眼科学

眼科学 · ML-36

視神経乳頭腫脹と視機能

Optic disc swelling and vision

前提:正常
視覚の生理学

🧠 全体像:の腫脹は、視神経の中を流れるが乳頭のところでせき止められ、軸索が膨らむことで起こる。原因は大きく4つ——頭蓋内圧亢進による「」(真の)、虚血(。と)、炎症()、そして腫脹に見えるだけの(乳頭など)である。見分ける鍵は視力が落ちているか・片眼か両眼か・痛みと年齢。は初期に視力が保たれるが、背後にやが隠れていることがあり、命に関わる。50歳を超えた人のとでは、を必ず否定し、疑った時点でステロイドを始める。

乳頭腫脹を見つける場面

⭐ があっても視力が落ちているとは限らない。

場面 典型例
がない 定期の眼科検診や、頭痛の精査で眼底を見たら乳頭が腫れていた(で多い)
がある 見えにくさで受診し、でが見つかる(、で多い)

💡 は、腫れていても視神経の軸索そのものはしばらく働いているので、は長く保たれる。「見えているから大丈夫」ではなく、見えているうちに原因を見つけて頭蓋内圧を下げることが視力を守る。

乳頭腫脹の原因の分類

分類 病態 片眼か両眼か
真の() 頭蓋内圧亢進 ふつう両眼
() による後毛様動脈の閉塞 片眼で始まり、治療しないと反対眼に及ぶ
() 乳頭の小血管の循環不全 ふつう片眼
視神経の炎症(の乳頭型) ふつう片眼
乳頭・小さく込み合った乳頭など。本当の腫脹ではない 両眼のことが多い

⭐ という言葉は、厳密には頭蓋内圧亢進による乳頭の腫脹()だけを指す。虚血や炎症による腫れは「」と呼んで区別する。

うっ血乳頭(頭蓋内圧亢進による乳頭浮腫)

仕組み

flowchart TD
    A["頭蓋内圧が上がる"] --> B["視神経を包む<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subarachnoid space'>くも膜下腔</span>の<br>髄液圧も上がる"]
    B --> C["乳頭の後ろの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lamina cribrosa'>篩状板</span>で<br>軸索が締めつけられる"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='axonal transport'>軸索輸送</span>がせき止められ<br>軸索が膨らむ"]
    D --> E["乳頭が腫れて盛り上がり<br>縁がぼやける"]
    E --> F["静脈の還流が妨げられ<br>静脈が拡張・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tortuosity'>蛇行</span>し乳頭周囲に出血"]
    D --> G["長く続くと軸索が死に<br>萎縮性の乳頭(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='optic atrophy'>視神経萎縮</span>)へ"]

原因

原因 補足
頭蓋内の(腫瘍) 、など。を圧迫して髄液の流れを妨げることもある
静脈洞が詰まると髄液の吸収が落ち、頭蓋内圧が上がる
水頭症・ シャントを入れている人の頭痛・嘔吐・はシャント不全を疑う
・
炎症・ 髄膜炎・脳炎・膿瘍
著しい高血圧 では両眼のが起こる(高血圧)
ほかの原因をすべて除外した後の診断(後述)

⚠️ 時間との勝負である。 腫瘍・・水頭症・出血はどれも数時間〜数日で命や視力を奪いうる。を見たら「今すぐ」画像検査に回す。

硬膜静脈洞

頭蓋内の静脈血は、・・(=Galen静脈を受ける)から・を経てへ流れる。大脳の表面の皮質静脈もに注ぐ。髄液はからへ吸収されるので、静脈洞が詰まる・狭くなると髄液の吸収が落ちて頭蓋内圧が上がる。

症状と所見

症状・所見 特徴
頭痛 朝に強く、咳・・で増す
悪心・嘔吐 頭蓋内圧亢進の徴候
姿勢を変えたときに数秒間見えなくなる
視力 初期は保たれる。視野ではの拡大から始まり、進むと周辺から狭くなる
で多い
による水平の
眼底 両眼の乳頭の腫脹・隆起、縁の不鮮明、乳頭に出入りする血管が浮腫に埋もれて見えにくい、静脈の拡張、乳頭周囲の

⭐ によく伴うのはである。 は頭蓋底を長く走りの縁で折れ曲がるので、頭蓋内圧が上がると引き伸ばされて麻痺しやすい。病変の場所を示さない「偽の局在徴候」である。小児の例では、で片眼が内側へ寄り()、を隠すと患眼が正面へ向き直ってする。

重症度の分類(Frisén 分類)

の程度は、Frisén(1982年)がの障害のにもとづいて提唱した0〜5の6段階で表すことが多い。

グレード 所見の要点
0 正常
1 乳頭の鼻側・上下にC字形の浮腫の輪が現れ、耳側は保たれる。の放射状の模様が乱れる
2 浮腫の輪が乳頭を全周で取り囲み、鼻側の縁が盛り上がる
3 乳頭の径が大きくなり、乳頭から出ていく主な血管の一部が縁で浮腫に埋もれて見えなくなる
4 乳頭全体が盛り上がり、乳頭の上で主な血管の一部が完全に埋もれる
5 乳頭がドーム状に前方へ突出し、乳頭上の血管の多くが埋もれる

💡 グレードは「血管がどこまで浮腫に隠れるか」で上がる、と覚えるとよい。経過観察では、グレードと視野の変化を合わせて判断する。

経過

頭蓋内圧が下がると乳頭の腫脹は時間をかけて引き、乳頭の縁が再びくっきり見え、乳頭に出入りする血管も追えるようになる。腫脹が長く続くと軸索が失われ、乳頭は平らになる一方で色が白くなり(萎縮性の乳頭)、が残る()。

なぜ重大なのか

  1. 命に関わる病気の徴候のことがある。
  2. 緊急の治療が必要なことがある。
  3. 重い、さらには完全な失明に至ることがある。

💡 眼底は、脳の圧を外から直接のぞける唯一の「窓」である。

特発性頭蓋内圧亢進症

IIH は、画像で原因が見つからないのに頭蓋内圧が高い病気である。髄液のが想定されている。肥満のあるの女性に典型的に起こり、女性・・BMI 30超を満たすものを典型的IIHと呼ぶ1。

診断

要素 内容
両眼の
以外のは通常ない。ほかのがあれば別の診断を考える1
画像 24時間以内に緊急でMRIを撮り、撮れなければCTを先に撮ってからMRIを追加して、腫瘍・水頭症などを除外する。さらに、24時間以内にCTまたはでを除外する1
画像が正常なら全例に行い、でを測る。髄液の細胞・蛋白・糖は正常。は25 cmH2O超を求める1

⚠️ かかに迷うときは、などの侵襲的な検査の前に、経験のあるに早く相談する1。

治療

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='idiopathic intracranial hypertension (IIH)'>特発性頭蓋内圧亢進症</span>と診断"] --> B{"視機能が急に<br>低下しつつあるか"}
    B -->|"低下していない"| C["減量が唯一の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='disease-modifying therapy'>疾患修飾療法</span><br>BMI 30超の全例に早期に助言"]
    C --> D["必要なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetazolamide'>アセタゾラミド</span><br>頭痛の管理"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='papilledema'>乳頭浮腫</span>のグレードと<br>視野で定期的に経過を見る"]
    B -->|"低下している"| F["視力を守る急性期の治療は外科的<br>髄液短絡術・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='optic nerve sheath fenestration'>視神経鞘開窓術</span>"]
    F --> G["手術を準備する間の一時しのぎに<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lumbar vertebrae'>腰椎</span>ドレナージ"]
治療 要点
減量 典型的IIHで唯一の1
症状のある人に処方してよいが、根拠は限られる。軽度のの例を対象にした無作為化試験 IIHTT では、減量食にを加えるとだけより視野がわずかに改善し、生活の質も改善した1
視機能が低下しつつあるときは手術で視力を守る。髄液短絡術(英国ではを優先)、1
副腎皮質ステロイド 劇症型への使用は根拠がなく推奨されず、長期投与は体重増加のため勧められない1
管理の方法としては推奨されない1

巨細胞性動脈炎

GCA は、大血管と中型血管の肉芽腫性の炎症である。

項目 内容
原因 不明( VZV との関連が議論されている)
人口10万あたり10〜50
年齢 50歳を超えた人に起こる
重い合併症 心筋梗塞、、脳卒中、両眼の完全な失明
別名 頭蓋動脈炎、、Horton病(1930年代に Horton らがの動脈炎として報告)

侵される血管

のほか、(とその枝の後毛様動脈・)、、、など、との枝が侵される。

血管の断面では、内膜が著しく厚くなって内腔が狭まり、の近くに、リンパ球・好酸球などの炎症細胞が集まる。生検の組織では、厚く肥厚した壁の中に小さく押しつぶされた内腔が残り、強拡大で壁全層に炎症細胞と巨細胞が浸潤している(組織の詳細は(、HE染色))。

動脈炎性前部虚血性視神経症

後毛様動脈が閉塞するとが梗塞に陥る。眼底では、乳頭が蒼白(白墨のような白さ)に腫脹するのが特徴である。重いを起こし、閉塞を伴うこともある。

症状

全身症状 特異的な症状
新しく始まった頭痛 頭皮の圧痛(髪をとかすと痛い)
体重減少(5〜6 kg) (噛んでいると顎が痛くなり休むと治まる)
感
疲労 (数分間片眼が見えなくなる。失明の前触れ)
発熱 (、)
虚血
脳卒中

は、両肩・頸・腰・・大腿の痛みと、とくに、関節の動きの制限、上腕の圧痛を起こし、や膝のこわばり、初期の・疲労・食欲低下・体重減少・抑うつを伴うこともある。よく引用される数字では、の約50%にがあり、の約15%(報告により約10〜20%)にが見つかる。

⚠️ は、では失明の直前のである。 50歳超の・・新しい頭痛は、その日のうちに炎症反応を調べてステロイドを検討する。

検査

検査 所見
血液 CRP と ESR の上昇
の超音波 血流の信号を示す内腔の周りを、黒っぽいの壁の肥厚が輪のように取り囲む()
MRI 血管壁の肥厚と
組織() 、の、
  • 大型血管炎の疑い診断は、画像または組織で確かめる2。欧州ではの超音波が生検の代わりになりうると考えられるようになった。
  • 米国のガイドラインは、超音波がに依存し米国では経験が乏しいことを理由に、生検を優先することを条件付きで勧めている3。
  • 生検は片側でよく、1 cm を超える長さを採り、を始めてから2週間以内に行う3。

⚠️ 生検や超音波の結果を待ってステロイドの開始を遅らせてはならない。 ステロイド開始後でも2週間以内なら生検の所見は残る3。

治療

⚠️ 治療の目的は、反対眼の失明を防ぐことである。 一度失われた視力はほとんど戻らない。

項目 な処方の一例 現行のガイドライン
視力障害がある場合 1000 mg/日を3日間静注し、続けて500 mg/日を3日間 視力が脅かされている新規診断例では、500〜1000 mg/日を3〜5日間静注するを高用量経口より優先することを条件付きで推奨3
視力障害がない場合 — 高用量の(換算40〜60 mg/日)を直ちに開始する2
その後 し、約1年間治療を続ける する。ステロイドの至適な治療期間は確立しておらず、臨床経過・副作用・・患者の希望で決める3
ステロイドを減らす薬 に切り替える 切り替えではなくステロイドに併用する。米国のガイドラインは新規診断例でとの併用を単独より条件付きで推奨し、メトトレキサート併用やステロイド単独も選択肢とする。頭蓋症状でしたらを加える3。欧州のガイドラインは難治・例やステロイドの有害事象の危険が高い例に併用し、メトトレキサートを代替としてよいとする2

💡 「どこで治療するか?」——大量のステロイド静注は、血糖・血圧・感染・精神症状の管理が必要なので、原則として入院で行う。

非動脈炎性前部虚血性視神経症

の多くは、動脈炎を伴わない NAION である。

項目 内容
症状 突然の痛みのない片眼の・(下半分または上半分が欠けるが典型)
眼底 乳頭の腫脹(全体または一部)。とはと似る
炎症反応 CRP・ESR は上がらない
原因 従来は動脈硬化とされてきた。現在は、乳頭が小さく陥凹がない「込み合った乳頭」に、高血圧・糖尿病・睡眠時無呼吸などの血管の危険因子や夜間の低血圧が重なって起こる、乳頭の小血管の循環不全と考えられている
予後 より良い。反対眼に起こることは少ないが、ないわけではない
治療 効果の確立した治療はなく、危険因子を管理する

動脈炎性と非動脈炎性の比較

年齢 50歳超、多くは70歳前後 多くは50歳以上
全身症状 頭痛・・・体重減少 ない
が多い まれ
重い(程度まで落ちることも) 軽〜中等度が多い
乳頭 蒼白な腫脹 充血性またはの腫脹
炎症反応 著明に上昇 正常
反対眼 治療しないと数日〜数週で侵されうる 侵されることは少ない
治療 緊急の大量ステロイド 危険因子の管理

乳頭炎

は、のうち炎症が乳頭にあって乳頭が腫れる型である。炎症が眼球より後ろにあれば乳頭は正常に見え、と呼ぶ()。

項目 内容
訴え 見えにくさ
症状 、()、の異常(赤が薄く見える)、眼を動かすときの痛み
瞳孔 片眼なら RAPD が陽性()
眼底 乳頭の腫脹と縁の不鮮明。はほかの原因の腫脹とよく似ていて、原因を特定できない
原因 感染後、。ほかに、
治療 ステロイドが勧められる(使い方は下の⚠️)
予後 予測しにくい

💡 眼底だけではの原因は分からない。 ・虚血・炎症はどれも「腫れた乳頭」に見える。視力・痛み・年齢・片眼か両眼か・炎症反応・画像を組み合わせて見分ける。

⚠️ 治療試験では、1 g/日の静注3日間(その後に経口)は視機能の回復を早め、6か月後も視野・などがわずかに良かったが、視力には差がなかった。経口1 mg/kg/日だけの治療はと差がなく、新たなの発症をかえって増やした4。このため、ステロイドを使うなら大量静注で始め、通常量の経口単独は避ける。

偽乳頭浮腫

腫れているように見えても、軸索の腫脹がない乳頭をという。代表は(乳頭内の石灰化した沈着物)で、ほかに小さく込み合った乳頭、眼の乳頭、がある。

所見 乳頭
乳頭の縁 浮腫でぼやける 凹凸があるがぼやけない
血管 縁で浮腫に埋もれる 埋もれない。乳頭上の血管の枝分かれが多い
乳頭周囲の ・腫脹 透明
出血・静脈の拡張 ある ふつうない
検査 画像・で頭蓋内圧亢進を確かめる 超音波で高反射の点、で光る、OCT で乳頭内の低反射の塊
症状 頭痛・悪心・ ふつうない(周辺のがゆっくり進むことはある)

⚠️ を真のと取り違えると、不要なや入院につながる。逆に、をと決めつけるとを見逃す。迷ったら経験のあるへ早く相談する1。

乳頭腫脹の鑑別の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='optic disc swelling'>乳頭腫脹</span>を見つけた"] --> B{"本当の腫脹か<br>(血管が浮腫に埋もれるか)"}
    B -->|"埋もれない"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pseudopapilledema'>偽乳頭浮腫</span>を疑い<br>超音波・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fundus autofluorescence'>眼底自発蛍光</span>・OCTで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='drusen'>ドルーゼン</span>を探す"]
    B -->|"埋もれる"| D{"両眼か片眼か"}
    D -->|"両眼・視力は保たれる"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='papilledema'>うっ血乳頭</span>を疑い<br>血圧測定と24時間以内のMRI・静脈撮影"]
    E --> F["画像が正常なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lumbar puncture'>腰椎穿刺</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='opening pressure'>初圧</span>と髄液成分"]
    D -->|"片眼・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decreased visual acuity'>視力低下</span>あり"| G{"50歳を超えているか"}
    G -->|"超えている"| H["CRP・ESRを測り<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='giant cell arteritis (GCA)'>巨細胞性動脈炎</span>の症状を問う"]
    H --> I{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='giant cell arteritis (GCA)'>巨細胞性動脈炎</span>を疑うか"}
    I -->|"疑う"| J["直ちにステロイド<br>その後に超音波・生検"]
    I -->|"疑わない"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nonarteritic anterior ischemic optic neuropathy (NAION)'>非動脈炎性前部虚血性視神経症</span>"]
    G -->|"超えていない"| L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pain on eye movement'>眼球運動時痛</span>・RAPD<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='papillitis'>乳頭炎</span>を疑いMRI"]

⭐ 神経内科からのの見方はの原因と、頭蓋内圧亢進の全身症状は頭蓋内圧亢進との症候でも扱う。

まとめ

  • はのせき止めによる乳頭の腫れで、視力が落ちていなくても見つかる。
  • 原因は(頭蓋内圧亢進)、(・)、、そして(乳頭)。
  • の原因は腫瘍、、水頭症・シャント不全、、炎症・膿瘍、著しい高血圧、。時間との勝負で、すぐ画像検査。
  • は両眼、初期は視力が保たれ、が拡大する。をよく伴う(偽の局在徴候)。Frisén 分類は血管がどこまで浮腫に埋もれるかで重症度を付ける。
  • は、・の上昇(25 cmH2O超)・MRI と・でほかの原因を除外して診断する。減量が唯一の、は補助、視機能が落ちつつあれば手術。
  • は50歳超、新しい頭痛・・頭皮の圧痛・・。CRP・ESR 上昇、超音波の、生検で巨細胞。
  • は蒼白なと重い。疑ったら結果を待たずに大量ステロイド(視力障害があれば)で反対眼を守る。はステロイドに併用する薬(米国は新規診断から、欧州は難治・・ステロイド高リスク例)。
  • は炎症反応が正常で、込み合った乳頭と血管の危険因子が背景。予後はより良い。
  • は若い人の片眼の・・・RAPD。原因は感染後・など。ステロイドは大量静注で始め、通常量の経口単独は避ける。
  • 眼底だけでは原因は分からない。視力・痛み・年齢・片眼か両眼か・炎症反応・画像で見分け、視力障害があればを必ず除外する。

出典

  1. 1.Idiopathic intracranial hypertension: consensus guidelines on management(Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry(英国の学会横断コンセンサスグループ。ABN・SBNS・RCOphth・BASHが査読・支持)・2018)PMC6166610 の全文(Europe PMC の fullTextXML)で、典型的IIHは女性・妊娠可能年齢・BMI 30超と定義されること、乳頭浮腫か偽乳頭浮腫か迷うときは侵襲的検査の前に経験のある医師へ早く相談すること、IIHでは外転神経麻痺以外の脳神経障害は通常なく、ほかの脳神経障害があれば別の診断を考えること、24時間以内の緊急MRI(できなければCTのあとMRI)と24時間以内のCTまたはMR静脈撮影で静脈洞血栓症を除外すること、画像が正常なら乳頭浮腫の全例で腰椎穿刺を行い側臥位で初圧を測り髄液の細胞・蛋白・糖を調べ、診断基準は初圧25 cmH2O超を求めること、減量が典型的IIHで唯一の疾患修飾療法であること、アセタゾラミドは処方してよいが根拠は限られること、視機能が低下しつつあるときの急性期の対応は外科的(髄液短絡術、視神経鞘開窓術)で、腰椎ドレナージは手術までの一時しのぎになりうること、劇症型IIHへの副腎皮質ステロイドは推奨しないこと、反復腰椎穿刺は管理として推奨しないこと、IIHTT(軽度の視野障害例)では減量食にアセタゾラミドを加えると食事療法だけより視野がわずかに改善し6か月の生活の質も改善したと要約していることを確認した閲覧 2026-09-29
  2. 2.2018 Update of the EULAR recommendations for the management of large vessel vasculitis(EULAR・2020)抄録(PubMed 31270110)で、大型血管炎の疑い診断は画像または組織で確かめること、活動性の巨細胞性動脈炎の寛解導入には高用量の副腎皮質ステロイド(プレドニゾン換算40〜60 mg/日)を直ちに始めること、難治・再燃例やステロイドの有害事象の危険が高い例など選ばれた患者ではトシリズマブを併用し、メトトレキサートを代替としてよいこと、抗血小板薬・抗凝固薬を血管炎の治療として日常的には勧めないことを確認した閲覧 2026-09-29
  3. 3.2021 American College of Rheumatology/Vasculitis Foundation Guideline for the Management of Giant Cell Arteritis and Takayasu Arteritis(American College of Rheumatology / Vasculitis Foundation・2021)PMC12344528の全文を閲覧した。用語定義の表で「パルス静注ステロイド」を "Methylprednisolone 500-1000 mg (adults) or 30 mg/kg (children) given intravenous daily for 3-5 days, or equivalent"、「高用量経口ステロイド」を "Prednisone 1 mg/kg up to 80 mg daily or equivalent" と定めていること、「頭蓋虚血」を "Visual and neurological involvement including amaurosis fugax, vision loss, and stroke" と定義していること、推奨8が頭蓋虚血の徴候の無い新規診断例で高用量経口ステロイドをパルス静注より優先することを条件付きで推奨(エビデンスの確実性 very low-low)していること、推奨9が視力が脅かされている新規診断例でパルス静注を高用量経口より優先することを条件付きで推奨(very low)していること、推奨1が片側生検を両側生検より、推奨2が1 cm超の長い検体を1 cm未満の短い検体より、推奨3が経口ステロイド開始から2週間以内の生検を2週間超の待機よりそれぞれ条件付きで推奨(いずれも low)していること、推奨4が側頭動脈生検を側頭動脈超音波より優先することを条件付きで推奨(low)とし、その根拠として米国のリウマチ医・放射線科医は欧州に比べ超音波の経験が乏しく術者依存であることを挙げていること、推奨12が新規診断例で経口ステロイドにトシリズマブを併用することを経口ステロイド単独より条件付きで推奨し、メトトレキサート併用やステロイド単独も初期治療の選択肢としていること、推奨18が頭蓋症状で再燃した例でトシリズマブ追加を推奨していること、ステロイドの至適な治療期間は確立していないとする見解(Ungraded Position Statement A)を確認した(2026-09-29 に PMC の本文で再確認)閲覧 2026-09-29
  4. 4.A randomized, controlled trial of corticosteroids in the treatment of acute optic neuritis. The Optic Neuritis Study Group(The New England Journal of Medicine・1992)PubMed の抄録(PMID 1734247)で、急性視神経炎457例を経口プレドニゾン1 mg/kg/日14日間、メチルプレドニゾロン1 g/日の静注3日間ののち経口プレドニゾン11日間、プラセボの3群に割り付けたこと、静注群は視機能の回復が速く6か月時点でも視野・コントラスト感度・色覚がわずかに優れたが視力には差がなかった(P=0.66)こと、経口プレドニゾン単独群は転帰がプラセボと変わらず新たな視神経炎の発生がプラセボより多かった(相対危険1.79)ことを確認した閲覧 2026-09-29