外科学

外科学 · G/12

出血・止血・輸血

Bleeding, hemostasis and transfusion

前提:病態
循環血液量減少性ショックの病型
前提:正常
止血と血小板の役割血液凝固・線溶・生理的抗凝固機構血液型

🧠 出血の診療は「①止める(解剖学的止血)→②失ったものを補う(循環と)→③凝固を壊さない(低体温・アシドーシス・を断つ)」の3本を並行して回す仕事。 順番は止血が最優先で、輸液や輸血は「止血までの橋渡し」。大出血ではを早く、バランス良く、体を冷やさずに投与し、出血源の制御(手術・・内視鏡)を遅らせないことが生死を分ける。輸血は赤血球だけでなく血漿・血小板・フィブリノゲン・カルシウムをまとめて考え、輸血自体の副作用(溶血、TRALI、TACO、など)も同じ重みで押さえる。

1. 出血の分類

出血は「どこへ出るか」「どの血管か」「いつ起きたか」「原因は何か」で多面的に分類する。

軸 分類 内容・見分け方
出血先 外出血 体表・体外へ出る。創、、、喀血
内出血 体腔や組織内へ出る。腹腔内、、後腹膜、骨盤、皮下・。見えないための悪化が先に現れる
血管 で、勢いが強い。しにくい
暗赤色で持続的に湧き出る。圧迫で止まりやすい
毛細血管性(びまん性) じわじわと面で出る。やの出血でも
経過 急性 短時間に大量。ショックに至る
慢性 少量が続き、として現れる(消化管の潜出血など)
手術との関係 一次性(術中) 手術中の出血。で止血する
反応性(術後24時間以内) 血圧回復や血管の拡張で糸が外れたり、が剥がれたりして起こる
二次性(術後数日〜10日) 感染・・壊死による血管の侵食。感染の合図でもある
原因 鈍的・鋭的外傷。血管・の損傷
手術・医原性 手技、、抗凝固薬の併用
・病的 腫瘍、潰瘍、静脈瘤、、(血友病、DICなど)

💡 出血は「見える量」ではなく「循環が語る量」で評価する。 やは1〜2 L 以上が見えないところに溜まる。内出血では外出血がなくても、頻脈・血圧低下・乏尿・意識の変化が出血量の物差しになる。

2. 出血性ショックの評価

2-1. 重症度(ATLS分類は教育上の枠組み)

ATLS の分類は、量と生理学的反応を4段階に整理した教育用の枠組みで、欧州外傷出血ガイドラインも「量と輸血必要量のおおまかな目安にはなるが限界がある」とする1。ATLS第10版の表は、心拍数・血圧などを数値ではなく変化の方向で示し、と輸血の必要性を加えている。 以下は第10版に基づく教育用の整理である。2025年に公開された第11版では初期評価がxABCDEへ更新され、致死的な大量の外出血の制御を先に置く。2

分類 量(目安) 心拍数 血圧 脈圧 呼吸数 尿量 GCS 輸血の必要性
I(軽度の出血) 15%未満(約750 mL未満) 不変 不変 不変 不変 不変 不変 0〜−2 経過観察
II(軽度) 15〜30%(750〜1,500 mL) 不変〜上昇 不変 低下 不変 不変 不変 −2〜−6 可能性あり
III(中等度) 31〜40%(1,500〜2,000 mL) 上昇 不変〜低下 低下 不変〜上昇 低下 低下 −6〜−10 必要
IV(重度) 40%超(2,000 mL超) 上昇〜著明に上昇 低下 低下 上昇 著明に低下 低下 −10以下

💡 この表は ATLS 第10版の表1に、量の mL 表記と従来版の目安3を併記して整理したもの。 さらに古い版の表は脈拍の目安を100・120・140/分としていたが、第10版のこの表では数値を示さない。mL は成人の循環血液量を約5 L と見たときの割合の換算である。

⚠️ はクラスIIIまで保たれることがあり、早期の手がかりは脈圧の低下と頻脈・乳酸・である。 高齢者、β遮断薬服用者、、運動選手、妊婦では頻脈が出にくく/ベースラインが違うため、脈拍だけで安心しない。

💡 ATLS分類は現実の患者を正確には振り分けない。 ドイツ外傷登録のデータでは、ATLS の3指標(心拍数・・GCS)に当てはまった患者は一部にとどまり、頻脈も目立たなかった。で4段階に分けると、ATLS分類より輸血必要量・大量輸血・死亡の判別に優れ、死亡率は7.4%から51.5%へ段階的に上がった4。分類はあくまで「どれだけ出血したか」の見当をつけるとして使う。

簡便な指標

指標 見方
(脈拍÷) 健常成人で0.5〜0.7。0.9〜1.0以上は大量輸血や緊急介入の増加と関連する1。は研究により0.8〜1.0とばらつく
乳酸・ を反映。が大きいほど輸血量と死亡率が増える4
ヘモグロビン値 の初期は正常のこともある。補液・で後から低下する。推移(ダイナミクス)で見る
尿量 減少はの低下を反映する
末梢・皮膚 、蒼白、の延長

2-2. 致死的三徴と診断・初期の流れ

(低体温・アシドーシス・) は互いを悪化させる悪循環で、大出血の死亡の主な経路。低体温は凝固因子と血小板の機能を落とし、アシドーシスは凝固因子の活性を落とし、は出血を増やしてまた・低体温を進める。は血小板減少・・などが重なって起こるため、低体温やアシドーシスの補正だけでは足りず、早期のが要る1。

flowchart TD
    A["大量出血"] --> B["低灌流<br>乳酸産生・アシドーシス"]
    A --> C["大量の冷たい輸液・曝露<br>低体温"]
    A --> D["凝固因子・血小板の喪失と希釈<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='trauma-induced coagulopathy'>外傷性凝固障害</span>"]
    B --> E["凝固因子の活性低下"]
    C --> E
    D --> F["出血の増加"]
    E --> F
    F --> A

診断の進め方

手段 目的・位置づけ
・ショックの徴候 気道・呼吸・循環の確認と、見える出血・骨盤・・胸腹部の評価
FAST 腹腔内・心嚢内・の液体貯留の検出。ベッドサイドで繰り返す。特異度は高いが感度は一定しない1。におけるFASTを検証した(RCT 4件・1,254例)でも特異度が高い一方で感度が低く、死亡率に関してFAST使用群と非使用群で有意差がなかった(1.00)とされており5、陰性でも出血・臓器損傷は否定できず、後腹膜は見えない
胸部・骨盤X線 、の評価。蘇生中に撮る
造影CT が安定した例で、出血源・(造影剤の漏出)を同定し、塞栓術か手術かを決める
検査 ヘモグロビン、、・INR、aPTT、フィブリノゲン、乳酸、、、血液ガス。可能なら(ROTEMまたはTEG)
抗凝固薬・の確認 薬剤名と最終服用時刻

💡 不安定な患者で「CTに行く」は危険な選択。 が不安定でFASTが陽性なら、画像で時間を使わず手術室へ。CTは「蘇生に反応する(または安定している)」ことが前提の検査。

2-3. 初期の蘇生:ダメージコントロール蘇生

原則 内容
出血源の早期制御 外出血の直接圧迫・、骨盤固定、迅速な手術・塞栓術1
出血が止まるまで80〜90 mmHg(50〜60 mmHg)を目標とする1。・では適用しない(の維持が優先)
晶質液の制限 過量の晶質液は希釈・低体温・によるの剥離・浮腫を招く。早期からで容量を補う
早期の 赤血球と血漿を早期から固定比率で、または濃縮フィブリノゲン・と赤血球で開始し、で調整する1
の予防・治療 、フィブリノゲン、カルシウム
体温の維持 濡れた衣服の除去、保温、加温した輸液・で正常体温を保つ。低体温は死亡率と輸血量を増やす1
、持続出血、、低体温、アシドーシスなどがあるとき、出血と汚染を短時間で制御し、()してICUで蘇生、安定後にする1
flowchart TD
    A["出血を疑う患者"] --> B["気道・呼吸の確保<br>圧迫・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tourniquet'>ターニケット</span>で外出血を制御"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemodynamics'>循環動態</span>は安定か"}
    C -- "不安定" --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='massive transfusion protocol'>大量輸血プロトコル</span>の起動<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood components'>血液製剤</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tranexamic acid, TXA'>トラネキサム酸</span>・保温"]
    D --> E["FAST・X線<br>出血部位を絞る"]
    E --> F["手術室へ<br>止血手術または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='packing'>パッキング</span>"]
    C -- "安定・反応あり" --> G["造影CT"]
    G --> H{"活動性出血"}
    H -- "あり" --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endovascular treatment'>血管内治療</span>(塞栓術)<br>または手術"]
    H -- "なし" --> J["経過観察・再評価"]
    F --> K["ICUで加温・凝固補正<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='revision surgery'>再手術</span>の判断"]
    I --> K

3. 止血の方法

3-1. 機械的止血・熱・化学的止血

区分 方法 要点
機械的 圧迫(直接圧迫・ガーゼによる圧迫) 最初に行う。・は圧迫で止まることが多い
圧迫で止まらない血管出血に。血管を糸で結ぶ
(8の字縫合) 太い血管や組織内の血管で、糸が滑り落ちないよう組織ごと縫い通す
クリップ、、 内視鏡・や、びまん性出血・肝損傷に対して
() 四肢の致死的外出血の1。時間を記録し、手術室で解除する
熱 (凝固)、、、超音波・エネルギーデバイス 電気エネルギーによる熱で蛋白凝固。中小血管
化学・局所 凝固因子を含む材料() 凝固の最終段階を補う
基質材料(コラーゲン、、) 内因性の凝固因子を集めてになる。外傷では、や中等度のの出血に、他の外科的手段やと併用する1
併用製剤(凝固因子+基質の複合材料) コラーゲンやに凝固因子を組み合わせた製品がある
、の 骨の断端、粘膜
全身 。外傷では受傷後3時間以内にできるだけ早く、1 gを10分で負荷してから1 gを8時間かけて投与し、の結果を待たない1。40か国274施設・受傷8時間以内の成人外傷20,211例を対象としたCRASH-2試験では、群で(14.5%対16.0%、0.91)と出血死(4.9%対5.7%、0.85)がいずれも有意に低下した6。急性の消化管出血には推奨されない7

💡 止血のは「圧迫→→→→」。 は「最後の砦」ではなく、・で止められない面状出血の補助。外科的に止められる出血を材料で埋めようとしない。

3-2. 肝の出血制御:Pringle法

Pringle法で肝十二指腸間膜を一括遮断し肝動脈・門脈から肝への流入血を止める位置関係

生成模式図(実際の患者画像ではありません)。

では、を血管や帯で一時的に遮断して流入血を止め、出血量を減らす。ただし遮断中の肝は虚血になり、再灌流で障害を受ける。間欠的な遮断(遮断と再灌流を繰り返す)は持続遮断よりが少ないとされる8。

(10分の遮断と10分の再灌流のあとに本遮断)は、遮断が30分以上ので術後のAST・ALTを下げた9。一方、間欠的遮断を併用するではALTを下げず肝障害を軽減しなかった8。つまりプレコンディショニングは「持続遮断を長く行う場合」の工夫であり、間欠的遮断にしても利益は示されていない。術中出血と輸血はの危険因子でもある。

3-3. 内視鏡的・血管内治療による止血

消化管出血は Treitz よりの上部と肛門側の下部に分け、上部の原因は消化性潰瘍、静脈瘤、びらん、、悪性腫瘍、血管異常(、)など。下部は憩室、ポリープ・癌、炎症、虚血、、医原性(ポリペクトミー後)が多い。は、、黒色を呈し、大量で通過が速ければとなる(大量・意識障害・誤嚥リスクでは内視鏡前を検討する)。の原因の大半は静脈瘤以外である7。

:と

分類 内視鏡所見 再出血の危険 治療
Ia 高リスク。止血後にPPIを使わない群の再出血率は22.5% エピネフリンに・クリップなどの第2の止血法を併用し、止血後に高用量PPI7
Ib 高リスクとされるが、止血後の再出血率は4.9%と低く、評価に議論がある 同上(止血は必要)。止血後のPPI追加の効果は示されなかった
IIa (非出血) 高リスク。止血後の再出血率は11.3% 、クリップ、または。単独でも併用でもよい
IIb 付着 止血後・無治療での再出血率は17.6% の除去と、下に出血源があれば止血を検討。内視鏡で処置しない場合も高用量PPI
IIc 黒色の平坦な斑点 低リスク 内視鏡止血は推奨されない。経口PPI
III きれいな 低リスク 内視鏡止血は推奨されない。経口PPI

上の再出血率は内視鏡止血後にPPIを使わないプラセボ群での値で、を受けないの値ではない7。は、所見の認識と施行者間の一致が十分でない可能性も指摘されている(データは一定しない)。

日本の指針との違い。 日本の消化性潰瘍診療ガイドラインは、治療の適応をIa・Ib・IIaとし、IIbは再出血の危険が高い場合を除いて積極的な適応とせず、IIcとIIIは薬物治療の適応とする。止血法は、クリップ法が単独で再出血の予防に有用で、法も同等の効果がある一方、エピネフリンは単独では不十分なので、クリップ法や凝固法と併用する。止血後のPPI投与は強く推奨されるが、欧米で行われる高用量PPI(80 mgの後に8 mg/時を72時間)は日本では保険適用外で、通常量でも再出血率は高用量と同等とされる10。

詳細は、消化性潰瘍、およびO/09: 消化性潰瘍の外科的側面で扱う。リスク評価にはを用いる。6施設3,012例の前向き国際では、は輸血・・IVR・手術・30日死亡の予測でAUROC 0.86とfull Rockall・PNED・AIMS65を上回り、外来管理へ回す閾値としてはスコア1以下が最適とされた11。また潰瘍出血後はH. pyloriを検査・除菌して治癒を確認し、NSAIDsは中止、心血管に必要なアスピリンは止血後早期に再開する。

内視鏡止血の要点 内容
時期 循環の蘇生後、24時間以内の早期内視鏡を行う。ESGE 2026では、十分な蘇生後も循環不安定が続く場合を除き、6時間以内・12時間以内の内視鏡をに行わない。12内視鏡前の静注は、重症または持続する出血で用いる13
活動性出血(Ia・Ib) エピネフリンを行う場合は、またはを併用する。ESGE 2026は単独も第一選択の代替として提案する12
(IIa) クリップ、、または。単独または併用
エピネフリン 単独での内視鏡止血には用いない
難治 標準法で止まらない持続出血では剤やを検討する。剤だけを高リスク潰瘍の初回治療としてに用いない12
再出血・失敗 再出血では。初回から続く出血では内視鏡的救済を検討し、不成功ならTAE、実施不能・不成功なら手術。循環不安定時は迅速な止血を優先し、形式的な回数のために遅らせない12
止血後の薬物 高用量PPIを後に持続(80 mg、続けて8 mg/時)で72時間。の1日2回投与や経口の1日2回も代替になる7。ACGは3日間の高用量PPIのあと、2週間は経口1日2回とする13
内視鏡止血の手技(代表的な適応の整理) 潰瘍 腫瘍 静脈瘤 その他
エピネフリン ○ × ×
() ○ × ○
× × ○
(フィブリノゲン+トロンビン) ○ × ×
クリップ() ○ × ×
× × ○
() × × ○ ポリペクトミー後
オーバー・ザ・スコープ・クリップ ○ × × 穿孔
金属 × ○ ○ 狭窄
(など) ○ × ×
○ ○ ×
止血スプレー ○ ○ ×

:門脈圧亢進が原因(、、肝硬変)。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Variceal hemorrhage'>静脈瘤出血</span>を疑う<br>肝硬変・門脈圧亢進"] --> B["蘇生と保守的な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='red blood cell transfusion'>赤血球輸血</span>(目標7〜8 g/dL)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='vasoactive drug'>血管作動薬</span>と抗菌薬を速やかに開始"]
    B --> C["内視鏡(蘇生後12時間以内)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='esophageal varices'>食道静脈瘤</span>は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ligation'>結紮</span>、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastric varices'>胃静脈瘤</span>は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue adhesive'>組織接着剤</span>"]
    C --> D{"止血できたか"}
    D -- "成功" --> E["高リスク例は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pre-emptive TIPS'>予防的TIPS</span><br>72時間以内(できれば24時間以内)"]
    D -- "失敗・難治" --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='balloon tamponade'>バルーンタンポナーデ</span>または<br>金属<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stent'>ステント</span>でつなぐ"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rescue TIPS'>救済TIPS</span>(被覆付き<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stent'>ステント</span>)"]

門脈から肝静脈へのTIPSステントを作る前後の4段階の模式図

出典:R. Torrance Andrews, MD, TIPS模式図(CC BY 1.0、JPEGからWebPに変換)。

⭐ は止血だけでなく、抗菌薬の予防投与、保守的な(目標ヘモグロビン7〜8 g/dL)、が予後を決める14。

項目 内容(Baveno VII・VIII)
・ソマトスタチン・を疑った時点で開始し、2〜5日継続。ではに注意(、)
抗菌薬 入院時から予防投与。進行した肝硬変ではセフトリアキソン1 g/日を考慮
内視鏡 蘇生後12時間以内。意識障害や中は挿管。にはが推奨され、止血スプレーは第一選択としない
静脈瘤(2型胃・1型) はまたはで止血し、()としてはできるだけ早いTIPS(必要なら静脈瘤塞栓術併用)が第一選択。TIPSが禁忌なら(BRTOなど)・・を解剖に応じて多職種で選ぶ15
被覆付きで72時間以内(できれば24時間以内)。Child-Pugh C 14点未満、またはB 7点超で内視鏡時に活動性出血、またはHVPG 20 mmHg超が対象14
難治例 または被覆付きでつなぎ、へ。難治性の橋渡しでは被覆付き金属をバルーンより優先し、いずれも確実な治療までの短時間に限定する1415
TIPSが無益になりうる例 Child-Pugh 14点以上、またはMELD 30超かつ乳酸12 mmol/L超(が近い場合を除く)14

日本の指針との違い()。 日本の肝硬変診療ガイドライン2020は、の緊急止血にはまたはS-B圧迫が合意を得ているとし、の(追加治療)にはバルーン下逆行性(BRTO)を提案する(弱い推奨、C)。また出血歴のあるでは追加治療としてBRTOが優れるためを行わないことを提案する一方、出血歴のない例ではが予後を改善するとする(なおの有効性を示すRCTはなく、欧米の指針はを推奨していない)16。

(塞栓術):、損傷(肝・脾・腎)、内視鏡で止まらない消化管出血、大腸癌からの出血などで、造影CTで出血源が分かるの安定した例に適する。外科手術に比べて侵襲が小さいが、虚血・臓器梗塞・再出血などの合併症がある。潰瘍出血では、再度の内視鏡でも止血できないときの次の手段になる7。

3-4. 外科的止血・パッキング・その他

方法 適応 要点
開腹・による止血 不安定な(FAST陽性)、大血管損傷、からの持続する大量 迅速に出血源を制御。血管は・修復・一時的シャント
(・腹腔内・腹膜外骨盤) 肝損傷、びまん性出血、骨盤出血、。骨盤では、塞栓術がすぐに行えないときの1 圧迫による一時的止血。安定後に計画的にする
骨盤の固定(骨盤ベルト、) が疑われる。骨盤輪の閉鎖・固定はできるだけ早く行う1 を小さくして血腫を圧迫
の遮断() 肝損傷、 前項参照
大動脈の遮断・(REBOA) 圧迫できないで、循環破綻から止血までのつなぎとして考慮する 生存を改善するかの根拠は一定せず、重大な合併症もある。虚血時間に注意1
甲状腺術後の頸部血腫 気管圧迫による呼吸困難 ベッドサイドで創を直ちに開放する

4. 凝固障害の評価と補正

4-1. 評価

状況 検査・確認
術前() 出血歴・家族歴・薬剤歴(抗凝固薬、、)、、PT-INR、aPTT
術前の貧血 原因(鉄欠乏、慢性疾患、腎性)を調べて補正。高度の貧血で輸血が必要なら術前に
血小板減少 血小板製剤を手術の直前に投与
血友病・ 欠乏した因子の補充(血友病、)。軽症のや軽症血友病Aでは
PT-INR、aPTT、、フィブリノゲン(Clauss法)、、
出血が制御できない は延期して補正する(救命手術が解決策なら別)

⚠️ やは、や抗凝固薬の使用中は、血腫による脊髄圧迫のおそれがあるため、薬剤ごとのを守る。

4-2. 抗凝固薬・抗血小板薬の周術期管理(待機手術)

薬剤 小リスク手術 高リスク手術
アスピリン 継続 の要否は出血リスクとで個別化する。などのでは原則継続し、循環器科と相談
など(2剤) 継続 は5日前、は7日前にし、術後24時間以内に再開する例が示されている17。アスピリンの扱いは循環器科の判断
ワルファリン 手技によっては継続 術前5日に中止する例が示されている17。術前に INR を確認する。・では継続が強く推奨される18

💡 ワルファリンのは、かつては一律に行われたが、心房細動では行わないことが強く推奨されている(ACCP 2022)18。と出血リスクで個別化する。詳細はG/05: と合併症。

4-3. 急性出血での抗凝固薬の拮抗・補正

原因・状況 補正・拮抗薬 要点
ワルファリン() (25〜50 U/kg)+ビタミンK 5〜10 mg 静注1 ビタミンKは効くまで時間がかかるため、のを併用する。急速な拮抗にはよりが望ましい(、ビタミンK、ワルファリン)
(1 mgがヘパリン100単位以上を中和。10分かけて緩徐に静注し、1回量は50 mgまで。ヘパリンは速やかに消失するので、投与から時間が経つほど必要量は減る)19 には有効性の裏付けが乏しい。では低血圧・アナフィラキシーなどの重いが起こりうる20(、ヘパリン)
5 g 静注1 ()
Xa阻害薬(、) 地域の承認・供給とを確認してを検討。使えなければ25〜50 U/kg(外傷ガイドラインの提案)1 には(、、)
(アスピリン、) 持続出血に対し、をには行わない17。や一部の例ではを考慮 消化管出血でも、服用例へのはには行わない
または(初回3〜4 g)1 Clauss法で1.5 g/L以下を目安。3〜4 gは15〜20単位に相当し、繰り返しは・で決める。の補正に血漿は避ける(、フィブリノゲン)
血小板減少 50×10^9/L超を維持(外傷の持続出血)。では100×10^9/L超1 初回量は単一ドナー製剤4〜8単位または1パックを示唆1
(を正常域に。0.9 mmol/L未満は速やかに補正)1 大量輸血ではのクエン酸がカルシウムをして低下する。肝機能が低下していると代謝が遅れる
原疾患の治療と凝固因子・血小板の補充

⚠️ は地域でが異なる。 FDAは血栓塞栓症などのリスクが利益を上回ると判断し、米国では2025年12月22日以降Andexxaの製造・販売が終了した。21 EUではが掲載されているが、対象薬、出血の重症度、施設での供給とを確認する。22 古い拮抗薬一覧だけで選択せず、出血源の制御と蘇生を並行する。

5. 輸血

5-1. 血液型と適合

項目 内容
赤血球の抗原(A・B)と血漿中の(抗A・抗B)の組合せ。輸血は最も重篤なの原因
の有無。Rh陰性者にRh陽性血を輸血するとができ、再度の輸血や妊娠で問題になる
検査 血液型(ABO・Rh)、のスクリーニング、()
緊急時 血液型が不明なら、赤血球はO型(Rh陰性、少なくとも出産可能年齢の女性ではRh陰性)。血漿はAB型が理想だが、供給不足のため血液型不明の外傷患者にA型血漿を使う運用が検討されている1

の適合表

患者の血液型 輸血可能な赤血球
A A、O
B B、O
AB AB、A、B、O
O Oのみ

()は適合の向きが赤血球と逆になる。AB型の血漿は抗A・抗Bを持たないので全員に使える。

患者の血液型 輸血可能な血漿
A A、AB
B B、AB
AB ABのみ
O O、A、B、AB

💡 赤血球は「抗原のない血を選ぶ」(O型が万能)、血漿は「抗体のない血を選ぶ」(AB型が万能)。 向きが逆になるのは、赤血球は相手の抗体に、血漿は相手の抗原に攻撃されないようにするため。

5-2. 血液製剤の種類・適応

製剤 内容 主な適応・閾値の考え方
の補充 貧血・。後述の。平均的な成人では1単位でヘモグロビン約1 g/dL上昇が目安だが、活動性出血では当てはまらない
凝固因子(全)を含む。ただし各因子は正常の約70%程度で、フィブリノゲンを1.5 g/L超に上げるのには向かない 大量出血、凝固因子の補充()。血漿ベースの戦略では PT・aPTT が正常の1.5倍超、またはで因子欠乏があるときに追加する1
血小板 血小板減少・機能異常の出血。外傷以外の閾値は下表(AABB・ICTMG 2025)。外傷の持続出血は50×10^9/L超、は100×10^9/L超を保つ1
フィブリノゲン、第VIII因子、 、大量出血。第VIII因子・補充の第一選択ではない
フィブリノゲン (量が正確)
ビタミンK依存性因子 ワルファリンの緊急拮抗
(、希釈式、回収式) 患者自身の血液 感染・免疫反応を避ける。術中回収式は腹腔・骨盤・胸腔の高度出血で考慮する1

日本では、乾燥人フィブリノゲン製剤は産科危機的出血以外の出血では(2025年1月現在)で、は作製が整った施設で考慮される23。ABO同型のが入手困難な場合は、原則としてAB型を使用する24。

の閾値(出血のない例の予防的輸血と処置前)25

状況 の閾値
化学療法・の(出血なし) 1万/μL未満(強く推奨)
消費性血小板減少の成人(出血なし) 1万/μL未満(条件付き)
中心静脈カテーテル留置(圧迫可能な部位) 1万/μL未満
2万/μL未満(強く推奨)
低リスク手技は2万/μL未満、高リスク手技は5万/μL未満
以外の大手術 5万/μL未満
血小板減少のない心血管手術(大出血なし) 輸血しない
10万/μL超の非(服用を含む) 輸血しない

5-3. 赤血球輸血の閾値:制限的戦略

かつては「ヘモグロビン10 g/dL未満で輸血」という考え方が一般的だったが、現在の指針はである。血行動態が安定した入院成人ではヘモグロビン7 g/dL未満を閾値とするが標準で、心臓手術では7.5 g/dL、や心血管疾患の既往がある場合は8 g/dLを閾値としてよい26。

日本の指針との違い。 日本の「の使用指針」は、周術期貧血のトリガー値をヘモグロビン7〜8 g/dLとし(強く推奨)、冠動脈疾患などの心疾患、肺機能障害、障害のある患者では10 g/dL程度に維持するとする27。では、6 g/dL以下で輸血はほぼ必須、10 g/dLを超えれば不要で、その間は患者の状態や合併症で異なり、ヘモグロビンだけでは決めない24。日本の消化性潰瘍診療ガイドラインは、の輸血を7 g/dL未満で考慮し、冠動脈疾患などの合併症があれば10 g/dL程度に維持することが推奨されるとする10。下の表の「心血管疾患の既往で8 g/dL」は米国AABBの値で、日本の指針(10 g/dL程度)より低い。

状況 閾値の目安
安定した入院成人 7 g/dL未満(強く推奨)
心臓手術 7.5 g/dL
・心血管疾患の既往 8 g/dL
血液・腫瘍性疾患 7 g/dL(条件付き)
外傷の大量出血 輸血が必要なら目標ヘモグロビン70〜90 g/L1
(非静脈瘤性) 心血管疾患がなければ7 g/dL以下で輸血し目標7〜9、心血管疾患があれば8 g/dL以下で輸血し目標10以上(ESGE)7。ACGは7 g/dLを閾値とする13
保守的に輸血し、目標ヘモグロビン7〜8 g/dL14
活動性出血・不安定・症状(頻脈、、虚血) 数値でなく臨床で判断。上の閾値は目安

⭐ 急性におけるの根拠: スペインの重症急性921例(肝硬変の有無で層別化)を対象とした無作為化試験では、ヘモグロビン7 g/dL未満で輸血する(461例)が9 g/dL未満で輸血する(460例)より45日などの転帰を有意に改善し、群の51%は輸血を受けずに済んだ(群では14%)28。ただし、この試験は大量の、・症候性・脳卒中・、90日以内の輸血、最近の外傷・手術、、再出血リスクの低い例(0かつヘモグロビン12 g/dL超)を除外しており、これらの患者には結果をそのまま当てはめない28。

⚠️ 閾値は安定した患者の目安であり、進行中の大量出血ではを待たず、血圧・脈拍・出血量で輸血する。

5-4. 大量輸血

項目 内容
定義(例) 統一された定義はない。無作為化試験で最も多いのは24時間以内の赤血球10単位以上で、血漿・血小板を含む定義は見当たらない。進行中の試験では3〜5単位とする定義が多い29。循環血液量の全量を24時間以内、または半量を3時間以内に失う出血を大量出血とみなす定義もある3
病院が事前に定めた、赤血球・血漿・血小板を一定の比率で連続して準備・払い出す仕組み。起動の基準は施設ごとに決める
製剤比率 血漿:赤血球は最低でも1:2を保ち、血小板は高い比率を示唆する1。PROPPR試験では血漿:血小板:赤血球1:1:1と1:1:2で24時間・30日死亡率に有意差はなかったが、1:1:1で止血達成が多く、出血死が少なかった30。濃縮フィブリノゲン・と赤血球の組合せも選択肢
併用 、フィブリノゲン、カルシウム、加温
腹腔・骨盤・胸腔の高度出血で考慮する。腫瘍・腸管内容による汚染では適応を慎重に1
終了 出血制御後は標準的なやでに調整する1。固定比率の輸血は初期の蘇生にとどめる

日本の「の使用指針」(2019年一部改正)は、大量出血時に、とともに速やかにとを投与することを推奨し(1C)、各製剤の投与単位の比を::=1:1:1とすることが望ましいとする。早期からのも、承認されている効能・効果の範囲で推奨する(2B)27。上の「血漿:赤血球は最低でも1:2」は欧州の外傷指針の記述で、日本の指針(1:1:1)より低い比である。日本の危機的出血への対応ガイドラインも、1:1:1を目安とする23。

💡 はを補強するであり、単独でが証明された検査ではない。 大量出血396例を対象に、で補強した蘇生と従来の(PT/aPTT/フィブリノゲン)で補強した蘇生を比較した多施設無作為化試験(ITACTIC試験)では、24時間後に生存かつ大量輸血(赤血球10単位以上)を免れていた割合(67%対64%)にも28日死亡率(25%対28%)にも全体としては有意差がなかった31。迅速に結果が出るという実務上の利点はあるが、「を使えば転帰が改善する」と言い切れる段階ではない。

大量輸血の合併症

合併症 機序 対応
のクエン酸がカルシウムをする。肝機能が悪いと代謝されにくい をモニターし、を補充
保存中に赤血球から漏れたカリウム。腎不全・で増悪 心電図とカリウムの確認、必要なら治療
低体温 冷たい製剤、体腔の曝露 加温装置、保温
凝固因子・血小板を含まない輸液や赤血球だけの補充 血漿・血小板・フィブリノゲンの補充
アシドーシス 低灌流・乳酸、の酸 灌流の回復。は限定的
TRALI・TACO 後述
・ クエン酸の蓄積 補充

5-5. 輸血副作用(輸血反応)

反応 時期 機序 所見 対応
数分〜数時間 (人為的な取り違えが主因)による 発熱、悪寒、胸部・・注入部位の痛み、低血圧、、、DIC 直ちに輸血を中止、を維持、確認(血液型の再確認、、、)、輸液・利尿、DICの治療()
輸血中〜数時間 白血球・サイトカイン 38℃以上、または1℃以上の上昇、悪寒 中止して溶血・を除外。で対症、軽症なら再開を検討
アレルギー(蕁麻疹) 輸血中 への反応 蕁麻疹、掻痒 抗ヒスタミン薬。軽快すれば再開可
アナフィラキシー 輸血開始直後 への反応(IgA欠損者の抗IgAなど) 、、低血圧 中止、エピネフリン筋注、補液(アナフィラキシー)
TRALI 輸血中〜6時間以内 の透過性亢進による肺水腫。輸血が引き金となる炎症反応で、危険因子(既存のARDS危険因子など)が関与する 急性発症の低酸素血症(P/F 300以下またはSpO2 90%未満)、画像で両側肺水腫、左房高血圧が主因でない32 中止、呼吸の支持。(TACO)との鑑別が要る(TRALI)
TACO 輸血中〜12時間以内() によるの ・肺水腫に加え、頻脈・高血圧・脈圧の開大・、輸液の、BNPまたはNT-proBNPが輸血前の1.5倍超など。A〜Eのうち3項目以上33 中止、座位、利尿薬、酸素。利尿薬への反応はの証拠の一つ(TACO)
輸血中〜直後 血小板製剤が多い 高熱、ショック、敗血症 中止、製剤と患者の血液を培養、
3〜14日 既往の感作による 発熱、貧血の、黄疸 経過観察との選択
数日〜数週 ドナーのリンパ球 発熱、皮疹、 予防が重要。免疫不全者には
5〜10日 血小板抗原への抗体 血小板の急激な減少 免疫グロブリン
感染症(ウイルス等) 数日〜数か月 輸血による伝播 現在は検査で極めてまれ
flowchart TD
    A["輸血中・直後の症状<br>発熱・悪寒・低血圧・呼吸困難・痛み"] --> B["直ちに輸血を中止<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='IV access'>静脈路</span>を維持・患者を確認"]
    B --> C["バイタル・酸素化の評価<br>製剤と患者の取り違えを確認"]
    C --> D{"重症の徴候があるか"}
    D -- "溶血を疑う<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ABO incompatibility'>ABO不適合</span>)" --> E["血液センター・検査室へ連絡<br>血液型再確認・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct antiglobulin test, DAT'>直接抗グロブリン試験</span><br>輸液・DIC治療"]
    D -- "アナフィラキシー" --> F["エピネフリン筋注・補液"]
    D -- "呼吸不全" --> G{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydrostatic pressure'>静水圧</span>の上昇を示す所見があるか<br>BNP上昇・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluid overload'>輸液過負荷</span>・利尿薬への反応"}
    G -- "あり" --> H["TACO:中止して利尿薬・酸素"]
    G -- "なし・両側肺水腫" --> I["TRALI:中止して呼吸の支持"]
    D -- "発熱・ショック" --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bacterial contamination'>細菌汚染</span>を疑い培養と抗菌薬"]
    D -- "軽症(蕁麻疹・発熱のみ)" --> K["対症療法<br>溶血と汚染を除外してから再開を検討"]

⭐ 呼吸困難を伴うは、TRALIとTACOの鑑別が定番。 どちらも輸血に伴う肺水腫だが、TACOはの上昇(・BNP上昇・利尿薬への反応)、TRALIは毛細血管の透過性亢進が主因。6時間を超えて起きた肺水腫は(TAD)に分類する32。TACOのは用で、リアルタイムの臨床診断のためのものではない33。

5-6. 輸血を減らす工夫

手段 内容
術前の貧血の補正 、、原因の治療
手術中の出血制御 丁寧な止血、、
術中回収式(腫瘍・汚染では慎重)
と体温管理 ・の悪化を防ぐ
閾値を守る
抗凝固薬の 個別に・拮抗

まとめ

  • 出血は出血先(外・内)、血管(動脈・静脈・毛細血管)、時間(急性・慢性)、手術との関係(一次性・反応性・二次性)で分類する。二次性出血は感染の合図でもある。
  • の重症度(ATLS分類)は教育用の枠組みで限界があり、血圧の低下は遅れて現れる。血圧が正常でも頻脈・脈圧低下に気付く。ヘモグロビンは急性期には低下せず、乳酸とが低灌流を反映する。
  • (低体温・アシドーシス・)が悪循環を作る。は、出血源の早期制御、(収縮期80〜90 mmHg、では不可)、晶質液の制限、早期の、(3時間以内)、保温を柱とする。
  • 止血は圧迫→→→→の順。不安定ならFASTのあとに手術室、安定していればCTで出血源を同定して塞栓術か手術へ。肝ではを使い、間欠的遮断は持続遮断よりが少ない。
  • 消化管出血はで内視鏡止血の適応を決め(Ia・Ib・IIaは止血、IIbはの除去と必要なら止血、IIc・IIIは不要)、エピネフリン単独は使わず、24時間以内に内視鏡を行って止血後は高用量PPIを続ける。は12時間以内の内視鏡的、、抗菌薬、高リスク例は、失敗ならバルーンまたは金属で橋渡ししてへ。
  • 抗凝固薬の拮抗は、ワルファリンにとビタミンK、ヘパリンに、に、Xa阻害薬では地域の承認・供給とに応じて拮抗・補正を選ぶ(米国での販売は2025年に終了)。21 服用中の持続出血にをに行わない。
  • は(7 g/dL未満、心臓手術で7.5、整形外科・心血管疾患で8)。「10 g/dL未満」は過去の基準。進行中の大量出血はでなく臨床で輸血する。
  • 赤血球はO型が万能、血漿はAB型が万能と向きが逆。大量輸血は血漿:赤血球を最低1:2に保ち(1:1:1と1:1:2で死亡率に差はないが1:1:1は止血達成が多い)、フィブリノゲンとカルシウムを補い、低体温を防ぐ。合併症は低カルシウム・高カリウム・低体温・。
  • は直ちに中止してを維持し、溶血、アナフィラキシー、TRALI、TACO、を鑑別する。TRALIは6時間以内の、TACOは12時間以内の(・BNP上昇)。

関連トピック:G/05: と合併症(・)、G/04: 術前管理、G/08: 腹膜炎、G/11: 、G/13: 血栓塞栓症と予防(抗凝固薬と出血リスク)、G/14: 腹部の解剖(塞栓術・血管遮断の理解)、、消化管出血。

出典

  1. 1.The European guideline on management of major bleeding and coagulopathy following trauma: sixth edition(Critical Care・2023)PMC9977110の本文で確認した。ATLS分類(ACS 10版の表)は失血量を15%未満・15〜30%・31〜40%・40%超とし、心拍数・血圧・脈圧・呼吸数・尿量・GCS・塩基欠乏・輸血の必要性を矢印と数値で示すが「限界がある」と明記する。ショック指数は健常成人で0.5〜0.7、0.9〜1.0以上は大量輸血・介入の増加と関連する。四肢の致死的出血にはターニケット、骨盤骨折には骨盤バインダーと早期の骨盤輪固定、止血が遅れる出血には腹膜外パッキング、REBOAは非圧迫性出血のつなぎとして考慮(エビデンスは相反)。ダメージコントロール手術は出血性ショック・凝固障害・低体温・アシドーシスなどで選択。出血が止まるまで収縮期血圧80〜90 mmHg(頭部外傷・脊髄損傷では不可)、輸血が必要な場合の目標ヘモグロビンは70〜90 g/L、正常体温の維持、腹腔・骨盤・胸腔の高度出血では自己血回収を考慮。トラネキサム酸は受傷後3時間以内に1 gを10分で負荷し、続けて1 gを8時間で投与し、粘弾性検査を待たない。初期の凝固蘇生はフィブリノゲン濃縮製剤またはクリオプレシピテートと赤血球、もしくは血漿を血漿:赤血球比で最低1:2とし、血小板は高い血小板:赤血球比を示唆。フィブリノゲンはClauss法で1.5 g/L 以下なら補い、初回3〜4 g(クリオ15〜20単位)。血漿を用いる場合はPT・aPTTが正常の1.5倍超か粘弾性検査での因子欠乏で追加し、低フィブリノゲンの補正に血漿は避ける。血小板は出血が続く外傷で50×10^9/L 超、頭部外傷で100×10^9/L 超を保ち、初回量は4〜8単位または成分採血1パック。イオン化カルシウムは正常域に保ち、0.9 mmol/L 未満は塩化カルシウムで速やかに補正。ビタミンK拮抗薬の緊急拮抗はプロトロンビン複合体製剤(25〜50 U/kg)とビタミンK 5〜10 mg の静注、ダビガトランにはイダルシズマブ5 g、Xa阻害薬にはアンデキサネットアルファまたはプロトロンビン複合体製剤。抗血小板薬服用中の持続出血に血小板輸血を日常的に行わない。閲覧 2026-10-12
  2. 2.ATLS 11(American College of Surgeons・2025)公式教育プログラム案内で第11版の初期評価がxABCDEへ変更され、大量出血制御を強調することを確認した。第11版の重症度分類表は取得していないため、第10版の表を第11版の表として扱わない。閲覧 2026-10-13
  3. 3.Clinical review: hemorrhagic shock(Critical Care・2004)PMC1065003の全文で確認した。出血を4段階に分ける表(Committee on Traumaを改変)は失血量が750 mL未満・750〜1,500・1,500〜2,000・2,000 mL超、15%未満・15〜30%・30〜40%・40%超、脈拍100未満・100超・120超・140超/分。大量出血は24時間以内に循環血液量全量、または3時間以内に半量を失うことと定義されうる。閲覧 2026-10-12
  4. 4.Renaissance of base deficit for the initial assessment of trauma patients: a base deficit-based classification for hypovolemic shock developed on data from 16,305 patients derived from the TraumaRegister DGU®(Critical Care・2013)PMC3672480の全文で確認した。ドイツ外傷登録の16,305例を塩基欠乏2以下・2〜6・6〜10・10超の4段階に分けると、死亡率は7.4%から51.5%、大量輸血率は5%から52%へ段階的に上がった。ATLS分類で分けると大量輸血はクラスIで4%・クラスIVで25%、死亡率は2%と31%にとどまり、塩基欠乏の分類のほうが輸血必要量・大量輸血・死亡の判別に優れた。ATLS分類は心拍数・収縮期血圧・GCSの3項目すべてに当てはまる患者が少なく、頻脈は目立たなかった。閲覧 2026-10-12
  5. 5.Emergency ultrasound-based algorithms for diagnosing blunt abdominal trauma(Cochrane Database of Systematic Reviews・2015)鈍的腹部外傷におけるFAST(超音波による primary survey)を検証したコクランレビューで、FASTは特異度が高い一方で感度が低く、RCT4件・患者1254例の統合では死亡率に関してFAST使用群と非使用群で有意差がなかった(相対危険度1.00)とした。閲覧 2026-08-26
  6. 6.Effects of tranexamic acid on death, vascular occlusive events, and blood transfusion in trauma patients with significant haemorrhage (CRASH-2): a randomised, placebo-controlled trial(The Lancet(CRASH-2 trial collaborators)・2010)40か国274施設で、受傷8時間以内の出血または出血リスクのある成人外傷患者20,211例をトラネキサム酸群とプラセボ群に無作為割付けし、全死亡はトラネキサム酸群14.5%対プラセボ群16.0%(相対リスク0.91)、出血による死亡は4.9%対5.7%(相対リスク0.85)といずれも有意に低かったこと。閲覧 2026-08-26
  7. 7.Endoscopic diagnosis and management of nonvariceal upper gastrointestinal hemorrhage (NVUGIH): European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) Guideline - Update 2021(European Society of Gastrointestinal Endoscopy・2021)全文PDFで確認した。血行動態が安定した例の赤血球輸血は閾値7 g/dL以下(目標7〜9)、心血管疾患があれば8 g/dL以下(目標10以上)。トラネキサム酸は推奨しない。抗血小板薬服用例への血小板輸血を日常的に行わない。蘇生後24時間以内の早期内視鏡を推奨し、12時間以内の緊急内視鏡は転帰を改善しないため推奨しない。Forrest分類でIa・Ibにはエピネフリン局注と第2の止血法(熱凝固または機械的)、IIaには熱凝固・機械的止血・硬化剤、エピネフリン単独は推奨せず、IIc・IIIには内視鏡止血を推奨しない。難治例には止血スプレーまたはキャップ装着クリップ、再出血にはキャップ装着クリップ、さらに失敗すれば塞栓術、塞栓術ができない・失敗なら手術。内視鏡止血後(およびIIb)は高用量PPIを静注ボーラス後に持続(80 mg、続けて8 mg/時)で72時間。内視鏡止血後にPPIを使わないプラセボ群の再出血率はIa 22.5%・IIa 11.3%・IIb 17.6%・Ib 4.9%。閲覧 2026-10-12
  8. 8.Randomized clinical trial of ischaemic preconditioning in major liver resection with intermittent Pringle manoeuvre(British Journal of Surgery・2011)抄録で確認した。間欠的な流入血遮断を併用する大肝切除84例で、虚血プレコンディショニング(10分遮断・10分再灌流)は術翌日のALTを下げず、肝障害を軽減しなかった。間欠的遮断は持続遮断より再灌流障害が少ないとされる。閲覧 2026-10-12
  9. 9.A prospective randomized study in 100 consecutive patients undergoing major liver resection with versus without ischemic preconditioning(Annals of Surgery・2003)抄録で確認した。流入血遮断が30分以上の大肝切除100例で、虚血プレコンディショニング(10分の虚血と10分の再灌流)群は術後のAST・ALTが有意に低かった。若年、遮断が長い(60分まで)、切除体積が小さい、脂肪肝の例で利益が大きかった。閲覧 2026-10-12
  10. 10.消化性潰瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版)(日本消化器病学会・2020)PDFを本文抽出して確認した。内視鏡的止血治療の適応は活動性出血のForrest Ia・Ibと非出血性露出血管のIIaで、IIbは再出血の危険が高い場合を除いて積極的な適応とせず、IIcとIIIは薬物治療の適応とする。クリップ法は単独で再出血予防に有用、局注法は単独よりクリップ法や凝固法の併用が効果的。止血後のPPI投与は強く推奨し、高用量PPIは保険適用外で通常量でも再出血率は同等とする。輸血はHb 7.0 g/dL未満で考慮し、冠動脈疾患などではHb 10 g/dL程度に維持することが推奨される。閲覧 2026-11-02
  11. 11.Comparison of risk scoring systems for patients presenting with upper gastrointestinal bleeding: international multicentre prospective study(BMJ・2017)6施設(欧米豪)3,012例の前向き国際多施設研究で、Glasgow-Blatchfordスコアは輸血・内視鏡治療・IVR・手術・30日死亡の複合エンドポイントの予測でAUROC 0.86とfull Rockall・PNED・AIMS65を上回り、外来管理へ回す閾値としてはスコア1以下が最適と結論された閲覧 2026-08-26
  12. 12.Endoscopic diagnosis and management of peptic ulcer bleeding: European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) Guideline – Update 2026(European Society of Gastrointestinal Endoscopy・2026)学会公開原文PDFの主要推奨4・7〜13と診療フローを確認。十分な蘇生後も循環不安定な場合を除く定型的な6〜12時間以内内視鏡の非推奨、活動性出血での外付け型クリップ単独の代替選択、局所止血剤を初回単独治療にしないこと、持続出血と再出血の救済を区別する。訂正DOI 10.1055/a-2881-7411は存在を確認したが訂正文全文は未取得。閲覧 2026-10-13
  13. 13.ACG Clinical Guideline: Upper Gastrointestinal and Ulcer Bleeding(American College of Gastroenterology・2021)抄録で確認した。上部消化管出血の赤血球輸血は7 g/dL を閾値とし、内視鏡前のエリスロマイシン、受診後24時間以内の内視鏡を提案する。活動性の噴出・湧出と非出血性露出血管には内視鏡治療を推奨し、内視鏡止血後は高用量PPIを3日間(持続または間欠)、その後2週間は1日2回の経口PPIとする。再出血には再内視鏡、失敗すれば経カテーテル塞栓術。閲覧 2026-10-12
  14. 14.Baveno VII - Renewing consensus in portal hypertension(Journal of Hepatology・2022)PMC11090185の全文で確認した。急性静脈瘤出血では赤血球輸血を保守的に行い目標ヘモグロビン7〜8 g/dL、血管作動薬(テルリプレシン・ソマトスタチン・オクトレオチド)を速やかに開始して2〜5日継続、抗菌薬予防を入院時から、蘇生後12時間以内の内視鏡、食道静脈瘤には結紮が推奨、胃静脈瘤には組織接着剤、止血スプレーは第一選択としない。予防的TIPS(被覆付きステント)は72時間以内(できれば24時間以内)で、Child-Pugh C 14点未満、またはB 7点超で内視鏡時に活動性出血、またはHVPG 20 mmHg超が対象。難治性出血ではバルーンタンポナーデまたは自己拡張型金属ステントをTIPSへのつなぎとし、金属ステントのほうが安全。救済TIPSは薬物・内視鏡治療で止血できない例に行う。Child-Pugh 14点以上、またはMELD 30超かつ乳酸12 mmol/L超ではTIPSは無益のおそれがある。閲覧 2026-10-12
  15. 15.Baveno VIII – Advancing consensus in portal hypertension(Journal of Hepatology・2026)誌上掲載前の版(Journal Pre-proof、フィレンツェ大学リポジトリの2026-09-19 Wayback保存版)の全文で、2型胃食道静脈瘤と1型孤立性胃静脈瘤の出血はシアノアクリレート注入か超音波内視鏡下治療で止血し(5.40)、根治はTIPS±静脈瘤塞栓術をできるだけ早く行うのが第一選択で、禁忌なら経静脈的閉塞術・内視鏡治療・外科治療を解剖に応じて多職種で選ぶこと(5.41)、難治性食道静脈瘤出血の橋渡しはカバードステントをバルーンより優先すること(5.35)を確認した閲覧 2026-09-29
  16. 16.肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版)(日本消化器病学会・日本肝臓学会・2020)CQ4-6で孤立性胃静脈瘤の再出血予防にBRTOを提案すること(弱い推奨、エビデンスレベルC)、予防的治療の有効性を示すRCTはなく欧米の指針は推奨していないこと、CQ4-7で出血歴のない胃穹窿部静脈瘤にはシアノアクリレート注入が予後を改善する一方、出血歴のある例では待機的な追加治療としてBRTOが優れるため注入法を行わないことを提案する(弱い推奨、エビデンスレベルC)こと、胃穹窿部静脈瘤の緊急止血はシアノアクリレート注入またはS-Bチューブ圧迫が合意を得ていることを全文PDFで確認した閲覧 2026-10-05
  17. 17.Perioperative Management of Antithrombotic Therapy in Patients Undergoing Plastic and Reconstructive Surgery: A Practical Tool Based on Current Guidelines(Plastic Surgery・2024)PMC11562235の本文で確認した。2022年ACCPガイドラインの著者の一人を含めて作成した実用的な枠組みで、症例として、ワルファリンは術前5日に中止、クロピドグレルは5日前に中止し術後24時間以内に再開、プラスグレルは7日前に中止して術後24時間以内に再開する例が示されている。閲覧 2026-10-12
  18. 18.Perioperative Management of Antithrombotic Therapy: An American College of Chest Physicians Clinical Practice Guideline(American College of Chest Physicians・2022)抄録で確認した。待機手術で長期の経口抗凝固薬・抗血小板薬を使う患者を扱い、ビタミンK拮抗薬、ヘパリンブリッジング、DOAC、抗血小板薬の4領域で44の推奨を示す。強い推奨は、心房細動でのヘパリンブリッジングを行わないことと、ペースメーカー・ICD植込みでビタミンK拮抗薬を継続することの2つ。閲覧 2026-10-12
  19. 19.Protamine Sulfate Injection, USP — Prescribing Information (Fresenius Kabi)(米国FDA(DailyMed収載の添付文書/Fresenius Kabi)・2025)添付文書のDosage and Administrationで確認した。プロタミン1 mgはヘパリン100 USP単位以上を中和する。10分かけてごく緩徐に静注し、1回量は50 mgまで。ヘパリンは速やかに消失するため必要量は時間とともに減り、ヘパリン投与30分後なら通常量の半量で足りうる。用量は凝固検査で調整する。ヘパリン投与歴のない出血には用いない。閲覧 2026-10-12
  20. 20.What's fishy about protamine? Clinical use, adverse reactions, and potential alternatives(Journal of Thrombosis and Haemostasis・2023)抄録で確認した。プロタミンは心臓手術などで大量ヘパリンの拮抗に日常的に用いられる。低分子ヘパリンの拮抗に対する有効性の裏付けは乏しいが、ガイドラインでは低い質の根拠で推奨されている。有害反応は血管拡張から致死的な心肺機能障害・ショックまで幅があり、致死的な反応はIgEまたはIgG抗体による過敏反応と考えられる。閲覧 2026-10-12
  21. 21.Update on the Safety of Andexxa(U.S. Food and Drug Administration・2025)2025年12月18日のFDA安全性情報を確認。血栓塞栓症増加などからリスクが利益を上回ると判断し、米国では2025年12月22日以降Andexxaの製造・販売を終了すると記載されている。米国外の承認取消を意味しない。閲覧 2026-10-13
  22. 22.Ondexxya(European Medicines Agency・2026)EMAの現行EPAR案内を確認。EUでは条件付き承認が掲載され、対象は成人のアピキサバン・リバーロキサバンによる生命を脅かす・制御不能な出血で、血栓塞栓症リスクに注意する。承認と各国の供給・施設での利用可能性は区別する。閲覧 2026-10-13
  23. 23.危機的出血への対応ガイドライン(2025年4月改訂)(日本麻酔科学会・日本輸血・細胞治療学会・2025)PDFを本文抽出して確認した。危機的出血では新鮮凍結血漿だけでなく乾燥人フィブリノゲン製剤やクリオプレシピテートの使用も考慮し、乾燥人フィブリノゲン製剤は産科危機的出血以外では適応外使用(2025年1月現在)。大量輸血プロトコルでは赤血球製剤:新鮮凍結血漿:血小板製剤を1:1:1とすることが目安。周術期貧血のHbトリガー値は7〜8 g/dLで、冠動脈疾患などの心疾患のある患者では10 g/dL程度が推奨される。閲覧 2026-11-02
  24. 24.輸血情報1705-153「血液製剤の使用指針」の改定について(平成29年3月31日改定の要約)(日本赤十字社・2017)PDFを本文抽出して確認した。2017年改定の要約で、急性出血ではHb 6 g/dL以下は輸血がほぼ必須、6〜10 g/dLは患者の状態や合併症により異なる、10 g/dLを超えれば輸血不要とする表、ABO同型の新鮮凍結血漿が入手困難な場合は原則としてAB型を使用することが示されている。日本赤十字社による要約で、厚生労働省の指針の全文は開いていない。閲覧 2026-11-02
  25. 25.Platelet Transfusion: 2025 AABB and ICTMG International Clinical Practice Guidelines(JAMA・2025)抄録で確認した。出血のない化学療法・同種造血幹細胞移植の低増殖性血小板減少では1万/μL未満で輸血を強く推奨。腰椎穿刺は2万/μL未満、中心静脈カテーテル留置(圧迫可能部位)は1万/μL未満、インターベンショナル・ラジオロジーは低リスク2万・高リスク5万/μL未満、神経軸以外の大手術は5万/μL未満で輸血を推奨(条件付き)。出血のない消費性血小板減少の成人は1万/μL未満。心血管手術で血小板減少がなく大出血もない場合、血小板数10万/μL超の非手術的頭蓋内出血では輸血を推奨しない。制限的戦略は死亡や出血を増やさない。閲覧 2026-10-12
  26. 26.Red Blood Cell Transfusion: 2023 AABB International Guidelines(JAMA・2023)出版社ページの本文で確認した。血行動態の安定した入院成人では制限的輸血戦略を強く推奨し、ヘモグロビン7 g/dL 未満を輸血の閾値とする。この制限的戦略のなかで、心臓手術では7.5 g/dL、整形外科手術または心血管疾患の既往がある場合は8 g/dL を閾値としてよい。血液・腫瘍性疾患の入院成人にも同じ7 g/dL を条件付きで提案している。閲覧 2026-10-12
  27. 27.「血液製剤の使用指針」の一部改正について(薬生発0325第1号)別添1 新旧対照表(厚生労働省医薬・生活衛生局・2019)新旧対照表のPDFを本文抽出して確認した。周術期貧血のトリガー値をHb 7〜8 g/dLとすることを強く推奨し(1A)、冠動脈疾患などの心疾患、肺機能障害、脳循環障害のある患者ではHb 10 g/dL程度に維持することが引き続き推奨される。大量出血時には赤血球液とともに速やかに新鮮凍結血漿と血小板濃厚液を投与することを推奨し(1C)、投与単位の比を新鮮凍結血漿:血小板濃厚液:赤血球液=1:1:1とすることが望ましく、承認されている効能・効果において早期からのトラネキサム酸の投与を推奨する(2B)。ワルファリンの緊急補正では急性重篤出血時にプロトロンビン複合体製剤を推奨する(1B)。閲覧 2026-11-02
  28. 28.Transfusion strategies for acute upper gastrointestinal bleeding(New England Journal of Medicine・2013)重症急性上部消化管出血921例(スペイン、肝硬変の有無で層別化)を、ヘモグロビン7 g/dL未満で輸血する制限戦略461例と9 g/dL未満で輸血する自由戦略460例に無作為化したところ、制限戦略群では51%が輸血を受けずに済み(自由戦略群14%)、制限戦略は自由戦略に比べ45日生存など転帰を有意に改善した。全文(Wayback 保存版)の Methods で、除外基準に大量の失血性出血(massive exsanguinating bleeding)、急性冠症候群・症候性末梢血管疾患・脳卒中・一過性脳虚血発作・90日以内の輸血、最近の外傷・手術、下部消化管出血、Rockallスコア0かつHb 12 g/dL超が含まれることを確認した(2026-09-24)閲覧 2026-08-26
  29. 29.Definitions of massive transfusion in adults with critical bleeding: a systematic review(Critical Care・2023)PMC10324127の抄録と本文で確認した。大量輸血の定義は無作為化試験で15通りあり、完了した試験で最も多かったのは24時間以内の赤血球10単位以上(19試験中9試験、すべて外傷)。進行中の試験では3〜5単位が多い。血漿・血小板を含む定義はなく、死亡が早い例を取りこぼす点が限界とされる。閲覧 2026-10-12
  30. 30.Transfusion of plasma, platelets, and red blood cells in a 1:1:1 vs a 1:1:2 ratio and mortality in patients with severe trauma: the PROPPR randomized clinical trial(JAMA・2015)抄録で確認した。大量輸血が予測された重症外傷680例を血漿:血小板:赤血球1:1:1と1:1:2に無作為化した。24時間死亡率・30日死亡率に有意差はなかった(30日は22.4%対26.1%)。出血死は1:1:1群で少なく(9.2%対14.6%)、止血達成は多かった(86%対78%)。合併症に差はなかった。閲覧 2026-10-12
  31. 31.Viscoelastic haemostatic assay augmented protocols for major trauma haemorrhage (ITACTIC): a randomized, controlled trial(Intensive Care Medicine(ITACTIC investigators)・2021)大量出血プロトコルを粘弾性検査(TEG/ROTEM)で補強する群と従来の凝固検査で補強する群を比較した多施設無作為化試験(396例)で、24時間後に生存かつ大量輸血(赤血球10単位以上)を免れていた割合(67%対64%)にも28日死亡率(25%対28%)にも全体としては有意差がなかったこと。閲覧 2026-08-26
  32. 32.A consensus redefinition of transfusion-related acute lung injury(Transfusion・2019)PMC6850655の全文で確認した。TRALI I型はARDSの危険因子がなく、急性発症、低酸素血症(P/F 300以下またはSpO2 90%未満)、画像で両側肺水腫、左房高血圧がない(または主因でない)、輸血中または終了後6時間以内の発症、他のARDS危険因子と時間的関連がないこと。II型はARDS危険因子や軽度ARDSがあるが、輸血前12時間は安定していた例。TRALIでは毛細血管透過性の亢進、TACOでは静水圧の上昇が肺水腫の主因。6時間を超えて起きた肺水腫は輸血関連呼吸困難(TAD)に分類する。閲覧 2026-10-12
  33. 33.Transfusion-associated circulatory overload (TACO) surveillance case definition (2018)(ISBT Working Party on Haemovigilance / International Haemovigilance Network / AABB・2019)定義文書のPDFで確認した。急性または増悪する呼吸障害・肺水腫(AおよびまたはB)が輸血中から12時間以内に生じ、A〜E(呼吸障害、肺水腫の証拠、心血管系の変化、輸液過負荷、BNPまたはNT-proBNPが年齢別基準上限超かつ輸血前の1.5倍超)の合計3項目以上を満たすものをTACOと報告する。サーベイランス用で、リアルタイムの臨床診断基準ではない。血圧上昇と頻脈は警告徴候。閲覧 2026-10-12