眼科学

眼科学 · ML-05A

眼科の薬理:点眼薬

Pharmacology in ophthalmology: eyedrops

前提:病態
コリン作動性・アドレナリン作動性伝達とそのシナプス前調節非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
薬剤
ドルゾラミド

🧠 全体像:点眼薬は「どの組織に、何をさせたいか」で整理すると覚えやすい。瞳孔を動かす自律神経薬(・)、感染を叩く抗微生物薬、炎症を抑えるステロイドとNSAIDs、を下げる抗緑内障薬(を減らすか、流出を増やすか)、そして眼表面を守るの5群である。点眼でもから全身へ吸収されるので、β遮断薬の、α2作動薬の乳児の無呼吸、抗コリンの閉塞隅角誘発といった全身・眼局所の禁忌を必ず薬とセットで覚える。

点眼薬を使う前に知っておくこと

投与経路と届く場所

眼の薬は、どこに効かせたいかでが変わる。点眼は角膜・・までは届くが、網膜やにはほとんど届かない。

主に届く場所 代表例
点眼・ 角膜、、、・ 、、抗緑内障薬、抗菌薬、ステロイド、
・注射 〜眼球周囲の組織 の抗菌薬、ステロイド
内注射 終了時の抗菌薬()、を伴う真菌感染の抗真菌薬
、網膜 の抗菌薬・抗真菌薬、(・など、詳細はの治療と)
内服・静注 全身から眼内へ(を越えた分だけ) の・薬、ヘルペスの抗ウイルス薬、ぶどう膜炎のステロイド

点眼でも全身に効いてしまう理由

💡 点眼した薬の大部分は涙とともにからを通ってに流れ、そこで吸収される。から入った薬は肝臓のを受けずにへ入るため、少量でも内服に近いが出ることがある。β遮断薬の点眼でや徐脈が起こるのはこのためである。点眼後に目を閉じて目頭()を軽く押さえると全身吸収を減らせる1。

瞳孔に作用する薬

自律神経と瞳孔の対応

瞳孔の大きさは、(交感神経・α1受容体)と(副交感神経・)の綱引きで決まる。は「交感神経を刺激する」か「副交感神経を遮断する」かで起こり、はその逆で起こる。薬だけでなく、同じ向きに働く病態(神経の障害や内因性の増加)も同じ表に入る。

結果 機序 何が起こるか 薬 同じ向きに働く病態
交感神経()の刺激 筋を収縮させる 、エピネフリン、(、) 痛み・恐怖、による内因性アドレナリンの増加
副交感神経()の遮断 括約筋の収縮を止める 、、 動眼神経麻痺(の障害)
交感神経の遮断 が起こらない — 交感神経経路の障害:
副交感神経の刺激 括約筋を収縮させる —

💡 ・の用語と診察での扱いは・・、の見方はとでまとめて扱う。

散瞳薬の使い分け

検査(・)と治療(ぶどう膜炎の癒着予防、の痙攣による痛みの緩和)で目的が違う。は括約筋だけでなくも麻痺させるので、と同時にを起こす。は筋だけに効くので調節は保たれる。

薬 分類 の目安 主な用途
あり なし 数時間 の(と併用)
() 強い 弱い 4〜6時間程度 外来の
() 強い 強い 約1日 小児の
() 最も強い 最も強い 1〜2週間 ぶどう膜炎の予防・鎮痛、小児の、の遮閉代わり

⚠️ 抗コリンは閉塞隅角を誘発しうる。 での周辺部が厚く寄り、もともとが浅く隅角が狭い眼ではをふさいで急性閉塞隅角を起こす。欧州緑内障学会は、診断目的のは一般集団ではおおむね安全で、しないで網膜の病気を見逃す危険のほうがはるかに大きいとしたうえで、後に眼痛などが出たらすぐ受診するよう説明すること、後にでさせて「戻す」のは瞳孔を中等度のまま固定しかえって危険であることを述べている1。や交感神経作用をもつ全身薬(管支拡張薬、など)でも同じことが起こりうる1。

動眼神経麻痺:副交感神経が止まると

は・4つの(・・・)と、・へのを運ぶ。では次の所見がそろい、部分麻痺ではその一部が出る。

所見 理由
高度の の麻痺。まぶたが瞳孔を覆うためを自分から訴えないことがある
第一で下(「下と外」を向く) 対抗する筋のない()と()が引くため
外転は正常 は支配ではない
内転の制限 の麻痺
の制限 との麻痺
の制限 の麻痺
と調節障害 の障害。の点眼と同じ状態になる

原因は糖尿病などの、外傷、動脈瘤である。

⚠️ を伴う動眼神経麻痺は、による圧迫を否定するまで緊急扱いにする。は神経の表層を走るので外からの圧迫で先に障害され、では瞳孔が保たれやすい。

Horner症候群:交感神経が止まると

交感神経が障害されると、とが働かなくなり、・軽い・(見かけ上)の三徴が出る。障害側の瞳孔が小さく、上まぶたが少し下がる。経路は3つのニューロンからなり、どこで切れても同じ三徴になるので、原因は経路に沿って探す。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior hypothalamus'>視床下部後部</span>"] --> B["第1ニューロン(中枢)<br>脳幹・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical spinal cord'>頸髄</span>を下行"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary body'>毛様体</span>脊髄中枢(C8〜T2)"]
    C --> D["第2ニューロン(節前)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='apex of lung'>肺尖</span>を越えて頸部を上行"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='superior cervical ganglion'>上頸神経節</span>"]
    E --> F["第3ニューロン(節後)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='internal carotid artery, ICA'>内頸動脈</span>に沿って頭蓋内へ<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cavernous sinus'>海綿静脈洞</span>を通る"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dilator pupillae'>瞳孔散大筋</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Muller&#39;s muscle'>ミュラー筋</span>"]
障害部位 原因
第1ニューロン(中枢性) 脳幹の病変(多くは脳卒中。梗塞=が代表。腫瘍、脱髄も)、、病変、
第2ニューロン(節前) ()、頸動脈・大動脈の瘤と解離、病変、頸部のその他の病変(、リンパ節腫大、外傷、術後)
第3ニューロン(節後) 、、の腫瘤、中耳炎
その他

⚠️ 痛みを伴って急に出たはを疑い、緊急に画像検査を行う。

💡 交感神経が止まった瞳孔では、神経終末からのノルアドレナリン放出が減っている。再取り込みを止めるだけのではしないことが、を薬で確かめる根拠になる。詳しくはとと瞳孔支配の障害で扱う。

縮瞳薬ピロカルピンと閉塞隅角

はを直接刺激する。を収縮させるとが引かれ、のが広がってが流れやすくなる。同時にが縮んでが中心へ引っぱられ、周辺が隅角から離れる。こうして閉じた隅角を再び開くのが、原発閉塞隅角での使い方である。

急性閉塞隅角の眼では、中等度にしての鈍い瞳孔、強い、浮腫で曇った角膜を認め、では周辺がに接して隅角が閉じているのが見える。

⚠️ は万能ではない。現行の欧州緑内障学会ガイドラインでは、が著しく高いとが虚血に陥って効かないことがあるため、のが40 mmHg以上ならを下げてから使う。が前方に押し出される機序(膨化など)や後方からの機序では、をさらに前へ動かしてを浅くするので禁忌で、この場合はではなくを使う。大量に使うと腹部の痙攣痛や発汗などの全身症状が出るので、頻回点眼も避ける1。の全体の流れは次のとおりで、詳細は緑内障 IIで扱う。

flowchart TD
    A["急性閉塞隅角の発作<br>眼痛・頭痛・悪心、充血、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='corneal edema'>角膜浮腫</span>、中等度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mydriasis'>散瞳</span>"] --> B["病歴と診察<br>誘因となる薬(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mydriatic'>散瞳薬</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anticholinergic effects'>抗コリン作用</span>のある全身薬)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens'>水晶体</span>性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens'>水晶体</span>後方の機序を除外"]
    B --> C["直ちに併せて開始<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='aqueous humor production'>房水産生</span>抑制薬の点眼+ステロイド頻回点眼<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>40 mmHg以上なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetazolamide'>アセタゾラミド</span><br>(嘔吐時・急ぐときは静注)"]
    C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetazolamide'>アセタゾラミド</span>で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>が十分に下がったか"}
    D -->|"下がらない"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mannitol'>マンニトール</span>静注を考える<br>(心・腎疾患を評価し、繰り返さない)"]
    D -->|"下がった"| F
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pupillary block'>瞳孔ブロック</span>なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pilocarpine'>ピロカルピン</span>2%<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>40 mmHg以上なら下がるまで待つ)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens'>水晶体</span>性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens'>水晶体</span>後方の機序には使わず<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cycloplegic agent'>調節麻痺薬</span>"]
    F --> G["角膜が澄んだら<br>レーザー周辺<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iris'>虹彩</span>切開(有<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens'>水晶体</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fellow eye'>僚眼</span>にも)"]

点眼と全身投与は順番に試すのではなく、診断したらすぐに並行して始める。各段階の薬と用量(静注10 mg/kg、0.5〜1.5 g/kg)は欧州緑内障学会の現行版による。はアレルギーや重い腎疾患では避ける1。

抗微生物薬の点眼

眼の感染症では、狙う病原体ごとに薬の系統が違う。ここでは薬の系統と抗菌スペクトルを整理し、角膜炎ごとの具体的な選び方・濃度・は抗微生物薬による治療にまとめる。

抗菌薬

の点眼は、結膜炎(充血と)から、を伴う細菌性角膜炎(角膜の白色浸潤と下方にたまる白い膿の層)まで使われる。

起因菌が分からないでは、グラム陽性菌用(かバンコマイシン)とグラム陰性菌用(か)の高濃度点眼を併用するか、を使うのがの基本である。起因菌別の濃度と注射量は抗微生物薬による治療の表にある。

系統 スペクトル 代表薬 使い方
アミノグリコシド系 グラム陰性菌、ブドウ球菌、一部のレンサ球菌(肺炎球菌には効かない) 、、 点眼
グラム陽性菌と一部のグラム陰性桿菌 点眼(院内調製の高濃度液)
グラム陰性菌に強く、グラム陽性菌にも中等度〜良好 、、、 点眼
ブドウ球菌を含むグラム陽性菌 バンコマイシン 内・
グラム陽性菌と一部のグラム陰性菌 内

⚠️ バンコマイシンの予防的なでは、やの1〜21日後に痛みのないで発症する出血性が報告されている。報告例は全例が眼内バンコマイシンに関連し、6割が視力20/200以下、2割強がに至り、半数以上がを起こした2。まれだが失明につながる合併症なので、予防目的で内に使う利益とこの危険をはかりにかける必要がある。バンコマイシンの本来の出番は、グラム陽性菌を狙うの治療である。

抗ウイルス薬

に使う。

薬 副作用
アシクロビル 点眼()、内服 頭痛、悪心、腎毒性、神経毒性
点眼(ゲル) しみる・灼熱感・かすみ
内服 アシクロビルと同様。免疫抑制患者ではTTPと
内服 アシクロビルと同様

💡 はアシクロビルので、腸管からの吸収がよいので内服回数を減らせる。ヘルペス角膜炎の型(上皮型・・円板状・)ごとに、抗ウイルス薬・ステロイド・抗菌薬・・をどう組み合わせるかは抗微生物薬による治療の表で扱う。上皮型にステロイドを使わないことが最も重要である。

抗真菌薬

の薬は2系統に分かれる。

系統 作用 薬 得意な菌・特徴
真菌の細胞膜のに結合して膜の透過性を変える。無傷の上皮は通りにくい カンジダ属の第一選択。・フザリウム属にも良好〜中等度
同上 米国でのの第一選択。眼内移行は約2%と低い。多くのフザリウム属・に良好、カンジダ属にはやや弱い
の合成を阻害する 濃度によりにもにも働く。カンジダ属、、Fusarium solani 以外のフザリウム属
同上 、カンジダ属。フザリウムには無効
同上 カンジダ属、。フザリウム属には効果が限られる

💡 の標的のは真菌の細胞膜の成分である(細胞壁ではない)。は「できあがった膜に穴をあける」、は「膜の材料を作らせない」と覚える。

カンジダ角膜炎では、上皮が保たれたまま実質に白い浸潤が広がることがある。上皮が無傷だとが浸透しにくく、表層の(角膜)で薬を届かせる理由になる。

アカントアメーバ角膜炎の薬

アメーバの嚢子は非常に強く、薬は膜や酵素を壊す系が中心になる。

系統 作用 薬
細胞膜を傷害する イセチオン酸塩0.1%、0.1%、ジブロモ0.15%
酵素を傷害する PHMB 0.02%、0.02%
抗菌薬 併存する細菌を抑える

従来の組み合わせは1剤+1剤(+抗菌薬)で、治療開始時は昼夜を問わず頻回に点眼し、全体で6〜12か月続く長期戦になる。現行の選択肢(PHMB 0.08%単剤)を含めた詳細は抗微生物薬による治療で扱う。

抗炎症薬:ステロイドとNSAIDs

基本方針

  • 副腎皮質ステロイドは最も強力で速く効くであり、ぶどう膜炎の大半で第一選択である。
  • NSAIDsは眼の炎症の主治療としては一般に効果が乏しい。例外は壊死性でない強膜炎に対する内服である(と強膜炎)。
  • NSAIDsはとして役立つ。とくにに対する点眼と、炎症再発の予防である。
  • ⚠️ NSAIDsとステロイドを両方とも内服で併用するとのリスクが上がるので避ける。

の炎症では、を取り巻くと瞳孔の変形を認める。分類と治療の組み立てはぶどう膜炎の分類と前部ぶどう膜炎で扱う。

ステロイドの作用機序

ステロイドは細胞質の受容体に結合して核へ移り、多くの遺伝子の発現を変える。その結果、炎症の多くの段階を同時に抑える。

  • との抑制(両経路が分かれる手前のを抑える)
  • との産生低下
  • 循環単球の減少、マクロファージの活性低下
  • 補体の低下

作用が多岐にわたること()が、副作用の多さの原因でもある。最も用途が広い一方で、とくに長期使用では副作用も最も多い。点眼・眼内・眼周囲・内服・静注のすべてで使える。代表薬はとである。

ステロイドの副作用:投与経路で積み上がる

副作用
点眼 ()、(下)、感染しやすくなる、角膜・の菲薄化と穿孔
眼周囲注射 点眼の副作用すべて+、テノン嚢の瘢痕、穿孔、出血、膿瘍
全身投与 点眼の副作用すべて+体重増加、、電解質異常、骨粗鬆症、の、高血圧、、精神症状、創傷治癒遅延、など

⚠️ ステロイド点眼を続ける患者ではを定期的に測る。(とくに上皮型ヘルペス・真菌・アカントアメーバ)にステロイドを単独で使うと悪化させる。

アラキドン酸カスケードでの作用点

flowchart TD
    A["細胞膜のリン脂質"] -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phospholipase A2 (PLA2)'>ホスホリパーゼA2</span><br>(ステロイドが抑制)"| B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arachidonic acid'>アラキドン酸</span>"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyclooxygenase, COX'>シクロオキシゲナーゼ</span><br>(NSAIDsが抑制)"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endoperoxide'>エンドペルオキシド</span><br>PGG2・PGH2"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lipoxygenase'>リポキシゲナーゼ</span>"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='leukotriene'>ロイコトリエン</span>"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thromboxane A2'>トロンボキサンA2</span>"]
    C --> F["PGE2・PGF2α・PGD2"]
    C --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prostacyclin (PGI2)'>プロスタサイクリン</span>(PGI2)"]

💡 ステロイドはカスケードの入口()で止めるので、プロスタグランジンとの両方を減らす。NSAIDsはの分岐だけを止めるので、系は残る。両者のが違うことが、併用でが出る理由になる。

COX-1とCOX-2

酵素 発現 作るもの NSAIDsの抑制
COX-1 正常組織に常に発現 生理機能を保つプロスタグランジン 受ける
COX-2 炎症で誘導(サイトカイン・・が引き金) 炎症を起こすプロスタグランジン 受ける

眼科用NSAIDsの点眼には、、、ブロムフェナクがある。

白内障手術後の嚢胞様黄斑浮腫

プロスタグランジンは術後の炎症との主な原因である。

flowchart TD
    A["手術による刺激・炎症<br>加齢、全身の血管障害、緑内障"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aqueous humor'>房水</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>中の<br>プロスタグランジン増加"]
    A --> C["血液<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aqueous humor'>房水</span>関門と<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood-retina barrier'>血液網膜関門</span>の破綻"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cystoid macular edema (CME)'>嚢胞様黄斑浮腫</span>"]
    C --> D

NSAIDs点眼の役割は次のように整理されている。

  • NSAIDs点眼は術後ので見つかるを予防する。
  • 視機能にもよい効果がある。
  • 標的の網膜に効かせるには、で治療濃度に達することが重要である。
  • ステロイド単独ではを十分に予防・治療できない。
  • ステロイドとNSAIDsの併用はに働き、症状のあるをより速く消退させる。

現行のエビデンスとして、非糖尿病の914例を比べた欧州のでは、術後12週までの臨床的に有意ながブロムフェナク単独3.6%、単独5.1%、併用1.5%で、併用が最も少なかった3。

症例から学ぶ:黄斑円孔術後眼の白内障手術

55歳女性の左眼。−6.0 Dのがあり、1年前に黄斑円孔の手術に成功していた(OCTで全層の円孔が閉鎖し、の陥凹が回復。最高1.0)。

経過 所見 最高
黄斑円孔術前 OCTで —
黄斑円孔術後 円孔閉鎖、の形が正常化 1.0
合併症のない超音波吸引術+レンズ挿入の1週間後 OCTでに多数のと網膜の膨隆() 0.6
点眼1日3回で治療後 が消え、の陥凹が戻る 1.0

💡 教訓:の既往、、全身の血管障害などは術後の素地になる。手術が順調でも視力が伸びなければOCTで黄斑を確認し、NSAIDs点眼で治療できる。

緑内障の薬物治療

房水の流れと薬の作用点

は「をどれだけ作るか」と「どれだけ流し出すか」の釣り合いで決まる。はで作られ、から瞳孔を通ってへ入り、主にからへ(主経路)、一部はの間からへ()出ていく。薬はこのどこかに作用する。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary body'>毛様体</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aqueous humor'>房水</span>を産生"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior chamber'>後房</span> → 瞳孔 → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior chamber'>前房</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='trabecular meshwork'>線維柱帯</span> → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='Schlemm canal'>シュレム管</span><br>(主経路)"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uveoscleral outflow pathway'>ぶどう膜強膜流出路</span>"]
    P["産生を減らす<br>β遮断薬、α2作動薬、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='carbonic anhydrase inhibitor'>炭酸脱水酵素阻害薬</span>"] -.-> A
    Q["主経路を広げる<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='miotic'>縮瞳薬</span>、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Rho kinase inhibitor'>Rhoキナーゼ阻害薬</span>"] -.-> C
    R["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uveoscleral outflow'>ぶどう膜強膜流出</span>を増やす<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='prostaglandin analogue'>プロスタグランジン関連薬</span>"] -.-> D
    S["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>の容積を減らす<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperosmolality'>高浸透圧</span>薬(急性期)"] -.-> B

薬の一覧:慢性期と急性期

場面 系統 作用
慢性期 ① を増やす
慢性期 ② β遮断薬(非選択的・) を減らす
慢性期 ③ を減らす
慢性期 ④ (点眼・内服) を減らす
慢性期 ⑤ 流出を増やす
慢性期 ⑥ 流出を増やす
急性期 ① 薬(内服・静注) を脱水させる
急性期 ② (静注) を減らす

薬の選び方

欧州緑内障学会の整理では、まず全身の禁忌を確認し、次に眼の条件を見てから第一選択を決める。

flowchart TD
    A["全身の禁忌を確認<br>アレルギーの除外<br>喘息・不整脈などの既往を聞く<br>併用薬を確認"] --> B["眼の条件を見る"]
    B --> C["眼表面の状態<br>一部の患者では<span class='jp-term jp-term-diagram' title='preservative-free'>防腐剤無添加</span>製剤を考える"]
    B --> D["合併する眼疾患"]
    C --> E["第一候補<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='prostaglandin analogue'>プロスタグランジン関連薬</span>・β遮断薬"]
    D --> E
    E --> F["次の候補<br>α2作動薬・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='carbonic anhydrase inhibitor'>炭酸脱水酵素阻害薬</span>・その他"]

⭐ 現行(第6版、2025年)では、が最も効果が高く1日1回で全身的に安全なため、の薬物治療の第一選択とされ、も第一選択になりうる。下降効果の大きさは、>>>>選択的β遮断薬>の順である1。

薬の系統ごとの詳細

各薬の濃度・下降率・禁忌・副作用は、欧州緑内障学会の第4版の表に基づき、第6版(2025年)で変わった点を後の表にまとめる。

プロスタグランジン関連薬(第一選択)

項目 内容
薬と濃度 プロスタグランジン類似体:0.005%、タフルプロスト0.0015%、0.003〜0.004%/プロスタマイド:0.03%・0.01%
作用 を増やす
下降 25〜35%
注意(従来の禁忌欄) コンタクトレンズ(点眼後15分おいてから再装用すればよい)
局所の副作用 、灼熱感・しみる、、かゆみ、眼周囲の皮膚の色素沈着、の萎縮、睫毛の変化(伸びる・濃くなる)、色素の増加(緑褐色・青灰褐色・黄褐色ので目立つ)、のある・やの危険因子のある眼での、ヘルペス角膜炎の、ぶどう膜炎
全身の副作用 呼吸困難、胸痛・狭心症、筋肉痛・、喘息の悪化

💡 の萎縮で上眼瞼溝が深くなる変化はプロスタグランジン関連症と呼ばれる。片眼だけに使うと左右差が目立つので、使う前に説明する。2種類のを併用しない1。

β遮断薬

項目 非選択的
薬と濃度 0.1・0.25・0.5%、レボブノロール0.25%、メチプラノロール0.1〜0.3%、カルテオロール0.5〜2.0%、ベフノロール0.5% 0.5%
作用 を減らす を減らす
下降 20〜25% 約20%
禁忌 喘息、COPDの既往、(60/分未満)、房室ブロック、心不全 喘息、COPDの既往、(60/分未満)、房室ブロック、心不全・
局所の副作用 、、、、アレルギー性 灼熱感・しみるのが非選択的より強い
全身の副作用 徐脈、不整脈、心不全、失神、・気道閉塞、、低血圧、での低血糖、夜間の全身血圧低下、うつ、 呼吸器・心臓の副作用は非選択的より軽い、うつ、

⚠️ ⭐ β遮断薬の点眼は喘息・COPDで禁忌。の遮断で気管支が収縮し、点眼1滴でもからなしに吸収されて発作を起こしうる。なでも禁忌は外れない1。で喘息・徐脈・房室ブロック・心不全を必ず確認する。

炭酸脱水酵素阻害薬

項目 点眼 全身(内服・静注)
薬と濃度 1%、2% 、メタゾラミド、ジクロルフェナミド
作用 を減らす を減らす
下降 20% 30〜40%
禁忌 細胞数の少ない眼(の危険) 低ナトリウム・、腎・肝の疾患や機能障害、副腎不全、(現行版ではアレルギーも明記)
局所の副作用 灼熱感・しみる、、、かすみ、 —
全身の副作用 頭痛、じんま疹、、かゆみ、、めまい、、 、聴覚障害・、食欲低下、、悪心・嘔吐・下痢、うつ、、腎結石、、代謝性アシドーシス、電解質異常

💡 細胞はを使って角膜から水をくみ出している。点眼のがこれを止めると、内皮のが乏しい眼(ス、の既往など)でが起こる。

α作動薬

項目 内容
薬と濃度・作用・下降 0.5〜1.0%(を減らす、25〜35%)/0.2%(を減らし、を増やす、18〜25%)/0.125〜0.5%(を減らす、18〜25%)
禁忌 MAO阻害薬の内服、小児、極端なの成人
局所の副作用 眼瞼挙上、の蒼白化、軽い()、アレルギー性、眼周囲の、アレルギー・遅延型過敏症(とがより多い)
全身の副作用 口と鼻の乾燥()、全身の低血圧・徐脈()、疲労感・眠気()

⚠️ ⭐ は血液脳関門を越えて中枢を抑制する。現行版では2歳未満は、7歳未満または体重20 kg未満はとされ、乳児では無呼吸を起こしうるのでと授乳中にもを使わない1。

第二選択の薬:非選択的アドレナリン作動薬

項目 内容
薬と濃度 エピネフリン0.25〜2.0%、ジピベフリン0.1%(エピネフリンの)
作用 を減らし、を増やしうる
下降 15〜20%
禁忌 閉塞しうる隅角(切開が必要)、()
局所の副作用 、の色素沈着、灼熱感・しみる、眼痛、かすみ、
全身の副作用 高血圧、頭痛、不安、、胸痛、、頻脈、発汗

💡 α1作用でするため、狭い隅角では閉塞隅角を誘発する。現行版の治療薬の表からは外れており、歴史的な薬として理解すればよい。

第二選択の薬:副交感神経作動薬(縮瞳薬)

項目 ()
薬と濃度 0.5〜4%、0.75〜3% デメカリウム0.125〜0.25%、エコチオパート0.03%、0.025〜0.1%
作用 の収縮でを引き、を広げて流出を促す 同上(アセチルコリンの分解を止める)
下降 20〜25% 15〜25%
禁忌 術後炎症、ぶどう膜炎、、の危険がある眼、痙攣性の、消化性潰瘍、高度の徐脈、低血圧、最近の心筋梗塞、てんかん、 と同じ
局所の副作用 とによる(暗い所で見えにくい)、、、、閉塞隅角の誘発、 と同様だがより強い
全身の副作用 腹部の痙攣痛、、頭痛 と同様だがより強い

💡 が閉塞隅角を「起こす」こともあるのは、の収縮でが前へ出てが強まるためである。炎症眼で禁忌なのは、でができやすく、血液関門の破綻も強めるからである。

急性期に使う高浸透圧薬

項目 内服 静注
薬 グリセロール、イソソルビド、アルコール 、尿素
作用 を上げてを脱水し容積を減らす → 面が後方へ下がりが深くなる 同左
下降 15〜20% 15〜30%
禁忌 心不全・腎不全 心不全・腎不全
副作用 悪心・嘔吐、脱水(糖尿病では特に注意)、利尿、(重いと傾眠・意識障害・痙攣・昏睡)、、急性、過敏反応 同左

⚠️ 薬は循環血液量を急に増やすので、心不全・肺水腫・腎障害を起こしうる。現行版では、使う前に心・腎疾患を評価し、繰り返し投与しないよう求めている1。

欧州緑内障学会ガイドラインの第4版と第6版の違い

論点 従来(第4版、2014年) 現行(第6版、2025年)
第一選択の位置づけ とβ遮断薬を第一候補として並べる が第一選択。も第一選択になりうる
新しい薬 記載なし ラタノプロステンブノド0.024%、オミデネパグ0.002%(作動薬、約25%)、のネタルスジル0.02%(流出の増加との低下、20〜25%)とリパスジル0.4%(約20%)
表から外れた薬 非選択的、ベフノロール、、、デメカリウム、、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、尿素、アルコール 記載なし(歴史的な薬)
の濃度 0.5%(約20%) 0.25〜0.5%(約20%)

出典:Terminology and Guidelines for Glaucoma, 6th Edition1

処方の原則

  • 治療は単剤で始める。
  • 効果の評価は、治療前の(ベースライン)と比べて行う。
  • 単剤で個別のに届かないときに配合剤を考える。
  • 同時に使う点眼を2本より多く処方しない(が下がる)。
  • 配合剤は、2剤を別々に点眼するより好ましい。
  • ただし配合剤は第一選択ではなく、単剤でが十分に下がらず追加が必要な患者に使う。
  • 眼表面を評価し、があれば製剤を考える。
  • はと異なることがあり、切り替え後はより注意深く経過をみる。
  • 妊娠中は、薬を続けることの胎児(と新生児)への危険と、母体のの危険をはかりにかける。

現行版はこれを次のように具体化している。単剤が無効・不耐なら2剤目を足すより別の単剤へ切り替え、効いているが目標に届かないときに別の系統を追加する。配合剤は第一選択には勧めないが、進行例や非常に高いでは最初から配合剤を使うこともある1。

妊娠・授乳・小児での注意

対象 注意点
妊娠 第1三半期が最も注意すべき時期。は催奇形性の懸念から禁忌(とくに第1三半期)、は流産の危険を高める。β遮断薬とは使用経験が多くおおむね安全とされる。圧迫とで全身吸収を減らす
・授乳 は乳児の無呼吸を起こしうるので使わない
小児 は2歳未満で(7歳未満・体重20 kg未満では)。β遮断薬はとくに早産児・新生児で禁忌とされ(徐脈・呼吸抑制)、使うなら低濃度から始めて監視する。はと嘔吐を起こしうるので生後1か月未満には勧めない

出典:Terminology and Guidelines for Glaucoma, 6th Edition1

病型ごとの治療の組み立ては緑内障 Iと緑内障 II、疾患の全体像は緑内障とで扱う。

人工涙液とドライアイ

涙液層の考え方

従来、は外側から・・の3層と説明されてきた。現在は、の表面に膜型があり、その上のには可溶性が溶け込んで、上皮に近いほどが濃くなる濃度勾配の構造と考えられている(いちばん外側は)。

従来の3層モデル 現在の勾配モデル
可溶性を含む(上皮に近いほどが濃い)
膜型(上皮細胞の表面に付着)
細胞 細胞

ドライアイ症状を重視する理由

  • 強い症状のは5〜30%で、画面を見る時間が増えるにつれて増えている。
  • 症状は眼科を受診する患者で最も多い症状である。
  • 重い症状は、狭心症に匹敵するほど生活の質を下げる。

乾燥感・・かすみ・疲れ目があり、目をこする・目薬を差すといった行動につながる。疾患としての整理はにある。

人工涙液の組成

性質 内容
〜等張
緩衝 緩衝剤入り
成分 電解質、、粘稠度を上げる成分
pH 中性〜弱アルカリ性
浸透圧 180〜300 mOsm/L

理想の人工涙液と選び方

⭐ は症状の治療の基本()で、として手に入る。製品が多すぎ、製品ごとに和らげる症状が違うので、患者に合うものを選べるよう助言する。現行のTFOS DEWS IIIでも、を補い・保ち・分泌を促す第一段階の治療の柱は眼表面の補充剤()である4。

理想のは次の条件を満たす。

  • 足りない成分を含む
  • 毒性のある成分を含まない
  • 粘稠である(長くとどまる)
  • 低浸透圧である(の涙はなので、それを薄める)
  • 安い

防腐剤の問題

  • 入りのを長く使うと、の傷害、眼表面上皮細胞のアポトーシス、の不安定化が起こり、かえって症状を強めることがある。
  • 理想は製剤だが、高価で、使いにくいと感じる患者もいる。一回使い切りの容器は開封後24時間で捨てる必要があり、付きの多回用ボトルは押しにくい。
  • 1日6回以上点眼が必要な患者には、製剤が勧められる。

💡 の問題は緑内障の点眼でも同じである。欧州緑内障学会は、最も多いの塩化物がを起こし悪化させうるため、長期治療や不耐の患者では製剤や配合剤で負担を減らすよう勧めている1。

涙液分泌減少型ドライアイの治療

1日3〜4回の点眼が勧められる。症状に合わせて、粘稠度の低いものから高いものへ段階的に進める。

flowchart TD
    A["開始<br>カルボキシ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methylcellulose'>メチルセルロース</span><br>ヒプロメロース、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyaluronic acid'>ヒアルロン酸</span>"] --> B{"効果不十分"}
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polyethylene glycol (PEG)'>ポリエチレングリコール</span>400<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='propylene glycol'>プロピレングリコール</span>・グリセリン"]
    C --> D{"症状が続く"}
    D --> E["ゲル・脂質製剤を考える<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ophthalmic (eye) ointment'>眼軟膏</span>、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liposome'>リポソーム</span>スプレー<br>処方の挿入剤"]

シェーグレン症候群や慢性炎症があるときは、グリセロール、リフィテグラスト、の使用が勧められる。現行のTFOS DEWS IIIも、原因によってはステロイドやT細胞免疫調節薬などのが有益であり、病因ごとに治療を選ぶとしている4。

蒸発亢進型ドライアイの治療

TFOS DEWS IIIもの基本治療としてを挙げている4。疾患としての整理はにある。

広く使われる2つのタイプ

タイプ 特徴
新しい製品(の3層すべてを補うとされる) 満足度が高いが高価
ハンガリーの標準処方集にあるの粘稠点眼液 とどまる時間が短く点眼回数が多くなるが安価

まとめ

  • 点眼でもからなしに全身へ吸収される。圧迫で減らせる。
  • は交感神経刺激()か副交感神経遮断(・・)、は副交感神経刺激()。はも起こし、眼では閉塞隅角を誘発しうる。
  • 動眼神経麻痺は・下・・調節障害。を伴えば動脈瘤を疑う。は・軽い・で、3ニューロン経路に沿って原因を探す。
  • は隅角を開くが、40 mmHg以上では効きにくいので下がってから使い、性・後方の機序では禁忌(を使う)。急性発作は抑制点眼・ステロイド点眼・を直ちに並行して始め、不十分なら、にはが下がってから、角膜が澄んだらレーザー切開(にも)。
  • 抗菌薬はアミノグリコシド・セファロスポリン・フルオロキノロン・グリコペプチド。内バンコマイシンは出血性の危険がある。角膜炎ごとの治療は抗微生物薬による治療へ。
  • ステロイドはぶどう膜炎の第一選択だが、・・感染・角膜菲薄化に注意。NSAIDsは主治療としては弱く、術後の予防・治療ではステロイドとの併用が最も有効。
  • 緑内障の第一選択は。単剤で始め、無効なら切り替え、不足なら別系統を追加し、配合剤で点眼本数を減らす。
  • β遮断薬は喘息・COPD・徐脈・房室ブロック・心不全で禁忌。は2歳未満で禁忌、・授乳中はを避ける。は内皮の少ない角膜で浮腫を起こす。
  • は治療の基本。1日6回以上なら。分泌減少型は1日3〜4回で段階的に粘稠度を上げ、亢進型は脂質入りを1日2〜3回と、炎症があればなど。

出典

  1. 1.Terminology and Guidelines for Glaucoma, 6th Edition(European Glaucoma Society・2025)EGSが配布する全文PDF(Br J Ophthalmol 2025年9月8日オンライン公開)で確認した。治療は単剤で始め、無効・不耐なら追加より別の単剤へ切り替え、目標に届かなければ別クラスを追加し、配合剤は2剤の別々の点眼より好ましいが第一選択には勧めない(高眼圧・進行例は例外)こと。眼圧下降効果はPG関連薬、非選択的β遮断薬、Rhoキナーゼ阻害薬、α2作動薬、選択的β遮断薬、局所CAIの順であること。表3.1〜3.7の各薬の濃度・下降率・禁忌・副作用(β遮断薬は喘息・COPD既往・60/分未満の洞徐脈・房室ブロック・心不全が禁忌、α2作動薬はMAO阻害薬内服・小児・極端な低体重が禁忌、局所CAIは角膜内皮細胞数の少ない眼、アセタゾラミドは低Na/K血症・腎肝障害・副腎不全・高Cl性アシドーシス・サルファ剤アレルギー)。小児ではα2作動薬が2歳未満で絶対禁忌・7歳未満または20 kg未満で相対禁忌、β遮断薬はとくに早産児・新生児で禁忌で低濃度から監視下に始めること、縮瞳薬は幽門痙攣と嘔吐を起こしうるため生後1か月未満には勧めないこと、妊娠中はCAIが第1三半期に禁忌、PG関連薬は流産リスク、ブリモニジンは乳児の無呼吸を起こしうるため妊娠後期と授乳中は使わないこと。防腐剤(主にベンザルコニウム塩化物)が眼表面疾患を起こし悪化させうること。急性閉塞隅角では房水産生抑制薬を中心とする点眼とステロイド頻回点眼を直ちに行い、IOP 40 mmHg以上でアセタゾラミド(嘔吐時・急ぐときは静注10 mg/kg。サルファ剤アレルギー・重い腎疾患では避ける)を直ちに、不十分ならマンニトール0.5〜1.5 g/kg静注を心・腎疾患を評価したうえで考慮し(繰り返し投与しない)、瞳孔ブロックが疑われればピロカルピン2%を使うが眼圧40 mmHg以上なら下がるまで待ち、大量使用は全身症状のため避け、水晶体・水晶体後方機序では禁忌で調節麻痺薬を使い、角膜が澄んだらレーザー周辺虹彩切開を有水晶体の僚眼にも行うこと。散瞳による閉塞隅角は解剖学的素因のある眼に起こるが一般には安全で、散瞳後にピロカルピンで縮瞳させるべきでないこと、吸入気管支拡張薬・三環系抗うつ薬など副交感神経遮断・交感神経刺激作用のある全身薬も誘因になること。鼻粘膜から吸収された点眼薬は肝の初回通過を避けて全身副作用(とくにβ遮断薬)を起こしうること、涙点閉塞で全身副作用を減らせる可能性が高いこと、2種類のPG関連薬を併用しないこと。閲覧 2026-09-29
  2. 2.Vancomycin-Associated Hemorrhagic Occlusive Retinal Vasculitis: Clinical Characteristics of 36 Eyes(Ophthalmology (ASCRS・ASRS合同タスクフォース)・2017)Europe PMCの抄録(PMID 28110950)で、白内障手術または硝子体内注射の1〜21日後に遅発性の無痛性視力低下で発症した出血性閉塞性網膜血管炎36眼すべてが眼内バンコマイシン(33眼は前房内ボーラス)に関連し、61%が20/200以下、22%が光覚なしと視力予後が不良で、56%に血管新生緑内障を生じたこと、遅延型過敏反応が原因と考えられることを確認した。閲覧 2026-09-29
  3. 3.European multicenter trial of the prevention of cystoid macular edema after cataract surgery in nondiabetics: ESCRS PREMED study report 1(Journal of Cataract and Refractive Surgery・2018)Europe PMCの抄録(PMID 29778106)で、非糖尿病の白内障手術914例をブロムフェナク0.09%、デキサメタゾン0.1%、両者併用に無作為化し、12週以内の臨床的に有意な黄斑浮腫が3.6%・5.1%・1.5%(P=.043)で、併用群が単剤群より低リスクだったことを確認した。閲覧 2026-09-29
  4. 4.TFOS DEWS III: Management and Therapy(Tear Film & Ocular Surface Society (American Journal of Ophthalmology)・2025)Europe PMCの抄録(PMID 40467022)で、ドライアイの第一段階は涙液を補い・保ち・分泌を促す方法で眼表面補充剤(人工涙液)が治療の柱であること、マイボーム腺機能不全は温罨法などで治療すること、原因によっては局所・全身ステロイドやT細胞免疫調節薬などの抗炎症治療が有益であること、病因別に介入を選ぶ処方アルゴリズムを示したことを確認した。閲覧 2026-09-29