眼科学

眼科学 · ML-14

ぶどう膜炎の分類と前部ぶどう膜炎

Classification of uveitis and anterior uveitis

前提:正常
頭部:眼窩と眼眼:網膜・虹彩・毛様体

🧠 全体像:ぶどう膜炎は「どこが(解剖学的部位)・どう始まり・どれだけ続くか(経過)・何が原因か(病因)」の3軸で整理する。国際的な共通語が SUN 分類で、が主座なら前部、なら、網膜・なら後部、全部ならと呼ぶ。最も多いのは前部ぶどう膜炎で、その代表が HLA-B27 関連の(片眼の急な充血・痛み・、細かい、の細胞とフレア、ときに) である。治療の柱はステロイド点眼との2本で、背後にが隠れていないかを DUET で拾い上げる。

赤目の中での前部ぶどう膜炎の見分け方は赤目の鑑別で、ぶどう膜炎の検査の進め方はぶどう膜炎の検査で詳しく扱う。・後部・小児のぶどう膜炎は・・小児のぶどう膜炎が正本である。

ぶどう膜の解剖

ぶどう膜はの中間の層で、外側のと内側の網膜に挟まれている。血管と色素に富み、前から次の3つの部分に分かれる。

部分 位置 主なはたらき 炎症したときの名前
角膜との間。中央に瞳孔 の調節
(ひだ部・扁平部) の根元から後方へ。前方のひだの多い部分と、後方の平らな部分(扁平部)がある の産生、調節() 炎、
毛様体扁平部の後方から視神経まで、網膜の外側に広がる の栄養 炎

💡 ぶどう膜は血流が豊富で、全身の免疫・感染の影響を受けやすい。また炎症は隣の層に広がりやすく、網膜に及べば網膜炎・になる。ぶどう膜炎が「ぶどう膜とその周囲の層(網膜など)の炎症性疾患」と広く定義されるのはこのためである。

ぶどう膜炎の分類

解剖学的分類(SUN 分類)

ぶどう膜炎の型は、主に炎症の主座が眼内のどこにあるかで分ける。国際的な標準は SUN 作業部会の2005年の分類である1。

型 炎症の主座 含まれる病態
前部ぶどう膜炎 、、前部炎
毛様体扁平部炎、後部炎、
網膜または 限局性・多巣性・びまん性の炎、、網膜炎、網膜炎、視神経網膜炎
・・網膜またはのすべて —

⭐ 分類は「どの組織が炎症しているか」ではなく「炎症細胞がどこに主にあるか」で決まる。たとえばはの炎症として説明されることもあるが、SUN 分類の定義では主座はである。もだけでなく網膜の炎症を含む。

flowchart TD
    A["眼内の炎症細胞はどこに多いか"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior chamber'>前房</span>"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>"]
    A --> D["網膜・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroid'>脈絡膜</span>"]
    A --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior chamber'>前房</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>・網膜/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroid'>脈絡膜</span>のすべて"]
    B --> F["前部ぶどう膜炎<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='iritis'>虹彩炎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iridocyclitis'>虹彩毛様体炎</span>"]
    C --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intermediate uveitis'>中間部ぶどう膜炎</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pars planitis'>扁平部炎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitritis'>硝子体炎</span>"]
    D --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior uveitis'>後部ぶどう膜炎</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroid'>脈絡膜</span>炎・網膜炎"]
    E --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='panuveitis'>汎ぶどう膜炎</span>"]

部位ごとの症状と所見

症状と所見は炎症の場所に一致する。

型 症状 所見
前部 、充血、痛み・ 、(なら肉芽腫性)、の細胞とフレア、(瞳孔が小さい・不整)
、 の細胞と、雪玉状(大きな炎症細胞の集まり)、扁平部の雪土手状滲出物、
後部 、視野の変化 脈絡網膜の、、、の異常

💡 前部ぶどう膜炎が痛く、・後部が痛くないのは、痛みの主な源がとの炎症・の痙攣だからである。後部の炎症は痛みより視力と視野の症状で気づかれる。

発症と経過による分類

ぶどう膜炎は短く終わる(急性)ことも長く続く(慢性)こともあり、重い型ほど何度も再発する。SUN 分類の記述子を次に示す1。

項目 用語 定義
発症 急激 突然始まる
発症 いつの間にか始まる
持続期間 限定的 3か月以下
持続期間 遷延性 3か月を超える
経過 急性 急激に発症し、持続期間が限定的なエピソード
経過 再発性 無治療で3か月以上のを挟んで、エピソードを繰り返す
経過 慢性 遷延性のぶどう膜炎で、治療をやめると3か月未満でする
  • 慢性の型は「薬を減らしてやめると、症状があってもなくても炎症がぶり返す」ものと言い換えられる。症状が乏しいまま炎症が続くことがあるのが怖いところである。
  • に多い合併症は、、緑内障で、これらは永続的なにつながる。

前房の炎症のグレード(SUN 分類)

の炎症は、で細胞(に浮かぶ白血球)とフレア(のタンパク濃度が上がって光の通り道が霧のように見えること)の2つで評価する。

細胞(1 mm×1 mm の細隙光で照らした視野内の細胞数)1

グレード 視野内の細胞数
0 1個未満
0.5+ 1〜5
1+ 6〜15
2+ 16〜25
3+ 26〜50
4+ 50を超える

フレア1

グレード 所見
0 なし
1+ かすか
2+ 中等度(との細部は明瞭に見える)
3+ 高度(との細部がかすむ)
4+ 強烈(フィブリンの、またはがゼリー状に凝固)

活動性を表す用語1

用語 定義
細胞グレード0
活動性の悪化 炎症レベルが2段階上がる、または3+から4+へ上がる
活動性の改善 炎症レベルが2段階下がる、またはグレード0まで下がる
寛解 眼の治療をすべてやめて3か月以上、が続く

💡 細胞は「いま活動している炎症」、フレアは「が壊れて漏れたタンパク」を表す。フレアは炎症が治まっても残ることがあるので、治療の強さは主に細胞のグレードで判断する。

病因

  • 病因は地域によって大きく異なる。
  • 約50%は特発性(原因不明)で、ほかに外傷・炎症性疾患・感染症が関わる。
  • 眼だけの病気のこともあれば、全身の炎症性疾患の一部のこともある。
  • どの年齢にも起こるが、主に20〜60歳が罹る。
群 代表的な疾患
全身の炎症性疾患 、、、、、ぶどう膜炎症候群、、
眼だけの炎症(全身異常なし) バードショット脈絡網膜症
ウイルス HSV、VZV、CMV
細菌 、梅毒、結核、ライム病
寄生虫 、

検査の概要

ぶどう膜炎の全身検査は、病歴と所見から疑う疾患を絞って行う。検査項目の選び方と解釈はぶどう膜炎の検査が正本なので、ここでは全体像だけを示す。

検査 狙う疾患
血算、CRP、ESR、肝・腎機能、尿、電解質 全身状態、腎病変()
ANA
・・トキソカラ・HSV・VZV・CMV の検査 感染性ぶどう膜炎
HLA 型 HLA-B27(前部ぶどう膜炎)、HLA-A29(バードショット)、HLA-B51 などの Behçet 病関連型
FTA-ABS・RPR 梅毒(あらゆる病型をまねる「偉大な模倣者」)
血清 ACE・、胸部 X 線、 と結核の除外
頭部 MRI 血管炎、
の X 線・MRI
歯科・耳鼻科の炎症の確認
  • Behçet 病の関連型として HLA-B52 が挙げられることがあるが、Behçet 病と最も強く関連する HLA 型は HLA-B51(B5 の)である。78研究ので HLA-B51/B5 保因者の発症は約5.8で、東アジア・中東・欧州のどの地域でも同じ程度だった2。
  • 特殊な検査は病歴と症状に基づいて追加する。

合併症と予後

永続的なを招く眼の変化は次のとおりである。

合併症 起こる理由
炎症そのものと、ステロイドの副作用
と前面がフィブリンでくっつく。全周に及ぶとが流れずが上がる
慢性炎症による網膜表面の線維増殖
炎症でから漏れた液が黄斑にたまる。の主因
慢性炎症で角膜の部にカルシウムが沈着する(小児のに多い)
の障害でが落ちる
緑内障 の炎症・閉塞、癒着、ステロイドによる
の浮腫 炎症の波及
  • 重症例は、免疫抑制療法に慣れた眼科医がいる医療機関へ紹介する。
  • ぶどう膜炎の原因を突き止めることは、眼のためだけでなく、一部のが重い合併症や死亡につながるためにも重要である。

前部ぶどう膜炎

疫学と位置づけ

  • ぶどう膜炎全体のは10万人あたり約50人である。
  • 前部ぶどう膜炎が最も多く、ぶどう膜炎の約60〜90%を占める。
  • 前部ぶどう膜炎はとに分ける。は内因性ぶどう膜炎で最も多い型である。
  • の約50%が HLA-B27 陽性である3。
  • やの多くは前部ぶどう膜炎の形で始まる。そのため必ずして眼底を見る。眼底に病変がないことを確かめて初めて「前部ぶどう膜炎」と診断できる(前部ぶどう膜炎とは前部だけの炎症を指す)。

診察で見る所見

で、角膜後面・・・瞳孔・を順に見る。

部位 見るもの 意味
角膜後面 (に付着した炎症細胞の塊) 細かく小さいものは、大きなは肉芽腫性(・結核・ヘルペスなど)
細胞、フレア()、フィブリン、 は HLA-B27 関連、Behçet 病、で起こる
色()、萎縮、結節(Koeppe 結節・Busacca 結節)、、、 結節は肉芽腫性。萎縮はヘルペス、異色は Fuchs を示唆
瞳孔 形、癒着、RAPD 癒着でになる。RAPD は視神経・網膜の広い障害を示す
多くは低い 高い場合は Fuchs 、Posner-Schlossman 症候群、HSV、ステロイドの副作用を考える

所見を具体的に言葉にすると次のようになる。

  • 細かい:角膜後面に、細かな白い点がほこりのように散らばる。
  • :大小の丸い、脂っぽい灰白色の沈着物が角膜後面に多数並ぶ。
  • :が数か所でに貼り付き、瞳孔が花びら状・になる。はがれた跡に色素が前面に残る。
  • の結節(肉芽腫):の表面やに小さな灰白色〜黄褐色の隆起が散在する。のものが Koeppe 結節、ののものが Busacca 結節である。
  • :眼底からの反帰光で照らすと、の萎縮した部分から赤い光が透けて見える(欠損)。
  • :の下方に白い炎症細胞の層が水平面をつくって沈む。細胞が非常に多いとして層になる、重い炎症のである。
  • :リンパ腫・白血病などの腫瘍細胞がの下方にたまったもので、充血が乏しいわりに様の層が目立つ。を疑う。

⚠️ ぶどう膜炎のは多くは低いが、急に高くなる型(ヘルペス性、Posner-Schlossman 症候群)や、治療のステロイドで上がる例がある。は毎回測る。

急性前部ぶどう膜炎

特徴

は、突然始まる片眼の充血・痛み・・かすみで来る。

  • 多くは特発性の前部ぶどう膜炎として来るが、特発性のの約40%に未診断のがある4。
  • HLA-B27 陽性の前部ぶどう膜炎はの約50%を占め、との結びつきが非常に強い。
  • 前部ぶどう膜炎はで最も多い関節外症状で、患者の最大40%にみられる。
  • ぶどう膜炎がの最初の症状のことがある。
  • (細かい)である。
  • フィブリンやを伴うことがある。
  • を起こしやすい。
  • ぶどう膜炎の重さと全身症状の重さは相関しない。
  • 典型的には片眼性で、発作のたびに左右が入れ替わる()。平均で年1〜2回発作し、多くは2か月以内に治まる3。

脊椎関節炎

は、次の疾患を古典的に含む疾患の一群である。

疾患 押さえどころ
若年男性の、。HLA-B27 と強く関連()
皮膚・爪の乾癬
に伴う関節炎 ・
感染後の(旧称 Reiter 症候群) 大腸菌、サルモネラ、、、クラミジア・トラコマチス、肺炎クラミジアの感染後

の X 線・MRI でを探すのはこのためである。

DUET:脊椎関節炎を拾い上げる紹介アルゴリズム

DUET は、の患者のうち、リウマチ科で評価すべきのを眼科医やかかりつけ医が選び出すための、根拠に基づく最初の紹介ツールである。検証コホートでの感度は96%、特異度は97%だった4。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute anterior uveitis'>急性前部ぶどう膜炎</span>"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spondyloarthritis, SpA'>脊椎関節炎</span>の診断が<br>すでについているか"}
    B -->|"ついている"| C["追加の精査は不要<br>ぶどう膜炎は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spondyloarthritis, SpA'>脊椎関節炎</span>によるもの"]
    B -->|"ついていない"| D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low back pain'>腰痛</span>(45歳未満で発症し<br>3か月を超えて続く)<br>または受診を要した関節痛があるか"}
    D -->|"ない"| E["説明用のパンフレットを渡す"]
    D -->|"ある"| F{"HLA-B27は陽性か"}
    F -->|"陽性"| G["リウマチ科へ紹介"]
    F -->|"陰性"| H{"乾癬の既往があるか<br>または診察で乾癬を認めるか"}
    H -->|"ある"| G
    H -->|"ない"| E

💡 DUET の要点は、・関節痛を聞き、HLA-B27 を測り、乾癬を探すという3つの手順だけで、未診断のをほぼ取りこぼさずに拾えることである。ぶどう膜炎を診た眼科医が、のの入口になる。

HLA-B27 関連急性前部ぶどう膜炎の治療

治療の2本柱はステロイド点眼と()である。

flowchart TD
    A["HLA-B27関連の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute anterior uveitis'>急性前部ぶどう膜炎</span><br>(感染性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='masquerade syndrome'>仮面症候群</span>を否定)"] --> B["ステロイド点眼を高頻度で開始"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cycloplegic agent'>調節麻痺薬</span>の点眼を同時に開始"]
    B --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior chamber'>前房</span>細胞は減っているか"}
    D -->|"減っている"| E["反応を見ながら数週かけて<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tapering'>漸減</span><br>急にやめると<span class='jp-term jp-term-diagram' title='recoil'>反跳</span>する"]
    D -->|"減らない・重症"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subconjunctival'>結膜下</span>・前部<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sub-Tenon'>テノン嚢下</span>注射<br>またはステロイド内服"]
    C --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary muscle'>毛様体筋</span>の痙攣による痛みを取り<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior synechiae'>虹彩後癒着</span>を防ぐ・はがす"]
    E --> H{"視力を脅かす発作を繰り返すか"}
    H -->|"繰り返す"| I["全身の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immunosuppressant'>免疫抑制薬</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Antimetabolites'>代謝拮抗薬</span>・生物学的製剤)"]

ステロイド

()

💡 瞳孔が小さいまま炎症が続くと、はの前面に広く接して癒着しやすい。させてをから離しておくことが、全周の癒着()によるを防ぐことにつながる。

と全身治療

⚠️ ステロイドを始める前に、感染性(ヘルペス・梅毒・結核・)とを必ず考える。これらをステロイド単独で治療すると悪化したり診断が遅れたりする。

慢性前部ぶどう膜炎

特徴

  • 急性より少ない。
  • 肉芽腫性のことものこともある。
  • より両眼性が多い。
  • で無症状のことがあるため、スクリーニングが要る。
  • 何年も続き、再発を繰り返す。
  • 合併症(角膜症、、緑内障、)のため予後が悪い。

慢性前部ぶどう膜炎を起こす疾患

疾患 特徴
片眼のの色が薄くなる()。とを起こしやすい
(緑内障性炎発作) 軽い炎症と不釣り合いに高いの発作を繰り返す
ウイルス性前部ぶどう膜炎 HSV、VZV、CMV が多い(下記)
起因性ぶどう膜炎 外傷や手術でから漏れたタンパクへの免疫反応

ウイルス性前部ぶどう膜炎

原因はヘルペスウイルス群の・2型、、である。ウイルス性ぶどう膜炎の症状は患者の免疫状態で変わる。たとえば CMV は、免疫が正常な人では前部ぶどう膜炎を、免疫抑制状態の人では()を起こす。

項目 特徴
病歴 角膜炎の既往、領域や眼瞼の(帯状疱疹、)
眼の左右 片眼
50〜90%で高い
角膜 、瘢痕、浮腫
のことも細かいこともある
萎縮(で赤い光が透ける)、
治療 HSV・VZV:経口のアシクロビルまたはが主体で、ステロイド点眼・を併用し、再発例では長期の経口予防を行う。CMV:の局所(ゲル・点眼)とステロイド点眼が第一選択で、無効・なら経口5。従来の整理では局所アシクロビル・を挙げ、全身投与を重症・再発例に限っていた

💡 「片眼・が高い・・」がそろえばヘルペス性を考える。普通のぶどう膜炎はが低いことが多いので、の高さが手がかりになる。ヘルペス角膜炎との関係はヘルペス角膜炎で扱う。

小児の前部ぶどう膜炎

小児に多い前部ぶどう膜炎として、、ぶどう膜炎症候群、に伴うぶどう膜炎がある。小児ぶどう膜炎で最も多いのはに伴うもので、従来の整理では小児ぶどう膜炎の80%とされる(割合は報告によって幅がある)。

に伴うぶどう膜炎の特徴

項目 内容
年齢 16歳未満で発症する関節炎
関節炎の型 80〜90%が(4関節以下)
90%で陽性
初発年齢 平均6〜8歳
ぶどう膜炎の時期 通常、状の4〜7年後
ぶどう膜炎の性質 両眼性・慢性。無症状のまま進む

⚠️ 充血も痛みもないまま・・緑内障が進むので、症状がなくても眼科で定期的にスクリーニングする。詳しいスクリーニング間隔と治療は小児のぶどう膜炎で扱う。

仮面症候群

ぶどう膜炎に見えて、実は別の病気であるものをと呼ぶ。治療に反応しない、な経過をとる、高齢者で初発、といった場合に疑う。

群 疾患
非悪性 Schwartz 症候群(に伴うの細胞)、虚血(高齢者のによる。)、
悪性 白血病、リンパ腫()、

悪性のでは、腫瘍細胞がの下方にたまってをつくることがある。

⚠️ ステロイドで一時的に良くなって見えることがあるので、「治りきらないぶどう膜炎」「高齢者の」「小児の」では腫瘍を疑って精査する。

まとめ

  • ぶどう膜は・・からなるの中間層で、ぶどう膜炎はぶどう膜と周囲の層(網膜など)の炎症である。
  • SUN 分類は炎症の主座で分ける:前部()、()、後部(網膜・)、。
  • 経過:急性(急激な発症・3か月以下)、再発性(無治療で3か月以上のを挟む)、慢性(治療中止後3か月未満で)。慢性の合併症は・・緑内障。
  • 細胞は1 mm×1 mm の細隙光で数え、0(1個未満)から4+(50超)まで。フレアは0(なし)から4+(フィブリン・凝固した)まで。
  • 病因の約50%は特発性。・・・・・・、感染症(HSV・VZV・CMV・梅毒・結核・)を探す。検査の正本はぶどう膜炎の検査。
  • 前部ぶどう膜炎はぶどう膜炎の60〜90%。後部・も前部の形で始まるので必ず。
  • の約50%は HLA-B27 陽性。片眼・・、フィブリン・、を起こしやすい。特発性例の約40%に未診断のがあり、DUET で・関節痛→HLA-B27→乾癬の順に確かめてリウマチ科へ紹介する。
  • 治療はステロイド点眼を高頻度で始めてし、などので痛みを取り癒着を防ぐ。重症は局所注射・内服、再発を繰り返せば全身の。ステロイドの前に感染とを除外する。
  • は両眼性が多く無症状のことがあり予後が悪い。Fuchs、Posner-Schlossman、ウイルス性(片眼・・)、起因性。
  • のぶどう膜炎は無症状で進むので定期スクリーニングが必須。治らないぶどう膜炎では(リンパ腫・白血病・・・)を疑う。

出典

  1. 1.Standardization of uveitis nomenclature for reporting clinical data. Results of the First International Workshop(Standardization of Uveitis Nomenclature (SUN) Working Group・2005)PMC収載の著者稿(PMC8935739)の表で次を確認した。表1の解剖学的分類は炎症の主座で決まり、前部ぶどう膜炎は前房(虹彩炎・虹彩毛様体炎・前部毛様体炎を含む)、中間部ぶどう膜炎は硝子体(毛様体扁平部炎・後部毛様体炎・硝子体炎を含む)、後部ぶどう膜炎は網膜または脈絡膜(限局性・多巣性・びまん性の脈絡膜炎、脈絡網膜炎、網膜脈絡膜炎、網膜炎、視神経網膜炎を含む)、汎ぶどう膜炎は前房・硝子体・網膜または脈絡膜のすべてであること。表2の記述子は、発症が急激か潜行性か、持続期間が3か月以下(限定的)か3か月超(遷延性)か、経過が急性(急激な発症と限定的な持続期間のエピソード)・再発性(無治療で3か月以上の非活動期を挟んで繰り返すエピソード)・慢性(治療中止後3か月未満で再燃する遷延性ぶどう膜炎)であること。表3の前房細胞のグレードは1 mm×1 mmの細隙光の視野内の細胞数で、0=1個未満、0.5+=1〜5、1+=6〜15、2+=16〜25、3+=26〜50、4+=50超であること。表4の前房フレアのグレードは0=なし、1+=かすか、2+=中等度(虹彩と水晶体の細部は明瞭)、3+=高度(虹彩と水晶体の細部がかすむ)、4+=強烈(フィブリンまたは凝固した前房水)であること。表5の活動性の用語は、非活動性=細胞グレード0、活動性の悪化=炎症レベルの2段階上昇または3+から4+への上昇、活動性の改善=2段階低下またはグレード0への低下、寛解=眼疾患の治療をすべて中止して3か月以上非活動性であることを確認した。閲覧 2026-09-29
  2. 2.HLA-B51/B5 and the risk of Behçet's disease: a systematic review and meta-analysis of case-control genetic association studies(Arthritis & Rheumatism(de Menthon M, et al.)・2009)抄録(PubMed 19790126)で、78研究(Behçet病4,800例、対照16,289例)のメタ解析で、HLA-B51/B5保因者がBehçet病を発症するオッズ比が5.78(95%信頼区間5.00〜6.67)であり、東アジア・中東/北アフリカ・南欧・北/東欧のいずれの地域でもオッズ比5.31〜7.20と一貫しており、著者らはこの対立遺伝子をBehçet病の一次的・原因的な危険因子と結論していることを確認した。閲覧 2026-09-29
  3. 3.HLA-B27 Associated Acute Anterior Uveitis(American Academy of Ophthalmology (EyeWiki)・2026)2026年7月21日更新版で、急性前部ぶどう膜炎の約50%がHLA-B27と関連すること、典型的には片眼性で両眼に交代性に起こり、平均年1〜2回発作し通常2か月以内に治まること、非肉芽腫性で重症例では前房蓄膿や前房のフィブリンを伴うこと、治療は高用量・高頻度から始めて(プレドニゾロン酢酸エステル1%を1〜2時間ごと、ジフルプレドナートを1日4〜6回、または経口プレドニゾン1 mg/kgなど)数週かけて漸減すること、調節麻痺薬は疼痛の緩和と虹彩後癒着の予防のために使うこと(例:シクロペントラート1%を1日2回)、視力を脅かす発作を繰り返す例や全身疾患のある例では代謝拮抗薬・生物学的製剤などの全身免疫抑制薬を使うことを確認した。閲覧 2026-09-29
  4. 4.A novel evidence-based detection of undiagnosed spondyloarthritis in patients presenting with acute anterior uveitis: the DUET (Dublin Uveitis Evaluation Tool)(Annals of the Rheumatic Diseases(Haroon M, et al.)・2015)PubMedの抄録(PMID 24928841)で、既知の脊椎関節炎や他の原因のない急性前部ぶどう膜炎の連続症例を対象とし、開発コホート101例の41.6%、検証コホート72例の40%がリウマチ科の評価で未診断の脊椎関節炎と診断されたこと、DUETアルゴリズムの検証コホートでの感度96%・特異度97%であること、結論として特発性急性前部ぶどう膜炎の約40%に未診断の脊椎関節炎があるとしていることを確認した。閲覧 2026-09-29
  5. 5.Viral anterior uveitis(Saudi Journal of Ophthalmology・2022)Europe PMC経由でPMC9811927の全文XMLを取得し、HSV・VZVによる前部ぶどう膜炎では全身のアシクロビルとプロドラッグのバラシクロビルが急性期・再発予防の主軸で、通常はステロイド点眼を併用すること、VZVの治療はHSVと同じであること、CMVによる前部ぶどう膜炎ではガンシクロビルゲルとステロイド点眼を第一選択とし、無効・頻回再発で視力低下が進む例では経口バルガンシクロビルへ進むことを確認した。閲覧 2026-09-29