない。 同じ出典は、症状のない単発結節として現れることと頻度が低いことから術前診断は難しく、の結果が判定困難またはであった症例に対する甲状腺切除の後で診断されることがあると続けている2——「免疫染色を足せば術前に確定できる」と読み替えない。

  • が約500 pg/mL以上であれば遠隔転移を念頭に・胸部CT、造影肝/、など全身画像検索を行う2。
  • では、カルシトニンが150 pg/mL前後を上回るかどうかを目安に、追加画像検索の要否を判断する2。

💡 カルシトニンは加齢・喫煙・腎機能低下・他のなどでも軽度上昇しうるため、や進行性上昇でなければ単独の閾値だけで転移を断定しない。

病期分類と手術

MTCは分類でするが、のような年齢閾値は用いず、通常のT・N・M因子の組み合わせでStage I〜IVに分類する。

外科的切除がMTCに対する唯一のであり、両側性・多発性がの約10%、遺伝性ではほぼ全例にみられるためが標準術式となる2。の範囲は術前値でおおむね決まる。

術前 郭清方針の目安(限定ごと)
20 pg/mL未満 甲状腺内にとどまる小さなMTCでは、リンパ節転移のリスクが無いため予防的は要らない
50〜200 pg/mL ESMOは、が陰性でも+両側に加え、少なくともレベルIIA・III・IVの同側外側郭清を行うことを一般に推奨する
200 pg/mLを超える ・ESMOは、同側の外側頸部リンパ節が陽性で対側が画像上陰性のときに対側の郭清を考慮するとしている

⚠️ に伴う症例で甲状腺・副甲状腺手術を計画する際は、必ず先にの有無を評価する。未評価のまま手術・麻酔を行うと、周術期に制御困難なやを誘発しうる。があればを中心とした術前管理を先行させ、より前に治療する。

全身治療(進行・転移例)

MTCはC細胞由来でヨードを取り込まないため、(RAI)治療の適応にならない。・進行性の転移例では全身薬物治療を検討する。

  • :RET変異陽性例では(LIBRETTO-001試験、2020年承認)が高いを示した(の前治療あり55例で69%、前治療なし88例で73%)2。⚠️ 同総説のTable 3での中央値が「いずれも未到達」なのではない——前治療あり群は推定されず(NE、95%CI 24.4〜NE)だが、前治療なし群は23.6か月と数値が入っており、しかもこの中央値には「総イベント数の10%未満に基づくため不安定である」という脚注が付いている2。その後の第III相LIBRETTO-531試験は、登録前14か月以内に進行が確認されたRET変異陽性MTC 291例を、一次治療としてのと選択のまたはへし、盲検独立による無増悪生存でのを示した(中央値は未到達 対 16.8か月、0.28、95%CI 0.16〜0.48)。も69.4% 対 38.8%と高く、有害事象による減量38.9% 対 77.3%・投与中止4.7% 対 26.8%とでも上回った3。⚠️ この試験の対象は進行が確認された進行・転移例であり、無症状で緩徐な症例まで薬物療法を前倒しする根拠ではない。
    • ⚠️ も2020年12月にMTCへされたが、2023年7月20日に米国でMTCの適応が取り下げられた4。これを記録している一次文書はのレター(NDA 213721/S-014、電子署名日2023年7月20日)で、レターが取り下げの理由として挙げているのは、MTC適応の確証的試験をする上での困難についてと協議したのち、製造販売元が当該適応の承認の取り下げを求め、迅速な取り下げ手続(FDCA 506(c)(3))を放棄したことである4。⚠️ 2023年6月30日は補足申請の受理日であって、取り下げの発効日ではない。 その確証的試験にあたる第III相AcceleRET-MTC(NCT04760288)は、登録症例0例のまま「開始段階の複数の運用上の困難を乗り越えられなかった」として中止(WITHDRAWN)されており、確証的試験が動かなかったという経過は登録簿の側からも確かめられる5。現行の米国添付文書に残る適応はRET融合遺伝子陽性の転移性(成人)と、RET融合陽性の進行・転移性(12歳以上、)の2つで、RET変異によるMTCは適応欄に現れない6——MTCの薬剤選択でこの2剤を同列に扱わないこと。
    • ⚠️ ではさらに事情が違い、はそもそも入手できない。 の条件付き販売承認(2021年11月18日発行)の適応はだけで、MTCは初めから含まれていなかった。そのうえで2024年10月24日、欧州委員会がGavretoの販売承認を撤回している。撤回はの要請によるもので、理由は安全性・有効性の懸念ではなく「商業上の理由による販売の恒久的中止」である7。⭐ 「米国でMTCの適応が取り下げられた」と「で製品ごと承認が撤回された」は別の出来事である。 取り下げ・撤回の記述を読むときは、どの国のどちらの話かを分けて読む。
    • 💡 「で撤回された」は「欧州のどこにも承認が無い」ではない。 英国(GB)は離脱後それぞれ別に承認を判断しており、Gavretoは英国の(SmPC)が現在も公開されている(販売承認取得者はRoche Products Limited、初回承認2023年12月13日、本文改訂2024年5月1日)。⚠️ ただしその適応は逐語で「RET阻害薬のが無い成人のRET融合陽性進行」だけで、もMTCも含まれない(英国SmPCでMTCが出てくるのはARROW試験の安全性解析の説明としてのみである)。⚠️ さらに同SmPCのページには「製薬企業がこの製品の販売を中止することを決定した」旨のが付いている8。⭐ したがってMTCの薬剤選択という観点では、米国・・英国のいずれでもは現行の適応に含まれない——承認が残っていることと、その適応にMTCが入っていることと、実際に流通していることは、それぞれ別に確かめる。
  • :が使えない、または不応の場合は(ZETA試験)や(EXAM試験)を検討する。はMTC専用のとして、・用のとは用量・服用条件が異なる点に注意する。

GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1デュアル作動薬が禁忌となる根拠

ゲッ歯類への試験では、正常なC細胞にも受容体が発現しているため、受容体作動薬の慢性刺激により・投与期間依存性のや(MTCを含む)が誘発された。この所見のヒトへの関連性は確立していないが、・・(受容体作動薬)と(GIP/)は、この結果を根拠とするのにより、MTCの既往・家族歴またはの患者に禁忌となっている9。

⚠️ は「例外」ではなく、製剤ごとに分かれる。 (Byetta、1日2回)にはも本禁忌も無いが、(Bydureon/Bydureon BCise、週1回)はを持ち、MTCの既往・家族歴とは禁忌である10。で域の曝露によりC細胞腺腫・C細胞癌の発生が・投与期間依存性に増加したことが根拠で、「はげっ歯類でが増えない」という理解は誤りである。MTC既往患者の薬剤選択では、分子名ではなく製剤名まで確認する必要がある。

まとめ

  • MTCはではなく(=第4の内胚葉由来)から発生するで、カルシトニン・を分泌しヨードを取り込まない点が・・と根本的に異なる。古典的な「C細胞は神経堤由来」という記述はでは支持されていない。
  • 散発性が約75%、家族性(MEN2A・MEN2B・家族性MTC単独型)が約25%を占め、見かけ上散発性でも6〜10%に生殖細胞系列RET変異が見つかるため、全患者でを行う。
  • 診断は・との、治療の根幹は+値に応じたリンパ節郭清であり、RAIは無効である。
  • に伴う症例では、を除外・先行治療してからに進む順序を誤らない。
  • 進行・転移例では、第III相LIBRETTO-531試験でより無増悪生存が良好だった()が一次治療の中心で、(・)が次の選択肢となる。は2023年7月20日にMTCの米国適応が取り下げられ(のレターが理由として挙げているのは確証的試験の遂行困難であり、その第III相AcceleRET-MTCは登録症例0例のまま中止された)、EUでは2024年10月24日に販売承認そのものが(MTCではなくの適応のまま)商業上の理由で撤回されている。英国(GB)にはとは別の承認が残るが、その適応ものみでMTCを含まない(しかも販売中止の表示が付いている)——3極のいずれでもはMTCの適応薬ではない。
  • 受容体作動薬はげっ歯類での誘発を根拠にMTC既往・で禁忌となる。は製剤ごとに分かれ、(Bydureon/Bydureon BCise)は同じと禁忌を持ち、だけがこれを持たない。

出典

  1. 1.Revising the embryonic origin of thyroid C cells in mice and humans(Development・2015)全文をPMCで閲覧。Abstract・INTRODUCTIONが、神経堤由来説はウズラ‐ニワトリキメラで鰓後腺への神経堤細胞の運命地図を作った所見に基づくもので哺乳類では検証されていないと述べ、RESULTS「Wnt1+ neural crest progeny does not contribute to the thyroid C cell lineage in mice」がWnt1陽性の神経堤系譜は甲状腺の結合組織には寄与するがC細胞の供給源ではないこと、「Mouse thyroid C cells derive from Sox17+ anterior endoderm」がSox17陽性前方内胚葉のみがC細胞とその前駆細胞の供給源であること、鰓後体が第4咽頭嚢から左右に生じることを示す。ヒトについて示されているのは髄様癌でFOXA1/FOXA2が濾胞細胞由来癌より高発現し、胚のC細胞前駆細胞と同じFoxa1/Foxa2の発現パターンが腫瘍で再現されることまでである。DISCUSSIONの結語は、髄様癌を内胚葉起源の神経内分泌腫瘍の系統へ分類し直すべきだと述べる閲覧 2026-09-06
  2. 2.Current Guidelines for Management of Medullary Thyroid Carcinoma(Endocrinology and Metabolism(大韓内分泌学会)・2021)全文をEurope PMC(PMC8258323)で取得して確認した。頸部に広範な病変がある例・血清カルシトニン500 pg/mL超・遠隔転移の徴候がある例で頸部と胸部の造影CT、3相造影肝CTまたは造影肝MRI、骨シンチと体軸MRIが考慮されること(ESMOはカルシトニン500 pg/mL以上でF-DOPA-PET/CTを推奨)、術後の追加画像検索の目安がFig. 1の脚注でカルシトニン150 pg/mL以上とされること、散発性が75%・遺伝性(MEN2)が25%でRET変異が遺伝性の全例と見かけ上散発性の6〜10%に存在すること、両側性・多発性が遺伝性の全例と散発例の約10%に生じるため甲状腺全摘が選択される術式であること、術前基礎カルシトニンによる郭清の目安(20 pg/mL未満では予防的中央区域郭清が不要、ESMOは50〜200 pg/mLでも両側中央区域郭清+同側外側郭清、200 pg/mL超で対側郭清を考慮)、選択的RET阻害薬(LIBRETTO-001・ARROW)とマルチキナーゼ阻害薬(ZETA・EXAM)の奏効率と無増悪生存期間のデータ、術後のカルシトニン・CEAの倍加時間が6〜12か月未満であることが予後不良因子とされることを確認した。⚠️ Table 3(4列=セルペルカチニブの前治療あり55例・前治療なし88例、プラルセチニブの前治療あり61例・前治療なし22例)の逐語は、セルペルカチニブの奏効率が69%(95%CI 55〜81)・73%(同62〜82)、無増悪生存期間の中央値が前治療ありで NE(95%CI 24.4〜NE)・前治療なしで23.6か月(95%CI NE〜NE)で、後者には脚注d「The median is unstable because it is based on less than 10% of the total number of events.」が付く。「いずれも未到達(NR)」と記されているのはプラルセチニブの2列のほうである。⚠️ 全文にtolerability・toleranceの語は0件であり、忍容性を理由に選択的RET阻害薬を優先するという順序づけはこの総説の記述ではない(同総説は症候性・進行性の切除不能例への一次全身治療としてバンデタニブ・カボザンチニブを挙げている)。閲覧 2026-09-17
  3. 3.Phase 3 Trial of Selpercatinib in Advanced RET-Mutant Medullary Thyroid Cancer(The New England Journal of Medicine・2023)抄録のMethods・Resultsを閲覧。組入れは登録前14か月以内に進行が確認された進行`RET`変異陽性髄様癌で、291例を一次治療としてのセルペルカチニブと医師選択のカボザンチニブまたはバンデタニブへ無作為化した。盲検独立中央判定による無増悪生存はセルペルカチニブ群で中央値未到達・対照群16.8か月(ハザード比0.28、95%CI 0.16〜0.48、P<0.001)、12か月時点の無増悪生存率は86.8%対65.7%、奏効率は69.4%対38.8%、有害事象による減量は38.9%対77.3%、投与中止は4.7%対26.8%であった閲覧 2026-09-06
  4. 4.NDA 213721/S-014 Supplement Approval, Withdrawal of Accelerated Approval Indication: GAVRETO (pralsetinib) capsule(U.S. Food and Drug Administration・2023)MTC適応の取り下げを記録するFDAの一次文書。PDFを自分で取得し全9頁を通読した。2023年6月30日に受理された事前承認補足申請に対する承認で、電子署名頁の日付は 07/20/2023 である——すなわち取り下げの発効は2023年7月20日であり、6月30日は補足申請の受理日である。表題に「WITHDRAWAL OF ACCELERATED APPROVAL INDICATION」を含み、本文の逐語は「This Prior Approval sNDA provides for removal of the Advanced and Metastatic RET-mutant Medullary Thyroid Cancer (MTC) Indication, approved under accelerated approval, from GAVRETO United States Prescribing Information (USPI).」。レターが取り下げの理由として記しているのは「Following a meeting with FDA wherein the challenges associated with fulfilling the confirmatory study for the MTC indication were discussed, you requested withdrawal of approval of this indication and waived the expedited withdrawal procedures set forth in section 506(c)(3) of the Food, Drug, and Cosmetic Act」であり、再びMTCで販売するには効能追加の承認が要る(逐語「You would have to obtain FDA approval of an efficacy supplement in order to resume marketing the product for this indication.」)。同時に解除された市販後要件3959-1は、マルチキナーゼ阻害薬未治療のRET変異MTCでプラルセチニブと担当医選択のカボザンチニブまたはバンデタニブを比べる多施設無作為化非盲検試験(主要評価項目は盲検下独立中央判定の無増悪生存期間)である。閲覧 2026-09-17
  5. 5.A Phase III, Randomized, Open-Label Study of Pralsetinib Versus Standard of Care for Treatment of RET-Mutated Medullary Thyroid Cancer (AcceleRET-MTC, NCT04760288)(ClinicalTrials.gov(登録者はHoffmann-La Roche)・2024)MTC適応の確証的試験にあたる第III相試験AcceleRET-MTC(NCT04760288、実施者番号CO42865)の登録情報を自分で取得して確認した。試験群はプラルセチニブ400 mgを1日1回、対照群は担当医選択の標準治療(カボザンチニブ140 mg/日またはバンデタニブ300 mg/日)、主要評価項目は盲検下独立中央判定によるRECIST v1.1の無増悪生存期間。2021年2月18日に初回登録されたが、状態は WITHDRAWN で登録症例数は0例(実測値)、中止理由は逐語「Due to several logistical challenges during start-up which could not be overcome study was withdrawn.」、最終更新は2024年1月5日である。閲覧 2026-09-17
  6. 6.GAVRETO (pralsetinib) capsules, for oral use — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed(Rigel Pharmaceuticals, Inc.)・2025)米国の現行添付文書(ラベラーはRigel Pharmaceuticals, Inc.、印字された改訂表示は Revised 12/2025)のSPLを自分で取得し、適応欄を全文で確認した。適応は1.1「Adult patients with metastatic rearranged during transfection (RET) fusion-positive non-small cell lung cancer as detected by an FDA approved test (NSCLC).」と、1.2「Adult and pediatric patients 12 years of age and older with advanced or metastatic RET fusion-positive thyroid cancer who require systemic therapy and who are radioactive iodine-refractory (if radioactive iodine is appropriate).」の2つだけで、1.2には「This indication is approved under accelerated approval based on overall response rate and duration of response.」が付されている(甲状腺癌の適応はいまも迅速承認のままである)。RET変異陽性の甲状腺髄様癌(MTC)は適応欄に現れない。閲覧 2026-09-17
  7. 7.Gavreto (pralsetinib) — European public assessment report, withdrawal of marketing authorisation(European Medicines Agency・2024)GavretoのEU販売承認が2021年11月18日に条件付き販売承認として発行され(CHMPの見解は2021年9月16日、販売承認取得者はBlueprint Medicines (Netherlands) B.V.)、2024年10月24日に欧州委員会が撤回したこと、撤回は販売承認取得者の要請によるもので、理由が「商業上の理由により製品の販売を恒久的に中止するという決定(its decision to permanently discontinue the marketing of the product for commercial reasons)」であり安全性・有効性上の懸念によるものではないこと、EUの条件付き販売承認の適応が非小細胞肺癌(NSCLC)だけであったこと(このEPARページの全文で medullary・thyroid はいずれも0件)を確認した。閲覧 2026-09-14
  8. 8.Gavreto 100 mg hard capsules — Summary of Product Characteristics(Roche Products Limited(英国 electronic medicines compendium)・2024)英国(GB)のSmPCページ本体を自分で取得して確認した。4.1の適応は逐語で「Gavreto is indicated as monotherapy for the treatment of adult patients with rearranged during transfection (RET) fusion-positive advanced non-small cell lung cancer (NSCLC) not previously treated with a RET inhibitor」で、甲状腺癌も甲状腺髄様癌も含まれない(medullary の語はARROW試験540例の安全性解析対象集団の説明に1回現れるだけである)。7項の販売承認取得者はRoche Products Limited、8項の承認番号はPLGB 00031/0929、9項の初回承認は2023年12月13日、10項の本文改訂は2024年5月1日。⚠️ 同ページの製品見出しには Discontinued の表示があり、ポップアップの逐語は「The pharmaceutical company has decided to discontinue this product. Other preparations of this medicine may still be available. This information has been left on emc for reference purposes.」である。閲覧 2026-09-16
  9. 9.MOUNJARO (tirzepatide) injection, for subcutaneous use — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed(Eli Lilly and Company)・2026)ラットへの反復投与試験で用量依存性・投与期間依存性の甲状腺C細胞腫瘍(甲状腺髄様癌を含む)が生じたこと、ヒトでの臨床的関連性は確立していないとしつつ、甲状腺髄様癌の既往・家族歴またはMEN2の患者を禁忌とする記載を確認した。閲覧 2026-08-10
  10. 10.BYDUREON BCISE (exenatide extended-release) injectable suspension - label(DailyMed (U.S. National Library of Medicine)・2025)徐放性エクセナチド(BYDUREON BCISE、週1回)が枠組み警告を持ち、ラットで臨床用量域の曝露により甲状腺C細胞腫瘍の発生が増加すること、および甲状腺髄様癌の既往・家族歴とMEN2が禁忌の筆頭に挙げられていることを添付文書のBOXED WARNING・4 CONTRAINDICATIONS・発癌性の節で確認した。速放性エクセナチド(Byetta)にはこの警告・禁忌が無い。⚠️ この版のSPLは本体に改訂表示を持たず、印字された改訂表示は付属文書側にある(Medication Guide が 05/2025、Instructions for Use が 03/2024)。yearはSPLの発効日2025年5月28日と一致する前者を採った閲覧 2026-09-14