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Drug Atlas · B3 Other / その他 · 必修

フォスタマチニブ

fostamatinib

分類
Kinase inhibitors / キナーゼ阻害薬
商品名(日本)
タバリス
商品名(EU)
Tavlesse
科目
Pharmacology
トピック
B3: Agents used in anemias
承認適応
免疫性血小板減少症(ITP)
副作用
下痢悪心めまい
監視検査値
血小板数
影響検査値
アミノトランスフェラーゼ

🧠 全体像は、=血小板の産生を増やす)やリツキシマブ(B細胞除去=自己抗体の産生源を減らす)とは異なり、血小板が壊される最後の段階そのものを止めるという第三の発想の薬である。を阻害してマクロファージのFc受容体シグナルを遮断し、抗体が付着した血小板が貪食される過程を妨げる——「作る・減らす・壊させない」という3つのアプローチが慢性ITP治療に揃っていることを理解する軸になる。

薬効群の中での位置づけ

慢性ITPの第二選択治療の中で、は血小板破壊の実行段階を狙う唯一のである。

薬剤 アプローチ 機序 特徴
産生を増やす TPO受容体作動 第二選択の中で優先度が高い1
リツキシマブ 産生源を減らす 抗CD20によるB細胞除去 効果は一部持続するが再発もありうる
破壊を止める SYK阻害→Fc受容体シグナル遮断 TPO-RA・リツキシマブ不応例の追加選択肢2

「血小板を増やす」薬と「血小板を壊させない」薬はが違うため、併用や順次投与の余地がある。 ・リツキシマブが効かない、あるいは効果が減弱した例で、は異なるからアプローチできる追加の選択肢になる。

機序

flowchart TD
    A["血小板膜糖蛋白に対する自己抗体が<br>血小板表面に結合"] --> B["脾臓・肝臓のマクロファージの<br>Fc受容体が抗体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fc region'>Fc部分</span>を認識"]
    B --> C["Fc受容体シグナルが<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='SYK'>脾チロシンキナーゼ</span>を活性化"]
    C --> D["マクロファージが抗体付着血小板を<br>貪食・破壊"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fostamatinib'>フォスタマチニブ</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prodrugs'>プロドラッグ</span>)"] --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>R406がSYKの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ATP-binding site'>ATP結合部位</span>を阻害"]
    F -.->|"Fc受容体シグナルを遮断"| C
    F --> G["血小板の貪食・破壊が抑制される"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='platelet count'>血小板数</span>が上昇する"]

💡 標的は血小板でも骨髄でもなく「マクロファージ側の認識・実行機構」。 が骨髄のを刺激して産生を底上げするのに対し、は脾臓・肝臓のマクロファージが自己抗体付着血小板を“見つけて食べる”シグナル伝達そのものを止める。産生を増やさなくても、壊される速度を落とせばは上がる、という発想3

薬物動態

項目 値・特徴
剤形 (経口)
R406(SYK阻害の主体)
半減期 R406で約15時間
代謝 主にCYP3A4。強いCYP3A4阻害薬・との相互作用に注意

適応

複数の前治療(副腎皮質ステロイド、など)に反応不十分な成人の持続性・慢性における血小板減少の治療2

用法・用量

開始用量は100mgを1日2回する。4週間後、が5万/μL未満であれば150mgを1日2回へ増量できる(最大300mg/日)。の問題が生じた場合は300→200→150→100mg/日の順に段階的に減量し、それでも管理できなければ中止する。実際のは施設のプロトコル・添付文書で確認する3

禁忌・注意

  • 特定の禁忌は定められていない3
  • ⚠️ 高血圧が高頻度に出現するため、投与開始後は2週ごとに血圧を測定し安定後は月1回に切り替える。 必要に応じてを導入・調整する
  • ⚠️ 下痢が高頻度(約31%)にみられ、重度例(約1%)では・減量・中止を要することがある
  • 値異常(ALT・AST上昇)が生じうるため、投与前後で月1回程度の肝機能モニタリングを行う
  • 強いCYP3A4阻害薬との併用ではが増加するため減量を検討する

副作用

頻度 内容
高頻度 下痢(約31%)、高血圧(約28%)、悪心(約19%)、めまいALT・AST上昇、
注意 好中球減少
重篤・まれ 重度の下痢、重篤な肝障害、重度の高血圧

まとめ

  • 阻害薬で、R406がマクロファージのFc受容体シグナルを遮断し、自己抗体付着血小板の貪食・破壊を抑える。
  • (産生を増やす)・リツキシマブ(産生源を減らす)とはが異なり、血小板破壊の実行段階を止めるという第三のアプローチをとる慢性ITPの第二選択治療。
  • 複数の前治療に反応不十分な成人の持続性・慢性ITPに承認されており、TPO-RA・リツキシマブ不応例の追加選択肢となる。
  • 開始100mg1日2回、4週後に必要なら150mg1日2回へ増量(最大300mg/日)。
  • 高血圧・下痢・肝値異常が高頻度の副作用で、血圧・肝機能の定期モニタリングが必須。

出典

  1. 1.FDA Approves Fostamatinib for Chronic Immune Thrombocytopenia(OncLive・2018)SYK阻害薬フォスタマチニブは2018年4月17日、前治療に反応不十分な成人慢性ITPの治療薬としてFDA承認された。閲覧 2026-08-10
  2. 2.TAVALISSE (fostamatinib disodium hexahydrate) tablets, for oral use — Highlights of Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)・2018)フォスタマチニブの活性代謝物R406がFc活性化受容体・B細胞受容体シグナルを阻害し抗体依存性の血小板破壊を減らすという機序、開始用量100mg1日2回・4週後に必要なら150mg1日2回へ増量・最大300mg/日という用法、忍容性低下時は300→200→150→100mg/日の順に減量する規定、禁忌が特に定められていないこと、活性代謝物R406の半減期が約15時間であること、下痢(31%)・高血圧(28%)・悪心(19%)・めまい(11%)・ALT/AST上昇などの高頻度副作用を確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.American Society of Hematology 2019 guidelines for immune thrombocytopenia(American Society of Hematology・2019)持続性・慢性ITPの第二選択治療において、トロンボポエチン受容体作動薬をリツキシマブ・脾摘より優先する序列を確認した(フォスタマチニブはこの序列に次ぐ追加選択肢として位置づけられる)。閲覧 2026-08-10