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Disease Atlas · 循環器 · 疾患

動脈血栓塞栓症

Arterial thromboembolism

臓器系
循環器神経消化器腎・泌尿器
科目
PathologySurgeryCardiology, Heart Surgery, Angiology, Vascular Surgery
トピック
病理学 A/30:塞栓の種類外科学 G-14:血栓塞栓症と血栓予防循環器内科 B-09:下肢末梢動脈疾患の症状・診察・画像診断と糖尿病足
続発疾患
脳梗塞腸間膜虚血腎梗塞脾梗塞
関連疾患
コレステロール塞栓症静脈血栓塞栓症
治療薬
未分画ヘパリンアルテプラーゼアピキサバンワルファリンアセチルサリチル酸クロピドグレルアトルバスタチン
原因薬剤
レンバチニブソラフェニブスニチニブベバシズマブ
症状
疼痛蒼白知覚異常麻痺四肢痛
検査値
乳酸
スコア
Rutherford分類CHA2DS2-VAScスコア

🧠 全体像:は、「動脈系のどこかで血栓が形成される、またはそこから遊離した塞栓が末梢動脈を閉塞する」という単一の病態が、詰まった血管の先にある臓器によって・・・という別々の病名で呼ばれているという理解の枠組みである。で機序が大きく2つに分かれる——(心房細動・弁膜症・に由来する塞栓)と動脈原性(の破綻・動脈瘤内血栓に由来する塞栓または)——ため、原因検索と再発予防の考え方もこの2系統に沿って組み立てる。本ノートは「なぜ臓器別の病名を横断してこの枠組みで理解するか」「と動脈原性をどう見分けるか」「薬剤性のをどう捉えるか」に絞り、個々の臨床像・診断・治療の詳細は各臓器別ノートに譲る。

概念:臓器別の病名を貫く単一の病態

到達臓器 病名
脳 脳動脈
腸管 など (・動脈血栓の2病型)
腎
脾
四肢 下肢・上肢の動脈

⚠️ 「」という独立した疾患ノートは本ヴォルトにまだ無い。 四肢のは循環器内科 B-09で扱われているが、この一覧では臓器別ノートへのリンクが不完全である点に注意する。

機序:心原性と動脈原性を見分ける

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arterial thromboembolism'>動脈血栓塞栓症</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiogenic'>心原性</span>"]
    A --> C["動脈原性"]
    B --> B1["心房細動・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intracardiac thrombus'>心内血栓</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='post-MI'>心筋梗塞後</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='mural thrombus'>壁在血栓</span>など)・弁膜症"]
    C --> C1["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atherosclerotic plaque'>動脈硬化性プラーク</span>の破綻<br>→ 遠位への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='microembolism'>微小塞栓</span>・急性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thrombotic occlusion'>血栓性閉塞</span>"]
    C --> C2["動脈瘤内の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mural thrombus'>壁在血栓</span>の遊離"]
    B1 --> D["塞栓が末梢動脈を閉塞"]
    C1 --> D
    C2 --> D
    D --> E{"閉塞した血管の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='territory'>灌流域</span>は?"}
    E -->|"脳"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cerebral infarction'>脳梗塞</span>"]
    E -->|"腸間膜"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mesenteric ischemia'>腸間膜虚血</span>"]
    E -->|"腎"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal infarct'>腎梗塞</span>"]
    E -->|"四肢"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute limb ischemia'>急性下肢虚血</span>"]

心房細動の既往は塞栓性閉塞(より近位から遊離した塞栓による閉塞)を示唆する重要な手掛かりである。一方、の既往がある患者のは、動脈硬化病変の上に生じたであることが多い1。

区別の軸 動脈原性(動脈硬化性・在位血栓性)
背景 心房細動、弁膜症、 ・動脈硬化の既往
が未発達なため急激で重症 慢性狭窄へので、が発達済みのことがある
好発部位 血管分岐部(など) 既存の狭窄部位

⭐ 6P:・蒼白・・麻痺・・。疼痛が最初に出現し、虚血が遷延すると・麻痺へ進行する1。四肢ではでを評価し、感覚・運動障害の程度からを判断する。

薬剤性の動脈血栓塞栓症

⚠️ /阻害薬などの分子標的薬はのリスクを上げる。 ・・などの阻害(は米国添付文書でも動脈血栓塞栓事象をしている)や、のようなモノクローナル抗体は、この機序を共有する。進行患者13,436例を含む23試験のでは、(阻害薬・モノクローナル抗体)の使用により高gradeのリスクが有意に上昇した一方、全gradeとについては有意差を認めなかった2。

💡 なぜ阻害でが増えるのか。 は血管内皮の維持・修復に生理的に働いており、これを阻害するとが生じ、血管収縮・動脈硬化促進・・へ傾く。高齢、血栓塞栓症の既往、の既往、投与期間の長さがリスクを高める因子として挙げられる。の前後でこれらの薬剤をするのは、この機序による周術期リスクを避けるためである。

診断・急性期対応の骨格

臓器を問わず、を疑ったら画像で閉塞部位と・臓器の生存性を確認し、再灌流までの時間を最小化する。が疑われれば(心電図・心エコー、必要に応じて長時間モニタリング)を、動脈原性が疑われれば動脈硬化の評価と危険因子検索を並行する。

病型 急性期対応 再発予防
・血栓溶解などで再灌流 心房細動ならスコアでリスク評価し抗凝固(またはワルファリン)
動脈原性 (・バイパス) ・スタチンによる、危険因子(喫煙・血圧・血糖)の是正

まとめ

  • は、・・・という別々の病名で呼ばれる臓器別の病態を、「動脈系の血栓・塞栓が末梢動脈を閉塞する」という単一の機序で束ねる枠組みである。
  • (心房細動・・弁膜症由来)と動脈原性(破綻・)の2系統に分け、背景疾患とから見分ける。
  • 四肢では6P(疼痛・蒼白・・麻痺・・)とで評価する。
  • /阻害薬(・・・など)はを介してのリスクを上げ、高齢・既往歴・長期投与がリスク因子となる。
  • 再発予防はなら抗凝固、動脈原性なら・スタチン・危険因子是正が軸となる。

出典

  1. 1.Acute Arterial Occlusion(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)急性動脈閉塞(急性下肢虚血と同義)を発症から2週以内の急激な患肢灌流障害と定義し、原疾患である末梢動脈疾患を背景とする在位血栓症が最多の機序であること、心房細動の既往が塞栓性(対 血栓性)閉塞を示唆する予測因子であること、塞栓源として左心・大動脈・腸骨動脈が挙げられること、古典的な臨床像が疼痛・蒼白・脈拍消失・麻痺・知覚異常・変温性の6徴候(6 P's)で、疼痛が最初に出現し虚血遷延で知覚異常・麻痺へ進行することを確認した閲覧 2026-09-01
  2. 2.Risk of venous and arterial thromboembolic events associated with anti-VEGF agents in advanced non-small-cell lung cancer: a meta-analysis and systematic review(OncoTargets and Therapy・2016)進行非小細胞肺癌患者を対象とした23試験・13,436例のメタ解析で、抗VEGF薬(VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害薬・VEGFモノクローナル抗体)の使用が高grade動脈血栓塞栓症のリスクを有意に増加させた一方(Peto OR 1.44、95%CI 1.00-2.07、P=0.048)、全gradeの動脈血栓塞栓症、および全grade・高gradeいずれの静脈血栓塞栓症についても有意なリスク増加は認めなかったことを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得閲覧 2026-09-01