眼科学

眼科学 · ML-11

赤目の鑑別

Red eye

🧠 全体像:赤目の大半は、結膜炎やのような自然に治るか外来で治療できる病気である。しかし同じ「赤い眼」の中に、数時間〜数日で失明につながる角膜炎・前部ぶどう膜炎・・・強膜炎・が混ざっている。見分ける幹は4つ:①視力が落ちているか ②痛み・が強いか ③充血が角膜の周り()か ④角膜・瞳孔・に異常があるか。どれか一つでもあれば「だけの病気ではない」と考え、その日のうちに眼科へ送る。

赤目の見方の基本

充血の型

「赤い」の中身を見分けることが第一歩である。

型 見え方 何を意味するか
の表層の血管が状に拡張する。(まぶたの裏側に近い周辺)ほど赤く、角膜に近づくほど薄い。血管はと一緒に動く の病気(結膜炎など)
(角膜周囲充血) を取り巻くように紫がかった赤い輪ができる。深い血管なのでを動かしても動かない 角膜・・の病気(角膜炎、前部ぶどう膜炎、)
上強膜・の充血 扇形・結節状に深い赤み。強膜炎では暗赤色〜紫色で強い痛みを伴う ・強膜炎
血管の形が見えないべったりした赤い斑。境界がはっきりしている の血管が破れた出血

⭐ は「眼の中(角膜・ぶどう膜)が燃えている」である。結膜炎との区別の出発点になる。

原因の全体図

赤目の原因は、部位ごとに整理すると覚えやすい。

部位 原因
眼瞼・ 、、、、眼瞼・の腫瘍
眼窩 、(自己免疫性)、、の
細菌性・ウイルス性・クラミジア・アレルギー性・自己免疫性結膜炎、接触皮膚結膜炎、、、
角膜 角膜炎(細菌・ウイルス・真菌)、、・
上強膜・ 、強膜炎
眼内 前部ぶどう膜炎、、
外傷 熱傷・酸・アルカリによる、

症状の手がかりから絞る

訴えや所見の組み合わせで、候補を大きく絞れる。

手がかり 考える病気
まぶた・鼻の周りのしこり 、、、、、
・・痛み・ 角膜炎、前部ぶどう膜炎、、、、強膜炎
限局したの赤み 、、
膿性の
かゆみ
点眼薬・化粧品・環境汚染への曝露 接触皮膚結膜炎、、化学性・結膜炎
その他の感染 、クラミジア結膜炎
特殊な原因 の
flowchart TD
    A["赤い眼"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decreased visual acuity'>視力低下</span>・強い痛み・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='photophobia'>羞明</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary injection'>毛様充血</span>のどれかがあるか"}
    B -->|"ある"| C["角膜炎・前部ぶどう膜炎<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute angle-closure glaucoma'>急性閉塞隅角緑内障</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endophthalmitis'>眼内炎</span><br>強膜炎・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chemical injury'>化学外傷</span>を疑う"]
    C --> D["当日中に眼科へ紹介"]
    B -->|"ない"| E{"赤みの形と広がりはどうか"}
    E -->|"べったりした赤い斑"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subconjunctival hemorrhage'>結膜下出血</span>"]
    E -->|"隆起した三角形・黄白色の斑"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pterygium'>翼状片</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pinguecula'>瞼裂斑</span>"]
    E -->|"びまん性"| H{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ocular discharge'>眼脂</span>とかゆみの性状は"}
    H -->|"膿性"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bacterial conjunctivitis'>細菌性結膜炎</span>"]
    H -->|"水様・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='preauricular lymphadenopathy'>耳前リンパ節腫脹</span>"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='viral conjunctivitis'>ウイルス性結膜炎</span>"]
    H -->|"強いかゆみ・両眼"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='allergic conjunctivitis'>アレルギー性結膜炎</span>"]
    H -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucous'>粘液性</span>・濾胞・新生児や性感染"| L["クラミジア結膜炎"]

危険な赤目の徴候

⭐ 次のどれかがあれば、結膜炎として様子を見ずに緊急で眼科へ紹介する。

徴候 疑う病態
強い眼痛 角膜炎、、強膜炎、
角膜炎、前部ぶどう膜炎
瞬きしても治らない ・浮腫、の炎症、
、、、の
眼球運動の制限 眼窩(隔膜後方)の炎症・腫瘍
角膜・ぶどう膜の病気、
角膜の光の反射がゆがむ の欠損・浮腫・潰瘍
の欠損(で染まる) 角膜炎、、異物、
ソフトコンタクトレンズの装用者 細菌性(緑膿菌など)・
直接がない (中等度で固定)、重い
3日たっても悪化する 単純な結膜炎ではない可能性
免疫不全(化学療法中、高齢者、早産児) 重症感染・になりやすい

💡 赤目を診る最低限の3点セットは、視力・・瞳孔である。結膜炎では視力はほぼ正常(を拭けば戻る)、角膜は染まらず、瞳孔も正常に反応する。この3点のどれかが崩れていたら、より奥の病気である。

5つの重要疾患の対比

⭐ 赤目の鑑別の中心は、結膜炎と、それ以外の視力を脅かす4疾患(角膜炎・強膜炎・前部ぶどう膜炎・)との区別である。

項目 結膜炎 角膜炎 強膜炎 前部ぶどう膜炎()
痛み ないか軽い・灼熱感 強い眼痛・ 深く穿つような強い痛み(眼の周囲に広がる) 中等度の眼痛・眼周囲痛 激しい眼痛・頭痛(こめかみ)、悪心・嘔吐1
視力 ほぼ正常 低下 正常〜低下 軽度低下() 著明に低下、光の周りに輪(ハロー)1
充血 (で強い) 扇形〜びまん性の深い暗赤色 +
膿性・水様・ 、細菌性では膿性のことも ない ない() ない
ないか軽い 強い 軽度 強い あり
角膜 透明 白色浸潤・潰瘍、で染まる 透明(周辺角膜炎を合併しうる) 透明、裏面に 浮腫で曇る1
正常 炎症細胞、ときに ときに炎症 炎症細胞とフレア、ときに 浅い
瞳孔 正常 正常〜反応性の 正常 ・(癒着) 中等度・なし1
正常 正常 正常 正常〜低いが、上がることもある 著しく高い1
片眼・両眼 両眼が多い(片眼から始まり移る) 多くは片眼 片眼が多い 多くは片眼 片眼
初期対応 原因に応じて外来治療 当日眼科へ 当日眼科へ 当日眼科へ ただちに下降を開始し眼科へ
詳細 結膜炎 角膜炎の鑑別 と強膜炎 ぶどう膜炎の分類と前部ぶどう膜炎 緑内障 II

💡 瞳孔で3疾患を分ける:前部ぶどう膜炎ではが炎症で縮み、と癒着して小さくになる。ではが高いで虚血に陥り、中等度に開いたまま動かない。角膜炎では瞳孔自体の異常は少ない。

⚠️ は強膜炎に似るが、痛みは軽く、視力は保たれ、自然に治ることが多い。深い暗赤色・強い痛み・の菲薄化があれば強膜炎で、自己免疫疾患の検索が必要になる。

結膜炎の原因別の見分け方

⭐ 結膜炎と診断したら、次は感染性(細菌・ウイルス・クラミジア)かアレルギー性かを見分ける。

項目 細菌性 ウイルス性 クラミジア アレルギー性
主な原因 黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、、淋菌、緑膿菌 (赤目の原因として最も多い) Chlamydia trachomatis 花粉などへの IgE を介した肥満細胞の(季節性)
膿性 水様 軽い 水様〜
かゆみ ない 軽い ない 強い(決め手)
所見 びまん性の強い充血、 びまん性充血、濾胞、涙丘の充血 充血、濾胞 充血、、瞼の石垣状の乳頭
通常触れない 腫れる 腫れることがある 触れない
片眼・両眼 片眼から 片眼または両眼 片眼または両眼 両眼
治療 自然に治る。手洗いなどで感染拡大を防ぐ 内服治療、の検索 抗ヒスタミン薬(点眼・内服)、点眼、アレルゲンの除去

の所見:下眼瞼をすると、瞼が赤く腫れ、細かい粒状の乳頭が敷き詰められたように並ぶ。の充血は比較的軽い。治療はなどの抗ヒスタミン点眼と、などの点眼が中心で、原因となるアレルゲンを避ける()。

の所見:全体が一様に赤く、涙丘も充血し、角膜は透明である。によるは感染力が強く、重い例では角膜炎(点状の上皮下)を起こす。

⚠️ 膿性が大量でまぶたが腫れる急激な結膜炎は、淋菌を考える。に進みうるので緊急に眼科へ送る。

クラミジア結膜炎

病型 特徴
で瞼がし、睫毛乱生から・失明に至る()
新生児 。多くは生後5〜12日に発症する2(従来の整理では生後2〜8週とされることもある)
性感染症。慢性に続く
  • 症状:の充血と濾胞、軽いの。片眼にも両眼にも起こる。
  • 診断:をしてクラミジアを証明する。検体はだけでなくの細胞を含むように、した眼瞼から採る2。
  • 治療:従来はの内服が挙げられてきた。現行の CDC の指針では、新生児は50 mg/kg/日を4回に分けて14日間内服し(生後6週未満ではに注意して観察)、局所治療だけでは不十分である2。成人はドキシサイクリン100 mg 1日2回7日間が推奨で、アジスロマイシン1 g 単回などが代替である2。
  • ⚠️ 母親とも評価し、治療する2。新生児の結膜炎全般は、小児の赤目は小児の赤目で扱う。

化学物質・薬剤による結膜炎

点眼薬(とくに入り)、化粧品、環境汚染物質への曝露で、接触皮膚結膜炎(まぶたの皮膚炎を伴う)、化学性・結膜炎が起こる。季節性や体質の強いアレルギーではも鑑別に入る。の中止が治療の第一歩である。

眼瞼・涙道の病気

慢性眼瞼炎

項目 内容
所見 まぶたが赤く腫れ、縁が不整(眼瞼炎と)。睫毛の根元に白いふけ状の付着物。まぶた周囲の角化性皮膚炎
前部と後部 性アレルギーでは睫毛側の、・では側のが目立つ
眼表面 軽い赤目。にも角膜にも波及しうる。の分泌も減る

まぶたの縁が全体に赤く厚ぼったく、睫毛が乱れて抜け、にも充血が広がる。

治療は、、濡らしたでまぶたの縁の付着物を拭い取る、抗菌薬、慢性例ではドキシサイクリン内服(50〜100 mg/日)である。⚠️ ドキシサイクリンは妊娠中と8歳未満の小児には使わない。角膜の症状(痛み・・)を伴えば緊急に眼科へ送る。関連:、。

麦粒腫と霰粒腫

項目 (ものもらい)
本態 まぶたの腺の急性 の慢性。の治癒過程で残ることもある
部位 :睫毛の根元や付属腺(前部)。:(後部) 瞼板の中
症状 痛みと圧痛のあるしこり、軽い 痛みのない硬いしこり
治療 温湿布、必要なら切開して排膿 外科的に完全に切開・する

では下眼瞼の縁が限局して赤く腫れ上がる。ではまぶたをすると瞼側が赤く腫れ、黄白色のが見える。は上眼瞼の皮膚の下に、発赤の軽い丸い結節として盛り上がる()。

💡 まぶたの後ろ側()の炎症はと呼ぶ(と呼ぶのは誤り)。高齢者で同じ場所に繰り返すは、などの悪性腫瘍を除外するため組織検査を考える(眼瞼腫瘍)。

涙嚢炎

項目 内容
本態 の閉塞によるの細菌感染
好発 乳児(先天に伴う)と40歳を超える成人(特に女性)の二峰性で、症例の主体は成人3。成人では慢性鼻炎・顔面外傷・腫瘍などに続いて起こる。従来は「小児に多い」と整理されることがあった
所見 下眼瞼の内側(目頭の下)に圧痛のあるしこり。押すとから膿が出る。閉塞による、周囲の
治療 抗菌薬の内服(ドキシサイクリン、アモキシシリン・、)、最も盛り上がった点を切開して排膿、根治には

詳しくはとの病気。

眼窩の病気

眼窩蜂窩織炎

眼の周囲組織のびまん性の細菌感染で、副鼻腔炎(とくに)、皮膚の外傷、、異物から広がる。

項目 (隔膜後方)
部位 より前(まぶた) より後ろ()
共通の症状 眼周囲の痛み、発熱、上下眼瞼の圧痛を伴う腫脹 同左
眼球運動の制限 ない ある
ない ある
ない ありうる

上眼瞼が赤紫色に強く腫れて眼が開かず、瞼縁に黄色いが固まって付着する。

治療は抗菌薬である。⚠️ 眼球運動の制限・・は隔膜後方への波及を示し、やに進みうるので、入院・・画像検査が必要になる(、)。

非感染性(自己免疫性)眼窩炎症と眼窩腫瘍

項目
症状 痛み、、、、、、・失明 痛み、、、、または皮下出血、、・失明
原因 ()、特発性(眼窩)、血管炎()、 良性・悪性の
診断 CT・MRI 眼窩の CT・MRI
治療 副腎皮質ステロイド、 急ぎの眼窩外科への相談、手術

関連:、、、、の鑑別、、。

海綿静脈洞の動静脈瘻

項目 内容
所見 コルク栓抜き状にし、太さが不規則に拡張した
症状 眼周囲の痛み、拍動に一致した。通常は片側だが両側のこともある
診断 を行う()
治療

💡 「治らない結膜炎」として点眼を続けられている例がある。血管が太くし、やのがあれば疑う()。

眼球の炎症

角膜炎

項目 内容
原因 外傷、、コンタクトレンズ、紫外線曝露、自己免疫(角膜炎)
症状 、、眼と眼周囲の痛み、
所見 角膜周囲の充血、角膜の光の反射の乱れ、(治癒後は瘢痕)
治療 ただちに眼科の救急診療へ

所見の段階:強いの中で、角膜中央に丸い白色の浸潤とその周囲のを認める。進行すると黄白色の浸潤が角膜の大部分を占め、に膿がたまる。治癒後は、充血が引いたあとも角膜中央に白い瘢痕が残り、視力を奪う。

⚠️ 角膜炎を疑ったら、コンタクトレンズを外させ、診断前にステロイド点眼を処方しない。原因別(細菌・真菌・ヘルペス・アカントアメーバ)の診断と治療は角膜炎の鑑別、、、ヘルペス性角膜炎、、抗菌薬は眼科の抗微生物薬で扱う。

前部ぶどう膜炎(虹彩炎・虹彩毛様体炎)

項目 内容
症状 眼周囲痛、、
所見 、不整な、のタンパクによる(フレア)、の炎症細胞、に付着した炎症細胞()、
原因 、、、帯状疱疹、など
治療 ()、原因に応じた治療

で見ると角膜の裏面に小さな点状の沈着物()が散らばり、重い例ではの下方に白い膿の水平面()を認める。

💡 を使う理由:やでを休ませると痛みが和らぎ、瞳孔を開いておくことでとの癒着()を防ぐ。ではが炎症を抑える治療の中心になる。急性の前部ぶどう膜炎の症状と鑑別はも参照。関連:、、、、検査はぶどう膜炎の検査。

急性閉塞隅角緑内障の発作

⭐ 赤目の中で、眼科医がいなくてもすぐに治療を始めるべき病気である(緑内障)。

項目 内容
症状 激しい眼周囲痛(こめかみ)、悪心・嘔吐、、・、光の周りの輪1
所見 、角膜の(浮腫)と表面の凹凸、中等度でのない瞳孔、著しく高い1

角膜は水色に曇っての紋理がぼやけ、瞳孔は中等度に開いたまま、は全体に充血する。

⚠️ 悪心・嘔吐と頭痛が前面に出ると、や消化器疾患と間違えられる。頭痛と嘔吐のある高齢者の赤い眼では、必ず眼を見て瞳孔と角膜を確かめる。

初期治療:を下げ、させ、最終的にレーザーでの通り道を作る。従来は「利尿薬の内服(強制利尿)→ → → Nd:YAG レーザー切開」と並べて説明されてきたが、現行の欧州緑内障学会の指針では、診断したらすぐに複数の治療を並行して始める4。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute angle-closure attack'>急性閉塞隅角発作</span>と診断"] --> B["ただちに並行して開始"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aqueous humor production'>房水産生</span>を抑える点眼<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='timolol'>チモロール</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='apraclonidine'>アプラクロニジン</span>など)"]
    B --> D["ステロイドの頻回点眼"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>40 mmHg以上なら<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetazolamide'>アセタゾラミド</span><br>(嘔吐時は静注)"]
    C --> F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>は十分に下がったか"}
    D --> F
    E --> F
    F -->|"下がらない"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mannitol'>マンニトール</span>静注を考慮<br>(心・腎疾患を評価してから)"]
    F -->|"下がった"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pupillary block'>瞳孔ブロック</span>なら、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>40 mmHg未満に<br>なってから<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pilocarpine'>ピロカルピン</span>2%で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miosis'>縮瞳</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens'>水晶体</span>性の閉塞には使わない)"]
    G --> H
    H --> I["角膜が澄んだら<br>レーザー周辺<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iris'>虹彩</span>切開"]
    I --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fellow eye'>僚眼</span>にも予防的に<br>レーザー周辺<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iris'>虹彩</span>切開"]
薬・処置 ポイント
抑制薬の点眼(、など) 診断後ただちに4
ステロイドの頻回点眼 炎症を抑える。点眼と同時に始める4
40 mmHg以上で直ちに。嘔吐があれば静注10 mg/kg。アレルギー・重い腎疾患では避ける4。を阻害してを減らすのが作用の本体で、「強制利尿」でを下げるわけではない
上の治療で不十分なとき0.5〜1.5 g/kg を静注。心・腎疾患を評価し、繰り返し投与しない4
2% が疑われるとき。40 mmHg以上ではが虚血で反応しないので、が下がってから使う。大量使用は全身症状のため避け、が原因の閉塞では禁忌(を使う)4
レーザー周辺切開 角膜の浮腫が引いてから。有のにも行う4

⚠️ が浅い眼にを点眼すると発作を誘発しうる。病態・慢性期の治療・手術は緑内障 II、薬理は眼科の薬理。

眼内炎

眼球内の重い炎症(多くは感染)で、治療が遅れれば失明する。

項目 内容
症状 激しい眼痛、、の充血、眼瞼の腫脹
所見 角膜の、の炎症細胞、
治療 緊急の、抗菌薬(局所と全身)

強い充血の中にの下方の膿の水平面を認め、重い例では全体が黄白色の滲出物で満たされて瞳孔も見えなくなる。

EVS の結果:後の細菌性を対象とした EVS 研究では、を加えても最終視力に差はなく、初診時の視力が以上なら即時のの効果はなかった。一方、のみの群ではにより20/40以上に達する割合が約3倍(33%対11%)になった5。このため手術後のでは、視力に応じての採取とへの抗菌薬注射か、即時のかを選ぶ。外傷後・内因性のはこの研究の対象外である。1995年の研究で手術機器も抗菌薬も当時と違うため、欧州屈折手術学会の指針は EVS を歴史的な参考と位置づけ、重症例では全身投与の併用も勧めている。詳しくは、。

上強膜炎と強膜炎

項目 強膜炎
炎症の深さ の深い組織(上強膜)。そのものではない そのものの炎症(限局性・びまん性)
痛み 軽い 軽い〜強い
充血 限局性またはびまん性の・上強膜の充血 限局性・びまん性の・の充血
他の所見 ― 炎症部のの菲薄化、角膜炎・ぶどう膜炎の合併
背景 多くは特発性 自己免疫疾患:、関節リウマチ、、
治療 局所の 全身治療が必要なことが多い(眼科で)

では、白いを背景に、角膜の片側の一区画だけに赤い血管が扇形に集まる(、強膜炎)。

強膜炎の鑑別には、、、結膜炎、のが挙がる。詳しくはと強膜炎、菲薄化が進んだ病型は。

限局した赤みの病気

項目
本態 鼻側・耳側のの変性(日光・風・ほこり) 鼻側の増殖がを越えて角膜へ侵入 の血管の破綻
所見 輪部近くの黄白色の隆起。周囲の血管が拡張・して赤くなることがある。角膜には達しない 充血した三角形ののひだが輪部を越え、角膜中央へ伸びる。下の角膜に瘢痕 境界のはっきりした、べったりした赤い斑
症状 軽い不快感、限局した充血 と(に近づくほど) ほとんど無症状
治療 血管収縮点眼、外科的切除 外科的切除 通常不要(自然に吸収)

の原因:外傷、の上昇(くしゃみ・咳・などの Valsalva 手技)、高血圧、抗凝固薬、白血病。

💡 は腫瘍ではなく、と同じ変性の系統にある。は角膜に達しないが、は角膜に乗り上げる点が違う()。

⚠️ 抗凝固薬を内服中の人のでは、凝固能(INR など)を調べ、効きすぎていれば処方医と相談して一時的に調整する。繰り返す・両眼・皮下出血を伴うならを疑う。外傷後で出血が広範・後方の境界が見えないときは、やを除外する()。

外傷・異物・眼表面の病気

化学外傷(酸・アルカリ)と熱傷

項目 内容
軽症 の充血
重症 輪部の血管に血流がなくなり()、とが白く色を失う(「煮魚の眼」)。角膜の障害
酸 。タンパクが固まって壁を作り、深部へ進みにくい
アルカリ 。組織を溶かして深部へ浸透し、眼内まで障害しうる
症状 の充血または白く血の気のない・、の欠損、痛み、刺激による、・失明

重症例では、角膜全体が青白く濁ってが見えず、周囲のは出血と充血で真っ赤になる。

⚠️ 赤目の中で唯一、診察より治療が先である。受傷したらその場で大量の水でを始め、洗いながら眼科へ送る。白い眼は「軽い」のではなく、血流が途絶えた最重症のである。詳しくは化学・熱・による、。

角膜異物

項目 内容
種類 層状(角膜の途中まで)と穿孔性(全層を貫通)
症状 、痛み、上皮欠損
治療 まず深さと位置を判断する。異物を錆の輪も含めて完全に除去し、、、頻回の経過観察

角膜周辺部に褐色の小さな点状の異物を認め、取り出した異物は黄褐色の小片である。すると角膜内の異物が暗褐色の点として浮かぶ。

⚠️ 金属片が高速で飛んできた受傷(ハンマーと鑿の作業、研削など)では、角膜を貫いて眼内に入っていることがある。穿孔が疑われれば自分で取ろうとせず、硬い保護カップで覆って眼科へ送る(鋭的外傷と)。

ドライアイ(乾性角結膜炎)

項目 内容
好発 60歳以上に多く、閉経後の女性に多い。
検査 Schirmer 試験で5分間に10 mm 未満
原因 のの障害:、類天疱瘡、・(Lyell症候群)
症状 眼の不快感、かゆみ、見え方の乱れ、の
治療 、湿潤室(時計皿)、

生体染色をすると、部に露出したが点状〜面状に青く染まり、乾燥による上皮障害の範囲がわかる。

💡 Schirmer 試験のは、目的(のふるい分けか、の分類か)や方法(の有無)で異なる。値だけで診断せず、症状と眼表面の染色所見を合わせて判断する。詳しくは、、自己免疫疾患の眼表面は自己免疫疾患の眼表面。

結膜・角膜の腫瘍

種類 例
良性 乳頭腫、単純血管腫、、
悪性 扁平上皮癌、(の下にサーモンの盛り上がり)
治療 手術、原因に応じた治療(特定の例では化学療法)

詳しくは眼表面の腫瘍。

赤目の初期対応のまとめ

flowchart TD
    A["赤い眼を診る"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chemical substance'>化学物質</span>が入ったか"}
    B -->|"はい"| C["その場で大量の水で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='eye irrigation'>洗眼</span><br>洗いながら眼科へ"]
    B -->|"いいえ"| D["視力・瞳孔・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorescein'>フルオレセイン</span><br>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>(可能なら)を確認"]
    D --> E{"危険な徴候はあるか"}
    E -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>が高い・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mydriasis'>散瞳</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='corneal edema'>角膜浮腫</span>"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute angle-closure glaucoma'>急性閉塞隅角緑内障</span><br>点眼・ステロイド・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetazolamide'>アセタゾラミド</span>を<br>並行して開始し眼科へ"]
    E -->|"角膜の浸潤・上皮欠損<br>・コンタクト装用"| G["角膜炎<br>ステロイドを出さず当日眼科へ"]
    E -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='photophobia'>羞明</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miosis'>縮瞳</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary injection'>毛様充血</span>"| H["前部ぶどう膜炎<br>当日眼科へ"]
    E -->|"眼内手術後・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypopyon'>前房蓄膿</span>"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endophthalmitis'>眼内炎</span><br>緊急に眼科へ"]
    E -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exophthalmos'>眼球突出</span>・運動制限・発熱"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='orbital cellulitis'>眼窩蜂窩織炎</span><br>入院・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IV antibiotics'>静注抗菌薬</span>・画像検査"]
    E -->|"なし"| K["結膜炎・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subconjunctival hemorrhage'>結膜下出血</span>など<br>原因に応じて外来で治療"]
    K --> L{"3日たっても悪化するか"}
    L -->|"はい"| M["眼科へ紹介"]
    L -->|"いいえ"| N["経過観察"]

まとめ

  • 赤目の大半は結膜炎やだが、視力を脅かす角膜炎・前部ぶどう膜炎・・・強膜炎・を見逃さないことが最重要。
  • はで強く表層の血管が動く。はを取り巻き、角膜・ぶどう膜の病気を示す。
  • 緊急紹介の徴候:強い眼痛、、続く、、、、の乱れ、上皮欠損、ソフト、の消失、3日たっても悪化、免疫不全。
  • 対比の要点:結膜炎は視力正常・角膜透明・瞳孔正常。角膜炎は角膜の浸潤と染色。前部ぶどう膜炎は・不整・の細胞とフレア。は激痛・嘔吐・・中等度固定・。強膜炎は深い暗赤色と強い痛み・自己免疫疾患。
  • 結膜炎の原因:膿性なら細菌性、水様・濾胞・ならウイルス性(最多、)、強いかゆみ・両眼・石垣状乳頭ならアレルギー性、濾胞と軽いで新生児・性感染ならクラミジア(内服治療とパートナーの治療)。
  • は、抑制点眼・ステロイド点眼・(40 mmHg以上)を並行して直ちに始め、不十分なら、が下がってから、角膜が澄んだら両眼にレーザー周辺切開。
  • は緊急。後ではの効果はなく、のみなら即時が有利。
  • は診察よりが先。白い眼()は最重症の。

出典

  1. 1.Primary Angle-Closure Disease Preferred Practice Pattern(American Academy of Ophthalmology・2020)急性閉塞隅角発作の症状として眼痛・頭痛・悪心嘔吐、光の周りに霧視を伴うハローが挙げられ、徴候として著明な眼圧上昇・角膜浮腫・結膜充血・中等度散瞳瞳孔が定義されていることを確認した。閲覧 2026-08-03
  2. 2.Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021(Centers for Disease Control and Prevention(MMWR Recommendations and Reports)・2021)CDCの治療ガイドライン(クラミジア感染症の節、cdc.gov版)で、青年・成人のクラミジア感染症の推奨治療がドキシサイクリン100 mg 1日2回7日間で、代替がアジスロマイシン1 g単回またはレボフロキサシン500 mg 1日1回7日間であること、新生児のクラミジア結膜炎は多くが生後5〜12日に発症し、推奨治療はエリスロマイシン50 mg/kg/日を4回に分けて14日間の内服で、生後6週未満では肥厚性幽門狭窄症との関連があるため経過観察が勧められ、局所治療だけでは不十分であること、検体は結膜細胞を含むよう翻転した眼瞼から採ること、母親とその性的パートナーも評価し推定治療することを確認した閲覧 2026-09-29
  3. 3.Dacryocystitis(American Academy of Ophthalmology (EyeWiki)・2026)涙嚢炎の年齢分布が二峰性で、出生後まもなく(先天性涙嚢炎)と40歳を超える成人に多いこと、成人では女性に多いこと、先天鼻涙管閉塞が新生児の約6%、先天性涙嚢炎が出生3,884人に1人であること、急性涙嚢炎はまずグラム陽性菌をカバーする経口抗菌薬で治療し、小児では温罨法とマッサージを併用できること、急性期は脆い組織に偽道を作るのでプロービングを避けること、経口薬で悪化する例や眼窩蜂窩織炎を伴う例は培養に基づく静注抗菌薬へ切り替え、炎症が治まってから原因の閉塞に対処することを確認した閲覧 2026-09-29
  4. 4.Terminology and Guidelines for Glaucoma, 6th Edition(European Glaucoma Society・2025)EGSが配布する全文PDFで、急性閉塞隅角では房水産生抑制薬を中心とする点眼とステロイド頻回点眼を直ちに始め、眼圧40 mmHg以上ではアセタゾラミド(嘔吐時・急ぐときは静注10 mg/kg。サルファ剤アレルギー・重い腎疾患では避ける)を直ちに併用し、不十分ならマンニトール0.5〜1.5 g/kg静注を心・腎疾患を評価したうえで考慮し(繰り返し投与しない)、瞳孔ブロックが疑われればピロカルピン2%を使うが眼圧40 mmHg以上なら下がるまで待ち、大量使用は避け、水晶体・水晶体後方の機序では禁忌で調節麻痺薬を使うこと、角膜が澄んだらレーザー周辺虹彩切開を有水晶体の僚眼にも行うことを確認した閲覧 2026-09-29
  5. 5.Results of the Endophthalmitis Vitrectomy Study. A randomized trial of immediate vitrectomy and of intravenous antibiotics for the treatment of postoperative bacterial endophthalmitis(Archives of Ophthalmology・1995)抄録(PubMed 7487614)で、白内障手術または眼内レンズ二次挿入後6週以内の眼内炎420例を即時硝子体手術と硝子体タップ・生検、全身抗菌薬(セフタジジム・アミカシン)の有無に2×2で割り付けた結果、全身抗菌薬の有無で最終視力・中間透光体の透明度に差がなかったこと、初診時視力が手動弁以上なら即時硝子体手術の上乗せ効果はなく、光覚弁のみの群では硝子体手術で20/40以上に達する割合が33%対11%と約3倍になったことを確認した閲覧 2026-09-29