臨床薬理学

臨床薬理学 · 03

炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)の薬物療法

Inflammatory bowel disease: Crohn's disease and ulcerative colitis

前提:病態
免疫薬理学II(サイトカイン遺伝子発現阻害薬・5-ASA誘導体)免疫薬理学I(細胞傷害性薬)免疫薬理学III(抗体・融合タンパク質)

🧠 全体像:の薬物療法は、「寛解導入(今の炎症を鎮める)」と「(させない)」を別々に考えるのが幹である。ステロイドは導入には効くが維持には使えない。チオプリンは効くまで数週間かかるので導入には単独で使わず、維持に回す。5-ASAはでは導入・維持の主役だが、では推奨されない。中等症〜重症ではなどの高度治療を、・抵抗性になってからではなく、より早い段階で使う方向へ変わってきた。

2つの疾患の違いと薬の効き方

病変の広がり 口から肛門までどこにでも、性 直腸からへ(・・全大腸炎)
炎症の深さ 。瘻孔・膿瘍・狭窄を作る 粘膜・
5-ASA 効果が限られ推奨されない 軽症〜中等症の導入と維持の第一選択
(・注腸) 役割は小さい ・で重要
喫煙 悪化因子。禁煙が治療の一部 —
手術 再発しうる(治癒ではない) で腸管病変は治る

💡 5-ASAは腸管内腔から粘膜へ局所的に作用する薬である。 炎症が粘膜にとどまり連続するではよく効くが、で飛び飛びのでは届きにくい。同じ理由で、・注腸は届く範囲(直腸〜)ので力を発揮する。

主な薬剤の位置づけ

分類 薬剤 導入 維持 要点
5-ASA 、 ○ ○ はやや効果が高いが副作用が多い
型ステロイド ○ × で全身性副作用が少ない。製剤で放出部位が違う
全身ステロイド 、 ○ × 副作用が多い。1コースは最長3か月が目安
チオプリン 、 単独では× ○ 効果発現に数週間。との併用で効果増強
メトトレキサート メトトレキサート で△ で△ の維持には根拠不十分
、 重症の救済 × 副作用のため6か月以内に中止し、チオプリンへつなぐ
、、ゴリムマブ ○ ○ ゴリムマブは。型では
○ ○ 腸管選択的に白血球の遊走を阻む
抗IL-12/23抗体 ○ ○ 両疾患に使う
阻害薬 、 ○ ○ 経口。心血管・に注意

💡 ステロイドとチオプリンを組み合わせる理由は、効き始める速さの違いにある。 ステロイドは数日で効くが長く使えない。チオプリンは数週間かけて効いてくるので、ステロイドで導入しながらチオプリンを始め、ステロイドを減らし終える頃にチオプリンが維持を引き継ぐ。

クローン病

以下はの2010年版・2019年版に基づく従来の推奨で、現行の2024年版で変わった点は後の表にまとめる。

寛解導入

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active phase'>活動期</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Crohn disease, CD'>クローン病</span>"] --> B{"重症度は?"}
  B -->|"軽症のみ"| C["無治療で経過観察も可"]
  B -->|"軽症〜中等症<br>回腸・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ascending colon'>上行結腸</span>に限局"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='budesonide'>ブデソニド</span>"]
  B -->|"中等症〜重症"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='budesonide'>ブデソニド</span>または全身ステロイド<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prednisolone'>プレドニゾロン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydrocortisone'>ヒドロコルチゾン</span>)"]
  E --> F["維持用にチオプリンまたは<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methotrexate'>MTX</span>を併せて開始"]
  E --> G{"従来治療に反応しない?"}
  G -->|"はい"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-TNF antibody'>抗TNF抗体</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='infliximab'>インフリキシマブ</span>はチオプリン併用"]
  H --> I{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-TNF antibody'>抗TNF抗体</span>にも反応しない?"}
  I -->|"はい"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ustekinumab'>ウステキヌマブ</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vedolizumab'>ベドリズマブ</span>"]
  B -->|"敗血症性合併症"| K["抗菌薬。手術を検討"]
重症度 推奨 推奨しない・注意
軽症〜中等症 症状が軽いだけなら無治療も可。(回腸・に限局した場合のみ。現在の製剤は大腸病変には役割が無い) 効果が限られる5-ASA、抗菌薬(主に副作用のため)、栄養療法(が低く効果もわずか)
中等症〜重症 または全身ステロイド(・は副作用が多い)。維持に使うチオプリンかを併用開始してよい チオプリン単独での導入は推奨しない。での導入は合意に至らなかった
従来治療に 。はチオプリンとの併用で効果が高まる(では併用を勧めない) —
従来治療・に または —
敗血症性合併症 抗菌薬(メトロニダゾール、など) 手術を検討する

💡 にチオプリンを併用するのは、であるに対するの産生を抑え、血中濃度を保つためである。 のでは併用の効果がはっきりしない。

寛解維持

  • 禁煙する。
  • 軽症では、無治療で厳密に経過観察する選択肢もある。
  • ステロイドと5-ASAは維持に役立たない。
  • 全身ステロイドで寛解したら、チオプリンかで維持する。広範囲の病変ではを勧める。
    • の中止時期:2010年版は4年後の中止を検討してよいとし、2019年版は継続を提案した。
  • モノクローナル抗体で寛解したら、同じ薬で維持する。
  • モノクローナル抗体+従来ので寛解したら、抗体単剤で維持する。
  • やをいつまで続けるかは推奨できない。
  • チオプリン治療中にしたら、まずと用量が適切かを確かめる。そのうえでやへの変更、手術を考える。

⚠️ チオプリンは骨髄抑制・肝障害・膵炎を起こしうる。(TPMT・NUDT15)の活性が低い人では重い骨髄抑制が起こるため、開始前の遺伝子型・活性の評価と、開始後の血球数の監視が重要である。

特殊な病変

病変 推奨
肛門周囲の瘻孔(複雑) 導入・維持に(は強い推奨、は弱い推奨)。免疫調節薬の効果、・の効果は根拠不十分。チオプリンや抗菌薬の単独は推奨しない
食道・病変 (など)。必要なら全身ステロイド・チオプリン・を併用。重症・難治例は抗療法。閉塞にはまたは手術

の外科的管理は・・・、の手術はCrohn病の外科的側面を参照。

現行のECCO 2024年版で変わった点

論点 従来(2010・2019年版) 現行(2024年版)
5-ASA 効果が限られ推奨しない 導入にも経口維持にも用いないことを推奨
療法 推奨しない 意欲がありの支援を受けられる軽症〜中等症の患者で、ステロイドの代わりに単独療法を導入に用いてよい
導入は合意に至らず 非経口を中等症〜重症の導入・維持に用いてよい
・ 従来治療・にな例 中等症〜重症の導入・維持に推奨。生物学的製剤未使用例でとは同等
新しい薬 — (抗IL-23 p19抗体)と(阻害薬)を導入・維持に推奨
+チオプリン 維持は抗体単剤へ 維持でも少なくとも6〜12か月は併用し、後にチオプリンを中止してよい
治療戦略 段階的に強化 厳密な管理と。高リスク例では早期の高度治療を考える

出典:1

💡 早期治療の根拠。 診断直後の中等症〜重症で、最初から+免疫調節薬を使う群と、のたびに段階的に強める群を比べたPROFILE試験では、48週時点のステロイドも手術も要しない持続的寛解が79%対15%と大きく差がついた1。腸管の損傷は積み重なると狭窄や瘻孔になって戻らないため、「効かなくなってから強める」より「早く確実に抑える」方向へ進んでいる。

潰瘍性大腸炎

以下は 2017年版に基づく従来の推奨で、現行の2022年版で変わった点は後の表にまとめる。

重症度の評価:Truelove & Witts基準

項目 軽症 中等症(軽症と重症の間) 重症
1日の血便回数 4回未満 4回以上(重症の条件は満たさない) 6回以上、かつ下の項目のいずれか
脈拍 90/分未満 90/分以下 90/分超
体温 37.5℃未満 37.8℃以下 37.8℃超
ヘモグロビン 11.5 g/dL超 10.5 g/dL以上 10.5 g/dL未満
20 mm/時未満 30 mm/時以下 30 mm/時超
正常 30 mg/L以下 30 mg/L超

Truelove & Witts基準は1955年のコルチゾン治療試験で示された枠組みで2、の項目は後年の改変で加わった。重症の定義は「血便が1日6回以上」に「頻脈・発熱・貧血・または上昇のいずれか」が加わることである。

寛解導入

状況 推奨
軽症〜中等症 5-ASA
5-ASA。泡状製剤や注腸も可。局所5-ASAは局所ステロイドより有効で、経口5-ASAや局所ステロイドとの併用で効果が増す
・全大腸炎 5-ASA注腸+経口5-ASA(経口5-ASA単独、局所5-ASA単独、ステロイド単独より有効)。で5-ASAに不耐・無効ならを考える
中等症〜重症 経口の全身ステロイド
チオプリン、(少なくともではチオプリン併用が望ましい)、、または。無効なら別の、、
(同上)、、または。無効なら別の、、
用語 定義
ステロイド開始から3か月以内に、なく換算10 mg/日未満へ減らせない。またはステロイド中止後3か月以内にする
最大0.75 mg/kg/日を4週間使っても活動性が続く

2017年版の時点で含まれていなかったが、その後、免疫調節薬や・に反応しない例でやが選択肢に加わった。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active phase'>活動期</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ulcerative colitis, UC'>潰瘍性大腸炎</span>"] --> B{"重症度は?"}
  B -->|"軽症〜中等症"| C{"病変範囲は?"}
  C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proctitis'>直腸炎</span>"| D["5-ASA<span class='jp-term jp-term-diagram' title='suppository'>坐剤</span><br>(泡状製剤・注腸も可)"]
  C -->|"左側・全大腸炎"| E["5-ASA注腸+経口5-ASA"]
  E --> F{"5-ASAに不耐・無効<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='left-sided colitis'>左側大腸炎</span>)?"}
  F -->|"はい"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='budesonide'>ブデソニド</span>を考慮"]
  B -->|"中等症〜重症"| H["経口の全身ステロイド"]
  H --> I{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='steroid dependence'>ステロイド依存</span><br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='steroid-resistant'>ステロイド抵抗性</span>?"}
  I -->|"依存"| J["チオプリン・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-TNF antibody'>抗TNF抗体</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='vedolizumab'>ベドリズマブ</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methotrexate'>MTX</span>"]
  I -->|"抵抗性"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-TNF antibody'>抗TNF抗体</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vedolizumab'>ベドリズマブ</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='calcineurin inhibitor, CNI'>カルシニューリン阻害薬</span>"]
  J --> L{"無効?"}
  K --> L
  L -->|"はい"| M["別の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-TNF antibody'>抗TNF抗体</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vedolizumab'>ベドリズマブ</span><br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='total colectomy'>大腸全摘</span>"]
  B -->|"重症(入院)"| N["静注ステロイド<br>(下の重症<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ulcerative colitis, UC'>潰瘍性大腸炎</span>を参照)"]

寛解維持

  • 維持療法の目標はステロイドを使わない寛解を保つことである。
  • ほぼ全員に長期の維持療法を勧める(の一部では間欠的な治療も可)。
  • 第一選択は経口5-ASA。では直腸内5-ASAを勧め、でも代替になる。経口と直腸の併用は二次選択の維持療法。
    • どの経口も有効。は経口製剤よりやや有効だが毒性が強い。の維持は長期に続ける。
  • チオプリンを勧める場面:①5-ASAで効果不十分・不耐、②、③で救済した(は副作用のため6か月以内に中止するのがよい)。
  • に反応した患者は、チオプリンの有無にかかわらずを続ける。に反応した患者はを続け、チオプリン維持も代替になる。
  • は最初の生物学的製剤としても使え、が無効な患者にも効く。反応した患者はで維持する。
  • ・・の使用期間は根拠が限られ推奨できないが、長期使用が必要なことがある。
  • や抗菌薬を維持に勧める根拠は不十分である。

💡 は5-ASAとが結合したで、大腸の細菌が結合を切って5-ASAを放出する。副作用(頭痛・悪心・皮疹・血球減少・男性の可逆的な)の多くは側に由来する。

重症潰瘍性大腸炎(入院)

重症の目安は、1日6回以上の血便に頻脈・上昇・発熱のいずれかを伴うことである。

静注ステロイドに抵抗性の場合は、病変範囲にかかわらず、(・)、()、または手術から、個々の患者に合わせてを選ぶ。

flowchart TD
  A["重症<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ulcerative colitis, UC'>潰瘍性大腸炎</span><br>血便6回/日以上+頻脈・発熱・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='C-reactive protein'>CRP</span>上昇"] --> B["入院"]
  B --> C["静注ステロイド"]
  B --> D["C. <span class='jp-term jp-term-diagram' title='Clostridium difficile'>ディフィシル</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytomegalovirus'>CMV</span>感染の確認<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='low molecular weight heparin (LMWH)'>低分子ヘパリン</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thrombosis prophylaxis'>血栓予防</span><br>輸液・電解質・栄養・輸血"]
  C --> E{"静注3日目までに反応?"}
  E -->|"はい"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral corticosteroid'>経口ステロイド</span>へ移行<br>維持療法を計画"]
  E -->|"いいえ"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rescue therapy'>救済療法</span>を個別に選択"]
  G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='infliximab'>インフリキシマブ</span>"]
  G --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyclosporin'>シクロスポリン</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tacrolimus'>タクロリムス</span>)"]
  G --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='total colectomy'>大腸全摘</span>"]
  I --> K["チオプリンで維持<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='calcineurin inhibitor, CNI'>カルシニューリン阻害薬</span>は6か月以内に中止"]

現行の米国ガイドラインも、静注ステロイド(60 mg/日、または100 mgを1日3〜4回)で始め、3日目までに反応が不十分ならかで救済する流れを採り、薬物によるとC. の検査、72時間以内(できれば24時間以内)のS状結腸内視鏡と生検による腸炎の評価を勧めている3。

⚠️ 重症はや穿孔に進みうる。が効かないまま待ち続けず、外科と早期から連携する(の外科的側面)。

💡 でをするのは、の腸炎そのものがのリスクを大きく高めるからである。 血便があっても予防量の抗凝固は原則として行う。

現行のECCO 2022年版で変わった点

論点 従来(2017年版) 現行(2022年版)
5-ASAの用量 — 導入・維持とも経口2 g/日以上、局所は1 g/日以上
軽症〜中等症のステロイド で5-ASA無効なら 大腸放出型ステロイドの使用を提案
チオプリン の導入にも挙がる 単剤での導入は勧めない。・5-ASA不耐例の維持に単剤で推奨
中等症〜重症の高度治療 ・(・抵抗性で) 従来治療で効果不十分・不耐の例に、(・・ゴリムマブ)、、、を導入・維持に推奨。をより優先
ステロイドの使い方 — 1コースは最長3か月。年に2コース以上要する例や減量でする例ではを考える

出典:4

2022年版の後にも、(・)、阻害薬(・フィルゴチニブ)、抗IL-23 p19抗体(ミリキズマブ・・)がの選択肢に加わっている。

薬剤ごとの安全性の要点

薬剤 主な副作用 監視・予防
5-ASA 腎障害(間質性腎炎)、まれに5-ASA自体による腸炎の悪化 腎機能
ステロイド 骨粗鬆症、感染、高血糖、精神症状 最長3か月を目安に。骨の保護
チオプリン 骨髄抑制、肝障害、膵炎、リンパ腫・皮膚がん 開始前のTPMT・NUDT15評価、血球数・肝機能
肝障害、骨髄抑制、催奇形性 週1回投与、葉酸併用、妊娠の回避
腎障害、高血圧、感染、痙攣 血中濃度・腎機能・血圧・
感染症(結核・B型肝炎の再活性化)、投与時反応、重い心不全の悪化 開始前の・肝炎ウイルス検査、生ワクチンを避ける
阻害薬 帯状疱疹、血栓、心血管イベント 年齢・危険因子の評価

まとめ

  • の治療は「寛解導入」と「」を分けて考える。ステロイドは導入専用、チオプリンは維持専用(単独での導入はしない)。
  • :5-ASAは使わない。軽症〜中等症の回腸・病変は、中等症〜重症は全身ステロイド、無効なら(はチオプリン併用)、さらに・。現行では・も加わり、高リスク例では早期の高度治療を考える。禁煙が必須。
  • 複雑には(強い推奨)と。食道・病変にはを基本とする。
  • :軽症〜中等症は5-ASAをなら、左側・全大腸炎なら注腸+経口で使い、中等症〜重症は。・抵抗性では・・チオプリン・、無効なら。
  • は「3か月以内に10 mg/日未満にできない、または中止後3か月以内の」、抵抗性は「0.75 mg/kg/日を4週間使っても活動性」。
  • 維持の第一選択は長期継続する経口5-ASA。ステロイドを使わない寛解が目標。
  • 重症度はTruelove & Witts基準。重症は入院して静注ステロイド、C. ・を確認しで、3日目までに反応がなければ・・手術から選ぶ。
  • 臨床面の詳細は、関節炎・乾癬との共通薬は関節リウマチの薬物療法・乾癬の薬物療法を参照。

出典

  1. 1.ECCO Guidelines on Therapeutics in Crohn's Disease: Medical Treatment(European Crohn's and Colitis Organisation (ECCO)・2024)全文(J Crohns Colitis 2024;18(10):1531–1555)の推奨文で、5-ASAを寛解導入にも経口維持にも用いないこと、ブデソニドを回腸・上行結腸に限局した軽症〜中等症の導入に推奨すること、全身ステロイドを中等症〜重症の導入に用いてよいこと、チオプリン単剤を導入に用いず維持には用いてよいこと、非経口MTXを中等症〜重症の導入・維持に用いてよいこと、インフリキシマブ導入時はチオプリン併用を推奨し維持でも少なくとも6〜12か月併用すること、長期寛解後はチオプリンを中止して抗TNF単剤へ減らしてよいこと、生物学的製剤未使用例ではアダリムマブ単剤を併用より優先すること、ウステキヌマブ・リサンキズマブ・ベドリズマブ・ウパダシチニブ・インフリキシマブ・アダリムマブを中等症〜重症の導入と維持に推奨すること、意欲がありサポートを受けられる軽症〜中等症患者では経腸栄養単独療法を導入に用いてよいこと、厳密な管理と治療目標達成戦略を推奨すること、PROFILE試験で早期のインフリキシマブ+免疫調節薬併用が段階的強化より48週の持続的なステロイド・手術なし寛解を増やしたこと(79%対15%)を確認した。閲覧 2026-09-26
  2. 2.Cortisone in ulcerative colitis; final report on a therapeutic trial(British Medical Journal・1955)潰瘍性大腸炎に対するコルチゾンの治療試験の最終報告で、後にTruelove & Witts基準として使われる重症度評価(血便回数、発熱、頻脈、貧血、赤沈)の枠組みを示した原著であることを書誌情報で確認した。CRPの項目は後年の改変で加わったものである。閲覧 2026-09-26
  3. 3.ACG Clinical Guideline Update: Ulcerative Colitis in Adults(American College of Gastroenterology・2025)ACG公式のEvidence-Based GI解説(gi.org、2025年8月)に逐語引用された推奨46・47・48・50・51・56で確認した。入院を要する急性重症潰瘍性大腸炎ではメチルプレドニゾロン60 mg/日またはヒドロコルチゾン100 mgを1日3〜4回の静注ステロイドを用い、静注3日目までに反応が不十分ならインフリキシマブまたはシクロスポリンで救済すること、薬物による深部静脈血栓症予防、クロストリディオイデス・ディフィシル感染の検査、72時間以内(できれば24時間以内)の軟性S状結腸内視鏡と生検によるサイトメガロウイルス腸炎の評価を推奨すること、静注ステロイド3日目までの無反応やインフリキシマブ導入無効の状況でトファシチニブやウパダシチニブを日常的に勧めるにはデータが不十分としていることを確認した。あわせて経口5-ASAは導入に2 g/日以上、5-ASA注腸は1 g/日以上とする推奨を確認した。閲覧 2026-09-26
  4. 4.ECCO Guidelines on Therapeutics in Ulcerative Colitis: Medical Treatment(European Crohn's and Colitis Organisation (ECCO)・2022)全文(J Crohns Colitis 2022;16(1):2–17)の推奨1〜21で、軽症〜中等症の導入に5-ASA 2 g/日以上、遠位大腸炎に局所5-ASA 1 g/日以上、直腸S状結腸以上の範囲では経口+局所5-ASA併用、局所ステロイドより局所5-ASAを優先、大腸放出型ステロイドの使用、チオプリン単剤を導入に用いないこと、維持に経口5-ASA 2 g/日以上と遠位型での局所5-ASA、ステロイド依存または5-ASA不耐例でのチオプリン単剤維持、外来の中等症〜重症に経口プレドニゾロン、抗TNF薬(インフリキシマブ・アダリムマブ・ゴリムマブ)・ベドリズマブ・トファシチニブ・ウステキヌマブの導入と維持、ベドリズマブをアダリムマブより優先することを確認した。本文でステロイドの1コースを最長3か月とし、年に2コース以上を要する例や減量で再燃する例ではステロイド節約薬を検討すること、MTXの維持療法の無作為化試験がステロイドなし寛解でプラセボに勝らなかったことも確認した。閲覧 2026-09-26