臨床薬理学

臨床薬理学 · 22

甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症の薬物療法

Hyperthyroidism and hypothyroidism

前提:病態
甲状腺・抗甲状腺薬・下垂体ホルモン・視床下部ホルモン及びその類似体・拮抗薬

🧠 全体像:甲状腺の薬物療法は「多すぎるホルモンを作らせない(で合成を止め、β遮断薬で症状を抑える)」と「足りないホルモンを補う(を毎日同じ条件で飲む)」の二本立てである。どちらもとを物差しにして用量を合わせ、亢進症ではと肝障害、低下症では補充しすぎ(頻脈・心房細動・骨粗鬆症)と吸収を妨げる併用薬を監視する。

甲状腺ホルモンの調節

視床下部–下垂体–甲状腺の軸は、甲状腺ホルモン自身による負のフィードバックで一定に保たれている。

flowchart TD
  S["ストレス"] -->|"促進"| BR["脳(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper'>上位</span>中枢)"]
  BR --> HY["視床下部"]
  HY -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyrotropin-releasing hormone'>TRH</span>:促進"| TT["下垂体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid-stimulating hormone (TSH)'>甲状腺刺激ホルモン</span>産生細胞"]
  HY -->|"ソマトスタチン:抑制"| TT
  TT --> TSH["TSH"]
  TSH --> TH["甲状腺"]
  TH --> T34["T4・T3"]
  T34 --> EF["全身の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='physiological effects'>生理作用</span><br>(代謝・心拍・体温・発達)"]
  T34 -.->|"長いフィードバック(間接):抑制"| BR
  T34 -.->|"長いフィードバック(間接):抑制"| HY
  T34 -.->|"短いフィードバック(直接):抑制"| TT
  TSH -.->|"短いフィードバック(直接):抑制<br>(存在は不確か)"| HY

💡 が最も鋭敏な物差しになる理由。 下垂体はのわずかな変化に対してを対数的に大きく動かすので、原発性のではが内でもが先に外れる。これが「(不)」という概念の土台である。逆に、下垂体・視床下部の病気(中枢性)ではこの物差しが使えず、で判断する。外から入れたも同じループに乗るので、補充量が多すぎればは抑制される。

甲状腺機能の分類と検査値

状態 定義
甲状腺機能正常 ・・がいずれも内
が基準未満または抑制(0.1 mU/L未満とする整理もある)、・は内
甲状腺機能亢進症 が抑制または基準未満で、との一方または両方が高値
原発性(末梢性)甲状腺機能低下症 がを超えるが、は内
がを超え、が基準未満

の広がりをでまとめると次のようになる。の例は 0.45〜4.5 mIU/L、 9.0〜25.0 pmol/L、 3.5〜7.8 pmol/Lである(測定系・施設で異なる)。

病態 TSH ・
高値〜 低値
高値 正常
甲状腺機能正常 正常 正常
低値 正常
甲状腺機能亢進症 低値〜著明低値 高値
甲状腺ホルモン不応症 正常 高値または正常
(「」と表記されることがある) 低値が多い(86%)が、正常・高値もある 低下または正常

⚠️ 最後の行は「亢進症」と表記されることがあるが、・が低下〜正常という値の組み合わせはの型である(産生による中枢性の亢進症ならは高値になる)。押さえるべき点は、が低い・正常だからといって甲状腺機能が正常とは言えないことである。下垂体疾患の既往、頭部照射後、他のの欠落があればを必ず測る。

💡 甲状腺ホルモン不応症では、が高いのにが抑制されない(正常のまま)。と取り違えてを使うと、下垂体がさらにを出して甲状腺腫が大きくなるだけである。

の区分は、欧州甲状腺学会2015年版が 0.1〜0.39 mIU/Lをgrade 1、0.1 mIU/L未満をgrade 2として分けており、(後述)もこの2段階で考える。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の治療

の甲状腺機能亢進症には、薬物療法・手術・の3つの治療法がある。

治療法 狙い 主な位置づけ
ホルモン合成を止め、寛解(自己抗体の沈静化)を待つ の初回治療の中心
甲状腺組織を内部照射で減らす 再発例・薬が使えない例。妊娠・授乳中は禁忌
組織を除く 大きな甲状腺腫、再発例、薬が使えない例

薬物療法を選ぶ場面と治療期間

論点 従来の整理 現行( 2016年版)
の亢進症 ホルモン合成阻害薬が第一の治療 ・・手術を患者と選ぶ。薬を選ぶならほぼ全例1
の亢進症 があれば薬物療法 の深さ・年齢・心疾患・骨粗鬆症で判断(後述の表)1
治療期間 甲状腺機能正常化( 0.3 mU/L超)後も少なくとも1年続ける。全体で1〜1.5年 約12〜18か月続け、と受容体抗体が正常なら中止1
寛解・再発 1〜1.5年の治療後、平均50%が再発 寛解率は地域差が大きい(米国20〜30%、欧州で5〜6年治療後50〜60%、日本で2年後68%)。中止時に受容体抗体が高ければ再発80〜100%、低ければ20〜30%1
再発したら 2回目の薬物療法の成功率は25%未満なので、か手術 か手術を考慮。寛解しない人が望めば長期低用量も選択肢1

💡 18か月を超えて続けても成人の寛解率は上がらず、初期量を60〜80 mg/日に上げても寛解率は変わらず副作用だけが増える1。は「自己免疫を治す薬」ではなく、自然に寛解するまでの間ホルモン合成を止めておく薬だと理解すると、期間と中止判定に受容体抗体を使う理由が分かる。

甲状腺ホルモンの合成と薬の作用点

flowchart TD
  A["血中の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iodide'>ヨウ化物</span>"] -->|"ナトリウム・ヨウ素<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cotransporter'>共輸送体</span>で取り込み<br>←<span class='jp-term jp-term-diagram' title='perchlorate'>過塩素酸</span>カリウムが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive inhibition'>競合阻害</span>"| B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid follicular cell'>甲状腺濾胞細胞</span>"]
  B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid peroxidase, TPO'>甲状腺ペルオキシダーゼ</span>で酸化・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='organification'>有機化</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='condensation'>縮合</span><br>←<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thionamide (antithyroid drugs)'>チオナミド</span>系(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thiamazole'>チアマゾール</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='propylthiouracil'>PTU</span>)が阻害"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroglobulin, Tg'>サイログロブリン</span>上のT4・T3"]
  C -->|"放出<br>←大量のヨウ素・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lithium'>リチウム</span>が抑制"| D["血中へ:大部分がT4、一部がT3"]
  D -->|"末梢で5′-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deiodination'>脱ヨウ素化</span>によりT4→T3<br>←<span class='jp-term jp-term-diagram' title='propylthiouracil'>PTU</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='propranolol'>プロプラノロール</span>・グルココルチコイドが抑制"| E["活性型T3"]
  E --> F["標的臓器の作用"]
  F -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sympathetic symptoms'>交感神経症状</span>(頻脈・振戦)<br>←β遮断薬が遮断"| G["症状"]
  D -->|"胆汁へ排泄され<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Enterohepatic circulation'>腸肝循環</span><br>←<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cholestyramine'>コレスチラミン</span>が腸で吸着"| H["便中へ"]

💡 系は「作る」を止めるだけで、「すでに貯まっている分」は止めない。 甲状腺には数週分のホルモンが貯蔵されているので、効果が出るまで数週かかる。急ぐ場面()では、放出を止めるヨウ素、T4→T3変換を止める・ステロイド、症状を止めるβ遮断薬を重ねる。

チオナミド系:チアマゾールとプロピルチオウラシル

項目 :米国名 :略称
位置づけ 第一選択 第二選択:へのアレルギー、妊娠、授乳、重い
従来の用量 20〜60 mg/日を10日間、その後5〜30 mg/日を12〜24か月 150〜300 mg/日を10日間、その後50〜200 mg/日を12〜24か月
現行の目安 初期10〜30 mg/日、維持5〜10 mg/日。がの1〜1.5倍なら5〜10 mg、1.5〜2倍なら10〜20 mg、2〜3倍なら30〜40 mg。1日1回1 50〜150 mgを1日3回で開始、維持50 mgを1日2〜3回(作用が短い)1
日本の添付文書 初期30 mg/日(重症40〜60 mg)、1〜4週ごとにし維持5〜10 mg/日2 —
追加の作用 なし 末梢でのT4→T3変換も抑える
主な欠点 妊娠初期の催奇形性 (成人で約1万人に1人の重症肝不全、の)、陽性血管炎1

も選択肢で、体内でに変わる(10 mgが約6 mgのに相当)1。

⭐ を第一選択にする理由:より速く甲状腺機能が正常化し、1日1回で済み、副作用のプロファイルが良い。現行はの例外を、、、に軽い副作用があって・手術を拒む患者の3つに絞っている1。

投与と監視の要点:従来と現行

論点 従来の整理 現行
開始の仕方 高い(飽和させる)用量で始め、効果を見て 重症度(の高さ)に合わせた量で始める。多すぎると医原性の機能低下、少なすぎると正常化しない1
甲状腺機能の監視 高感度を4〜8週ごと、、必要なら 開始2〜6週後にと。は数か月抑制されたままのことがあり初期の指標に向かない。正常化したら30〜50%減量し4〜6週後に再検、以後2〜3か月ごと1
甲状腺腫の増大 薬の甲状腺腫誘発作用(過形成)は併用で打ち消せる 高用量の+(ブロック・アンド・リプレイス)は副作用が多く、一般に推奨しない1
白血球の監視 10 mg/日超・ 50 mg/日超では2週ごとに は治療前のを含む血算と肝機能、発熱・のときのを求め、定期監視は賛否を決めない1。日本の添付文書は用量によらず少なくとも投与開始後2か月間は原則2週に1回のをとして求める2

💡 甲状腺腫が大きくなるのは、ホルモン合成が止まりすぎてが上がり、そのが甲状腺を刺激するためである。併用で補うより、を減らしてを避けるのが現在の考え方になる。

⚠️ は、治療前の好中球が1000/mm³未満またはがの5倍を超えるなら、の開始そのものを再考すべきとしている1。では治療前から白血球が少なめの人やが高い人が多いので、治療前値を記録しておかないと、後で薬の副作用かどうかを判定できない。

重大な副作用

副作用 要点
・ まれだが非常に短期間で起こる。最初は2週ごとに確認。まれに他の血球減少も。頻度0.2〜0.5%で、の前1週以内のが正常だった例が21%あった1
肝毒性(肝炎・) で多く、の肝炎を起こす。のは2.7%、は0.4%。大半は治療開始後120日以内1
血管炎 に多い。陽性の(関連血管炎)で、他の副作用と違い投与期間が長いほど増える1
近年のデータでリスクの有意な上昇が示された
、による低血糖(でまれに報告)1
軽いアレルギー ・発疹(6%、 3%)

⚠️ は採血の合間に突然起こる。 だから定期採血より「発熱・・が出たら服薬をやめてすぐ受診しを測る」という事前指導のほうが確実な安全策になる。一方の薬でなど重い副作用を起こしたら、があるので他方の系にも切り替えない(生命を脅かすでは再考しうる)1。治療の一般論は薬剤性を参照。

抗甲状腺薬の相互作用

相手 内容
血液・肝臓を傷める薬 毒性が重なるので慎重に併用する
ワルファリンなどの抗凝固薬 抗ビタミンK作用や凝固因子の分解の遅れで効果を強める、と説明されることがある。添付文書の説明は逆向きで、甲状腺機能亢進中は凝固因子の代謝亢進でワルファリンが効きすぎ、で機能が正常化すると効果が弱まる2。いずれにせよ治療開始時・中止時・機能の変化時にを頻回に測る
ヨウ素・ の効果を弱めうる(ヨウ素が多い甲状腺ではホルモン貯蔵が増え、系が効きにくい)
ジゴキシン 機能が正常化すると血中濃度が上がる2

その他の抗甲状腺薬(特定の適応に限る第三選択)

薬 使う場面 機序と注意
大量の ホルモン放出を速やかに減らす。効果は一過性(数週で)なので単独の長期治療には向かない
カリウム 誘発の重い甲状腺機能亢進症に最長1〜2週 ヨウ素の取り込みを減らし、ヨウ素過剰で効きにくくなった系の効果を助ける。毒性が強い(、)。は1型のをで治療し、まれにカリウム250 mgを1日4回加えるとする1
炭酸 現在はごくまれ。の前(ヨウ素を甲状腺に留めて効果を高める)、系が使えないときの甲状腺摘出前や ホルモン放出を減らす。の根拠は乏しく、も広くは用いられず推奨する根拠が不十分とする1

甲状腺を直接止めない補助薬

群 例 役割
β遮断薬 、 ・頻脈・振戦を抑える。5′-脱ヨウ素酵素を阻害してT4→T3変換も減らす(とくに)
グルココルチコイド 、 T4→T3変換の抑制、相対的副腎不全への対処
鎮静薬 、 不安・不眠・の緩和

はβ遮断薬を症候性のの全例、とくに高齢者、安静時心拍90/分超、心血管疾患合併例に推奨する1。⚠️ 通常量ではが十分でないので、では原則として使わない1。

甲状腺クリーゼの治療

診断は臨床的に行い、などで補う。治療は合成・放出・末梢変換・末梢作用・誘因のすべてを同時に叩く。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid storm'>甲状腺クリーゼ</span><br>(高熱・頻脈・意識障害・心不全・消化器症状)"] --> B["β遮断薬<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='propranolol'>プロプラノロール</span>60〜80 mgを4時間ごと<br>(心不全では侵襲的監視、代替は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='esmolol'>エスモロール</span>持続静注)"]
  A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thionamide (antithyroid drugs)'>チオナミド</span>系で新たな合成を止める<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='propylthiouracil'>PTU</span> 500〜1000 mg負荷→250 mgを4時間ごと<br>(または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thiamazole'>チアマゾール</span>60〜80 mg/日)"]
  C --> D["1時間以上あけてから大量ヨウ素<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='potassium iodide'>ヨウ化カリウム</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='saturated solution'>飽和溶液</span>5滴(250 mg)を6時間ごと<br>→ホルモン放出を止める"]
  A --> E["グルココルチコイド<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydrocortisone'>ヒドロコルチゾン</span>300 mg静注→100 mgを8時間ごと<br>→T4→T3変換抑制・相対的副腎不全対策"]
  A --> F["全身管理と誘因の治療<br>(感染・手術・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antithyroid drug'>抗甲状腺薬</span>の急な中断)"]
  B --> G["重症で心症状がβ遮断薬で制御できない"]
  G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cholestyramine'>コレスチラミン</span>(適応外)<br>腸へ排泄されたホルモンを吸着し再吸収を減らす"]
  D --> I["反応が乏しければ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='therapeutic plasma exchange, TPE'>血漿交換</span>・緊急手術"]

用量は現行の表による1。

  • ⭐ 重症ではを優先する:T4→T3変換も抑えるためで、投与24時間でT3がでは約45%、では10〜15%下がったという比較がある1。
  • ⚠️ ヨウ素は系の後に入れる。 先に入れると、そのヨウ素が新たなホルモン合成の材料になってしまう。はの1時間後まで開始しないよう注記している1。
  • グルココルチコイドは、代謝亢進で相対的に不足したを補う意味もある。

潜在性甲状腺機能亢進症の治療

心血管イベント(心房細動・心不全・冠動脈疾患死)と骨折のリスクが上がるため、条件を満たせば治療する。

従来の整理 現行( 2016年版)
0.1 mU/L未満 65歳未満でも、とくに危険因子があれば治療 65歳以上、心疾患危険因子・心疾患・骨粗鬆症、エストロゲンもも使っていない閉経後女性、症状のある人で治療を推奨。これらのない65歳未満は治療を考慮1
0.1〜0.39 mU/L:基準下限未満かつ0.1以上 65歳を超えていれば治療 65歳以上、心疾患・骨粗鬆症・症状のある人で治療を考慮。無症状でそれらのない65歳未満は経過観察でよい1

💡 「推奨」と「考慮」の差は、の抑制の深さに比例してリスクが上がるという疫学による。完全に抑制されたgrade 2と、わずかに低いgrade 1を同じには扱わない。

妊娠・授乳中

論点 従来の整理 現行
薬の選択 妊娠中は。は胎児異常(甲状腺腫、重い例では、ごくまれに)が多いため。が蛋白により強く結合する点も挙げられるが、その意義は疑わしい 妊娠16週まではを推奨。服用中の妊婦はできるだけ早くへ切り替える(約1:20で換算、5 mg/日= 50 mgを1日2回)。16週以降もが必要なとき、を続けるかへ替えるかは推奨なし3
胎児への影響 の胎児異常 妊娠初期の曝露で2〜4%に(、、、など)。の異常は2〜3%でより軽い1。胎児の甲状腺機能抑制・甲状腺腫はどちらの薬でもにより起こりうる2
授乳 を選ぶ は20 mg/日、 450 mg/日まで使えるとし、最小を勧める3。日本のの添付文書は授乳を避けさせるとしている2

💡 「妊娠中は」が「妊娠初期は、その後はも可」に変わったのは、のが母体にとってできないからである。(第1三半期)だけ胎児を優先してを使い、その後は母体の肝臓を優先する、という天秤の考え方になる。

甲状腺機能低下症の治療

レボチロキシンの適応

(T4)はの甲状腺機能低下症の補充療法であり、では適応を選んで使う。

での適応 従来の整理 現行
妊娠 妊娠第1〜の 2.5〜3.5を目安に補充 第1三半期2.5・第2〜3三半期3.0 mU/Lという上限は初期の米欧研究による旧基準で、施設のが無ければ妊娠初期の上限は約4.0 mU/L。陽性でが妊娠のを超えれば補充を推奨、陰性なら 10 mU/L超で推奨。陽性で 2.5超〜なら考慮3
10超 補充 欧州甲状腺学会2013年版も、65〜70歳未満では 10 mU/L超なら症状が無くても補充を推奨する
陽性( 10未満でも) 化の確率が高いので補充 抗体陽性は化のリスク因子であり、の値・症状とあわせて補充を判断する材料にする
65歳未満 とくに症状やがあれば補充。確実な転帰の改善が示されたのは65歳未満だけ 欧州甲状腺学会2013年版は、 10未満で症状のある若年者に試験的補充を考え、が基準内に入って3〜4か月後に症状が改善しなければ中止するとし、80〜85歳超で 10以下なら治療を避けて経過観察とする

投与の要点:従来と現行

論点 従来の整理 現行
開始量と増量 少量(25〜50 µg)で始め、2〜4週ごとに増量。は通常100〜200 µg 健康な若年〜中年は体重あたり約1.6 µg/kg/日の全量で始めてよい。既知の冠動脈疾患ではつねに12.5〜25 µg/日から4。日本の添付文書は開始25〜100 µg、維持100〜400 µg5
高齢者・冠動脈疾患 とくに慎重に、低用量からゆっくり長い間隔で増量 同じ。狭心症・などでは少量から長期間かけて増量し、は最小必要量5
服用方法 1日量を毎日同じ時刻に、十分な量の水(水だけ)で、朝食の少なくとも30分前の空腹時に(食事は吸収を遅らせる) 朝食の60分前、または就寝時(夕食から3時間以上後)に一定して服用4
最初の測定 開始4週後 開始・変更の4〜6週後(定常状態に達するまで)。12.5〜25 µgずつ調整し、目標到達後は4〜6か月後、以後年1回4
製剤 同じ製品を続ける(吸収が違い、切り替えでが変わる) 製剤を変えたら定常状態でを再評価する4
妊娠・授乳 中断せずに続け、妊娠中は通常増量 妊娠が分かったら自分で20〜30%増量(例:週に2錠追加)し、すぐ受診3

💡 の半減期は約1週間なので、用量を変えてから血中濃度が落ち着くまで4〜6週かかる。それより早くを測ると、まだ動いている途中の値で判断してしまう。

⚠️ 補充しすぎの副作用:・頻脈、まれに不整脈(心房細動)や狭心症、長期では骨粗鬆症(とくに閉経後女性)、そして医原性の。を内に保つのは、症状のためだけでなく心臓と骨を守るためである。

禁忌と重要な注意

禁忌・注意 理由
未治療の 代謝が低い(T4が低い)状態なら副腎不全に耐えられるが、ホルモンを上げると重い症状()を誘発する。の補充を先に十分に行ってからを始める5
未治療の(治療を要する副腎不全を伴う場合) 同じ理由。中枢性の機能低下では副腎系の評価を先に行う
、急性心筋炎 の上昇で心臓の負担が増す。日本の添付文書の禁忌はな心筋梗塞5

💡 はコルチゾールの代謝を速め、補充によって副腎不全が顕在化した症例が報告されている4。「副腎を先に、甲状腺を後に」は、の補充の順番としても覚えておく。

レボチロキシンのその他の適応

適応 内容
良性甲状腺腫 甲状腺機能正常の良性甲状腺腫の術後・治療後に、再発・増大の予防
甲状腺機能亢進症 機能が正常化した後にと併用する(前述のとおり現在は一般に推奨されない)
甲状腺悪性腫瘍 とくに甲状腺摘出後の、を抑えると補充療法
診断 甲状腺抑制試験(外から甲状腺ホルモンを与えてもヨウ素摂取が抑えられなければを示す。も参照)

レボチロキシンの効果・毒性を変える薬

薬 機序と対応
、 ヨウ素過剰での危険。は甲状腺ホルモン値を上げることも下げることもある5
(イオンの、) 腸でに結合して吸収を減らす。服用の4〜5時間後に飲む
、アルミニウム・鉄・カルシウム含有薬、 胃酸の低下と腸管内での結合で吸収が落ちる。を少なくとも2時間前に飲む。は・・を吸収を変える薬として挙げ、服用時間を離すよう勧める4
、グルココルチコイド、β遮断薬(とくに) T4→T3変換を抑え、血清T3を下げうる
、薬、、フェニトインなど の結合部位を奪い合い、遊離T4を一時的に上げる
エストロゲン含有薬(経口避妊薬、閉経後のホルモン補充製剤) 結合グロブリンを増やして遊離分を減らし、必要量を増やす。閉経後女性でエストロゲン開始12週後にが平均0.9から約3.2 mIU/Lへ上がった4。を始めたらを確認する
(リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトインなど) 肝での代謝(抱合)を促進し、必要量を増やす4
(など) を促進する。甲状腺摘出後の患者で、・・などにより必要量が大きく増え、3型脱ヨウ素酵素の活性化が機序に挙げられる4

甲状腺機能低下症を起こしやすい薬

群 例
ホルモン合成・放出の阻害薬 系、、塩
ヨウ素とヨウ素含有薬 、造影剤、、。と造影剤は低下症も亢進症も起こすのでを監視する
吸収阻害(補充中の人で問題になる) 、、アルミニウム・カルシウム・鉄、、大豆製剤
の抑制 、
免疫療法・腫瘍治療による 、2製剤のなど
分子標的薬・ (、)、(、)
の消失促進

💡 は二重に効く。下垂体の分泌を抑えて中枢性の機能低下を起こし、さらにの消失を速めて補充を効きにくくする。中枢性なのでは下がり、だけ見ていると見逃す。

レボチロキシンが効果を変える薬

薬 従来の整理 添付文書での記載
血糖を下げる効果が弱まりうる の条件が変わるので、血糖値を見て両剤の用量を調節する5
抗凝血薬 抗凝固作用が弱まりうる 作用を増強することがあり、を測って用量を調節する(甲状腺ホルモンがのを促進する)5

⚠️ 薬については向きが逆に書かれることがあるので、機序で覚える。甲状腺ホルモンが増えると凝固因子の分解が速くなり、同じワルファリン量でも効きすぎる。開始・増量時にはが上がる方向に注意する(で亢進症が治るときはその逆)。

T3製剤のリオチロニン

項目 内容
剤形 、静注
適応 はの治療に限る。「の治療中の非常に重い甲状腺機能亢進症」を適応に並べる整理もあるが、T3を補う理屈とは合わないので、機能亢進症の治療薬として覚えない
利点 より作用が速く強い
欠点 毒性(頻脈・不整脈・狭心症)のリスクが高く、が短い
長期補充 長期の補充療法には

の現行の扱いは次のとおりである4。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myxedema coma'>粘液水腫性昏睡</span><br>(意識障害・低体温・低換気・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyponatremia'>低ナトリウム血症</span>)"] --> B["ストレス量のグルココルチコイドを静注<br>副腎不全が否定されるまで・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='levothyroxine, LT4'>レボチロキシン</span>より先に"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='levothyroxine, LT4'>レボチロキシン</span>静注<br>200〜400 µgを負荷<br>(小柄・高齢・冠動脈疾患や不整脈では減量)"]
  C --> D["以後1.6 µg/kgの75%を静注で毎日<br>改善したら経口へ"]
  C --> E["必要なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liothyronine, T3'>リオチロニン</span>静注を併用<br>5〜20 µg負荷→2.5〜10 µgを8時間ごと<br>高用量は死亡と関連するので避ける"]
  D --> F["意識・心機能・呼吸機能の改善を目標に<br>甲状腺ホルモンを1〜2日ごとに測定"]
  E --> F

💡 重症の機能低下ではT4→T3変換が落ちているので、T3を足す理屈がある。しかしT3は作用が急で強く、血中T3が高いほど死亡が多いという関連があるため、も併用は「してもよい」にとどめている4。

まとめ

  • 甲状腺機能の評価はとで行う。はだけが外れた状態。中枢性(下垂体・視床下部)ではが当てにならずで判断する。
  • のはが第一選択。はと、の軽い副作用例に限る。約12〜18か月続け、と受容体抗体が正常なら中止し、再発すればか手術。
  • の最重要副作用は(0.2〜0.5%、突然)との肝障害。治療前に血算・肝機能、発熱・で直ちに。日本の添付文書は開始後2か月間の2週ごとの採血を求める。重い副作用後は他方の薬にも切り替えない。
  • :β遮断薬、T4→T3変換も抑える、その1時間後以降に大量ヨウ素、、必要なら。
  • 亢進症は 0.1未満なら65歳以上や心疾患・骨粗鬆症で治療を推奨、0.1〜0.39なら65歳以上などで考慮。
  • は朝食60分前か就寝時に一定して服用し、4〜6週後にで調整。冠動脈疾患・高齢者は12.5〜25 µgから。妊娠判明時は20〜30%増量。
  • 副腎不全は先に補充してから。は禁忌。補充しすぎは心房細動・骨粗鬆症を招く。
  • 吸収を妨げる・鉄・カルシウム・とは時間を離し、エストロゲン・・では必要量が増える。はワルファリンの作用を強める。
  • T3製剤のはに限って慎重に使い、長期補充は。

出典

  1. 1.2016 American Thyroid Association Guidelines for Diagnosis and Management of Hyperthyroidism and Other Causes of Thyrotoxicosis(American Thyroid Association・2016)誌上版の全文PDF(Wayback保存版)で次を確認した。推奨2はβ遮断薬を症候性の甲状腺中毒症の全例(とくに高齢者、安静時心拍90/分超、心血管疾患合併)に推奨する。推奨13はGraves病で抗甲状腺薬を選ぶほぼ全例にメチマゾール(MMI)を用い、例外を妊娠第1三半期(PTUを優先)・甲状腺クリーゼ・MMIに軽い副作用があり放射性ヨウ素や手術を拒む患者とする。MMIの初期量は10〜30 mg/日で維持量は通常5〜10 mg/日、FT4が基準上限の1〜1.5倍なら5〜10 mg、1.5〜2倍なら10〜20 mg、2〜3倍なら30〜40 mgが目安で、カルビマゾール10 mgは約6 mgのMMIに相当し、PTUは50〜150 mgを1日3回で始め維持量は50 mgを1日2〜3回とする。ブロック・アンド・リプレイス療法は副作用が多く一般に推奨しない。推奨15は治療前の白血球分画を含む血算と肝機能を示唆し、基礎の好中球1000/mm3未満またはトランスアミナーゼ基準上限5倍超なら開始を再考する。治療開始2〜6週後にFT4と総T3を測り、TSHは数か月抑制されたままのことがあり初期の指標に向かない。推奨16は発熱時・咽頭炎発症時の白血球分画測定(強い推奨)、推奨17は定期的な白血球監視について推奨なし(無顆粒球症は0.2〜0.5%で急に起こる)とする。重篤な副作用を起こした患者に他方の抗甲状腺薬を使うことは交差反応のため禁忌とする。PTUはANCA陽性血管炎を起こし、MMIではまれにインスリン自己免疫症候群がある。推奨22はMMIを約12〜18か月続け、TSHとTRAbが正常なら中止し、推奨23は再発時に放射性ヨウ素か手術を考慮し長期低用量MMIも選択肢とする。寛解率は米国20〜30%、欧州で5〜6年治療後50〜60%、日本で2年後68%で、治療終了時にTRAbが高ければ再発率80〜100%、低ければ20〜30%。甲状腺クリーゼではPTUをMMIより優先し(24時間でT3がPTUで約45%、MMIで10〜15%低下)、Table 7はPTU 500〜1000 mg負荷後250 mgを4時間ごと、MMI 60〜80 mg/日、プロプラノロール60〜80 mgを4時間ごと、ヨウ化カリウム飽和溶液5滴(250 mg)を6時間ごとで抗甲状腺薬投与の1時間後以降に開始、ヒドロコルチゾン300 mg静注負荷後100 mgを8時間ごととする。推奨73〜76は、TSHが持続的に0.1 mU/L未満なら65歳以上・心疾患危険因子や心疾患・骨粗鬆症・エストロゲンやビスホスホネート非使用の閉経後女性・症状のある人で治療を推奨し、該当しない65歳未満では考慮にとどめ、TSHが基準下限未満だが0.1以上なら65歳以上・心疾患・骨粗鬆症・症状のある人で考慮し、それ以外の65歳未満は経過観察でよいとする。妊娠第1三半期に曝露したMMIで2〜4%に先天異常(頭皮欠損、後鼻孔閉鎖、食道閉鎖、臍帯ヘルニアなど)、PTUは成人で約1万人に1人の重症肝不全とFDAの黒枠警告がある。1型のアミオダロン誘発性甲状腺中毒症はMMIで治療し、まれに過塩素酸カリウム(250 mgを1日4回、米国では入手不可)を加える。リチウム前処置で放射性ヨウ素の必要量が減るとの報告は古くからあるが、広く用いられず推奨する根拠は不十分とする。閲覧 2026-09-26
  2. 2.メルカゾール錠2.5mg/メルカゾール錠5mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(中外製薬、2025年6月改訂第3版)・2025)警告として、重篤な無顆粒球症が主に投与開始後2か月以内に起こり死亡例もあるため、少なくとも投与開始後2か月間は原則として2週に1回、それ以降も定期的に白血球分画を含む血液検査を行い、患者に咽頭痛・発熱などで速やかに連絡するよう指導すること。用法は成人の初期量1日30 mg(重症では40〜60 mg)、1〜4週ごとに漸減して維持量1日5〜10 mg。妊娠中の投与で新生児に頭皮欠損症・頭蓋骨欠損症、臍帯ヘルニア、臍腸管遺残、気管食道瘻を伴う食道閉鎖症、後鼻孔閉鎖症などの報告があり、胎児に甲状腺機能抑制・甲状腺腫を起こしうること。授乳婦には授乳を避けさせること(母乳中に血清とほぼ同等に移行)。ワルファリンとの併用注意で、甲状腺機能が亢進すると凝固因子の合成・代謝の亢進で相対的にクマリン系抗凝血薬の効果が増強し、本剤で機能が正常化すると増強されていた効果が減弱すること、ジゴキシンは正常化で血中濃度が上がることを確認した。閲覧 2026-09-26
  3. 3.2017 Guidelines of the American Thyroid Association for the Diagnosis and Management of Thyroid Disease During Pregnancy and the Postpartum(American Thyroid Association(Alexander et al.)・2017)誌上版の全文PDF(Wayback保存版)で次を確認した。初期の米欧の研究から妊娠第1三半期のTSH上限2.5 mU/L、第2・第3三半期3.0 mU/Lが推奨されていたが、その後の研究で上限の低下はわずかと示され、施設の基準範囲が無ければ妊娠初期(7〜12週以降)の上限を4.0 mU/Lとする。推奨29は、抗TPO抗体陽性で妊娠特異的基準範囲を超えるTSH、抗TPO抗体陰性でTSH 10.0 mU/L超にレボチロキシンを推奨し、抗TPO抗体陽性でTSH 2.5 mU/L超かつ基準上限以下では考慮してよいとする。推奨36は、レボチロキシン治療中の妊娠判明時に自ら用量を20〜30%増やす(例えば週2錠追加)よう求める(強い推奨・エビデンスの質は高)。推奨47は妊娠16週まではPTUを推奨し、MMIからPTUへは約1:20で換算し、16週以降に抗甲状腺薬が必要な場合に切り替えるかどうかは推奨できないとする。推奨79は授乳中にMMIは1日20 mg、PTUは1日450 mgまで投与できるとする。閲覧 2026-09-26
  4. 4.Guidelines for the treatment of hypothyroidism: prepared by the American Thyroid Association task force on thyroid hormone replacement(American Thyroid Association(Jonklaas et al.)・2014)誌上版の全文PDF(Wayback保存版)で次を確認した。完全補充量は体重あたり約1.6 µg/kg/日で、健康な若年〜中年では最初から全量を投与してよいが、既知の冠動脈疾患ではつねに12.5〜25 µg/日の低用量で始め症状とTSHを見て漸増する。用量調整は開始4〜6週後に行い(定常状態に達するため)、12.5〜25 µg/日ずつ増減してTSHを4〜6週後に再検し、目標到達後は4〜6か月後、以後年1回測る。レボチロキシンは朝食の60分前か就寝時(夕食から3時間以上後)に一定して服用し、製剤を変えたら定常状態でTSHを再評価する。吸収を変える薬として炭酸カルシウム・プロトンポンプ阻害薬・胆汁酸吸着薬(コレスチラミン・コレセベラム)を挙げる。フェノバルビタール・フェニトイン・カルバマゼピン・リファンピシン・セルトラリン・(可能性として)イマチニブが代謝を促進し、イマチニブ・モテサニブ・ソラフェニブ・スニチニブ・バンデタニブで必要量が大きく増え、その機序に3型脱ヨウ素酵素の活性化が挙げられる。エストロゲンはTBGを増やし、閉経後女性でエストロゲン開始12週後にTSHが平均0.9から約3.2 mIU/Lへ上昇した。甲状腺ホルモン補充はコルチゾール代謝を速めうること、補充で副腎不全が顕在化した症例報告がある。粘液水腫性昏睡では、レボチロキシンを静注で200〜400 µg負荷し(小柄・高齢・冠動脈疾患や不整脈の既往では少なく)、以後1.6 µg/kgの75%を静注し、ストレス量のグルココルチコイドをレボチロキシンに先行して静注し(強い推奨)、リオチロニン静注を5〜20 µg負荷・2.5〜10 µgを8時間ごとに併用してよいが高用量は死亡と関連するので避ける(弱い推奨)。閲覧 2026-09-26
  5. 5.チラーヂンS錠12.5μg/25μg/50μg/75μg/100μg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(あすか製薬、2024年6月改訂第2版)・2024)禁忌が新鮮な心筋梗塞であること、成人は通常25〜400 µgを1日1回、開始量25〜100 µg・維持量100〜400 µgが多いこと、重篤な心血管障害では少量から長期間かけて増量すること、副腎皮質機能不全・下垂体機能不全では副腎皮質ホルモンの補充を十分にはかってから投与すること(副腎クリーゼを誘発しうる)。併用注意として、クマリン系抗凝血薬の作用を増強すること(甲状腺ホルモンがビタミンK依存性凝固因子の異化を促進)、血糖降下薬で血糖コントロールの条件が変わること、コレスチラミン・鉄剤・アルミニウム含有制酸剤・炭酸カルシウム・セベラマーなどとの同時投与で吸収が遅延・減少すること、フェニトイン・カルバマゼピン・フェノバルビタールが異化を促進して血中濃度を下げること、アミオダロンが甲状腺ホルモン値を上昇または低下させうること、経口エストロゲンがサイロキシン結合グロブリンを増やして甲状腺ホルモン値を下げうることを確認した。閲覧 2026-09-26