臨床薬理学

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不妊症の評価と薬物療法

Infertility

前提:病態
視床下部・下垂体ホルモンとその類似体エストロゲンおよび抗エストロゲン薬アンドロゲン・抗アンドロゲン薬

🧠 全体像:の薬物療法は「どこでが止まっているか」で薬が決まる。卵巣が反応するのに排卵しないなら下垂体からを引き出す薬(・)、プロラクチンが視床下部を抑えているなら()、下垂体からの信号そのものが無いならゴナドトロピンを外から補う(男性ではから、必要ならを追加)。逆に、男性に外からテストステロンを入れると下垂体が黙り、精子形成は止まる。評価はカップル2人を同時に行う。

不妊症とは:評価を始める時期

は実地では「妊娠を試みても成立せず、正式な検査と治療を始めてよい期間が過ぎた状態」と定義され、避妊しない性交を1年続けて妊娠しなければ、原因が分かっていなくても両方のパートナーを評価する1。妊娠を望む側が36歳以上であるか、どちらかに不妊の原因や素因が分かっていれば、1年を待たずに受診時点で専門医へ紹介する1。

💡 年齢で待つ期間が短くなるのは、の数と質が年齢とともに落ち、待つこと自体が妊娠の機会を減らすからである。薬の効き方も年齢で変わるため、後述のように35歳を境に薬かかの重みが変わる。

原因を探す:評価の要点

評価項目 何を見るか 薬物療法との関係
男性のの検査 男性因子なら女性だけ治療しても妊娠しない
排卵の有無 月経歴、排卵期の尿中LH、のプロゲステロン値(どちらか一方または両方) なら薬の対象
血清FSH・エストラジオール・AMH 残っている卵胞の量。への反応を予測する
卵管・子宮の構造 検査 構造的な原因は薬では治らない
(的を絞って) あれば
甲状腺機能 TSH・甲状腺ホルモン 甲状腺機能異常はの原因になる
ビタミンD欠乏 欠乏の補正
75 g で血糖とインスリン インスリン抵抗性()の評価

現行の英国の考え方との違い

上の評価項目は、甲状腺・ビタミンD・まで広く調べる従来の整理である。2026年の指針は、検査を絞る方向で具体的に定めている。

項目 2026年版
排卵の確認 月経が規則的でも黄体中期(28日周期の21日目)の血清プロゲステロンを測る。表は使わない1
は自然妊娠の予測には使わず、かをでの卵巣反応の予測に使う。は卵巣反応の予測に使わない1
プロラクチン ・・がある人にだけ測る1
甲状腺機能 の症状がある人にだけ調べる1
異常なら確認の再検をし、精子形成の周期が完了する約3か月後に行う(・高度ならすぐ再検)1
血清ゴナドトロピンのとを測る1
人工授精で妊娠を試みている場合 原因の分からないまま6周期で妊娠しなければ評価へ進む。1年(人工授精なら規定の周期数)の間に流産・があっても、期間を数え直さない1
ビタミンD・ 評価の推奨項目には挙がっていない

💡 検査は「治療が変わるもの」に絞るのが現行の流れである。プロラクチンや甲状腺をルーチンに測ると、治療を要しない軽度の異常値を拾って不要な投薬につながる。女性不妊の検査の詳細はの検査と治療を参照。

視床下部-下垂体-性腺系と薬の作用点

の薬は、ほぼすべてがこの軸のどこかに働く。どこに効くかを押さえると、なぜその薬がその病態に合うのか(合わないのか)が分かる。

flowchart TD
  A["視床下部:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gonadotropin-releasing hormone'>GnRH</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulsatile secretion'>律動的分泌</span>"] --> B["下垂体:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luteinizing hormone'>LH</span>"]
  B --> C["卵巣:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicular development'>卵胞発育</span>・エストラジオール・排卵<br>精巣:テストステロン・精子形成"]
  C -->|"エストラジオール・テストステロンの負のフィードバック"| A
  P["プロラクチン過剰"] -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gonadotropin-releasing hormone'>GnRH</span>の律動を抑制"| A
  D1["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clomifene'>クロミフェン</span>:視床下部の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='estrogen receptor (ER)'>エストロゲン受容体</span>を遮断<br>→フィードバックが見えなくなる"] --> A
  D2["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='letrozole'>レトロゾール</span>:アロマターゼ阻害でエストロゲン自体を減らす<br>→フィードバックが弱まる"] --> C
  D3["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cabergoline'>カベルゴリン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bromocriptine'>ブロモクリプチン</span>:D2受容体を刺激<br>→プロラクチン分泌を止める"] --> P
  D4["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human chorionic gonadotropin'>hCG</span>・hMG・遺伝子組換え<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luteinizing hormone'>LH</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>:<br>下垂体の代わりに性腺を直接刺激"] --> C
  D5["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exogenous testosterone'>外因性テストステロン</span>:負のフィードバックを強める<br>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luteinizing hormone'>LH</span>が下がり精子形成が止まる"] --> A
障害の部位 代表的な病態 合う薬 合わない薬
視床下部-下垂体は働くが、フィードバックの調節がずれて 、 —
プロラクチンが視床下部を抑える 、 (原因が残る)
視床下部・下垂体が信号を出せない ゴナドトロピン、 ・(引き出すが無い)
性腺そのものが反応しない 、原発性の精巣障害 効く排卵・精子形成は無い(提供など) ゴナドトロピンも効かない

💡 とは「下垂体にを出させる」薬なので、下垂体が働いていることが前提になる。では出させるが無いので効かず、ゴナドトロピンそのものを補う。逆に性腺が反応しないではがすでに高く、どの薬でも卵胞は育たない。

排卵誘発薬

の前提として、まずなしで6か月以内の妊娠を目指す(の是正、排卵日に合わせた性交)。また、症状のないには手術を行わず、薬物療法が優先されるとされてきた。

⚠️ ただし「の薬物療法」はを上げる治療ではない。は妊娠を望むの患者に、を単独でも手術との併用でも提示しないとする(自然を改善しないため)2。妊娠を望む場合は、最長2年のか手術を話し合い、それでも妊娠しなければ卵巣刺激つき人工授精かへ進む1。

クロミフェンとレトロゾール

クエン酸塩
分類・機序 。視床下部のを遮断し、負のフィードバックを外して→・を増やす 。エストロゲン産生を一時的に下げ、負のフィードバックを外してを増やす
使う相手(従来の整理) 35歳未満の。人工授精と組み合わせる場合も含む。を3回試みて不成功だった後にも挙げられる。35歳以上ではを優先するが、も提示しうる と同等とされ、国際的な推奨はこちらへ向かっている。主にに使う
使用上の 値()と子宮内膜の厚さ となる国がある(ハンガリーではは適応外)
モニタリング 必須。まず尿中で排卵を捉える 同様に排卵の確認が必要

💡 子宮内膜の厚さがになる理由。 は視床下部だけでなく子宮内膜や頸管でもエストロゲン作用を遮断するため、内膜が薄くなりが減る。排卵は起こっても着床しにくいことがある。は受容体を塞がず、半減期も短いので、この末梢の作用が少ない。が低い(卵胞がほとんど残っていない)場合は、下垂体からを引き出しても応える卵胞がないので効かない。

現行の国際PCOS指針(2023年)は、他ののない性のでをの第一選択とし(強い推奨)、・臨床的・を改善するためよりを使うとする3。はを増やすので超音波での監視を要することがあり、は妊娠の可能性があるときには投与しない3。を含む薬は多くの国で適応外であり、使えない場合は他の薬を使う3。両薬の機序とでの使い分けの詳細はのノートで扱う。

⚠️ には、薬を単独で使わない。はでは計2年の自然妊娠の試みを勧め、卵巣刺激を単独治療として提示せず、ゴナドトロピンによる卵巣刺激つき人工授精(最大4周期)かを選ぶとしている1。

原因別の排卵誘発の選び方

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ovulatory dysfunction'>排卵障害</span>のある不妊女性"] --> B{"障害の部位"}
  B -->|"卵巣は反応するが排卵しない<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='polyendocrine metabolic ovarian syndrome, PMOS (formerly polycystic ovary syndrome, PCOS)'>多嚢胞性卵巣症候群</span>など"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='letrozole'>レトロゾール</span><br>代替として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clomifene'>クロミフェン</span>"]
  B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperprolactinemia'>高プロラクチン血症</span>"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dopamine agonist'>ドパミン作動薬</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cabergoline'>カベルゴリン</span>"]
  B -->|"下垂体からの信号が無い<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypogonadotropic'>低ゴナドトロピン性</span>"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luteinizing hormone'>LH</span>活性をもつゴナドトロピン<br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gonadotropin-releasing hormone'>GnRH</span>"]
  C --> F["排卵の確認<br>尿中<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luteinizing hormone'>LH</span>・超音波"]
  E --> G["超音波で卵胞の数と大きさを監視<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='multiple gestation'>多胎</span>・卵巣過剰刺激の予防"]
  C -->|"効果なし"| H["ゴナドトロピン<br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='assisted reproductive technology (ART)'>生殖補助医療</span>"]

の女性では、体重を健康な範囲へ戻し過度の運動を控えることで排卵が戻りうるとしたうえで、活性をもつゴナドトロピンかで排卵を誘発する1。の前にはと卵巣過剰刺激の危険を説明し、超音波で卵胞の大きさと数を監視する1。

高プロラクチン血症の治療

はの律動的な分泌を抑え、・が下がって・無月経(男性では)を起こす。プロラクチンの分泌は視床下部からのドパミンで持続的に抑えられているので、作動薬が治療の中心になる。はを下げ、の腺腫を縮小させる4。

薬 位置づけ 投与 特徴
第一選択 週1〜2回(副作用、とくに悪心が少ない) 半減期が長い
第二選択 1日2回 半減期の短い
キナゴリド 一部の国でのみ使用(米国にはない) —
  • プロラクチンは通常、治療開始2〜3週で下がり始め、腫瘍の縮小は6週以降に始まる。
  • 現行の国際的合意でも、は半減期の長さ・高い有効性・良好なから推奨される薬で、とキナゴリドは地域の承認と入手性によって使われる4。よく使われる用量は週0.5〜3.5 mg(米国で承認された上限は週2 mg)、1日2.5〜15 mg、キナゴリド1日75〜300 µgである4。
  • 不妊に関しては、 2026年版もによるにを提示するとしている1。
  • 妊娠が確認されたら、胎児への曝露を減らすためを中止する(大きなでは継続も選択肢)4。

薬剤性の高プロラクチン血症を見逃さない

臨床薬理で必ず確認するのは、プロラクチンを上げる薬を飲んでいないかである。国際的合意は原因薬として次を挙げる4。

機序 薬
系(など)、()、、
ドパミン合成阻害・カテコールアミン枯渇 、
その他 、、(、)、フェニトイン、エストロゲン(経口避妊薬の関与は議論がある)
  • 抗精神病薬を始める前にプロラクチンを測る4。
  • 抗精神病薬によるでの10倍を超えることはまれで、それ以上ならを疑う4。
  • 減量するか、プロラクチンを上げにくい(など)へ替えると、多くは薬剤性とを見分けられる4。

⚠️ 精神疾患の治療中の患者にを加えることは、多くは安全とされるが慎重に行い、精神科と相談する4。は精神症状を悪化させうるし、抗精神病薬とは受容体の上で正面からぶつかる。

ドパミン作動薬の副作用

副作用 特徴 機序・対策
悪心、頭痛、めまい、、、抑うつ、Raynaud現象、アルコール不耐、便秘 開始時と増量時に出やすい 引き金帯のD2刺激(悪心)、の低下()、の血管収縮(Raynaud現象)。少量から始め、就寝前・食後に飲む
、 用量によらず起こりうる。、攻撃性、浪費、過剰ななど のドパミン受容体刺激。精神疾患の既往がなくても起こり、本人が隠すことがあるので家族にも説明する4
() 高用量で問題になる。高用量では2年ごとの心エコーが勧められることがある による弁の刺激と線維化

最も多いのは胃部不快・悪心・嘔吐と軽いめまいで、主に開始時に出て、少量から始めることで減らせる4。

💡 心エコーの間隔は用量で決まる。 現行の国際的合意は、週2.0 mgを超えるの長期使用が見込まれるときにの心エコーを行い、以後2〜3年ごとに繰り返すとし、週2.0 mg以下なら5〜6年後に行うとしている4。の用量はパーキンソン病で使われた量よりずっと少ないため、弁膜症の危険はと考える。と弁膜症の関係は薬剤性心血管毒性、を参照。

男性の精子形成を誘導する薬

の薬物療法が効くのは、主に視床下部・下垂体からの信号が足りないである。

  • 正常な精子形成が始まるまでには約3か月かかる。の再検を約3か月後に行うのも同じ理由である1。
  • 精子形成を誘導する薬が出番になるのは、基礎にある内分泌疾患(・など)を治療しても6〜12か月で血清テストステロンが正常化しない場合である。

ゴナドトロピン療法

の目的は、低下した・の産生とその結果としてのテストステロン欠乏を補うことである(下垂体の信号を外から代わりに入れる)。

薬 特徴 使い方の原則
のhCG と同じ生物活性をもち、半減期はより長い。精巣のテストステロン産生を増やす 多くは作用の補充だけで十分。かの補充を必ずより先に始め、は6か月後から追加できる
のhMG 作用が主体で、様の作用も含む 同上
遺伝子組換え より高価で、半減期が短い 同上
遺伝子組換え 高価 同上
テストステロン 精子形成には効かない 長期投与ではが抑えられて避妊効果が出る。中止後の回復にも時間がかかる
flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypogonadotropic hypogonadism'>低ゴナドトロピン性性腺機能低下症</span>の<br>不妊男性"] --> B["原因疾患の治療<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperprolactinemia'>高プロラクチン血症</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid disease'>甲状腺疾患</span>など"]
  B --> C{"6〜12か月で<br>テストステロン正常化?"}
  C -->|"はい"| D["精子形成の回復を待つ<br>約3か月で再評価"]
  C -->|"いいえ"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luteinizing hormone'>LH</span>作用をもつ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human chorionic gonadotropin'>hCG</span>で開始<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='intratesticular testosterone'>精巣内テストステロン</span>を上げる"]
  E --> F{"精子形成は十分?"}
  F -->|"いいえ"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>を追加<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human chorionic gonadotropin'>hCG</span>開始から6か月後以降)"]
  F -->|"はい"| H["継続・妊娠を目指す"]
  G --> I["精子が得られなければ<br>人工授精・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='assisted reproductive technology (ART)'>生殖補助医療</span>"]

💡 なぜが先で、テストステロンは効かないのか。 精子形成には、が刺激で作る精巣内の高濃度のテストステロン(血中の数十倍)との両方が要る。外からテストステロンを入れても精巣内の濃度はそこまで上がらず、しかも視床下部・下垂体へ負のフィードバックをかけて・をさらに下げるので、も精子形成も落ちる。はを直接刺激してを上げるので、まずこれを入れ、それでも足りないの成熟をで後押しする。

現行の米国泌尿器科学会・生殖医学会の指針も、でテストステロン産生と精子形成を回復させる通常の第一選択はで、を500〜2,500 IUで週2〜3回注射して始め、テストステロンが正常化した後に必要ならを加えるとしている5。もの男性にを提示し、それ以外の精液所見異常へのゴナドトロピン・療法はに限るとする1。

⚠️ 妊孕性を望む男性にテストステロンを処方しない。 はゴナドトロピン分泌を抑えて精子形成を低下・停止させ、やを起こしうる。中止後の回復には数か月、まれに数年かかる5。も精液異常の治療にアンドロゲンを使わないとしている1。の評価と治療の全体は症を参照。

まとめ

  • 避妊しない性交を1年続けて妊娠しなければカップル2人を評価する。36歳以上や原因が分かっている場合は待たずに専門医へ。
  • 評価の柱は、男性の、排卵の確認(月経歴・尿中・)、(・エストラジオール・)、での卵管・子宮、プロラクチン・甲状腺・ビタミンD・。現行の 2026年版は、プロラクチンと甲状腺を適応のある人に絞り、を自然妊娠の予測に使わない。
  • まずなしで6か月以内の妊娠を目指す。妊娠を望むにはを上げない。
  • は(35歳未満、人工授精との併用も。はと子宮内膜の厚さ、尿中での監視が必須)と(同等とされ、では現行の第一選択。国によって適応外)。には薬を単独で使わない。
  • はで、(週1〜2回)が第一選択、(1日2回)が第二選択、キナゴリドは。プロラクチンは2〜3週で下がり、腫瘍縮小は6週以降。副作用は開始・増量時の悪心・など、・、高用量での弁膜症(週2 mg超では2〜3年ごとの心エコー)。
  • 男性の精子形成誘導は、原因疾患を治療しても6〜12か月でテストステロンが正常化しないが対象。作用をもつを先に始め、は6か月後から追加。精子形成には約3か月かかる。テストステロンは精子形成に効かず、むしろ抑える。

出典

  1. 1.Fertility problems: assessment and treatment(National Institute for Health and Care Excellence (NICE), guideline NG257・2026)2026年3月31日公開のNG257(CG156を置き換えたもの)の推奨ページで次を確認した。1年間の避妊しない性交で妊娠しなければ両パートナーを評価し(1.16.5)、妊娠を望む側が36歳以上なら受診時点で専門医へ紹介すること(1.16.8)。精液検査が異常なら確認の再検を行い、精子形成の周期が完了するよう理想的には3か月後に行うこと(1.17.3〜1.17.4)。人工授精で妊娠を試みる場合は原因の分からないまま6周期で妊娠しなければ評価し(1.16.6)、1年間などの期間中の流産・異所性妊娠で期間を数え直さないこと(1.16.7)。月経不順では血清ゴナドトロピン(FSH・LH)を測ること(1.18.10)。排卵の確認には月経周期が規則的でも黄体中期(28日周期の21日目)の血清プロゲステロンを測り(1.18.7)、基礎体温表は使わないこと(1.18.9)。AMHを自然妊娠の予測に使わず(1.18.3)、AMHか胞状卵胞数を生殖補助医療での卵巣反応の予測に使い(1.18.4)、FSHを卵巣反応の予測に使わないこと(1.18.5)。プロラクチンは排卵障害・乳汁漏出・下垂体腫瘍がある人にだけ測り(1.18.11)、甲状腺機能は甲状腺疾患の症状がある人にだけ調べること(1.18.12)。低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の女性にはLH活性をもつゴナドトロピンかGnRHで排卵誘発し(1.30.2)、高プロラクチン血症による排卵障害にはカベルゴリンを提示すること(1.32.1)、PCOSの節は別ガイドライン作成のため削除されたこと(1.31)、ゴナドトロピン療法では多胎と卵巣過剰刺激の危険を説明し超音波で卵胞を監視すること(1.33)。男性の低ゴナドトロピン性性腺機能低下症にはゴナドトロピン療法を提示し(1.24.1)、それ以外の精液所見異常へのゴナドトロピン・抗エストロゲン療法は臨床試験に限り(1.24.2)、精液異常にアンドロゲンを使わないこと(1.24.3)。原因不明不妊では計2年の自然妊娠の試みを勧め、卵巣刺激を単独治療として提示せず、ゴナドトロピンによる卵巣刺激つき人工授精を最大4周期考慮するか体外受精を提示すること(1.38)。子宮内膜症では最長2年の待機か手術を話し合い、その後に同じ選択肢を示すこと(1.36)。閲覧 2026-09-26
  2. 2.Endometriosis: diagnosis and management(National Institute for Health and Care Excellence (NICE), guideline NG73・2024)推奨ページ(2017年公開、2024年11月11日更新)の推奨1.10.4で、妊娠を望む子宮内膜症の患者には、自然妊娠率を改善しないため、ホルモン療法を単独でも手術との併用でも提示しないとしていることを確認した。閲覧 2026-09-26
  3. 3.Recommendations From the 2023 International Evidence-based Guideline for the Assessment and Management of Polycystic Ovary Syndrome(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism・2023)PMC10505534の全文で、推奨5.3.1(他の不妊因子のない排卵障害のあるPCOSの不妊女性で、レトロゾールを排卵誘発の第一選択とする。強い推奨・エビデンスの確実性は高い)、5.3.2(レトロゾールは多くの国でまだ適応外で、使えない場合は他の排卵誘発薬を使う)、5.3.3(妊娠の可能性があるときは投与しない)、5.4.5.1(排卵・臨床的妊娠・生児出生を改善するためクロミフェンよりレトロゾールを使う)、5.4.2.2(クロミフェンは多胎妊娠を増やすため超音波での監視を要しうる)、5.5.1(治療歴のない女性でゴナドトロピン単独をクロミフェンより考慮しうる)と、排卵誘発薬(レトロゾール・メトホルミン・クロミフェン)が多くの国で適応外であることを確認した。閲覧 2026-09-26
  4. 4.Diagnosis and management of prolactin-secreting pituitary adenomas: a Pituitary Society international Consensus Statement(Pituitary Society / Nature Reviews Endocrinology・2023)出版社サイトの全文で次を確認した。ドパミン作動薬はプロラクチンを下げ、臨床症状を改善し、腺腫を縮小すること、カベルゴリンが半減期の長さ・高い有効性・良好な忍容性から推奨される薬で、ブロモクリプチンとキナゴリドは地域の承認と入手性によって使われること、よく使われる用量がカベルゴリン週0.5〜3.5 mg(FDA承認の上限は週2 mg)、ブロモクリプチン1日2.5〜15 mg、キナゴリド1日75〜300 µgであること。カベルゴリンの最も多い副作用は胃部不快・悪心・嘔吐と軽いめまいで、主に開始時に出て少量から始めることで減らせること、気分変化と衝動制御障害は精神疾患の既往がなくても起こり用量によらないこと。週2.0 mgを超える高用量の長期使用が見込まれるときは基線の心エコーを行い2〜3年ごとに繰り返し、週2.0 mg以下では5〜6年後に行うこと。原因薬としてドパミン受容体遮断薬(フェノチアジン系・ブチロフェノン系・メトクロプラミド・ドンペリドンなど)、メチルドパ、レセルピン、ベラパミル・ラベタロール、H2受容体拮抗薬、フェニトイン、エストロゲン(経口避妊薬は議論あり)を挙げること、抗精神病薬開始前にプロラクチンを測り、抗精神病薬による高プロラクチン血症で基準上限の10倍超はまれでプロラクチノーマを疑い、減量やアリピプラゾールなどへの変更で多くは鑑別できること、精神疾患のある患者でのドパミン作動薬開始はおそらく安全だが慎重に精神科と相談することを確認した。妊娠が確認されたら胎児への曝露を減らすためドパミン作動薬を中止すること(大きな大腺腫では継続も選択肢)。閲覧 2026-09-26
  5. 5.Diagnosis and Treatment of Infertility in Men: AUA/ASRM Guideline (2020; Amended 2024)(American Urological Association / American Society for Reproductive Medicine・2024)全文PDFで、声明42(現在または将来の妊孕性を望む男性に外因性テストステロンを処方しない)と、その根拠として外因性テストステロンが視床下部・下垂体へ負のフィードバックをかけてゴナドトロピン分泌を抑え、精子形成を低下・停止させ乏精子症・無精子症を起こしうること、中止後の回復には数か月、まれに数年かかりうることを確認した。声明40の解説で、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症ではLH・FSHの刺激がないためライディッヒ細胞がテストステロンを分泌せず精子形成が障害されること、テストステロン産生と精子形成を回復させる通常の第一選択薬はhCGで、hCG注射(500〜2,500 IUを週2〜3回)で始め、hCGでテストステロンが正常化した後に必要ならFSHを加えることを確認した。閲覧 2026-09-26