臨床薬理学

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鎮痛薬の種類と神経障害性疼痛の薬物療法

Analgesics and treatment of neuropathic pain

前提:病態
非ステロイド性抗炎症薬オピオイド抗てんかん薬・鎮痛補助薬

🧠 全体像:は「どこで効くか」と「天井があるか」で整理できる。は末梢でを阻害して炎症性の痛みによく効くが、効果に天井があり、用量の幅も狭い。オピオイドは中枢で痛みの伝達を抑え、理論上は天井がないが、呼吸抑制と便秘が増量の壁になる。はこの2つの軸の外側にある——はほとんど効かず、第一選択は・・(と限局した痛みには局所薬)である。どれもがなく、効く人の割合も高くない(が大きい)ので、第一選択の中で順に試し、だめなら段階を上げていく。

鎮痛薬の種類

は大きく4群に分けられる。

群 代表薬 主な作用部位と機序 得意な痛み
NSAIDs 、、、(など) 末梢(と脊髄)でを阻害し、プロスタグランジン産生を抑える 炎症性の痛み(関節炎・術後・・月経痛)
小 () 主に中枢で作用し、抗炎症作用は弱い 軽度〜中等度の痛み、発熱
オピオイド(弱) 、、 中枢の。・はも併せもつ 中等度の痛み
オピオイド(強) モルヒネ、、オキシモルホン、、、 中枢の 高度の痛み、がん性疼痛
代替(鎮痛補助薬) (など)、(カルバマゼピン、、)、の の増強、神経の興奮性の抑制、線維の

💡 はここではに入れているが、より作用が強く、ノルアドレナリンが強くセロトニンへの作用はほとんどない1。指針によって扱いが分かれる薬である。はで、呼吸抑制に天井があるなど他のと性質が違う。オピオイド各薬の特徴と、がん性疼痛での段階的な使い方(ラダー)はがん性疼痛とオピオイドで扱う。薬理の基礎はNSAIDsとオピオイドを参照。

NSAIDsとオピオイドの違い

項目 オピオイド
作用部位・機序 末梢性(阻害) 中枢性(痛みの伝達の抑制)
得意な痛み 炎症性の痛みにきわめてよく効く 最強の。にも効くが、より高用量を要する
効果の上限 あり。ある量を超えると増やしても効果が足りない なし。用量に応じて鎮痛効果が上がり続ける
非常にで、有効な用量の幅が狭い(例:1回400〜800 mg) 用量の幅が理論上ほぼ無制限(例:4 mgから2,000 mgまで)
増量を止めるもの と副作用 呼吸抑制(増量前に確認すべき唯一の限界)
主な重い副作用 消化性潰瘍(よくある)、では心血管イベント 呼吸抑制、便秘(耐性ができない)、てんかん様の痙攣

用量と鎮痛効果の関係

xychart-beta
  title "用量と鎮痛効果の関係(模式図)"
  x-axis "用量" ["0", "1", "2", "3", "4", "5", "6", "7", "8", "9", "10"]
  y-axis "鎮痛効果" 0 --> 14
  line [0, 1.4, 2.8, 4.2, 5.6, 7, 8.4, 9.8, 11.2, 12.6, 14]
  line [0, 1.3, 2.2, 2.7, 3, 3.1, 3.2, 3.2, 3.2, 3.2, 3.2]
  line [0, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 2.8, 2.8, 2.8, 2.8, 2.8, 2.8]

上のグラフは曲線の形を比べるための模式図で、数値は実測ではない。3本の線は上から順に(右上へ直線的に伸び続ける)・・を表す。

曲線 形 臨床での意味
用量に比例して効果が上がり続け、頭打ちにならない 痛みが強くなれば増量で対応できる。限界は副作用(呼吸抑制)で決まる
初めはと同じように上がるが、途中で頭打ちになる 天井に達したら増量ではなくへ切り替える
ある用量まではほとんど効かず、狭い範囲で急に効果が、すぐに頭打ちになる。天井はよりやや低い の幅が狭い。天井を超えて増やしても鎮痛は増えず、消化管・腎・心血管の副作用だけが増える

💡 「天井がない」ことは「いくらでも安全に増やせる」ことではない。 オピオイドは用量を上げると呼吸抑制が問題になるため、増量のたびに鎮静と呼吸数を確かめる。便秘には耐性ができないので、オピオイドを始めるときは最初から下剤を併用する。一方、悪心や鎮静には数日で耐性ができることが多い。2,000 mgのような極端な量は、耐性が進めばそこまで増やしうるという理論上の話であり、非がん性の慢性疼痛では用量をできるだけ低く抑えるのが現在の原則である(下の第五選択を参照)。

⚠️ オピオイドは高用量や代謝物の蓄積で、やてんかん様の痙攣を起こしうる。はを下げるため、痙攣性疾患の患者やを併用中の患者では注意を要する1。

神経障害性疼痛の分類

(の病変または疾患による痛み)は、病変の場所で末梢性と中枢性に分ける。ICD-11のためにがまとめた慢性の分類(Scholzら、2019年)は、それぞれ次の病態を代表として挙げている。定義と病態は痛みの定義・評価・分類にまとめてある。

末梢性の 中枢性の
・脳損傷による痛み
脳卒中後疼痛
有痛性(糖尿病性など) に伴う痛み
有痛性(によるなど)

💡 運動や自律神経も末梢神経の障害だが、障害されるのは・であり、の病変ではない。それだけではの定義を満たさない。痛みを伴うのは、(とくに細い線維)が同時に障害されたときである。

神経障害性疼痛の治療の原則

の薬物療法は、ほかの痛みの治療と考え方が違う。

  • どの病因・どの症状にどの薬が最もよいかの明確な指示はない。 指針は薬の順番(第一選択・第二選択…)を示すが、個々の患者で効く薬を当てることはできず、試行錯誤になる。例外的に、ではカルバマゼピンが初期治療と明記されている2。
  • まず第一選択から1剤を試し、効かなければ別の薬へ——最初は別のへ切り替える。英国も、・・・から1剤を選び、無効か不耐なら残りの3剤から選び直すとしている2。
  • が多い。 など、のな適応を持たない薬がよく使われる。
  • はまったく効かない。 痛みの源が炎症ではなく神経そのものの異常だからである。
  • オピオイドとを除き、すぐには効かない。 抗うつ薬やは漸増が必要で、効果の判定には数週間かかる。
  • どの薬も効果は確実でない(が大きい)。 50%鎮痛を1人に得るのに数人〜十数人の治療が必要である。

⭐ 効果判定の期間の目安は、で4〜8週、とで4〜6週(はで2週を含む)、で3週とされる1。短期間で「効かない」と判断して次々に変えないことが大切である。

効果の大きさ:NNT

NeuPSIGのによるは次のとおりである。数字が大きいほど「効く人が少ない」。

薬 2015年版の3 2025年版の4
他のより低い 4.6
SNRI 6.4 7.4
() 7.7、7.2 8.9
高濃度(8%) 10.6 13.2
5% 算出できず 14.5
オピオイド ・はより低い 5.9(確実性は低い)
A型 低い 2.7

💡 が小さい薬が第一選択とは限らない。推奨の順位は、有効性に加えて副作用・乱用の危険・費用・手に入りやすさで決まる。オピオイドやA型はが小さくても、長期の安全性や使える場面の限定から後ろの段に置かれる。

段階的な治療アルゴリズム

医向けに複数の指針をまとめたBatesら(2019年)のアルゴリズムは、第一選択から第六選択までを示している1。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neuropathic pain'>神経障害性疼痛</span>の評価<br>多職種の保存的ケアを並行"] --> B["第一選択<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='tricyclic antidepressant'>三環系抗うつ薬</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serotonin-noradrenaline reuptake inhibitor'>SNRI</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gabapentinoid'>ガバペンチノイド</span><br>限局した痛みには5%<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lidocaine patch'>リドカイン貼付剤</span>"]
  B --> C{"十分に効くか"}
  C -->|"いいえ"| B2["別の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='First-line drugs'>第一選択薬</span>へ切り替え<br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='First-line drugs'>第一選択薬</span>どうしの併用"]
  B2 --> D["第二選択<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='tramadol'>トラマドール</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tapentadol'>タペンタドール</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='First-line drugs'>第一選択薬</span>の併用"]
  D --> E{"十分に効くか"}
  E -->|"いいえ"| F["第三選択:疼痛専門施設へ紹介<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='selective serotonin reuptake inhibitor'>SSRI</span>・他の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Antiepileptics'>抗てんかん薬</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='NMDA receptor antagonist'>NMDA受容体拮抗薬</span><br>高濃度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='capsaicin'>カプサイシン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nerve block'>神経ブロック</span>など"]
  F --> G["第四選択<br>神経刺激療法"]
  G --> H["第五選択<br>低用量オピオイド"]
  H --> I["第六選択<br>標的<span class='jp-term jp-term-diagram' title='drug delivery'>薬物送達</span><br>脊髄<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subarachnoid space'>くも膜下腔</span>へのモルヒネ・ジコノチド"]
  C -->|"はい"| K["継続し定期的に見直す"]
  E -->|"はい"| K

第一選択

薬 有効な病態 効果が限られる病態・その他の適応 位置づけ 主な副作用・注意
(抗うつ用量の20〜30%) 末梢神経障害、、全般、後の痛み 、・化学療法による末梢神経障害 複数の指針が支持 不整脈、、尿閉、口渇
SNRIの・ 、有痛性末梢神経障害、に伴う 以外に、、、 複数の国際的な指針が支持 悪心、腎・肝疾患で注意
(、) 全般、、、() 複数の国際学会が支持 傾眠、疲労感、めまい、下肢の浮腫
局所の などの限局した 5% 局所の皮膚反応のみで、高齢者でも安全

の鎮痛作用は抗うつ効果とは独立しており、抗うつ用量の20〜30%という少量で現れる1。主な鎮痛作用はセロトニンとノルアドレナリンのによるの増強だが、・α1受容体・・Na⁺チャネルも遮断するため副作用が多い。

⚠️ は高齢者・虚弱者で転倒、不整脈、、尿閉、口渇を起こしやすい。・尿閉・緑内障のある患者や、・・阻害薬・を併用中の患者では注意する1。とQT延長のため、心疾患のある患者では心電図を確認してから始める。

SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害してを強める。はには効かない1。

はのにあるのα2δサブユニットに結合し、の放出を抑える。なので腎機能に応じて減量する。

5%は末梢神経のを抑える。を伴うで有効とされる一方、術後のや、・を伴うでは効果が示されず、手足の先に広がるには貼りにくい1。

の用量の例は次のとおりである1。

薬 開始量 最大量 注意点
(も同じ) 10〜25 mgを就寝前 150 mg/日 ・尿閉・緑内障、との併用
30 mg 1日1回 60 mg/日 腎・肝疾患
37.5 mg 1日1回 225 mg/日 腎・肝疾患
ゆっくり漸増し600 mg 1日3回まで 3,600 mg/日 腎障害で減量
150 mgを1日2〜3回に分けて 600 mg/日 腎障害で減量
5% 痛む部位に12時間貼付し12時間はがす 同時に3枚まで 限局した痛み

💡 なぜ抗うつ薬とが「」になるのか。 の機序は、損傷神経の、末梢性・、の低下である(痛みの定義・評価・分類)。抗うつ薬は弱ったを補い、とNa⁺薬は過剰に興奮した神経を鎮める。が標的とするプロスタグランジンは、この回路の中心にはない。

第二選択

薬 使う場面 位置づけ
急性の、がん関連の、の間欠的な増悪では第一選択 多くの指針で第二選択
オピオイド に効くが、長期の有効性は疑問で、副作用が大きい 多くの指針で第二〜第四選択。カナダ疼痛学会(2017年のまとめ)は第二、EFNSは第三、オーストラリアの診療指針(2018年)は第四選択

は弱いμオピオイド作動作用と、セロトニン・ノルアドレナリンのをあわせもつ。速放製剤50 mgを1日2〜4回の頓用で始め、最大400 mg/日とし、腎障害では減量する1。英国は、非専門施設でのを急性のが必要なときに限り、長期使用はの助言なしに始めないとしている2。

⚠️ を・・・阻害薬と併用すると、と痙攣の危険が高まる。を使っている患者に第二選択として追加するときは、とくに注意する。

Batesらは、ほかにどうしの併用(+、+)とを第二選択に含めている1。

第三選択

治療 対象 注意
、(、カルバマゼピン、、バルプロ酸ナトリウム)、 第一・に耐えられないか、十分な鎮痛が得られない患者 疼痛専門施設への紹介が勧められる。根拠の水準は不十分
高濃度(8%) 限局した末梢性の 医療者が貼付する

NeuPSIGは、・これらの・をいずれも根拠不十分と評価しており、では始めないことが勧められている1。の代表はで、を直接抑えるため、オピオイドと並んでのある数少ない薬である。バルプロ酸は妊娠可能な女性で強いがあり(妊娠中のとてんかん)、にも同様の安全対策がある。

高濃度は、線維(・)の受容体に結合して、まずの放出と脱分極を起こす。持続的な刺激で線維が過剰に興奮してし、神経終末が可逆的に退縮して、痛みの信号を出しにくくなる1。

項目 Batesら(2019年) 現行の米国添付文書
位置づけ 第三・第四選択、またはを避けたい人の代替 ―
貼付時間 の監督下で60分 で60分、足部ので30分(いずれも1回最大4枚、再貼付は3か月以上あける)
避ける 足部ののが適応に含まれる

8%の米国の適応は、と足部のに伴うで、医療従事者だけが取り扱う5。Batesらの「では避ける」は、足部のに適応が広がる前の記述として読む。

⚠️ 貼付の初めは強い灼熱感と痛みが出る。これがに至る前段階であり、効果を得るには規則的な使用が必要なので、患者が続けにくい1。

第四〜第六選択:神経刺激療法、低用量オピオイド、標的薬物送達

段階 治療 内容
第四選択 神経刺激療法 脊髄刺激療法(・高頻度・型)、刺激など。高濃度もこの段階の選択肢として挙がる
第五選択 低用量オピオイド 速放製剤から始めて最小に調節し、安定したら徐放製剤へ移す。モルヒネ換算で1日50 mgを超えるときは慎重に、90 mg超は避けるか十分なを要する1
第六選択 標的 植込み型ポンプで脊髄へ薬をし、に直接届ける。米国が承認した薬はモルヒネとジコノチドのみ。ほかの治療で十分な鎮痛が得られないが対象1

💡 なぜオピオイドが神経刺激療法より後なのか。 多くの指針はオピオイドを第二〜第四選択に置くが、Batesらは長期有効性の根拠の乏しさと、依存・による罹患と死亡を重く見て、神経刺激療法の後に置いた1。脊髄への投与は血液脳関門とを迂回するので、経口よりはるかに少ない量で効く。ジコノチドはN型遮断薬で、オピオイドのような耐性・呼吸抑制を起こさないが、・などの精神神経系の副作用に注意する。なお、この論文は神経刺激装置を扱う企業が支援した特集号に掲載されたもので、介入治療を重く置く立場で書かれている点も踏まえて読む。

現行のガイドラインとの比較

アルゴリズムの骨格(抗うつ薬とが最初、オピオイドは後ろ)はどの指針でも共通するが、局所薬と、オピオイドの位置は版によって違う。

段 Batesら(2019年) NeuPSIG 2015年版 NeuPSIG 2025年版(現行)
第一選択 、、、局所薬(5%) 強い推奨:、、、 強い推奨:、、
第二選択 、、の併用 弱い推奨:、高濃度、 弱い推奨:8%、、5%
第三選択 ・他の・、などの介入治療 弱い推奨:、A型 弱い推奨:A型、、オピオイド
第四選択以降 神経刺激療法、低用量オピオイド、標的 この段は設けていない この段は設けていない

2015年版では、局所薬とA型は末梢性のに限って推奨された3。2025年版では、第二選択が局所薬(8%・・5%)だけになっては第二選択の一覧に入らず、オピオイドは第三選択に置かれ(はを個別には挙げていない)、非侵襲的な脳刺激であるが第三選択に加わった4。

英国非専門施設向けの CG173は、初期治療を・・・の4剤から選ぶこと、は急性のに限ること、を避けたい限局性の痛みにを考慮すること、はカルバマゼピンで始めることを示している。また、・・モルヒネ・・・バルプロ酸などは、の助言なしに非専門施設で始めないとしている2。

まとめ

  • は、・・・の、小()、オピオイド(弱:・・、強:モルヒネ・・オキシモルホン・・・)、代替(、カルバマゼピン・・、局所の)に分かれる。
  • は末梢の阻害で炎症性の痛みによく効くが、があり、がでの幅が狭い(1回400〜800 mg)。消化性潰瘍との心血管イベントに注意する。
  • オピオイドは中枢で作用する最強ので天井がない。増量の壁は呼吸抑制で、便秘には耐性ができず、痙攣も起こしうる。は途中で頭打ちになる。
  • は末梢性(、、有痛性、、有痛性)と中枢性(脊髄・脳損傷、脳卒中後疼痛、)に分かれる。
  • 治療は試行錯誤で、第一選択の中で切り替えてから段階を上げる。は効かず、オピオイドと以外はがなく、はどれも大きい。
  • 第一選択は(抗うつ用量の20〜30%)、、、限局した痛みに5%。第二選択は(急性・がん関連・間欠的増悪では第一選択)とオピオイド(指針により第二〜第四)。第三選択は・他の・(専門施設、根拠不十分)と高濃度。第四は神経刺激療法、第五は低用量オピオイド(モルヒネ換算90 mg/日以下)、第六は脊髄へのモルヒネ・ジコノチドの標的。
  • 現行のNeuPSIG 2025年版は、・・を第一選択、・の局所薬を第二選択、A型・・オピオイドを第三選択とする。8%は現在、米国で足部のにも適応がある。

出典

  1. 1.A Comprehensive Algorithm for Management of Neuropathic Pain(Pain Medicine・2019)Europe PMC全文(PMC6544553)で、第一選択を三環系抗うつ薬(鎮痛作用は抗うつ効果と独立し抗うつ用量の20〜30%で現れる。末梢神経障害・帯状疱疹後神経痛・脊髄損傷後の神経障害性疼痛に有効、神経根症・HIV・化学療法による末梢神経障害には効果が限られる。高齢者では転倒・不整脈・起立性低血圧・尿閉・口渇に注意)、SNRI(デュロキセチン・ベンラファキシン。糖尿病性末梢神経障害・有痛性末梢神経障害・多発性硬化症の中枢性疼痛に有効で、変形性関節症・慢性腰痛・線維筋痛症にも有効)、ガバペンチノイド(複数の国際学会が第一選択とし、帯状疱疹後神経痛と糖尿病性末梢神経障害に有効、プレガバリンは脊髄損傷にも有効)、局所治療(5%リドカインは帯状疱疹後神経痛などの限局性の痛み。8%カプサイシンは第三・第四選択や経口薬を避けたい人の代替として推奨され、医師の監督下で60分貼付、糖尿病性末梢神経障害では避ける)とし、表1の開始量・最大量と注意点(ノルトリプチリン・アミトリプチリン10〜25 mg就寝前・最大150 mg、自律神経障害・尿閉・緑内障、セロトニン作動薬やトラマドールとの併用。デュロキセチン30 mg・最大60 mg、ベンラファキシン37.5 mg・最大225 mg、腎・肝疾患。ガバペンチン600 mg 1日3回まで漸増・最大3,600 mg、プレガバリン150 mg 1日2〜3回・最大600 mg、腎障害で減量。リドカイン貼付剤は12時間貼付・12時間休薬で同時に3枚まで。トラマドール速放50 mg 1日2〜4回頓用・最大400 mg、痙攣性疾患とセロトニン作動薬併用に注意し腎障害で減量)を示すこと、トラマドールは多くの指針で第二選択だが急性の神経障害性疼痛・がん関連の神経障害性疼痛・間欠的な増悪では第一選択とされること、タペンタドールはトラマドールより強力なため一部の指針で第三・第四選択であること、オピオイドはカナダ疼痛学会で第二、NeuPSIGやEFNSで第三、オーストラリアの指針で第四選択とされ、長期有効性の不足と副作用から多くの指針で第二〜第四選択に置かれ、著者らは神経刺激療法の後の第四選択以降に置くこと、第一・第二選択で不十分なら疼痛専門施設へ紹介し、SSRI、抗てんかん薬(ラモトリギン・カルバマゼピン・トピラマート・バルプロ酸ナトリウム)、NMDA受容体拮抗薬を考慮しうるがNeuPSIGはいずれも根拠不十分としたこと、第四選択を神経刺激療法、第五選択を低用量オピオイド(速放製剤から開始し最小量に調節、モルヒネ換算50 mg/日を超えるときは慎重に、90 mg/日超は避けるか十分な正当化が要る)、第六選択を標的薬物送達(脊髄くも膜下腔へ投与し後角に直接届け、FDAが承認した薬はモルヒネとジコノチドのみ、難治性疼痛が対象)とすることを確認した。閲覧 2026-09-27
  2. 2.Neuropathic pain in adults: pharmacological management in non-specialist settings (NICE clinical guideline CG173)(National Institute for Health and Care Excellence・2020)推奨の章(2013年公表、最終更新2020年9月22日と表示)で、三叉神経痛を除く神経障害性疼痛の初期治療としてアミトリプチリン・デュロキセチン・ガバペンチン・プレガバリンから選ぶこと(1.1.8)、無効または不耐なら残りの3剤から切り替えること(1.1.9)、トラマドールは急性の救済治療が必要なときに限り考慮すること(1.1.10)、経口薬を避けたい・使えない限局性の痛みにカプサイシンクリームを考慮すること(1.1.11)、非専門施設では専門家の助言なしに大麻抽出物・カプサイシン貼付剤・ラコサミド・ラモトリギン・レベチラセタム・モルヒネ・オクスカルバゼピン・トピラマート・トラマドールの長期使用・ベンラファキシン・バルプロ酸を開始しないこと(1.1.12)、三叉神経痛の初期治療にカルバマゼピンを用いること(1.1.13)を確認した。閲覧 2026-09-27
  3. 3.Pharmacotherapy for neuropathic pain in adults: a systematic review and meta-analysis(The Lancet Neurology(NeuPSIG, International Association for the Study of Pain)・2015)抄録(PMID 25575710)で、GRADEに基づき三環系抗うつ薬・SNRI・プレガバリン・ガバペンチンを強い推奨の第一選択、リドカイン貼付剤・高濃度カプサイシン貼付剤・トラマドールを弱い推奨の第二選択、強オピオイドとボツリヌス毒素A型を弱い推奨の第三選択とし、局所薬とボツリヌス毒素A型は末梢性の神経障害性疼痛に限ること、50%鎮痛のNNTがSNRI 6.4、プレガバリン7.7、ガバペンチン7.2、高濃度カプサイシン貼付剤10.6で、三環系抗うつ薬・強オピオイド・トラマドール・ボツリヌス毒素A型ではより低く、リドカイン貼付剤では算出できなかったことを確認した。閲覧 2026-09-27
  4. 4.Pharmacotherapy and non-invasive neuromodulation for neuropathic pain: a systematic review and meta-analysis(The Lancet Neurology(NeuPSIG, International Association for the Study of Pain)・2025)抄録(PMID 40252663)で、2015年の推奨を更新し、三環系抗うつ薬・α2δリガンド・SNRIを強い推奨の第一選択、8%カプサイシン貼付剤・カプサイシンクリーム・5%リドカイン貼付剤を弱い推奨の第二選択、ボツリヌス毒素A型・反復経頭蓋磁気刺激・オピオイドを弱い推奨の第三選択としたこと、NNTが三環系抗うつ薬4.6、α2δリガンド8.9、SNRI 7.4、ボツリヌス毒素A型2.7、8%カプサイシン貼付剤13.2、オピオイド5.9、反復経頭蓋磁気刺激4.2、カプサイシンクリーム6.1、5%リドカイン貼付剤14.5で、オピオイドの確実性は低いことを確認した。閲覧 2026-09-27
  5. 5.QUTENZA (capsaicin) topical system — Highlights of Prescribing Information(米国FDA(DailyMed収載の添付文書)・2024)DailyMed収載のSPL(setid 3ffbbcb0-ad93-4f15-bb38-5da76a71c735、2026年7月公開の第14版)の本文で、成人の帯状疱疹後神経痛と足部の糖尿病性末梢神経障害に伴う神経障害性疼痛が適応であること、1回量は帯状疱疹後神経痛で最大4枚を60分、足部の糖尿病性末梢神経障害で最大4枚を30分貼付し、再貼付は3か月以上あけること、医療従事者が取り扱うことを確認した。閲覧 2026-09-27