薬理学

薬理学 · Core66

薬剤性有害反応:便秘・下痢・嘔吐

Core66: Drug-induced adverse reaction: constipation, diarrhea, vomiting

前提:病態
Core8:薬物有害反応
前提:正常
消化管における調節:腸管神経系と消化管ホルモン消化管の運動機能とその調節
応用トピック
オピオイド神経変性疾患治療薬(錐体外路系・脳代謝賦活薬)ムスカリン受容体遮断薬制吐薬・消化管運動促進薬便秘薬(下剤)・止瀉薬・消化促進薬・肝胆道系薬理マクロライド系・プレウロムチリン系
疾患
慢性巨大結腸症
症状
下痢便秘嘔吐

🧠 全体像:薬剤性の消化管は、多くが4つの経路のどれかに帰着する——①性の変化、②、③、④(chemoreceptor trigger zone、CTZ)の刺激。⭐ この4つに当てはめると、症状から薬を逆引きできる:運動性を落とせば便秘(オピオイド・)、運動性を上げるか粘膜を壊せば下痢(マクロライド系・)、なら下痢と徐脈が同時に出て、CTZを刺激すれば嘔吐(・・オピオイド)。⚠️ 同じ薬が複数の経路を持つ——オピオイドは便秘も嘔吐も起こし、クリンダマイシンは下痢と嘔吐の両方を起こす。⭐ 例外的に機序が違うものを覚えておくと強い:オルメサルタンのスプルー様腸症(運動性ではなく吸収不良)と、抗菌薬関連下痢の一部を占める(菌叢破壊)。

4つの機序

flowchart TD
    A["薬剤"] --> B["①運動性の変化"]
    A --> C["②<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucosal injury'>粘膜障害</span>"]
    A --> D["③<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cholinergic effects'>コリン作動性作用</span>"]
    A --> E["④<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chemoreceptor trigger zone (CTZ)'>化学受容器引金帯</span>の刺激"]
    B --> F["低下 → 便秘<br>(オピオイド・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anticholinergics'>抗コリン薬</span>・Ca拮抗薬)"]
    B --> G["亢進 → 下痢<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythromycin'>エリスロマイシン</span>のモチリン様作用)"]
    C --> H["下痢・吸収不良<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytotoxic drugs'>細胞毒性薬</span>・オルメサルタン)"]
    C --> I["嘔吐<br>(粘膜からの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serotonin release'>セロトニン遊離</span>)"]
    D --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intestinal motility'>腸管運動</span>と分泌の亢進 → 下痢"]
    E --> K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vomiting center'>嘔吐中枢</span>の活性化 → 悪心・嘔吐"]
    A --> L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gut microbiota'>腸内細菌叢</span>の破壊"]
    L --> M["抗菌薬関連下痢<br>一部はC. difficile感染症"]

💡 嘔吐の起点は1つではない。 は、①底のにあるを血中から直接刺激する経路と、②のからセロトニンを遊離させ、のを刺激する経路の両方を使う。拮抗薬が急性期(0〜24時間)によく効き、NK1受容体拮抗薬(の受容体を遮断する)がに効くのは、この2経路の時間差に対応している。

便秘

主な機序

  • (の、遮断、平滑筋へのCa流入阻害)
  • (など。胆汁酸は結腸で分泌と運動を促すので、結合させると便秘に傾く)
  • その他の

便秘を起こす薬

機序/群 例
オピオイド モルヒネ、、、、、
Ca拮抗薬 、
、
、、抗精神病薬、第一世代H1遮断薬
、
アロセトロン
その他 ソマトスタチン、、鉄、アルミニウム水酸化物
受容体作動薬 、、

💡 とは「便秘の副作用」ではなく「便秘を狙った薬」である。 どちらも末梢の作動薬で、として使う。⚠️ ただしの高用量乱用は心臓ナトリウム・遮断によるを起こすので、「末梢性だから安全」と覚えない。

オピオイド誘発性便秘(OIC)の治療

⭐ (opioid-induced constipation、OIC)は耐性ができない。 鎮痛や鎮静には耐性がつくが、腸管の作用は投与期間を通じて残るため、予防的な下剤をあらかじめ組み込む。

段階 治療
第一選択 の1
反応不十分なら (末梢作用型拮抗薬、peripherally acting μ-opioid receptor antagonist)単剤——(皮下注、最初に承認された)、ナロキセゴル、1
単剤も無効なら 腸管分泌促進薬の追加を検討し、便秘の他の原因も検索する1

💡 が鎮痛を弱めないのは、血液脳関門を通過しにくいからである。腸管のだけを遮断する。

⚠️ のクラス表示の禁忌は「既知または疑われる消化管閉塞、および閉塞を繰り返す危険が高い患者」である1。穿孔の危険が高いこと自体は禁忌ではない——・併用薬(や全身ステロイドなど)・最近の消化管処置による穿孔の危険と、排便を得る利益を比較して患者を選ぶ、という書き方になっている。治療の有効性はできるだけ早く、理想的には開始から1週間以内に評価する1。

💡 効果の大きさ。 の系統的レビュー・(20研究22RCT・7,761例)では、回数が平均1.10回(95%CI 0.74〜1.46)増え、レスポンダー割合のが1.48(95%CI 1.28〜1.70)へ改善した2。⚠️ 同じ解析の安全性側も見る——重篤な有害事象はと差が無かった(0.88、95%CI 0.74〜1.05)が、重篤でない有害事象は治療群のほうが多かった(1.22、95%CI 1.08〜1.38)2。

💡 受容体作動薬は消化器症状の頻度が高い。 糖尿病のない・肥満者を対象とした(39論文、33,354人)で、便秘のは2.10(95%CI 1.67〜2.63)・2.24(95%CI 1.74〜2.87)・3.36(95%CI 1.70〜6.63)だった3。⚠️ この数値は糖尿病のない集団の値であり、糖尿病患者へそのまま当てはめられない。

下痢

下痢を起こす薬

💡 機序は1つではない。 は作動作用で運動性を上げる。は浸透圧性。はSN-38による(遅発性下痢)と、投与中の症候群(性下痢)というの違う2つを持つ。

⚠️ 抗菌薬関連下痢とC. difficile感染症

抗菌薬による下痢の多くは、菌叢破壊による炭水化物の発酵不全や胆汁酸代謝の変化で説明される浸透圧性・機能性の下痢で、抗菌薬をやめれば治る。しかしその一部はで、から中毒性巨大結腸・穿孔まで進みうる。

⭐ 発熱・・強い腹痛を伴う水様性の抗菌薬関連下痢は、で止める前にC. difficileを疑う。 危険抗菌薬の順位づけ、診断、治療(国によって第一選択が違うメトロニダゾール・バンコマイシン・、多回再発での、再発抑制のとしての)はCore55:薬剤性:にまとめてある。⚠️ は日本では販売中止となり、2024年4月以降は保険請求できない4。

⚠️ オルメサルタンのスプルー様腸症

通常の運動性下痢とは機序が違う。 メイヨークリニックの症例集積(22例、女性13例、年齢中央値69.5歳)では、オルメサルタン服用中に原因不明のと体重減少(中央値18 kg、範囲2.5〜57 kg)が生じ、14例(64%)が入院を要した5。

所見 内容
血清学 抗体は全例陰性
は無効
15例にと症、7例に著明な上皮下(膠原性スプルー)
併存病変 7例に膠原性または、5例に
中止後 全22例で臨床的改善(平均体重増加12.2 kg)、追跡生検を行った18例全例で組織学的回復または改善

⭐ セリアック病に見えてセリアック病でない——抗体陰性・無効がそろったらを疑う、という鑑別の型として覚える。

⚠️ この研究から頻度や因果の強さは推定できない。 組入れ条件そのものが「オルメサルタン中止後に臨床的改善があること」だからである5。また、他のへ機序をそのまま一般化することもできない。

💡 受容体作動薬による下痢もまれではない。 同じで、下痢のは1.77(95%CI 1.47〜2.14)・1.82(95%CI 1.48〜2.25)・3.35(95%CI 1.92〜5.85)であった。⚠️ エキセナチド・カグリリンチド・オルフォルグリプロンは下痢の有意な上昇を示さなかった3。

嘔吐

嘔吐を起こす薬

💡 が吐かせるのは、のD2受容体を刺激するからである。 だからにD2遮断薬(、)が使える。⚠️ 血液脳関門を越えるはを起こし、越えにくいはQT延長の問題を持つ(Core64:薬剤性:QT延長)。

⭐ 受容体作動薬の悪心・嘔吐は高頻度。 糖尿病のない・肥満者ので、嘔吐のは13.23(95%CI 4.85〜36.09)が突出して高く、4.21(3.58〜4.95)・オルフォルグリプロン4.43(1.45〜13.56)・3.87(3.15〜4.76)が続いた。悪心はオルフォルグリプロン4.77(2.02〜11.31)が最も高く、以下エキセナチド・・・の順である3。⚠️ の嘔吐のは非常に広く、をそのまま受け取らない。

化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)の予防

💡 (chemotherapy-induced nausea and vomiting、CINV)はリスクで層別化して予防する。ただし区分はで違う。 静注薬は4区分のままだが、は2区分である。区分の%は有効なの予防投与を行わなかった場合に嘔吐を生じる患者の割合で、⚠️ 悪心は分類に含まれない。のは初回1回分ではなく治療1コース全体に基づき、この分類は成人にのみ適用される6。

区分 予防投与なしで嘔吐する割合 例
静注 高度 ほぼ全例(90%超) シスプラチン、、、ストレプトゾシン、クロルメチン、1500 mg/m²以上、+併用(乳癌患者)
静注 中等度 30〜90% 、、、、
静注 軽度 10〜30% 、、、
静注 最小 10%未満 、、リツキシマブ、
経口 中等度〜高度 30%以上 、、、、
経口 最小〜軽度 30%未満 、クロラムブシル、、

すべてMASCC/ESMOの2023年改訂の表1・表3・表4による6。💡 の2区分は、静注と同じ4区分を30%のところで束ねたものである(表1の中等度が30〜90%なので、ちょうど30%は中等度〜高度側に入る)。

⚠️ の用量境界は同一文書内で割れている。 表3は「1500 mg/m²以上」、は「1500 mg/m²超」と書いており、ちょうど1500 mg/m²の扱いが定まらない6。

⭐ には「が中等度の上限に近い」という脚注が付いている(サシツズマブ・ゴビテカン、・デルクステカンも同様)6。同じ中等度でも位置づけが一様でないことを示す注記である。

高度催吐性リスクの予防——4剤併用

⭐ 急性期(0〜24時間)は4剤を化学療法前に単回投与する。

薬 例
拮抗薬 、
NK1受容体拮抗薬 (フォス)、ネツピタント、ホスネツピタント、ロラピタント

MASCC/ESMOの2023年改訂は、+併用(AC)以外の化学療法でも、AC療法を受ける女性でも、この4剤併用を Level of evidence I, Grade of recommendation A で推奨している7。

  • 2016年版でだったが、で良質な試験の結果を受けて固定の構成薬になった——これが2023年改訂の要点である7。
  • (24〜120時間):非ACならとを、ACならを2〜4日目に投与することが提案されている(Level of evidence II, Grade of recommendation B)7。
  • の用量:最もよく検討されたのは10 mgで、5 mgはより優れるが10 mgと同等かは不明。検討された投与法は1日1回4日間のみ。⚠️ 鎮静が懸念されるなら1日5 mg開始や就寝時投与が選択肢になる7。
  • の日数:AC療法後は1日目のみに限定してよいレベルIのエビデンスがあるが、シスプラチンを基盤とするAC以外の化学療法では結果が一定せず、3〜4日間投与の推奨が維持されている7。
  • ⚠️ AC療法の推奨は乳癌の術後補助AC療法を受けた女性の広範なデータに基づく、と脚注に明記されている7。

💡 ガイドライン間で書き方が割れている。 SEOMの2021年版はリスクの予防を「拮抗薬・NK1受容体拮抗薬・ステロイドの3剤併用」(Level of Evidence I, Grade of Recommendation A)とし、の追加は悪心が問題になるときに考慮するもの(同じくI, A)と位置づけている8。3剤という書き方に出会っても誤りではなく、を固定要素とするかどうかが版・学会で違う。

まとめ

  • オピオイドと → 便秘。 ⭐ には耐性がつかないので、下剤を最初から組み込む。の下剤が第一選択で、反応不十分なら(・ナロキセゴル・)1。⚠️ の禁忌は消化管閉塞と閉塞を繰り返す危険であって、穿孔の危険そのものではない1。
  • 抗菌薬と → 下痢。 ⚠️ 抗菌薬関連下痢の一部はC. difficile感染症なので、発熱・・強い腹痛を伴うならの前に疑う。詳細はCore55:薬剤性:。
  • 、、オピオイド → 嘔吐。 の刺激と、腸粘膜からのを介したの刺激という2経路で理解する。
  • クリンダマイシンは下痢と嘔吐の両方を起こしうる重要薬で、C. difficile感染症の危険抗菌薬としてもに来る。
  • ⭐ オルメサルタンのスプルー様腸症は例外的な機序——抗体陰性・無効の重症と体重減少で、中止すれば臨床的にも組織学的にも回復する5。
  • CINVの予防はリスクで層別化する。 静注は4区分(90%超/30〜90%/10〜30%/10%未満)、経口は2区分。⚠️ この%は嘔吐の割合で、悪心は含まれない6。
  • リスクの急性期予防は4剤併用(拮抗薬・・NK1受容体拮抗薬・)7。⚠️ SEOM 2021のように3剤+任意のと書く指針もあり、どちらか一方だけを「正しい」と覚えない8。
  • 受容体作動薬は4症状すべてを起こす。 糖尿病のない・肥満者のデータでの嘔吐のは13.23と突出するが、は広い3。

薬がを起こす枠組み全体はCore8:で、消化管粘膜そのものの障害はCore67:薬剤性:で扱う。

出典

  1. 1.Treatment of Opioid-Induced Constipation: Inducing Laxation and Understanding the Risk of Gastrointestinal Perforation(Journal of Clinical Gastroenterology・2025)全文(PMC12165528、CC BY-NC-ND)を取得して確認した。オピオイド誘発性便秘の管理は市販の下剤と末梢作用型μオピオイド受容体拮抗薬(PAMORA=メチルナルトレキソン・ナロキセゴル・ナルデメジン)から成り、皮下注のメチルナルトレキソンが最初に承認されたPAMORAである。逐語で「市販の下剤がオピオイド誘発性便秘の第一選択として推奨され、第一選択への反応が不十分ならPAMORA単剤がこれに続く」とし、消化管穿孔の可能性があるためPAMORAは「既知または疑われる消化管閉塞のある患者、および閉塞を繰り返す危険が高い患者」に禁忌であるとする。⚠️ この禁忌は「閉塞」についてのものであり、穿孔の危険が高い患者への投与は禁忌ではなく、併存疾患・併用薬・最近の消化管処置による穿孔の危険とベネフィットを比較して患者を選ぶ、という書き方になっている。下剤治療の有効性はできるだけ早く、理想的には治療開始から1週間以内に評価し、PAMORA単剤が無効なら腸管分泌促進薬の追加を検討し、便秘の他の原因も検索する。PAMORAではないルビプロストンも既知または疑われる機械的消化管閉塞に禁忌である。⚠️ 著者にSalix Pharmaceuticals の社員が含まれる総説である。閲覧 2026-09-22
  2. 2.Efficacy and safety of opioid-receptor antagonists for opioid-induced constipation: a systematic review and meta-analysis(Frontiers in Pharmacology・2025)全文(PMC12832312、CC BY)を取得して確認した。オピオイド受容体拮抗薬の無作為化比較試験を集めた系統的レビュー・メタ解析(20研究22RCT・7,761例)で、自然排便回数の変化量が平均1.10回(95%CI 0.74〜1.46)増加し、レスポンダー割合の相対リスクが1.48(95%CI 1.28〜1.70)へ有意に改善し、生活の質(WMD −0.20、95%CI −0.28〜−0.12)と治療満足度(WMD −0.32、95%CI −0.54〜−0.10)も改善した。一方、便秘症状質問票は改善傾向にとどまった(WMD −0.16、95%CI −0.31〜0.00)。安全性では重篤な有害事象の発現率がプラセボと統計学的に差が無かった(相対リスク0.88、95%CI 0.74〜1.05)のに対し、重篤でない有害事象の発現率は治療群のほうが高かった(相対リスク1.22、95%CI 1.08〜1.38)。著者らは有害事象の発現が治療期間の延長とともに増えるようにみえるが更なる検証が要ると述べている。閲覧 2026-09-22
  3. 3.Gastrointestinal adverse events associated with GLP-1 RA in non-diabetic patients with overweight or obesity: a systematic review and network meta-analysis(International Journal of Obesity・2025)全文(PMC12532569、CC BY)を取得して確認した。⚠️ 対象は糖尿病のない過体重・肥満者に限られる(39論文、被験者計33,354人)。表2の相対リスク(95%CI)は、悪心がセマグルチド2.95(2.61〜3.32)・リラグルチド3.09(2.73〜3.51)・チルゼパチド2.90(2.00〜4.19)・カグリリンチド2.30(1.69〜3.13)・オルフォルグリプロン4.77(2.02〜11.31)・エキセナチド2.66(1.40〜5.09)、嘔吐がセマグルチド4.21(3.58〜4.95)・リラグルチド3.87(3.15〜4.76)・チルゼパチド13.23(4.85〜36.09)・オルフォルグリプロン4.43(1.45〜13.56)、下痢がセマグルチド1.77(1.47〜2.14)・リラグルチド1.82(1.48〜2.25)・チルゼパチド3.35(1.92〜5.85)、便秘がセマグルチド2.10(1.67〜2.63)・リラグルチド2.24(1.74〜2.87)・チルゼパチド3.36(1.70〜6.63)である。統合に用いた試験数は悪心29・嘔吐23・下痢24・便秘24。有意な上昇を示さなかったのは、嘔吐でカグリリンチドとエキセナチド、下痢でエキセナチド・カグリリンチド・オルフォルグリプロン、便秘でカグリリンチドとエキセナチドであった。悪心の危険が最も高いのはオルフォルグリプロンで、以下エキセナチド・チルゼパチド・セマグルチド・リラグルチドの順である。閲覧 2026-09-22
  4. 4.「ジーンプラバ®点滴静注 625mg」 販売中止に関するお知らせ(MSD株式会社(医療関係者向けのお知らせ)・2023)2023年5月付の医療関係者向けのお知らせ(ウェブアーカイブの保存版PDF)で、ジーンプラバ点滴静注625mgを世界的な需要減少による供給体制の再編により販売中止とし、販売中止時期(予定)を2023年12月末、経過措置期間(予定)を2024年3月31日までとし、2024年4月1日以降は保険請求できないと記していることを確認した閲覧 2026-09-27
  5. 5.Severe Spruelike Enteropathy Associated With Olmesartan(Mayo Clinic Proceedings・2012)全文(PMC3538487)を取得して確認した。メイヨークリニックの症例集積(2008年8月1日〜2011年8月1日、22例、うち女性13例、年齢中央値69.5歳・範囲47〜81歳)が、オルメサルタン服用中に生じた原因不明の慢性下痢と体重減少(中央値18 kg、範囲2.5〜57 kg)を報告し、14例(64%)が入院を要した。多くは1日40 mg(範囲10〜40 mg)を服用していた。抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は全例陰性でグルテン除去食も無効、生検では15例に絨毛萎縮と程度の異なる粘膜炎症、7例に著明な上皮下コラーゲン沈着(膠原性スプルー)を認め、7例に膠原性またはリンパ球性胃炎、5例に顕微鏡的大腸炎を伴った。オルメサルタン中止後は全22例で臨床的改善(平均体重増加12.2 kg)が得られ、追跡生検を行った18例全例で十二指腸の組織学的回復または改善が確認された。⚠️ 組入れ条件そのものが「オルメサルタン中止後に臨床的改善があること」なので、この研究から発現頻度や因果の強さは推定できない。閲覧 2026-09-22
  6. 6.Emetic risk classification and evaluation of the emetogenicity of antineoplastic agents—updated MASCC/ESMO consensus recommendation(Multinational Association of Supportive Care in Cancer / European Society for Medical Oncology・2023)全文(PMC10739277)を取得して確認した。静注抗腫瘍薬の催吐性リスクは従来の4区分が本改訂でも維持され、表1に示された境界は高度=ほぼ全例(90%超)/中等度=30〜90%/軽度=10〜30%/最小=10%未満である。経口抗腫瘍薬はASCOの2017年改訂に合わせて2区分(中等度〜高度、最小〜軽度)へ改められ、上の4区分を30%のところで束ねたものにあたる。この割合は有効な制吐薬の予防投与を行わなかった場合に嘔吐を生じる患者の割合であり、悪心は分類に含まれない。経口薬の催吐性は初回1回分ではなく治療1コース全体に基づいて決められ、この分類は成人にのみ適用される。表3の静注薬の高度はアントラサイクリンとシクロホスファミドの併用・カルムスチン・クロルメチン・シスプラチン・シクロホスファミド1500 mg/m²以上・ダカルバジン・ストレプトゾシンの7項目で、アントラサイクリンとシクロホスファミドの併用には脚注で「乳癌患者における」という限定が付く。カルボプラチンには脚注で催吐性が中等度の上限に近いと注記され、サシツズマブ・ゴビテカンとトラスツズマブ・デルクステカンも同様にカルボプラチンに近い位置づけとされる。⚠️ シクロホスファミドの用量境界は同一文書内で割れており、表3は「1500 mg/m²以上」、抄録は「1500 mg/m²超」と書いている。閲覧 2026-09-22
  7. 7.2023 updated MASCC/ESMO consensus recommendations: prevention of nausea and vomiting following high-emetic-risk antineoplastic agents(Multinational Association of Supportive Care in Cancer / European Society for Medical Oncology・2023)全文(PMC10739516)を取得して確認した。推奨表(Table 2)では、アントラサイクリン・シクロホスファミド併用(AC)以外の高度催吐性化学療法でも、AC療法を受ける女性でも、急性期の予防として5-HT3受容体拮抗薬・デキサメタゾン・NK1受容体拮抗薬(アプレピタント、ホスアプレピタント、ネツピタント、ホスネツピタント、ロラピタント)・オランザピンの4剤を化学療法前に単回投与することが推奨されている(Level of evidence I, Grade of recommendation A)。AC療法の推奨は乳癌の術後補助AC療法を受けた女性の広範なデータに基づくと脚注に明記されている。本文は逐語で、5-HT3受容体拮抗薬・NK1受容体拮抗薬・デキサメタゾンの3剤へのオランザピンの追加は2016年版では任意であったが、大規模で良質な試験がオランザピンの上乗せ効果を明確に示したため、現在は4剤レジメンの固定の一部として推奨されると述べている。遅発期は非ACではデキサメタゾンとオランザピンを2〜4日目に、ACではオランザピンを2〜4日目に投与することが提案されている(Level of evidence II, Grade of recommendation B)。オランザピンは10 mgが最もよく検討された用量で、5 mgはプラセボより優れるが10 mgと同等かは不明とされ、検討された投与法は1日1回4日間のみである(Level of evidence II, Grade of recommendation B)。鎮静が懸念されるなら1日5 mg開始や就寝時投与が選択肢とされる。デキサメタゾンについては、AC療法後は1日目のみに限定するレベルIのエビデンスがあるが、シスプラチンを基盤とする(およびAC以外の)高度催吐性化学療法では結果が一定せず、2016年の3〜4日間投与の推奨が維持されている。閲覧 2026-09-22
  8. 8.SEOM clinical guideline emesis (2021)(Clinical and Translational Oncology(Spanish Society for Medical Oncology)・2022)全文(PMC8986698)を取得して確認した。催吐性リスクの区分は投与経路で分かれており、非経口薬は表1で4区分(高度=90%超/中等度=30〜90%/軽度=10〜30%/最小=10%未満)、経口薬は表2で2区分(中等度〜高度=30%以上/最小〜軽度=30%未満)である。高度催吐性リスクの予防について本ガイドラインは「HEC prophylaxis consists in administering a three-drug regimen including 5HT3-RAs, NK1-RAs and steroids」(Level of Evidence I, Grade of Recommendation A)とし、オランザピンの追加は悪心が問題になるときに考慮するもの(同じくLevel of Evidence I, Grade of Recommendation A)と位置づけている。一方で薬剤別の節では、オランザピンを加えた4剤レジメンが高度催吐性・中等度催吐性化学療法のCINV予防に有効である(Level of evidence I, Grade of Recommendation A)とも述べている。閲覧 2026-08-27