病態生理学

病態生理学 · 2-16

代謝性酸塩基平衡障害:代謝性アシドーシスとアルカローシス

Metabolic acid-base disorders: metabolic acidosis & alkalosis

応用トピック
酸塩基平衡とその異常糖尿病患者と合併症の管理高血糖緊急症の管理代謝性・呼吸性アシドーシス代謝性・呼吸性アルカローシス酸塩基平衡障害 症例1酸塩基平衡障害 症例2酸塩基平衡障害 症例3酸塩基平衡障害 症例4
疾患
Gitelman症候群アルコール性ケトアシドーシスサリチル酸中毒飢餓性ケトーシス正常血糖ケトアシドーシス毒性アルコール中毒
症状
頻呼吸
検査値
ケトン血症代謝性アシドーシス

🧠 酸塩基は pH・pCO₂・HCO₃⁻ の3つで読む。 代謝性障害は HCO₃⁻ の一次変化(アシドーシスで↓、アルカローシスで↑)で、呼吸が即座に・腎が数日かけて代償する。代謝性アシドーシスは (では補正が必須)で「酸が増えた型」か「HCO₃⁻を失った型」かを見分け、代償が予測式からどれだけずれているかで障害の有無を確認する。

酸塩基の基礎

  • 動脈 pH は通常 7.40(7.35–7.45)。下回ればアシドーシス、上回ればアルカローシス。
  • 3段構えの防御:
    • ① 血液/組織の(HCO₃⁻・蛋白・リン酸、即時)
    • ② 呼吸(CO₂ を吐く、数分)
    • ③ 腎(+HCO₃⁻ 再吸収、数日〜数週)
  • : 腎がアンモニア(NH₃/NH₄⁺)として排泄。
    • (乳酸、)
    • (リン酸、HCl)
  • 4つの単純病態:
    • 代謝性アシドーシス(例:)
    • (例:嘔吐)
    • (例:)
    • (例:による)
  • =即時、代謝性代償=数日〜数週。出うる徴候:。

💡 重症患者ではが最も多い酸塩基障害とされる。 代謝性アシドーシスがへの入室時から存在することが多いのに対し、は入室後に、ショック・・などへの治療(利尿薬・胃管吸引・大量の輸液や輸血など)に伴って生じることが多い。また重症患者の代謝性アシドーシスで最も多いのは アシドーシスである1。

代謝性アシドーシス

  • 非炭酸の酸が蓄積 → 血漿 HCO₃⁻↓。指標(講義の定義): pH <7.4、pCO₂ は一次的には不変(下記のによって二次的に低下する)、 <24 mM。詳細は代謝性アシドーシスも参照。

💡 (AG)は「測れない酸」を炙り出す。 AG = [Na⁺] − [Cl⁻ + HCO₃⁻]。は測定機器・施設で異なる。の総説は本文で正常を 6〜12 mEq/L(実用上は 10 mEq/L)、図では 8〜10 mEq/L としており1、 の合意報告は 12 mmol/L を超えれば開大とする2(講義の定義はに K⁺ も含める)。酸が溜まって HCO₃⁻ が消費されると、その穴を「測れない(酸)」が埋めるので AG が開く。一方、下痢などで HCO₃⁻ を直接失った場合は Cl⁻ が穴を埋めるので AG は正常のまま(高Cl血症性、hyperchloremic)。

⚠️ では AG が見かけ上小さくなる。 AG の陰性電荷の大部分はアルブミンが担っているため、・肝硬変・などを伴う患者では、酸が増えていても AG が正常域に収まって見え、開大性アシドーシスを見逃しうる。アルブミンが 1 g/dL 低下するごとに AG を約 2.5 mmol/L して補正する。

補正AG=実測AG+2.5×(4.0−albumin[g/dL])\text{補正AG} = \text{実測AG} + 2.5 \times (4.0 - \text{albumin[g/dL]})

・測定上の注意など詳細はに譲る3。

(AG) 原因
↑AG(酸が増えた) GOLDMARK(下表)で原因を探す
正常AG(高Cl血症性、HCO₃⁻を失った) 下痢(HCO₃⁻ 喪失)、(尿 pH >5.5;HCO₃⁻再吸収/の障害)——で両者を鑑別

⭐ AG開大性の原因は GOLDMARK で覚える。 昔ながらの MUDPILES(Methanol・Uremia・・Paraldehyde・Iron/INH・Lactate・Ethylene glycol・Salicylates)も今なお引用されるが、P(パラアルデヒド)は現在の臨床では実質使われない鎮静薬・で時代遅れの項目になっている。GOLDMARK はパラアルデヒドの代わりに、見落とされやすい (慢性使用・で蓄積する) と を最初から独立項目として含む、より現行に即した並べ方である4。

文字 意味 代表例
G Glycols 、()
O Oxoproline (慢性使用・による枯渇で蓄積)
L L-lactate (1型=/循環不全によるショック;2型=は保たれるが障害・薬剤などで産生過剰)。講義は血漿乳酸 2 mmol/L 以上を目安に挙げるが、アシドーシスを 4 mmol/L 超で定義する総説もある1
D D-lactate (などで腸内細菌がを産生)
M Methanol
A Aspirin (など)
R Renal failure 腎不全()
K Ketoacidosis 、(エタノールの慢性+摂食不良)、

正常AG性(高Cl性)アシドーシスは、(尿Na⁺ + 尿K⁺ − 尿Cl⁻)で腎性か腎外性かを分ける。腎が酸を NH₄⁺ として排泄できていれば、それに伴って尿中 Cl⁻ が増えるため尿AGは陰性になり下痢などの消化管性 HCO₃⁻ 喪失を示唆する。腎の自体が障害されていれば尿AGは陽性になり、などの腎性を示唆する。ケトン体やなどのが多い状況では解釈が狂うため、補助所見として使う3。

代償

  • 呼吸性(主・即時): → pCO₂↓ → pH↑。
  • 代謝性: 腎の(数日〜数週)。
  • 換気はが駆動:末梢(pO₂、大動脈/頸動脈)+中枢(pH、延髄)。アシドーシスでのは、アルカローシスでの低換気より強く働く。

💡 代償が予測式からずれていたら、単純な代謝性アシドーシスでは説明できない。 のは Winterの式 で見積もる:期待PaCO₂ ≈ 1.5 × HCO₃⁻ + 8(± 2 mmHg)。実測PaCO₂がこの範囲より高ければの併存を、低ければの併存を疑う5。

  • AG開大性アシドーシスでは delta-delta()で隠れた病態を探す。 デルタ比 = ΔAG(実測AG − 正常AG) ÷ ΔHCO₃⁻(正常HCO₃⁻ − 実測HCO₃⁻) を計算する。
示唆
<0.4 正常AG性(高Cl性)アシドーシスが主体
0.4〜0.8 AG開大性と正常AG性の混合を考える(ただし腎不全に伴うアシドーシスでは比が1未満になることが多い)
1〜2 合併症のないAG開大性アシドーシスで通常みられる範囲(は平均1.6。はケトン体ののため1に近くなりやすい)
>2 発症前から HCO₃⁻ が高かったことを示唆——の併存、または慢性への代償の併存

⚠️ この区分は出典どおりに写してあり、0.8〜1 の区間にはどの解釈も割り当てられていない。境界付近の値だけで障害を断定しない。比の計算には4つの電解質のが積み重なり、AG と HCO₃⁻ の「正常値」を標準値で置いて差を取っているため、個人の元の値からずれていれば比もずれる。単独の数値だけで障害を確定せず臨床像と合わせる6。

例:DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)

flowchart TD
  A["インスリン重度欠乏 + グルカゴン/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucocorticoids'>糖質コルチコイド</span>/カテコールアミン↑"] --> B["糖新生↑ + <span class='jp-term jp-term-diagram' title='lipolysis'>脂肪分解</span>↑"]
  B --> C["高血糖(>11.1 mmol/L)"]
  B --> D["ケトン体の過剰産生 → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='ketonemia'>ケトン血症</span>"]
  D --> E["代謝性アシドーシス(pH<7.3 または HCO₃⁻<18 mmol/L)"]
  E --> F["代償の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Kussmaul respiration'>Kussmaul呼吸</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetone breath'>アセトン臭</span>・ケトン尿症(ketonuria)"]
  C --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osmotic diuresis'>浸透圧利尿</span> → 脱水・頻脈"]
  • 検査(診断は次の3つがすべてそろうこと)2:
    • 血糖 ≥11.1 mmol/L(200 mg/dL)、または糖尿病の既往(の血糖値を問わない)
    • pH <7.3 またはHCO₃⁻ <18 mmol/L(いずれか、または両方)
    • ( ≥3.0 mmol/L)/ケトン尿症(2+以上)
  • 💡 2024年の成人の合意報告は、血糖の基準をそれまでの 13.9 mmol/L(250 mg/dL)超から 11.1 mmol/L 以上または糖尿病の既往へ広げた。の血糖値の幅が広いこと( の約10%は血糖 11.1 mmol/L 未満ので、近年はその多くを阻害薬の使用例が占める)を踏まえた変更である。またこの報告は、 の約3分の1に(・嘔吐による、による)があるとし、AG を診断・回復判定の第一の指標としては推奨していない(ケトン体を直接測れない環境では補助的に使える)2。講義資料の「HCO₃⁻ <15 mmol/L」は、この合意報告では中等症の区分(HCO₃⁻ 10〜15 未満)に当たる値である。
  • 臨床:
    • 脱水
    • 頻脈
    • 悪心/嘔吐
    • 腹痛
    • 傾眠
  • 治療:
    • 軽い症状で歩いて受診しても危険なのことがあり、緊急治療を要する。心拍数・血圧・呼吸数・を監視し、血糖・電解質(とくにK⁺)・酸塩基(HCO₃⁻)・尿量を追う。
    • ① 輸液+電解質(IV+K⁺)
    • ② インスリン(講義では輸液開始の約1時間後から。IVを血糖14 mmol/Lまで → 以後グルコース、消失後〔講義では12〜24時間後〕にscインスリン)。成人の合意報告も、血糖が 13.9 mmol/L(250 mg/dL)を下回ったらに5〜10%ブドウ糖を加え、が消えるまでインスリン静注を続けるとしている2。
  • ⚠️ K⁺ が低いうちはインスリンを始めない。 インスリンは K⁺ を細胞内へ押し込むので、入院時の K⁺ が 3.5 mmol/L 未満( の5〜10%)なら K⁺ 補充(10 mmol/時)を先に始め、K⁺ が 3.5 mmol/L を超えるまでインスリンを遅らせる。致死的な不整脈と低下を避けるためである2。

⚠️ の投与はルーチンではない。 でもでも治療の中心は原因治療(輸液・インスリン、灌流改善・原疾患治療)である。 では pH <7.0 でもが転帰を改善することは示されておらず、敗血症に伴うでも死亡率の改善は示されていない。には高Na血症、低Ca血症、乳酸産生の増加、混合静脈血 pCO₂ の上昇、、心拍出量の低下といった害があり、pH <7.15 の重度の代謝性アシドーシスが無い場合の投与は利益がないうえ有害になりうる。例外として、(2以上)を伴う重度の(試験では pH 中央値 7.15)の集団では死亡との必要が減ったため、この集団には推奨されている1。 の成人の合意報告ものルーチン投与を推奨せず、害として低K血症のリスク増加、組織の酸素取り込みの低下、脳浮腫、中枢神経系のなアシドーシスを挙げたうえで、pH <7.0 の重度のアシドーシスに限って投与を「考慮する」としている2。💡 なアシドーシスは、から生じた CO₂ が血液脳関門を速やかに越える一方で HCO₃⁻ は越えにくいため、脳脊髄液側が一過性に酸性へ傾くことで説明される。Na 負荷によるにも注意する。使うならをとしてゆっくり投与し、イオン化Caを監視する1。

代謝性アルカローシス

  • 血漿 HCO₃⁻↑ → pH↑。指標(講義の定義): pH >7.4、pCO₂ は一次的には不変(によって二次的に上昇する)、 >24 mM。

💡 なぜアルカローシスは「勝手に治らない」のか。 正常な腎なら過剰な HCO₃⁻ をすぐ尿へ捨てて是正できるはずである。しかし ・Cl⁻欠乏・低K血症 のいずれかがあると、は Na⁺ 再吸収を優先して HCO₃⁻ も一緒に再吸収し、では低K血症がむしろ H⁺ 分泌を亢進させる。この「」が解除されない限りアルカローシスは自然に消えない——だから治療は「H⁺/HCO₃⁻ をどう動かしたか」ではなく「をどう解除するか」で考える。

生理食塩水反応性か非反応性かで分ける

⭐ 尿中クロールがを決める。 を投与してとCl⁻を補充すればが解除される群(反応性)と、が保たれている、またはそのものが原因ででは解除されない群(非反応性)に分かれる1。

区分 尿Cl 主な原因
反応性(講義では最も多い型) 低値(<20 mEq/L) 胃酸喪失(嘔吐・吸引)、利尿薬(中止後)、の収縮、低K血症、平衡塩類液の大量投与、腎機能低下時のアルカリ投与、リバウンド(有機酸アシドーシスに大量の塩基を入れた後、原因が止まって乳酸・ケトン体のが代謝されると HCO₃⁻ が過剰になる)、高CO₂血症の是正後(慢性の代償で上がった HCO₃⁻ が換気改善後も残る)
非反応性・血圧は正常〜低値 高値(>20 mEq/L) ・、使用中の利尿薬、重度の低K血症
非反応性・高血圧あり 高値(>20 mEq/L) などの、、腎不全患者のアルカリ摂取、(講義・教科書)高用量コルチゾールが作用を示すCushing症候群

上の尿Clの区切り(20 mEq/L)と、非反応性を血圧の有無でさらに分ける整理は、の総説の図に基づく1。講義は同じ内容をで「(最も多い)」と「正常〜(、の過剰摂取)」に分けている。

⚠️ 利尿薬を今まさに使用中だと、尿Clが一時的に高くなり非反応性に見える。 利尿薬を中止して再検すると、Cl⁻欠乏を反映した本来の低値(反応性)に戻ることが多い。尿Clだけで判定せず、直近の投を必ず確認する。

💡 もう一群、上の2分類に収まりにくいのが「外因性アルカリ負荷」である。 (など)の過剰摂取によるミルクアルカリ症候群、投与、大量輸血によるクエン酸負荷(肝でへ代謝される)がこれにあたる。腎機能が保たれていれば過剰なHCO₃⁻はそのまま尿へ捨てられるので、単独ではアルカローシスが持続しない——腎機能低下やが重なって初めて臨床的な問題になる。だから外因性アルカリを疑ったときは、必ず腎機能とも併せて評価する。

代償

  • 呼吸性(主・即時): 低換気 → pCO₂↑。ただし低酸素(別の換気刺激)で頭打ち。
  • 代謝性: 腎の↓(数日〜数週)。

治療

  • 反応性: IV 0.9%+K⁺(とCl⁻を補充し、を補正して二次性を解除 → 腎が過剰HCO₃⁻を排泄できるようになる)。
  • 非反応性: だけではが解除されないため、など基礎の内分泌疾患そのものを治療する(例:などの)。

まとめ

項目 代謝性アシドーシス
一次変化 HCO₃⁻↓( <24 mM) HCO₃⁻↑( >24 mM)
で pCO₂↓(即時。Winterの式 1.5×HCO₃⁻+8±2 でを確認) 低換気で pCO₂↑(低酸素で頭打ち)
原因の分け方 AG(では補正):開大性は GOLDMARK、正常AG性は下痢とを尿AGで分ける 尿Cl:<20 mEq/L は反応性、>20 mEq/L は非反応性(さらに血圧で分ける)
治療の軸 原因治療。はルーチンに使わない (・Cl⁻欠乏・低K血症)の解除、非反応性は基礎疾患の治療
  • の診断は、血糖 ≥11.1 mmol/L または糖尿病の既往、pH <7.3 または HCO₃⁻ <18 mmol/L、( ≥3.0 mmol/L)またはケトン尿症(2+以上)の3つがそろうこと。
  • の治療は輸液+電解質とインスリン。K⁺ <3.5 mmol/L なら K⁺ 補充を先行させ、インスリンを遅らせる。
  • は AG開大性アシドーシスに隠れた別の障害を探すだが、0.8〜1 は区分が無く、単独で障害を確定しない。
  • 利尿薬の使用中は尿Clが一時的に高くなり、非反応性に見えることがある。

出典

  1. 1.Acid-Base Disorders in the Critically Ill Patient(Clinical Journal of the American Society of Nephrology・2023)アニオンギャップ開大性アシドーシスの治療は原因治療・毒物除去が中心でpH是正のための重炭酸投与は議論があること、代謝性アルカローシスは体液量補充とK補充が中心で積極的なpH是正は通常不要であることを確認した。2026-09-24 に PMC10101555 の全文で再確認:代謝性アルカローシスは重症患者で最も多い酸塩基障害で、入室後に治療に伴って生じることが多いこと、重症患者の代謝性アシドーシスで最も多いのは L-乳酸アシドーシス(4 mmol/L 超で定義)であること、AG の正常を本文では 6〜12 mEq/L(実用上 10 mEq/L)、Figure 2 では 8〜10 mEq/L としていること、アルブミン 1 g/dL 低下ごとに 2.5 を加えて補正すること。DKA では pH <7.0 でも重炭酸が転帰を改善することは示されておらず、敗血症の乳酸アシドーシスでも死亡率の改善は示されていないが、ステージ2以上の急性腎障害を伴う重度のアシデミア(pH 中央値 7.15)の集団では重炭酸を推奨し、pH <7.15 の重度の代謝性アシドーシスが無い場合の投与は利益がなく有害になりうること、害として高Na血症・低Ca血症・乳酸産生増加・混合静脈血 pCO₂ 上昇・細胞内アシドーシス・心拍出量低下を挙げること。Figure 7 で尿Cl <20 mEq/L(嘔吐・経鼻胃管吸引、利尿薬、リバウンド、低K血症、体液量収縮、平衡塩類液、腎機能低下時のアルカリ投与)と >20 mEq/L(正常〜低血圧:重度低K血症、Bartter・Gitelman症候群、利尿薬/高血圧:高アルドステロン症、腎動脈狭窄、腎不全でのアルカリ摂取)に分けること。Table 1 の代償の予測式(代謝性アシドーシス PCO₂=1.5×HCO₃⁻+8±2)。閲覧 2026-08-14
  2. 2.Hyperglycaemic crises in adults with diabetes: a consensus report(ADA / EASD / JBDS / AACE / DTS・2024)PMC11343900(Diabetologia 版)の全文で確認:DKA の診断は3要素がすべてそろうことで、血糖の基準を 13.9 mmol/L 超から「11.1 mmol/L 以上または糖尿病の既往(来院時の血糖を問わない)」へ変更したこと(来院時の血糖の幅が広いことを踏まえた変更で、約10%は正常血糖DKA、その多くはSGLT2阻害薬による)。ケトーシスはβ-ヒドロキシ酪酸 3.0 mmol/L 以上または尿ケトン2+以上、アシドーシスは pH <7.30 または HCO₃⁻ <18 mmol/L。Table 2 の中等症は HCO₃⁻ 10〜15 未満。AG は 12 mmol/L 超で開大とするが、DKA の約3分の1に混合性酸塩基障害があるため診断・回復判定の第一の指標としては推奨しないこと。入院時の K が 3.5 mmol/L 未満(DKA の5〜10%)なら 10 mmol/時で K 補充を始め、K が 3.5 mmol/L を超えるまでインスリンを遅らせること。血糖が 13.9 mmol/L 未満になったら5〜10%ブドウ糖を加えケトアシドーシスが消えるまでインスリン静注を続けること。重炭酸はルーチンに推奨せず(害:低K血症、組織の酸素取り込み低下、脳浮腫、中枢神経系の逆説的アシドーシス)、pH <7.0 では投与を考慮すること。閲覧 2026-09-24
  3. 3.Anion Gap(StatPearls Publishing (NCBI Bookshelf)・2025)低アルブミン血症時のアニオンギャップ補正式(アルブミン1 g/dL低下ごとに約2.5 mmol/L上乗せ)と、尿アニオンギャップの解釈の向き(陰性は消化管性、陽性は腎性)を確認した。閲覧 2026-08-14
  4. 4.A patient with altered mental status and an acid-base disturbance(Cleveland Clinic Journal of Medicine・2017)GOLDMARK(Glycols・Oxoproline・L-lactate・D-lactate・Methanol・Aspirin・Renal failure・Ketoacidosis)の内訳と、MUDPILESのP(パラアルデヒド)が現在は実質使われない薬剤であり、5-オキソプロリン・プロピレングリコールに置き換えて考えるべきという指摘を確認した。閲覧 2026-08-14
  5. 5.Respiratory Compensation in Metabolic Disorders(Life in the Fast Lane (LITFL)・2020)代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償の予測式(期待PaCO2 ≈ 1.5×HCO3+8±2 mmHg)を確認した。閲覧 2026-08-14
  6. 6.Delta Ratio(Life in the Fast Lane (LITFL)・2021)デルタ比(ΔAG÷ΔHCO3)の解釈区分(0.4未満/0.4〜0.8/1〜2/2超)による混合性酸塩基障害の判定を確認した。2026年9月24日にWaybackの保存版(2026-06-07取得)で、0.8〜1の区間には解釈が割り当てられていないこと、0.4〜0.8には腎不全に伴うアシドーシスでは比が1未満になることが多いという注記があること、1〜2は合併症のないAG開大性アシドーシスで通常みられ乳酸アシドーシスは平均1.6、DKAは尿中へのケトン体喪失で1に近くなりやすいこと、誤差の要因として4つの電解質それぞれの測定誤差と、AG・重炭酸の「標準的な」正常値を基準に変化量を測ることを挙げていることも確認した。閲覧 2026-09-24