眼科学

眼科学 · ML-31

瞳孔反応と瞳孔不同

Pupillary reactions and anisocoria

前提:正常
視覚の生理学中脳の微細構造(顕微鏡解剖)
症状
Argyll Robertson瞳孔

🧠 全体像:瞳孔の大きさは、副交感神経が動かす(縮める)と、交感神経が動かす(広げる)の綱引きで決まる。は「網膜・視神経で受けて()→ 中脳で左右に配り → ので縮める()」という回路である。の障害はを起こさず RAPD として現れ、の障害はを起こす。を見たら、明所と暗所のどちらで差が大きいかで「どちらの瞳孔が異常か」を決め、小さい側なら 、大きい側なら動眼神経麻痺・・薬剤性・眼の病気を考え、点眼試験で確かめる。

瞳孔の役割と2つの筋

瞳孔はの中央にある円い開口で、その径を絶えず変えて眼に入る光の量を調節する。

筋 神経支配 受容体 働き 止まると
副交感神経() (動眼神経麻痺、、)
交感神経 α1受容体 ()

💡 片方の筋が止まると、もう片方が勝つ。は「副交感が止まった」か「交感が強まった」か、は「交感が止まった」か「副交感が強まった」かの4通りしかない。薬の効き方は眼科ので扱う。

正常な瞳孔反応

反応 刺激 瞳孔の動き
片眼に光 照らした眼がする()と同時に、反対眼もする()
近くのものを見る 調節・とともにする(の三つ組)
自律神経の刺激 驚き・痛み・恐怖、睡眠・疲労 交感神経優位で、副交感神経優位で

瞳孔の神経経路

副交感神経(縮瞳の経路)

flowchart TD
    A["中脳の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Edinger-Westphal nucleus'>動眼神経副核</span><br>副交感神経の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='preganglionic neurons'>節前ニューロン</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oculomotor nerve (CN III)'>動眼神経</span>(第III脳神経)の<br>副交感神経の線維"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary ganglion'>毛様体神経節</span>で<br>ニューロンを乗り換える"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='short ciliary nerve'>短毛様体神経</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='postganglionic fiber'>節後線維</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sphincter pupillae'>瞳孔括約筋</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='miosis'>縮瞳</span>"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary muscle'>毛様体筋</span><br>調節"]

💡 から出るの大部分は(調節)へ行き、へ行くのは一部である。でがより保たれるのは、この比率と再生の仕方による(後述)。

交感神経(散瞳の経路)

交感神経の経路は長く、視床下部から頸部・胸部上部を回って眼に戻る3つのニューロンでできている。

flowchart TD
    A["第1ニューロン<br>視床下部から脳幹・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical spinal cord'>頸髄</span>を下行"] --> B["第1〜第2<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thoracic'>胸髄</span>の高さの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary body'>毛様体</span>脊髄中枢"]
    B --> C["第2ニューロン(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='preganglionic fiber'>節前線維</span>)<br>第1<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thoracic'>胸神経</span>節を経て<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sympathetic trunk'>交感神経幹</span>を上行"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='superior cervical ganglion'>上頸神経節</span>で<br>ニューロンを乗り換える"]
    D --> E["第3ニューロン(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postganglionic fiber'>節後線維</span>)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='internal carotid artery, ICA'>内頸動脈</span>の周りの神経叢に沿って頭蓋内へ"]
    E --> F["三叉神経の枝と合流し<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='long ciliary nerve'>長毛様体神経</span>へ"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dilator pupillae'>瞳孔散大筋</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='mydriasis'>散瞳</span>"]
    E --> H["上眼瞼の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Muller&#39;s muscle'>ミュラー筋</span>・<br>顔面の汗腺"]

神経内科の立場からの局在診断は瞳孔支配の障害でも扱う。

💡 経路が・頸部・のそばを通るので、はの腫瘍、頸動脈の解離、頸部の手術・外傷など、眼から遠い病気の最初の徴候になる。

対光反射の回路

flowchart TD
    A["片眼に光を当てる"] --> B["網膜 → 視神経"]
    B --> C["視交叉で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nasal retina'>鼻側網膜</span>の線維が交叉"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='optic tract'>視索</span> → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral geniculate nucleus / LGN'>外側膝状体</span>の手前で分かれ<br>中脳の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pretectal area'>視蓋前域</span>核へ"]
    D --> E["左右の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pretectal area'>視蓋前域</span>核から<br>両側の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Edinger-Westphal nucleus'>動眼神経副核</span>へ"]
    E --> F["両側の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oculomotor nerve (CN III)'>動眼神経</span>"]
    F --> G["両側の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary ganglion'>毛様体神経節</span>"]
    G --> H["両眼の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sphincter pupillae'>瞳孔括約筋</span>が収縮<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct light reflex'>直接反射</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='consensual light reflex'>間接反射</span>"]

⭐ のは副交感神経である。 の信号は中脳で左右両方に配られるので、片眼の視神経が障害されても両眼の瞳孔は同じ大きさのまま(にならない)。を起こすのは(・・交感神経)か、そのものの異常である。

瞳孔の診察

⭐ 瞳孔の大きさと反応の検査は必須手技である。

手順 やり方 見るもの
1. 条件をそろえる 部屋をやや暗くし、患者に遠くの目標を見てもらう によるを避ける
2. 大きさと形 明所と暗所で左右の径を測る(瞳孔計のや半円の目盛りを当てる) の有無と、明暗どちらで差が大きいか。正円か、不整か
3. 直接・ 光を斜め下から片眼ずつ当てる 照らした眼と反対眼が速く十分にするか
4. 点滅試験 光を左右の眼へ2〜3秒ずつに当てる RAPD の有無
5. 遠くを見たあと、眼前の指標を見てもらう よりが良い()か
6. 周りの所見 、眼球運動、でと 動眼神経麻痺、、の損傷・炎症

⚠️ を点眼するとは評価できなくなる。瞳孔の診察はの前に済ませる(眼科の診断法と検査機器)。

瞳孔不同

は左右のが違う状態である。

分類 内容
生理的 人口の約20%に見られる。差はふつう1 mm未満で、明所でも暗所でも差がほぼ一定。両眼とも反応は正常
病的:側が異常 した眼が広がらない(、、、)
病的:側が異常 した眼が縮まらない(動眼神経麻痺、、、、)

どちらの瞳孔が異常か

差が大きくなる条件 意味 異常な側
暗所で差が大きい 暗所で広がるはずの瞳孔が広がらない=筋の障害 小さい方(交感神経の障害)
明所で差が大きい 明所で縮むはずの瞳孔が縮まない=括約筋の障害 大きい方(副交感神経の障害・・の損傷)
明暗で差が変わらない 両眼の筋はどちらも正常に働く 生理的
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anisocoria'>瞳孔不同</span>を見つけた"] --> B{"明所と暗所で<br>差の大きさが変わるか"}
    B -->|"変わらない<br>1 mm未満・反応正常"| C["生理的<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anisocoria'>瞳孔不同</span>"]
    B -->|"暗所で差が大きい"| D["小さい瞳孔が異常"]
    B -->|"明所で差が大きい"| E["大きい瞳孔が異常"]
    D --> F{"軽い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ptosis'>眼瞼下垂</span>を伴うか"}
    F -->|"伴う"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Horner syndrome'>Horner症候群</span>を疑い<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='apraclonidine'>アプラクロニジン</span>点眼試験"]
    F -->|"伴わない"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iritis'>虹彩炎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miotic'>縮瞳薬</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Argyll Robertson pupil'>Argyll Robertson瞳孔</span>を確認"]
    E --> I{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ptosis'>眼瞼下垂</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='impaired ocular motility (ophthalmoparesis)'>眼球運動障害</span>を伴うか"}
    I -->|"伴う"| J["動眼神経麻痺<br>緊急の血管画像"]
    I -->|"伴わない"| K{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='slit-lamp'>細隙灯</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iris'>虹彩</span>の損傷・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='elevated intraocular pressure'>眼圧上昇</span>があるか"}
    K -->|"ある"| L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='traumatic mydriasis'>外傷性散瞳</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute glaucoma attack'>急性緑内障発作</span>"]
    K -->|"ない"| M["低濃度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pilocarpine'>ピロカルピン</span>点眼<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Adie tonic pupil'>Adie瞳孔</span>か薬剤性かを分ける"]

眼の病気による瞳孔不同

神経を調べる前に、眼そのものに原因がないかを確かめる。

原因 瞳孔 手がかり
し、反応が鈍い。に切れ込みが入って形が不整になることがある の既往、の、前房出血
中等度にし、光にほとんど反応しない 眼痛・頭痛・悪心、、角膜の浮腫、浅い、の著しい上昇(緑内障 II)
(括約筋の痙攣)。との癒着で形が不整になる 、、の炎症細胞(ぶどう膜炎の分類と前部ぶどう膜炎)
点眼薬の影響 で、で 点眼歴。のや植物(など)に触れた手で眼をこすることもある

⚠️ のは、動眼神経麻痺と違って眼が赤く痛み、角膜が曇っている。だけを見て神経の病気と決めつけない。

動眼神経麻痺

動眼神経麻痺では、・・4つのが同時に障害される。

所見 理由
(・とも消失) の障害
高度の の麻痺
:眼が「下外方」を向く 残った()と()が引く。内転・・が制限される
で瞳孔が隠れるとしないこともある

💡 「下を向いて外へ(落ち込んで追い出された)」と覚える。片眼だけが下外方を向き、まぶたが垂れて瞳孔が大きい、という顔つきが典型である。

⚠️ を伴う動眼神経麻痺は、()による圧迫を否定するまで緊急扱いにし、すぐに血管の画像検査を行う。は神経の表層を走るので外からの圧迫で早く障害され、糖尿病などのでは瞳孔が保たれやすい。

Adie瞳孔

は、(または節後の)の障害による片眼のである。

項目 内容
障害部位 ・節後の
原因 多くは原因不明で、ウイルス感染などによる神経節の炎症が推定される
患者 若年から中年の女性に多く、ふつう片眼
瞳孔 片眼の。はほとんどないか、部分的に虫が這うように動く
より良く、ゆっくり強くし、戻るのも遅い(緊張性)
が失われた括約筋は、正常な瞳孔では反応しない濃さのでもする
合併 腱反射の低下を伴うものは と呼ぶ

小児でも起こり、正面から見ると片眼の瞳孔だけが反対眼より大きく、明るい所でもその差が残る。

💡 なぜだけ戻るのか:のは、調節()へ行くものが(括約筋)へ行くものよりはるかに多い。障害のあと神経が再生するとき、本来はへ行くはずの線維が括約筋へ迷い込むため、近くを見る(調節する)ときに瞳孔が縮む。

💡 急性期は大きい瞳孔だが、年単位で経過すると次第に小さくなり、かえって反対眼より小さくなることもある。

Horner症候群

は、交感神経経路のどこかの障害で起こる。

所見 理由
の麻痺。暗所でがはっきりし、暗くしたときのが遅れる
軽い(1〜2 mm) 上眼瞼のの麻痺。動眼神経麻痺の高度な下垂とは違う
(見かけ上) 上眼瞼が下がり下眼瞼がやや上がってが狭くなるため、へこんで見えるだけ
顔面の汗腺のが失われる(障害の高さで範囲が変わる)

患側の上眼瞼がわずかに下がり、同じ側の瞳孔が小さいが、は保たれている、という組み合わせが典型である。

障害の高さと原因

障害部位 主な原因
第1ニューロン(中枢性) 脳幹の梗塞(など)、、の病変
第2ニューロン(節前) の腫瘍(肺癌の )、頸部・胸部の手術や外傷、小児では
第3ニューロン(節後) 、の病変、

⚠️ 同側の眼窩・顔面・頸部の急な痛みを伴う は、否定されるまでとみなす1。有痛性の はで最も多い眼の徴候で、解離の最大58%に見られる1。の18%に不可逆の眼や大脳半球の脳卒中が起こり、その多くは最初の2週以内なので、急性発症や痛み・外傷歴があれば試験のために1〜2日待つことはせず1、などの画像検査を急ぐ1。

Argyll Robertson瞳孔

両眼の瞳孔が小さく形が不整で、光には反応しないがは保たれる()。中脳のからへ向かうの経路が障害され、の経路はそれより腹側を通るので残る。古典的にはの徴候で、梅毒の血清検査を行う。糖尿病などでも似た所見が出ることがある。

瞳孔 大きさ 左右
小さい・不整 ふつう両眼 消失 保たれる
大きい ふつう片眼 消失〜部分的 ゆっくり強く

点眼試験で確かめる

の原因は、点眼に対する瞳孔の反応で確かめられる。

Horner症候群を確かめる

点眼薬 作用 正常の瞳孔 の瞳孔 陽性の判定
0.5% 主にα2作動薬で、弱いα1作用をもつ わずかにするか変わらない で増えたα1受容体が反応してし、も軽くなる が逆転する2
2〜10% ノルアドレナリンの再取り込みを阻害 する ノルアドレナリンが放出されていないのでしない 点眼後にが大きくなる2
1% の終末からノルアドレナリンを放出させる する 第1・第2ニューロンの障害ではし、第3ニューロンの障害ではしない 障害の高さ(節前か節後か)を分ける
  • 単一施設の660件の検討(4%または0.5%を点眼し、40分後にを測定)では、の検出感度は約93%、約40%と推定され、を新しい標準とすることが提案された2。
  • は発症36時間以内から陽性になりうるが偽陰性もある1。でα1受容体が増えるには時間がかかるので、発症直後の陰性は否定の根拠にならない。発症から数時間以内の検査と1歳未満の乳児への使用には注意を要する2。
  • は発症1週以内には偽陰性が出るうえ、先に行った点眼から24〜48時間あける必要があり、急性期の判断には使いにくい1。

散瞳の原因を分ける

点眼薬 動眼神経麻痺 薬剤性()
低濃度(0.0625〜0.125%) でする(正常眼はほとんど縮まない) しないことが多い(発症から時間がたつとすることもある) しない
通常濃度(1%) する する しない(受容体が遮断されている)
  • 片側 56例と他の原因の片側61例を比べた研究では、0.0625%の方が0.125%より診断能が高く、点眼後のの変化0.5 mm以上を基準にすると感度100%・特異度82.8%であった3。従来は0.1〜0.125%が使われてきた。
  • 1%でも縮まないは、が括約筋の受容体をふさいでいる証拠で、神経の病気ではない。
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anisocoria'>瞳孔不同</span>の原因を点眼で確かめる"] --> B{"異常なのは<br>小さい瞳孔か大きい瞳孔か"}
    B -->|"小さい瞳孔"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='apraclonidine'>アプラクロニジン</span>0.5%を両眼に点眼"]
    C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anisocoria'>瞳孔不同</span>が逆転したか"}
    D -->|"逆転した"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Horner syndrome'>Horner症候群</span><br>痛みがあれば<span class='jp-term jp-term-diagram' title='internal carotid artery dissection'>内頸動脈解離</span>の画像検査を急ぐ"]
    D -->|"逆転しない"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Horner syndrome'>Horner症候群</span>の可能性は下がる<br>発症直後なら再検や画像も考える"]
    B -->|"大きい瞳孔"| G["低濃度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pilocarpine'>ピロカルピン</span>を両眼に点眼"]
    G --> H{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mydriasis'>散瞳</span>した眼が<br>反対眼より強く<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miosis'>縮瞳</span>したか"}
    H -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miosis'>縮瞳</span>した"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='denervation supersensitivity'>除神経過敏</span>あり<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Adie tonic pupil'>Adie瞳孔</span>"]
    H -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miosis'>縮瞳</span>しない"| J["1%<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pilocarpine'>ピロカルピン</span>を点眼"]
    J --> K{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miosis'>縮瞳</span>したか"}
    K -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miosis'>縮瞳</span>した"| L["動眼神経麻痺を考え<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ptosis'>眼瞼下垂</span>・眼球運動を再確認"]
    K -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miosis'>縮瞳</span>しない"| M["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anticholinergics'>抗コリン薬</span>による薬剤性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mydriasis'>散瞳</span>"]

相対的求心性瞳孔障害

RAPD は、片眼の(網膜・視神経)が反対眼より弱いことを示す徴候である。

交互点滅対光反射試験

光を右眼と左眼に2〜3秒ずつ素早くに当て、光を移した瞬間の、照らされた眼の瞳孔の動きを見る。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unaffected (fellow) eye'>健眼</span>を照らす"] --> B["強い信号が中脳に届き<br>両眼が十分に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miosis'>縮瞳</span>"]
    B --> C["光を患眼へ移す"]
    C --> D["患眼の視神経からの信号は弱い"]
    D --> E["中脳への入力が減り<br>両眼の瞳孔が広がる"]
    E --> F["患眼を照らしているのに<br>瞳孔が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dilation (mydriasis)'>散大</span>して見える=RAPD陽性"]
項目 内容
起こる病気 片眼の、()、広い範囲の、閉塞、左右差の大きい進行した緑内障、
起こさないもの 、ふつうの程度の、角膜の(光は網膜に届く)
は起こさない(は正常)
片眼が全く見えない場合 患眼を照らしても両眼ともしないが、を照らせば両眼がする(性瞳孔)

💡 RAPD は「両眼を比べて」初めて分かる。両眼の視神経が同じ程度に障害されていると陽性にならない。またが片眼で麻痺していても、動く方の瞳孔だけを見て判定できる。

⭐ の訴えが視神経・網膜の病気によるものかどうかを、患者のに頼らずに確かめられる数少ない他覚所見である。

まとめ

  • 瞳孔は副交感神経( → → → 括約筋)で縮まり、交感神経(視床下部 → 第1〜第2 → → の神経叢 → → 筋)で広がる。
  • 正常反応は(直接・間接)、(調節・・)、自律神経刺激による・。のは副交感神経。
  • 瞳孔の診察は前に、暗めの部屋で遠くを見せて、大きさ(明所・暗所)・直接/・点滅試験・を調べる。
  • 生理的は約20%で、明暗で差が一定。暗所で差が大きければ小さい瞳孔(交感神経)、明所で差が大きければ大きい瞳孔(副交感神経)が異常。
  • 眼の原因(・・・点眼薬)を先に除外する。
  • 動眼神経麻痺は・高度の・。を伴えば動脈瘤を否定するまで緊急。
  • はの障害で、片眼の・・低濃度への。は両眼の小さく不整な瞳孔で光反応なし・あり。
  • は・軽い・・。でが逆転すれば確定的で、感度はより高い。痛みを伴えばとして画像を急ぐ。
  • 1%で縮まないは薬剤性。
  • RAPD は片眼の視神経・網膜の障害を示し、は起こさない。

出典

  1. 1.Adult Horner's syndrome: a combined clinical, pharmacological, and imaging algorithm(Eye・2013)PMC3597883 の全文で、有痛性のHorner症候群は内頸動脈解離で最も多い眼所見(最大58%)で、同側の眼窩・顔面・頸部の急性の痛みを伴えば否定されるまで内頸動脈解離とみなすべきこと、内頸動脈解離の18%に不可逆の眼・大脳半球の脳卒中が1時間〜31日に起こり多くは最初の2週以内であること、0.5%アプラクロニジンは感度87%で発症36時間以内から陽性になりうるが偽陰性があり局在はできないこと、ヒドロキシアンフェタミンは発症1週以内には偽陰性が出て先の点眼から24〜48時間空ける必要があり急性期には頼れないこと、第2・第3ニューロン障害の緊急画像にはCT血管造影を勧めることを確認した閲覧 2026-09-29
  2. 2.Apraclonidine Is Better Than Cocaine for Detection of Horner Syndrome(Frontiers in Neurology・2019)抄録(Europe PMC、PMC6371044)で、市販の点眼はコカイン2〜10%・アプラクロニジン0.5〜1.0%であること、単一施設14年間の連続660件の点眼試験の後ろ向き解析で、4%コカインと0.5%アプラクロニジンを用い点眼40分後に瞳孔径を測ったこと、コカインは正常眼のノルアドレナリン再取り込みを阻害して散瞳させるがHorner眼では散瞳が乏しく瞳孔不同が増すこと、アプラクロニジンは主にα2受容体を介して正常眼をわずかに縮瞳させ、除神経でα1受容体が増えたHorner眼を散瞳させて瞳孔不同を逆転させること、検出感度がコカイン約40%・アプラクロニジン約93%と推定されアプラクロニジンを新たな標準とすべきとしたこと、疑わしい交感神経障害の発症から数時間以内と1歳未満の乳児では注意が要ることを確認した閲覧 2026-09-29
  3. 3.Dilute pilocarpine test for diagnosis of Adie's tonic pupil(Scientific Reports・2021)抄録(PubMed 33980910)で、片側Adie緊張性瞳孔56例と他の原因による片側散瞳61例に0.125%または0.0625%ピロカルピンを点眼し30〜40分後の瞳孔径を比べた後ろ向き症例対照研究で、0.0625%の方が診断能が高く(AUC 0.954対0.840)、最大瞳孔径の変化0.5 mm以上を基準にすると感度100%・特異度82.8%であったことを確認した閲覧 2026-09-29