眼科学

眼科学 · ML-48

後部ぶどう膜炎

Posterior uveitis

前提:病態
眼感染を起こす原虫と蠕虫(一覧)とその診断

🧠 全体像:は、網膜・(と・)の炎症で、視力に直結するを侵す。最も多い原因は感染で、その筆頭が(片眼・の、古いの隣に新しい白い、「霧の中の」)である。ほかにトキソカラ(小児・片眼の肉芽腫)、ヘルペスウイルスによる(周辺から円周状に広がる壊死、緊急の抗ウイルス治療)がある。では・Behçet 病・などのを探し、腫瘍が化けたを忘れない。治療の鉄則は「まず感染を否定し、感染なら病原体の治療、非感染ならステロイド→→生物学的製剤」。

ぶどう膜炎の SUN 分類と前部ぶどう膜炎はぶどう膜炎の分類と前部ぶどう膜炎で、検査の進め方はぶどう膜炎患者の検査で扱う。は、小児は小児のぶどう膜炎が正本である。

定義と疫学

は、次の部位の炎症である。

部位 炎症の名前
と網膜 炎、網膜炎、()
  • SUN 分類では、炎症の主座が網膜またはにあるものをと呼ぶ(詳しくはぶどう膜炎の分類)。
  • ぶどう膜炎の患者の20〜30%がである。
  • 原因で最も多いのは感染である。
  • 成人にも小児にも起こる。

眼底では、黄斑に黒い色素と白い萎縮が混じった境界明瞭な瘢痕(古い)を認めることがある。別の眼では、が濁って眼底がかすむ中に、境界のぼやけた白いと、そのそばの色素を伴う瘢痕が並ぶ。

原因の3つの群

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior uveitis'>後部ぶどう膜炎</span>"] --> B["感染性<br>細菌・ウイルス・真菌・寄生虫"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-infectious'>非感染性</span><br>全身の自己免疫疾患に伴う"]
    A --> D["偽ぶどう膜炎(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='masquerade syndrome'>仮面症候群</span>)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular lymphoma'>眼内リンパ腫</span>など"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Toxoplasma'>トキソプラズマ</span>・トキソカラ<br>ヘルペスウイルス(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute retinal necrosis, ARN'>急性網膜壊死</span>)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytomegalovirus, CMV'>サイトメガロウイルス</span>・カンジダ"]
    C --> F["Behçet 病・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Vogt-Koyanagi-Harada disease'>Vogt-小柳-原田病</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='sarcoidosis'>サルコイドーシス</span>など"]
    D --> G["リンパ腫・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multiple myeloma, MM'>多発性骨髄腫</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinoblastoma'>網膜芽細胞腫</span>"]

感染性

の原因の内訳として、従来次のような割合が示されている(感染性と、原因の分からない・炎がまとめて並んでいる)。

原因 割合
18〜20%
特発性の 10〜30%
多巣性炎 10%
トキソカラ 7〜10%
ウイルス性網膜炎(HSV・CMV) 2〜12%
真菌性網膜炎(Candida albicans) 2〜5%

非感染性・仮面症候群・特発性

群 疾患
自己免疫 、、、、(旧称 Wegener 肉芽腫症)、、
(腫瘍) などのリンパ腫、、
特発性 白点症候群(バードショット脈絡網膜症、など)

⚠️ 高齢者の治りにくいはを、小児の白い眼底病変はを疑う。ステロイドで一時的によく見えても、腫瘍を除外するまで「ぶどう膜炎」と決めつけない。

症状と所見

症状 内容
黄斑の・・
・ に一致した
の炎症細胞
・ 黄斑の浮腫・
無症状 周辺部のは気づかれないことがある
所見 内容
の炎症細胞。眼底がかすみ、乳頭の下方などに白い炎症の塊が漂う
で血管に沿った色素の漏れ(血管壁の染まり)、の
網膜炎・・炎 眼底の白い。の深さで呼び分ける

合併症:、(網膜上の)、、、。

眼底の代表的な見え方は次のとおりである。

  • の:乳頭の近くに境界のぼやけた白くふわっとした新しいがあり、その耳側下方に、周りに黒い色素を伴う古い瘢痕が複数並ぶ。
  • ヘルペスウイルスによると網膜炎:が強く濁って眼底全体が黄色くかすみ、その奥に黄白色の癒合した網膜のが広がる。
  • バードショット脈絡網膜症:乳頭の周りからにかけて、色の楕円形の斑点が多数散らばる(炎)。

💡 の深さで原因が絞れる。網膜の白い壊死が主ならウイルス(・)、網膜との両方なら、の斑点ならバードショットなどの白点症候群やを考える。

・・も参照。

診断の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior uveitis'>後部ぶどう膜炎</span>を疑う<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitritis'>硝子体炎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chorioretinal'>網脈絡膜</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lesion (focal)'>病巣</span>・血管炎)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dilated fundus examination'>散瞳眼底検査</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lesion (focal)'>病巣</span>の深さ・数・片眼か両眼か"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorescein angiography'>蛍光眼底造影</span>・OCT<br>血管炎・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='macular edema'>黄斑浮腫</span>"]
    C --> D{"感染を示す所見や<br>検査結果があるか"}
    D -->|"ある"| E["病原体に合った治療<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Toxoplasma'>トキソプラズマ</span>・ウイルス・梅毒・結核・真菌)"]
    D -->|"ない"| F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='systemic disease'>全身疾患</span>の所見があるか"}
    F -->|"ある"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='connective tissue disease (collagen vascular disease)'>膠原病</span>・免疫の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='expert'>専門家</span>と連携<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='sarcoidosis'>サルコイドーシス</span>・Behçet 病など"]
    F -->|"ない・治療に反応しない"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='masquerade syndrome'>仮面症候群</span>を疑い<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous biopsy'>硝子体生検</span>などで腫瘍を除外"]

梅毒の血清検査、結核の・胸部画像、の PCR など、検査項目の選び方はぶどう膜炎患者の検査にある。

トキソプラズマ症

病原体と感染経路

  • 感染性ので最も多い原因で、成人にも小児にも起こる。
  • 病原体はToxoplasma gondiiで、の原虫である。ネコが終宿主。
  • 感染者の80〜90%は無症状。
  • の小児の30〜50%を占める。
感染経路 内容
ネコの糞 糞に出たが土・砂場・猫砂を汚染する
加熱不足の感染した肉 豚・羊などの筋肉の
汚染された果物・野菜、殺菌していない乳 感染した
胎盤を通る感染 妊娠中の初感染で胎児へ

生活環は次のとおりである。輸血や臓器移植でも感染し、や先天感染のが診断の対象になる。

flowchart TD
    A["ネコ(終宿主)が<br>糞に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oocyst'>オーシスト</span>を出す"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oocyst'>オーシスト</span>が土・水・<br>野菜・猫砂を汚染"]
    B --> C["鳥・ネズミなど<br>中間宿主が摂取"]
    C --> D["中間宿主の組織に<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue cyst'>組織シスト</span>"]
    D --> A
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='domestic animals'>家畜</span>(豚・羊)が摂取し<br>筋肉に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue cyst'>組織シスト</span>"]
    E --> F["人が加熱不足の肉を食べる"]
    B --> G["人が汚染された<br>野菜・水・猫砂から摂取"]
    F --> H["人の感染<br>(網膜にもシスト)"]
    G --> H
    H --> I["妊娠中の初感染で<br>胎盤を通って胎児へ"]

病原体の詳細はとを起こす原虫と蠕虫(一覧)とその診断にある。

所見

所見 頻度
80%
片眼・の 92%。黄斑に及ぶものが60%
血管炎(動脈周囲炎) 30%
前部ぶどう膜炎の合併 60%
  • 霧の中の:強いで眼底がかすむ中に、黄白色ののがぼうっと光って見える。眼底の下方に大きな黄白色のが、濁った越しに浮かび上がる。
  • 典型は、古いの縁に新しい白いができる再発である(網膜の中のシストが再び活性化する)。

⚠️ 60%に前部ぶどう膜炎を伴うので、「前部ぶどう膜炎」と思っても必ずして眼底を見る。の炎症の奥に、視力を奪う黄斑のが隠れていることがある。

後天性と先天性

項目 後天性 先天性
左右 片眼 両眼
多巣性
黄斑 及ぶことがある 黄斑に及ぶことが多い
眼底の見え方 の耳側に境界のぼやけた白いが1つ 黄斑に大きな白い萎縮巣と、その縁の黒い色素。別の部位にも色素を伴う瘢痕が並ぶ

先天のはにある。

治療

従来の治療の組み合わせは次のとおりである。

薬 用量 注意
++葉酸の代わりに() 50 mg/日、2〜4 g/日、4週間 はを止めるので、骨髄抑制を防ぐためにを併用する
クリンダマイシン 300 mg を1日4服 単独または組み合わせで
300万単位を1日3回 妊娠中に使う
ステロイド(など) 30〜40 mg/日 黄斑に及ぶとき。必ず抗菌薬と併用する

米国眼科学会の技術評価(2013年)は、次のようにしている1。

💡 それでも実際には、黄斑やの近くの、強い、免疫不全の患者では視力を守るために治療するのが一般的である。周辺の小さなで免疫正常なら、自然に治まるのを見ることもある。

⚠️ ステロイドをなしで使うと、原虫の増殖を抑える免疫まで弱めてが急速に広がる。ステロイドの眼周囲注射も同じ理由で避ける。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Toxoplasma'>トキソプラズマ</span>の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinochoroiditis'>網脈絡膜炎</span>を疑う"] --> B{"視力を脅かす<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lesion (focal)'>病巣</span>か<br>(黄斑・乳頭の近く・強い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitritis'>硝子体炎</span>)<br>または免疫不全か"}
    B -->|"はい"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antiprotozoal agent (antiprotozoals)'>抗原虫薬</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pyrimethamine'>ピリメタミン</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sulfadiazine'>サルファジアジン</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='folinic acid (leucovorin)'>フォリン酸</span><br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sulfamethoxazole + trimethoprim'>スルファメトキサゾール+トリメトプリム</span><br>またはクリンダマイシン"]
    B -->|"いいえ(周辺の小さな<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lesion (focal)'>病巣</span>)"| D["経過観察も選択肢"]
    C --> E["黄斑に及べば<br>抗菌薬に加えてステロイド"]
    C --> F["再発を繰り返せば<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='sulfamethoxazole + trimethoprim'>スルファメトキサゾール+トリメトプリム</span>の長期予防"]

トキソカラ症

病型 年齢 所見
慢性 1〜9歳 、、、、片眼の、、
(黄斑)肉芽腫 4〜14歳 、。黄斑に白く盛り上がった肉芽腫
10〜40歳 無症状のことが多い。周辺の白い肉芽腫からへ向かうの網膜のひだ(膜)
  • の眼底では、周辺に白く盛り上がった塊があり、そこから乳頭へ向かって網膜が引かれて帯状のひだ(膜)が走る。
  • 治療はステロイドと、牽引・には。

⚠️ 小児の片眼のでは、トキソカラの慢性とを必ず鑑別する。鑑別の進め方はで扱う。

ウイルス性網膜炎

急性網膜壊死

は、健康で免疫が正常な人に起こる、ヘルペスウイルスによる壊死性の網膜炎である。

ウイルス 好発年齢
HSV-1・HSV-2 25〜30歳前後
VZV 50歳前後
CMV まれ

原因として最も多いのは VZV で、成人の PCR の80〜90%超を占める。HSV-2 は若い人(中央値20歳)に多く、HSV-1(中央値47歳)と VZV(中央値57歳)はより高い年齢に多い2。

古典的な(米国ぶどう膜炎学会の臨床的な基準):

  1. に、境界明瞭な網膜壊死のが1つ以上ある
  2. 抗ウイルス治療をしないと急速に進行する
  3. 円周方向に広がる
  4. 細動脈を侵す閉塞性の血管症
  5. 強いとの炎症

眼底では、の濁りの奥に、周辺部から黄白色の壊死が癒合して広がっているのが見える。

  • 診断は通常、臨床像で行う。やのヘルペスウイルスの PCR が診断を支える。PCR が普及する前は臨床像だけで診断していた。
  • 米国眼科学会の技術評価では、が疑われる例の・の PCR は79〜100%で HSV か VZV が陽性で、どちらの検体も感度・特異度が高い。PCR の結果を待って治療を遅らせてはならない3。
  • SUN 作業部会の2021年の分類基準は、周辺部のに加えて、①・の HSV または VZV の PCR 陽性、または②円周方向かの網膜炎・の鞘形成や閉塞・軽微を超えるという特徴的な臨床像、のどちらかを満たすものとした4。

治療

  • 抗ウイルス薬を全身投与する(静注でも内服でもよい)。静注・経口のを支える level II・III の根拠があり、経口で静注アシクロビルと同等の血漿アシクロビル濃度が得られるとするデータがある()3。
  • のをに併用すると、だけより有効かもしれない3。
  • 壊死した網膜は薄くなって裂孔ができやすく、が25〜75%に起こる2。予防的なレーザーや早期ので剥離を防げるかは分かっていない3。

用量の目安は次のとおりである2。

段階 薬と用量
導入(静注) アシクロビル10〜13 mg/kg を8時間ごと、5〜10日間
導入(内服) 高用量の。実地では第一選択として増えている
維持 経口アシクロビルなどを3〜6か月
(に併用) 2.4 mg/0.1 mL、または2〜4 mg/0.1 mL
ステロイド 0.5〜2.0 mg/kg/日を、抗ウイルス薬を始めて24〜48時間後から

⚠️ 抗ウイルス薬なしにステロイドを使うと網膜炎が悪化しうる2。腎機能に応じてアシクロビルの量を調整する。

⚠️ は数日で周辺からへ広がり、反対眼にも起こりうる。周辺部の白い壊死と強いを見たら、PCR の結果を待たずにその日のうちに抗ウイルス治療を始める。

免疫不全の人のウイルス性網膜炎

💡 同じヘルペスウイルスでも、免疫が正常な人では炎症が強く(強い=)、免疫不全の人では炎症が乏しいまま網膜が壊れていく(・)。の強さは、ウイルスではなく宿主の免疫を映している。

真菌性網膜炎

Candida albicans による網膜炎・は、中心静脈カテーテル、免疫抑制、が背景になる(カンジダ症、)。

非感染性の後部ぶどう膜炎

の一部は全身の自己免疫疾患に伴うので、・免疫のと連携して診る。

サルコイドーシス

は肉芽腫性のを起こす。

部位 典型的な所見
角膜後面 :大小の丸い脂っぽい灰白色の沈着物が、角膜後面に多数並ぶ
網膜 :静脈に沿った白い滲出斑・血管の鞘と、
肉芽腫

の見分け方はを参照。

Behçet 病

は、・陰部潰瘍・状・を繰り返す血管炎である。

  • HLA-B51 と強く関連する(HLA-B12 が挙げられることもあるが、一貫した関連が示されているのは HLA-B51 である。ぶどう膜炎の分類と前部ぶどう膜炎参照)。
  • 日本など、シルクロード沿いの地域に多い。日本では約1万人に1人。
症状 内容
口腔 痛みのある()を繰り返す
陰部 陰部潰瘍
皮膚
全身 血管炎
眼(前部) を伴う、結膜炎、
眼(後部) ()
  • では、充血した眼のの下方に白いが水平面をつくってたまる。眼底では、黄斑の周りにと白い滲出斑が散らばる()。
  • 従来の整理では「80%にを伴う」とされるが、はその一部で起こる所見であり、視力予後を決めるのはの発作の繰り返しである。

も参照。

その他の非感染性疾患

疾患 押さえどころ
両眼のを伴うに、・難聴・白髪・。には
片眼の・手術の後に、両眼に肉芽腫性のが起こる
バードショット脈絡網膜症 両眼のの色の斑点。HLA-A29 と強く関連
・・ ・の循環障害を起こす

後部ぶどう膜炎の治療

感染性

病原体に合った抗菌薬・抗ウイルス薬で治療する。これが最優先である。

非感染性

  1. ステロイド:全身投与、またはのステロイド
    • (の徐放製剤)は効果が約6か月続く。
    • をせずに注射で入れられ、で分解される。
    • 眼底では、に細いのが浮かんで見える。
  2. :メトトレキサート、
  3. 生物学的製剤:TNF-α 阻害薬のを、成人ののに使う

の根拠になった VISUAL I 試験(ステロイドで抑えきれないの・後部・の成人)はで扱う。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior uveitis'>後部ぶどう膜炎</span>"] --> B{"感染性か"}
    B -->|"感染性"| C["病原体に合った<br>抗菌薬・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antiprotozoal agent (antiprotozoals)'>抗原虫薬</span>・抗ウイルス薬"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-infectious'>非感染性</span>"| D["ステロイド<br>(全身または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intravitreal'>硝子体内</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='implant'>インプラント</span>)"]
    D --> E{"ステロイドで<br>抑えきれるか"}
    E -->|"抑えきれない・減らせない"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immunosuppressant'>免疫抑制薬</span><br>(メトトレキサート・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciclosporin'>シクロスポリン</span>)"]
    F --> G["生物学的製剤<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adalimumab'>アダリムマブ</span>)"]
    B -->|"治療に反応しない・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-conventional'>非典型的</span>"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='masquerade syndrome'>仮面症候群</span>を除外<br>(リンパ腫など)"]

⚠️ 感染を否定しないままステロイドやを使うと、・ウイルス・梅毒・結核・真菌によるは急速に悪化する。治療を始める前に、感染の可能性を必ず検討する。

まとめ

  • は・・網膜()・()の炎症で、ぶどう膜炎の20〜30%。最も多い原因は感染で、成人にも小児にも起こる。
  • 原因は感染性(細菌・ウイルス・真菌・寄生虫)、(全身の自己免疫疾患)、偽ぶどう膜炎(:リンパ腫・・)。内訳は18〜20%、特発性10〜30%、多巣性炎10%、トキソカラ7〜10%、ウイルス性網膜炎2〜12%、真菌性2〜5%(従来の整理)。
  • 症状は・・・・、無症状もある。所見は、(で血管沿いの漏れ)、網膜炎・・炎。合併症は・・・・。
  • :感染性の最多、ネコが終宿主、80〜90%無症状、の小児の30〜50%。80%、片眼・92%(黄斑60%)、血管炎30%、前部ぶどう膜炎60%。霧の中の、古い瘢痕の隣の新しい。後天性は片眼・、先天性は両眼・多巣性で黄斑に及ぶ。
  • の治療:50 mg/日+2〜4 g/日+4週、クリンダマイシン、妊娠中は、黄斑病変にはステロイドを抗菌薬と併用。米国眼科学会の評価ではルーチン治療が視力を改善する level I の根拠はなく、の長期投与が再発を防ぐという level II の根拠がある。
  • トキソカラ:、片眼。1〜9歳の慢性()、4〜14歳の黄斑肉芽腫、10〜40歳の(乳頭へ向かう牽引)。ステロイドと。を鑑別。
  • :免疫正常者、HSV(25〜30歳前後)・VZV(50歳前後)。周辺部の境界明瞭な壊死、急速進行、円周方向の拡大、閉塞性細動脈症、強い炎症。PCR(79〜100%陽性)を待たずに全身の抗ウイルス薬(静注または経口)、の併用も。
  • :(、・・・肉芽腫)、Behçet 病(HLA-B51、口腔・陰部潰瘍・、を伴う、)、、、バードショット。
  • 治療:感染性は病原体の治療。はステロイド(全身・=約6か月、不要、生分解性)→(メトトレキサート・)→。感染との否定が先。

出典

  1. 1.Interventions for toxoplasma retinochoroiditis: a report by the American Academy of Ophthalmology(American Academy of Ophthalmology(Ophthalmic Technology Assessment、Kim SJ ほか。Ophthalmology)・2013)PubMedの抄録(PMID 23062648)で、トキソプラズマ網脈絡膜炎の治療の11研究(うち8つが無作為化比較試験)のいずれも、ルーチンの抗菌薬またはステロイド治療が視力転帰を改善したり病巣を小さくしたりすることを示さなかったこと、トリメトプリム・スルファメトキサゾールの長期投与が慢性再発性の網脈絡膜炎の再発を防いだというlevel IIの根拠が1研究あること、抗菌薬の副作用が最大25%の患者に報告され定期的な監視と適時の中止が要ること、光凝固など薬以外の治療の有効性を支える根拠はないこと、免疫正常者の急性の網脈絡膜炎に対するルーチンの抗菌薬・ステロイド治療の有効性を支えるlevel Iの根拠がないと結論したことを確認した。閲覧 2026-09-29
  2. 2.Acute Retinal Necrosis(StatPearls(NCBI Bookshelf)(Tripathy K, Datta S)・2026)Treatment節などで、VZVが成人のPCR確定例の80〜90%超を占め、HSV-2は若年(中央値20歳)、HSV-1(中央値47歳)とVZV(中央値57歳)はより高齢に多いこと、治療が静注アシクロビル10〜13 mg/kgを8時間ごと5〜10日間に続く経口アシクロビルの維持療法(3〜6か月)で、高用量の経口バラシクロビルが実地で第一選択として増えていること、硝子体内フォスカルネット(2.4 mg/0.1 mL)またはガンシクロビル(2〜4 mg/0.1 mL)を全身療法に併用しうること、ステロイド(プレドニゾン0.5〜2.0 mg/kg/日)は抗ウイルス薬開始の24〜48時間後から用い、抗ウイルス薬なしのステロイドは網膜炎を悪化させうること、網膜剥離が25〜75%に生じること、無治療では反対眼の発症が多いことを確認した。閲覧 2026-09-29
  3. 3.Diagnosis and Treatment of Acute Retinal Necrosis: A Report by the American Academy of Ophthalmology(American Academy of Ophthalmology(Ophthalmic Technology Assessment;Schoenberger SD, Kim SJ, Thorne JE, Mruthyunjaya P, Yeh S, Bakri SJ, Ehlers JP)・2017)PubMedの抄録(PMID 28094044)で、対象の33研究がすべて後ろ向き研究であること、急性網膜壊死が疑われる例の前房水または硝子体のPCRが79〜100%でHSVまたはVZV陽性となり前房水・硝子体とも感度・特異度に優れること、静注・経口の抗ウイルス療法を支持するlevel II・IIIの根拠があり、経口バラシクロビルと静注アシクロビルで同等の血漿アシクロビル濃度が得られるとするデータがあること、硝子体内フォスカルネットと全身抗ウイルス療法の併用が全身療法単独より有効かもしれないこと、網膜剥離を防ぐ予防的レーザーや早期の硝子体手術の有効性は不明であること、PCRの結果を待って治療を遅らせるべきでないことを確認した。閲覧 2026-09-29
  4. 4.Classification Criteria for Acute Retinal Necrosis Syndrome(American Journal of Ophthalmology(Standardization of Uveitis Nomenclature Working Group)・2021)PubMedの抄録(PMID 33845012)で、感染性の後部・汎ぶどう膜炎803例(うち急性網膜壊死186例)を機械学習で解析し、急性網膜壊死の主な基準が周辺部の壊死性網膜炎に加えて、前房水・硝子体のHSVまたはVZVのPCR陽性、または円周方向か癒合性の網膜炎・網膜血管の鞘形成や閉塞・軽微を超える硝子体炎という特徴的な臨床像のいずれかであること、急性網膜壊死の誤分類率が訓練群15%・検証群11.5%だったことを確認した。閲覧 2026-09-29