薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · B3 Other / その他 · 必修

フォスタマチニブ

fostamatinib

分類
Kinase inhibitors / キナーゼ阻害薬
商品名(日本)
タバリス
商品名(EU)
Tavlesse
科目
Pharmacology
トピック
B3: Agents used in anemias
承認適応
免疫性血小板減少症(ITP)
副作用
下痢悪心めまい
監視検査値
血小板数
影響検査値
アミノトランスフェラーゼ

🧠 全体像:は、・(受容体作動薬=血小板の産生を増やす)やリツキシマブ(=自己抗体の産生源を減らす)とは異なり、血小板が壊される最後の段階そのものを止めるという第三の発想の薬である。(SYK)を阻害してマクロファージのシグナルを遮断し、抗体が付着した血小板が貪食される過程を妨げる——「作る・減らす・壊させない」という3つのアプローチが慢性治療に揃っていることを理解する軸になる。

💡 日本での正式な一般的名称は「ホスタマチニブ」である。 電子添文の一般的名称は ホスタマチニブナトリウム水和物(Fostamatinib Sodium Hydrate)(JAN) で、用法・用量も「ホスタマチニブとして初回投与量100mg」と書かれている1。本ノートを含め本サイトでは英語綴りに近い「」で統一しているが、国内の添付文書・収載・処方箋では「ホ」で始まるので、検索して見つからないときは両方の表記を試す。

薬効群の中での位置づけ

前治療でを維持できないに対して、はの実行段階を狙うである。

薬剤 アプローチ 機序 ASH 2026 での位置づけ
・ 産生を増やす 受容体作動 刺激薬として、追加治療を要する成人に推奨(推奨2a。強い推奨・エビデンスの確実性は中)2
リツキシマブ 産生源を減らす 抗CD20による 同じ場面での代替として提案(条件付き推奨・確実性は低)2
(SYK阻害薬) 破壊を止める SYK阻害→シグナル遮断 上の2つが適さないか本人が選ばない場合に、・と並んで提案(条件付き推奨・確実性は非常に低い)2

💡 ASH 2026 の推奨文は、どれも薬効群の名前で書かれている。 推奨2aの主語は「」で、パネルはアバトロンボパグ・・ヘトロンボパグ・・遺伝子組換えヒトを互換として扱った。したがって上表の強い推奨は、この2剤だけに与えられたものではない2。

⭐ ここは2026年に書き換わった。 ASH 2019 の第二選択の推奨(推奨6=とのどちらでもよい、推奨7〜9=・リツキシマブ・受容体作動薬の序列)は撤回され、2026年版の推奨2a・2bに置き換えられた。2019年版は当時、を「主に治療の場面で検討されてきた薬剤であり、としての位置づけは確立していない」として推奨の対象外に置いていた3。2026年版ではSYK阻害薬が推奨2bの選択肢として明示された——ただし推奨の強さは条件付き、エビデンスの確実性は非常に低い2。

⚠️ 順位が付いたわけではない。 推奨2bのパネルは、・・SYK阻害薬を明確に順位付けできるだけの直接的な根拠は無いとしており、副作用プロファイル・費用・入手可能性とで選ぶとしている2。⚠️ ASH 2026 の推奨文は薬効群(SYK阻害薬)で書かれており、という薬剤名で書かれてはいない(全57頁の本文で「fostamatinib」が現れるのは参考文献4件の題名だけである)2。⚠️ 同じ推奨2bで、パネルはを「利益と害の釣り合いが劣るのでこの3者と同等ではない」と切り分けている——ただし低コスト・世界的な入手可能性・妊娠中の安全性から有用な場面はあるとしている2。

⭐ が違うので、前治療が効かなくなった例に別の角度から当てられる。 第III相2試験に組み入れられた150例は前治療数の中央値が3(範囲1〜14)で、副腎皮質ステロイド94%・免疫グロブリン53%・受容体作動薬48%、35%がだった。(14〜24週の6回の来院のうち4回以上で血小板5万/μL以上を保つ「安定した血小板反応」)の達成率はで本剤17%対2%だった4。⚠️ この厳しい評価項目を満たすのは少数であるという前提で位置づけを理解する。米国添付文書は同じ試験について、を要した患者が本剤30%・45%、出血の発現が本剤29%・37%だったとも記載している(いずれも統計学的な比較は示されていない)5。

⚠️ 「が違うから併用できる」と読まないこと。 のは、阻害薬・受容体作動薬・リツキシマブなど免疫調節薬との併用は検討されていないと明記している4。実際の試験で併用が許容されていたのは、安定用量の副腎皮質ステロイド(換算20mg/日未満)・・だけである。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='platelet membrane glycoprotein'>血小板膜糖蛋白</span>に対する自己抗体が<br>血小板表面に結合"] --> B["脾臓・肝臓のマクロファージの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fc receptor'>Fc受容体</span>が抗体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fc region'>Fc部分</span>を認識"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fc receptor'>Fc受容体</span>シグナルが<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='spleen tyrosine kinase (SYK)'>脾チロシンキナーゼ</span>(SYK)を活性化"]
    C --> D["マクロファージが抗体付着血小板を<br>貪食・破壊"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fostamatinib'>フォスタマチニブ</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prodrugs'>プロドラッグ</span>)"] --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>R406がSYKの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ATP-binding site'>ATP結合部位</span>を阻害"]
    F -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fc receptor'>Fc受容体</span>シグナルを遮断"| C
    F --> G["血小板の貪食・破壊が抑制される"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='platelet count'>血小板数</span>が上昇する"]

💡 標的は血小板でも骨髄でもなく「マクロファージ側の認識・実行機構」。 受容体作動薬が骨髄のを刺激して産生を底上げするのに対し、は脾臓・肝臓のマクロファージが自己抗体付着血小板を“見つけて食べる”シグナル伝達そのものを止める。産生を増やさなくても、壊される速度を落とせばは上がる、という発想5。

薬物動態

項目 値・特徴
剤形 (経口)
R406(SYK阻害の主体)
半減期 R406で約15時間
代謝 主に。強い阻害薬・との相互作用に注意

適応

いずれも成人の()だが、病期の書き方と「前治療」の要件が地域で違う。

地域 承認された適応
他の治療に抵抗性の成人の慢性ITP4
日本 持続性及び慢性。効能・効果に関連する注意で「他の治療にて十分な効果が得られない場合、又はに問題があると考えられる場合」「・からみて出血リスクが高いと考えられる場合」に限る1
米国 前治療への反応が不十分であった成人の慢性における血小板減少の治療6

⚠️ 米国の適応は「a previous treatment」であって「複数の前治療」ではない。 承認書の文言は前治療1回以上を求めているだけで、受容体作動薬やリツキシマブを試したことを条件にしていない6。の組入れ例が多剤既治療だったこと(前治療数の中央値3)と、承認された適応の範囲は別のことである。

用法・用量

は100mgを1日2回する。4週間後、目標とする(5万/μL以上)に達していなければ、安全性に問題がない範囲で150mgを1日2回へ増量する。1日300mgを超えない54。

  • 減量は300→200→150→100mg/日の順に1段階ずつ行い、100mg/日未満が必要になったら中止する5
  • ⭐ 12週間投与しても臨床的に重要な出血を避けるのに十分なに達しなければ中止する。 3地域とも同じ12週の打ち切り規定を置くが、語調は米国・が「中止する」、日本の電子添文が「投与中止を考慮すること」である541
  • 日本の電子添文は、1日2回投与では8時間を目安に間隔を空けること、が250,000/μLを超えたら減量又はすることを追加で定めている1

実際のは施設のプロトコル・各国の添付文書で確認する。

禁忌・注意

⚠️ 「禁忌なし」は米国の添付文書に限った話である。 米国添付文書の4項は逐語で「なし」だが5、と日本は2項目ずつ禁忌を挙げている。

地域 禁忌
または添加剤に対する過敏症/妊娠4
日本 本剤の成分に対する過敏症の既往歴/妊婦又は妊娠している可能性のある女性1
米国 禁忌の項に「なし」と記載5

💡 米国も妊娠を安全と考えているわけではない。 米国添付文書はを(5.5)に置き、投与前の妊娠検査と、治療中および最終投与後1か月間の確実な避妊を求めている5。上の区分(禁忌かか)が違うだけで、臨床的な扱いは3地域とも「妊娠中は使わない」で一致している。

そのほかの注意。

  • ⚠️ 高血圧(米国28%・日本21.2%、は米国1%・日本0.6%)。血圧が安定するまで2週ごとに測定し、安定後は米国添付文書では月1回とする5。対応は血圧の段階で決まるが、⚠️ どの血圧から動き出すかが地域で違う。
    • ⚠️ と米国の表は 130/80 台から始まる。 表の最初の行は Stage 1(収縮期130〜139 mmHg または拡張期80〜89 mmHg) で、心血管リスクの高い患者ではこの段階でを開始・増量し、8週間を過ぎても血圧目標に達しなければ本剤を1段階減量すると定めている45。日本の電子添文7.5の表は収縮期140 mmHg以上又は拡張期90 mmHg以上が最初の段で、130/80台の段は無い(文書全体で130 mmHgという数値が出てこない)1。⭐ 「140/90から対応が始まる」と覚えると、・米国が求めている前倒しの介入がまるごと落ちる。
    • ⚠️ 160/100 は・米国では独立した段ではない。 と米国では 140/90 も 160/100 も 同じ Stage 2(収縮期140 mmHg以上 または拡張期90 mmHg以上)の行の中の箇条で、「140/90 mmHg以上が8週間を超えて続けば1段階減量」「160/100 mmHg以上が積極的な療法にもかかわらず4週間を超えて続けばまたは中止」と週数で線を引く45。日本の電子添文は160/100を独立した段として立てるが、どちらの段についても「適切な療法にもかかわらず、血圧をコントロールできない場合は減量又は(160/100以上では)」とするだけで、期間を数字で示していない1
    • ⚠️ 最上段の定義も違う。と米国は収縮期180 mmHg超かつ/または拡張期120 mmHg超をとする45のに対し、日本の7.5の表は収縮期180 mmHg以上又は拡張期110 mmHg以上とだけ書き、この段にという名前を付けていない(同語は11.1の重大な副作用にだけ現れる)1——拡張期の値も不等号(「超」と「以上」)も一致しない
  • ⚠️ 下痢(31%)。重度は米国1%・日本1.7%で、グレード3以上ならし、グレード1以下へ改善してから1段階下げて再開する51
  • ⚠️ 好中球減少(米国6%・日本5.6%、は米国1%・日本0.6%)と感染症(日本の電子添文で肺炎1.1%)。米国添付文書とのは好中球数を月1回、日本の電子添文は安定するまで2週ごとと、測定間隔が異なる541。の閾値は3地域とも好中球数1,000/μL(1.0×10⁹/L)未満である541。と日本はさらに、1,500/μLを超えるまで回復してから1段階下げて再開すると定める(は「72時間後もなお低値が続く場合に」と条件を添える)41
  • ⚠️ (日本17.3%)。・が基準値上限の3倍以上になった時点から・減量の判断が入り、5倍以上が続けば中止する。測定間隔も米国は月1回、日本は安定するまで2週ごと51
    • ⚠️ ここも期間の書き方が国で違う。 のと米国添付文書はどちらも「/が基準値上限の5倍以上が2週間以上持続すれば中止」と週数を示す45が、日本の電子添文は「5倍以上で持続する場合は中止」とするだけで期間を示していない1
    • ⚠️ が同時に上がっているかで扱いが変わる。 3地域とも、又はが基準値上限の3倍以上で、かつが基準値上限の2倍超なら、ではなく中止と定めている451。下に挙げる「単独の上昇なら継続」とは別の条件なので取り違えない
  • ⚠️ が上がること自体のリスク。 日本の電子添文は、の増加に伴い血栓症・血栓塞栓症のリスクが高まる可能性があるとし、血栓塞栓症の既往や素因(、欠損症など)をもつ患者はに組み入れられていないと明記している1
  • B型肝炎ウイルスキャリアおよび者(HBs抗原陰性かつHBc抗体またはHBs抗体陽性)では、の徴候に注意する1
  • 強い阻害薬の併用でR406のが増えるため減量を検討する。逆に強いとの併用は推奨されない。本剤側も・BCRP・P糖蛋白の基質(、ジゴキシン、など)の血中濃度を上げうる51
  • 18歳未満は米国添付文書で推奨されない(非で成長中の骨への影響が認められている)5

副作用

米国の2試験(本剤102例)で5%以上に生じた事象5。

頻度 内容
10%以上 下痢31%、高血圧28%、悪心19%、めまい11%、ALT上昇11%、呼吸器感染11%
5〜10% 上昇9%、発疹9%、腹痛6%、疲労6%、胸痛6%、好中球減少6%
重篤(各1%) 、下痢、肺炎、

💡 UGT1A1阻害による非抱合(間接)ビリルビン上昇は、肝障害と区別する。 日本の電子添文は、本剤がUGT1A1を阻害するためと非抱合(間接)ビリルビンが上昇しうると「臨床検査結果に及ぼす影響」の項に置いている1。米国添付文書はさらに踏み込んで、他の肝機能検査値の異常を伴わない単独の上昇なら頻回のモニタリングをしながら投与を継続すると表に明記している5。

まとめ

  • は(SYK)阻害薬で、R406がマクロファージのシグナルを遮断し、自己抗体付着血小板の貪食・破壊を抑える。
  • 受容体作動薬(産生を増やす)・リツキシマブ(産生源を減らす)とはが異なり、の実行段階を止めるという第三のアプローチをとる。ASH 2026 は、受容体作動薬とリツキシマブが適さないか本人が選ばない場合の選択肢としてSYK阻害薬を提案している(条件付き推奨・確実性は非常に低い)。2019年版では推奨の対象外だった。
  • 適応は成人だが病期の書き方が地域で違う。米国・は慢性、日本は持続性及び慢性。米国の適応要件は前治療1回以上で、複数回の前治療や特定の薬剤の失敗を条件にしていない。
  • 開始100mgを1日2回、4週後に必要なら150mgを1日2回へ増量(1日300mgを超えない)。12週間で十分なに達しなければ中止するという打ち切り規定が3地域とも置かれている。
  • ⚠️ 「禁忌なし」は米国の書き方にすぎない。 と日本は過敏症と妊娠を禁忌に挙げる。米国もをに置き、避妊を求めている。
  • 高血圧・下痢・好中球減少・が高頻度で、いずれも血圧・血算・肝機能の定期測定と段階的な減量規定に結びついている(測定間隔は米国・が月1回、日本が安定するまで2週ごと)。・中止の閾値は好中球数1,000/μL未満、/が基準値上限の5倍以上の持続、あるいは3倍以上かつ2倍超。⚠️ 数値そのものはおおむね揃うが、線引きは3地域で完全には一致しない——の拡張期は・米国が120 mmHg「超」・日本が110 mmHg「以上」、高血圧と肝障害で中止に至る期間(8週・4週・2週)はと米国だけが数字で示している。
  • ⚠️ 血圧への介入が始まる高さが違う。 ・米国の表は Stage 1(収縮期130〜139 mmHg または拡張期80〜89 mmHg)から始まり、心血管リスクの高い患者ではこの段階でを開始し、8週間で目標に達しなければ本剤を減量する。日本の表は140/90 mmHg以上が最初の段で、130/80台の段を置いていない。「140/90から」と一律に覚えない。
  • 日本での正式な一般的名称はホスタマチニブナトリウム物で、本サイトの表記「」とは頭字が違う。国内資料を探すときは両方で引く。
  • 併用の安全性は確立していない。のは阻害薬・受容体作動薬・リツキシマブとの併用が検討されていないと明記する。

出典

  1. 1.タバリス錠100mg/タバリス錠150mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(キッセイ薬品工業)・2026)冒頭の作成又は改訂年月が2026年5月改訂(第5版)である電子添文で、一般的名称が「ホスタマチニブナトリウム水和物錠」・有効成分の一般的名称が「ホスタマチニブナトリウム水和物(Fostamatinib Sodium Hydrate)(JAN)」であり用法・用量も「ホスタマチニブとして初回投与量100mg」と書かれていること(本サイトの表記「フォスタマチニブ」とは頭字が異なる)、効能・効果が「持続性及び慢性免疫性血小板減少症」であること、禁忌が成分への過敏症の既往と妊婦又は妊娠している可能性のある女性の2項目のみで疾患名は挙がっていないこと、7.5の用量調節表の高血圧が収縮期140mmHg以上又は拡張期90mmHg以上・収縮期160mmHg以上又は拡張期100mmHg以上・収縮期180mmHg以上又は拡張期110mmHg以上の3段階で、EU・米国の表にあるStage 1(収縮期130〜139mmHg又は拡張期80〜89mmHg)に相当する段が無いこと(2026-09-13に本文を再取得し、文書全体で「130mmHg」が0件であることを確認した)、いずれの段も「適切な降圧療法にもかかわらず血圧をコントロールできない場合」とするだけで期間を数字で示していないこと、最上段に高血圧クリーゼという名称を与えておらず(同語は11.1.2の重大な副作用にのみ現れる)その拡張期がEU・米国の「120mmHg超」と一致しないこと、好中球数1,000/μL未満で休薬し1,500/μL超まで回復したら1段階下げて再開すること、AST又はALTが基準値上限の3倍以上かつ総ビリルビンが基準値上限の2倍超なら中止すること、8項が血小板数・血圧・好中球数・肝機能検査をいずれも安定するまで2週ごとに実施すると定めていること、血小板数が250,000/μLを超えたら減量又は休薬すること、血小板数の増加に伴い血栓症・血栓塞栓症のリスクが高まる可能性があり血栓塞栓症の既往や素因のある患者は臨床試験に組み入れられていないこと、B型肝炎ウイルスキャリア・既往感染者では再燃の徴候に注意すること、重大な副作用として重度の下痢1.7%・高血圧21.2%・高血圧クリーゼ0.6%・好中球減少5.6%・発熱性好中球減少症0.6%・肺炎1.1%・肝機能障害17.3%が挙げられていることを確認した。閲覧 2026-09-08
  2. 2.American Society of Hematology 2026 Guidelines for Immune Thrombocytopenia (ITP)—Initial and Second-Line Therapy in Adults with Primary ITP(American Society of Hematology・2026)全57頁の本文PDFを取得して確認した。推奨2aが「副腎皮質ステロイド(±IVIG)による初回治療の後になお追加治療を要する成人の原発性ITPに血小板産生刺激薬(thrombopoietic agent)を推奨する(強い推奨・エビデンスの確実性は中)、またはリツキシマブを提案する(条件付き推奨・確実性は低)」、推奨2bが「そのうち血小板産生刺激薬・リツキシマブが適さないか本人が選ばない患者にBTK阻害薬・ミコフェノール酸モフェチル・SYK阻害薬を提案する(条件付き推奨・確実性は非常に低い)」であること。推奨2bのRemarksが、対象集団における現在の根拠は間接的すぎてこの3者を確定的に順位付けできないとし、副作用プロファイル・費用・入手可能性・共有意思決定で選ぶとしていること、またアザチオプリンは利益と害の釣り合いが劣るのでこの3者と同等ではないが低コスト・世界的な入手可能性・妊娠中の安全性から有用な場面があるとしていること。パネルが多群比較でアバトロンボパグ・エルトロンボパグ・ヘトロンボパグ・ロミプロスチム・遺伝子組換えヒトトロンボポエチンを互換として扱っていること。Table 1で2019年版の推奨5・6・7・8・9が撤回され本版の推奨1・2に置き換えられたこと。脾摘はGood Practice Statementsの章で扱われ、①至適用量・至適期間で複数の薬物療法に不応または不耐、②長期の薬物治療を避けたい、③重度の血小板減少に緊急の治療を要し薬物療法への反応が不十分、の3つはその章の背景の段に置かれた記述であって、good practice statement 本体は「可能なら診断後少なくとも1年は延期する」と「術前2週以上前の適切な予防接種・抗菌薬予防と生涯にわたる敗血症および血栓症のリスクの説明・発熱時の教育・術後は少なくとも年1回の追跡」の2本であること。本文中で「fostamatinib」が現れるのは参考文献4件の題名だけであること。⚠️ 出版社サイトは今回も403で、読んだのはInternet Archiveに保存された出版社のFirst Edition版PDF(組版前の採択原稿、Tracking no ADV-2026-021269R1)であり、誌上版との異同は確認していない閲覧 2026-09-17
  3. 3.American Society of Hematology 2019 guidelines for immune thrombocytopenia(American Society of Hematology・2019)3か月以上続くITPで副腎皮質ステロイド依存または無効の成人について、リツキシマブを脾摘より、TPO受容体作動薬をリツキシマブより優先する推奨(いずれも条件付き推奨・エビデンスの確実性は非常に低い)を全文で確認した。あわせて、本版の推奨が扱う第二選択治療が脾摘・TPO受容体作動薬・リツキシマブの3つに限られ、フォスタマチニブが推奨の対象外であること、今後の研究課題の節で「主に三次治療の場面で検討されてきた薬剤であり第二選択薬としての位置づけは確立していない」と述べられていることを確認した。⚠️ これらの第二選択の推奨は2026年版で撤回・置換されている。閲覧 2026-09-08
  4. 4.TAVLESSE 100 mg film-coated tablets, TAVLESSE 150 mg film-coated tablets — Summary of Product Characteristics (Annex I)(European Medicines Agency・2024)EUの製品概要(初回承認2020年1月9日。本文10項の「改訂年月」欄は空欄なのでEPARページの製品情報の最終更新2024年12月2日をyearの根拠にした)で、適応が「他の治療に抵抗性の成人の慢性ITP」であること、4.3の禁忌が有効成分・添加剤への過敏症と妊娠の2項目のみで、疾患名は1つも挙がっていないこと(したがってcontraindicatedDiseasesに入れる相手がいない)、4.2の用量調節表(Table 2)の高血圧の行が3段で、第1段がStage 1(収縮期130〜139mmHg又は拡張期80〜89mmHg。心血管リスクの高い患者で降圧薬を開始・増量し、8週間後に血圧目標に達していなければ本剤を1段階減量する)、第2段がStage 2(収縮期140mmHg以上又は拡張期90mmHg以上。140/90mmHg以上が8週間を超えて続けば1段階減量、160/100mmHg以上が積極的な降圧療法にもかかわらず4週間を超えて続けば休薬又は中止)、第3段が高血圧クリーゼ(収縮期180mmHg超かつ/又は拡張期120mmHg超)であること、すなわち160/100は独立した段ではなくStage 2の中の箇条であること、好中球数が1.0×10⁹/L未満へ低下し72時間後もなお低値なら休薬し1.5×10⁹/L超へ回復してから1段階下げて再開すること、AST又はALTが基準値上限の3倍以上かつ総ビリルビンが基準値上限の2倍超なら中止すること、他の肝機能検査異常を伴わない非抱合(間接)ビリルビン単独の上昇なら頻回の監視のもと継続すること、4.6が妊娠中は禁忌で妊娠が判明したら中止・授乳は治療中および最終投与後1か月間中止とすること、4.5がJAK阻害薬・TPO受容体作動薬・リツキシマブなど免疫調節薬との併用は検討されていないと明記していること、第III相2試験の組入れ例150例の前治療が副腎皮質ステロイド94%・免疫グロブリン53%・TPO受容体作動薬48%で前治療数の中央値が3(範囲1〜14)・35%が脾摘後であったこと、主要評価項目である安定した血小板反応(14〜24週の6回の来院のうち4回以上で5万/μL以上)が統合解析で本剤17%対プラセボ2%であったことを確認した。閲覧 2026-09-08
  5. 5.TAVALISSE (fostamatinib disodium hexahydrate) tablets, for oral use — Prescribing Information(U.S. National Library of Medicine, DailyMed(Rigel Pharmaceuticals)・2020)文書内の改訂表示が2020年11月である米国添付文書で、活性代謝物R406がB細胞受容体・Fc活性化受容体のシグナル伝達を阻害し抗体依存性の血小板破壊を減らすという機序、開始用量100mgを1日2回・4週後に必要なら150mgを1日2回へ増量する用法、300→200→150→100mg/日という減量順序と100mg/日未満が必要なら中止する規定、12週間投与しても臨床的に重要な出血を避けるのに十分な血小板数に達しなければ中止するという2.5項、4項の禁忌が「なし」と記載されていること、血圧を安定するまで2週ごと・その後は月1回、肝機能検査と好中球数を月1回測定する規定、R406の終末相半減期が約15時間であること、二重盲検2試験(本剤102例)の頻度が下痢31%・高血圧28%・悪心19%・浮動性めまい11%・ALT上昇11%・呼吸器感染11%・AST上昇9%・発疹9%・好中球減少6%であること、同じ試験で救援療法を要した患者が本剤30%・プラセボ45%、出血の発現が本剤29%・プラセボ37%であったことを確認した。2026-09-13に同じsetidをopenFDAのAPI(api.fda.gov/drug/label.json)で引き直し、製品名TAVALISSE・企業名Rigel Pharmaceuticals, Inc.であること、4項の禁忌が現在も「None.」であること、血圧を安定するまで2週ごと・その後月1回/好中球数を月1回とする規定、好中球数が1.0×10⁹/L未満へ低下した場合に休薬・減量・中止とすること、用量調節表(Table 2)の高血圧の行が3段で、第1段がStage 1(収縮期130〜139mmHg又は拡張期80〜89mmHg。心血管リスクの高い患者で降圧薬を開始・増量し、8週間後に血圧目標に達していなければ本剤を1段階減量する)、第2段がStage 2(収縮期140mmHg以上又は拡張期90mmHg以上。140/90mmHg以上が8週間超で1段階減量、160/100mmHg以上が積極的な降圧療法にもかかわらず4週間超で休薬又は中止)、第3段が高血圧クリーゼ(収縮期180mmHg超かつ/又は拡張期120mmHg超)であること、すなわち160/100は独立した段ではなくStage 2の中の箇条であること、肝毒性でAST/ALTが基準値上限の5倍以上のまま2週間以上持続すれば中止とすることを確認した。⚠️ このAPI応答のSPLはversion 11・effective_time 20251105で、本文に印刷された改訂表示(Revised)の文字列は応答に含まれない。DailyMedのサイトは同日に名前解決できず、yearが依拠している「2020年11月」の改訂表示を今回は再確認できていない。閲覧 2026-09-08
  6. 6.NDA 209299 Approval Letter — TAVALISSE (fostamatinib disodium hexahydrate) tablets(U.S. Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research・2018)2018年4月17日を発効日とする承認書で、TAVALISSEが「前治療への反応が不十分であった成人の慢性免疫性血小板減少症(ITP)における血小板減少の治療」を適応として承認されたことを確認した。原文は前治療を1回(a previous treatment)と書いており、複数回の前治療を要件としていない。閲覧 2026-09-08