泌尿器科学

泌尿器科学 · N-01

泌尿器科腫瘍における抗腫瘍薬の分類

Groups of antineoplastic drugs in urology

前提:病態
抗がん薬I(代謝拮抗薬)抗がん薬II(DNA標的細胞傷害性薬)抗がん薬III(トポイソメラーゼ阻害薬・紡錘体阻害薬)アンドロゲン・蛋白同化ステロイド・抗アンドロゲン薬・性機能作用薬
薬剤
カボザンチニブパゾパニブフルタミド

🧠 全体像:で用いるな細胞傷害性は、作用機序から「架橋・損傷薬」「」「」「」と便宜的に整理できる。現在の薬物療法はこれらに、分子標的薬、、などを組み合わせる。のように古典的化学療法への感受性が低い腫瘍と、のようにシスプラチンで高い治癒率が得られる腫瘍が併存する点が特徴である。12

細胞傷害性抗腫瘍薬の作用機序別分類

分類 代表薬
(類縁) 架橋 シスプラチン
鎖切断
類縁の 架橋 (mitomycin C)
メトトレキサート
(fluorouracil)
、
、
、

⚠️ 原資料は「」の項にとを「型」として並べているが、これは簡略化した分類である。現在の一般的な薬理分類では、は()を介して鎖を切断する「」に分類され、厳密なではない。はで活性化されてを・架橋するため「類縁の」として扱われることが多い。またシスプラチンなどのも、鎖内・を形成する点でに機序が類似するが、教科書によっては独立したカテゴリーとして扱われる。試験対策としては「架橋・損傷を起こす薬剤群」として大きくまとめて理解するとよい。

泌尿器腫瘍別の代表的な抗腫瘍薬レジメン

腫瘍
古典的化学療法への感受性は低い。転移性では同士、または+-の併用が一次治療の中心1
腎盂・尿管腫瘍 +シスプラチン、または M-VAC(メトトレキサート・・・シスプラチン)
非:TURB後の(など)または。:シスプラチン適格例では術前シスプラチンを検討し、高リスク例の術後治療は病理所見・歴に応じて選択3
前立腺癌 転移性去勢感受性癌ではADTに、などの、または適格例でを組み合わせる。、など第一世代を用いる旧来の整理だけでは不十分4
(・・シスプラチン)が標準的なシスプラチンベース化学療法。病期・予後群と適否に応じてコース数やEP・VIPなどの代替を選ぶ2
、メトトレキサート、、、シスプラチン

💡 レジメンの略号は「頭文字=薬剤」の対応で覚える:M-VAC(Methotrexate・Vinblastine・Adriamycin=・Cisplatin)、BEP(Bleomycin・Etoposide・Cisplatin)。PVB(Cisplatin・Vinblastine・Bleomycin)は歴史的レジメンであり、現在のではを中心に理解する。2

⚠️ 本レジメン一覧はなの分類であり、現在の実臨床では以下の点をアップデートして理解する必要がある。

  • :2やなどの古典的サイトカイン免疫療法は現在ほぼ用いられない。現行の標準治療は、/経路を阻害する(:、、など)と、(、、など)の併用が中心である。1
  • ・進行:シスプラチン適格のでは術前シスプラチンが基本であり、後の高リスク例では病理所見と歴に応じてなどの術後治療を検討する。3
  • 前立腺癌:における、などのは、になってからの「」に限られない。転移性去勢感受性前立腺癌の段階からと併用して治療強化するのが標準である(詳細はN-08:の治療を参照)。4

化学療法の投与目的(根治的・術前・術後補助・)や、レジメン設計のは Oncology I-22:化学療法の基礎 を参照すると理解しやすい。

まとめ

  • 泌尿器腫瘍のな細胞傷害性は、架橋・損傷薬、、、として便宜的に整理できる。
  • は化学療法・放射線療法に抵抗性で、・免疫療法が主体となる一方、はシスプラチンベースの(等)で高い治癒率が得られる。
  • M-VAC、、PVBなどのレジメン名は構成薬剤の頭文字であり、いずれもシスプラチンを中心としたである。
  • 分子標的薬・・の登場により、・進行・前立腺癌の治療体系は原資料の時点から大きく更新されている。

出典

  1. 1.The 2021 Updated European Association of Urology Guidelines on Renal Cell Carcinoma: Immune Checkpoint Inhibitor-based Combination Therapies for Treatment-naive Metastatic Clear-cell Renal Cell Carcinoma Are Standard of Care(2021)未治療の転移性淡明細胞型腎細胞癌では、免疫チェックポイント阻害薬を含む併用療法が一次治療の標準となったことを確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.SEOM-GG clinical guidelines for the management of germ-cell testicular cancer (2023)(2024)精巣胚細胞腫瘍ではBEPがシスプラチンベース治療の中心で、病期と予後群に応じてコース数や代替レジメンを選ぶことを確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.European Association of Urology Guidelines on Muscle-invasive and Metastatic Bladder Cancer: Summary of the 2023 Guidelines(2024)筋層浸潤性膀胱癌ではシスプラチン適格例の術前化学療法を軸とし、高リスク例では術後治療を病理所見と既治療に応じて選択する現行の周術期治療を確認した。閲覧 2026-08-13
  4. 4.Initial Management of Noncastrate Advanced, Recurrent, or Metastatic Prostate Cancer: ASCO Guideline Update(2023)転移性去勢感受性前立腺癌では、アンドロゲン除去療法単独ではなくアンドロゲン受容体経路阻害薬やドセタキセルを組み合わせる治療強化が標準であることを確認した。閲覧 2026-08-13