眼科学

眼科学 · ML-70

全身疾患の眼症状

Ocular manifestations of systemic diseases

前提:正常
感覚器:眼
症状
Argyll Robertson瞳孔Kayser-Fleischer輪眼瞼黄色腫老人環

🧠 全体像:眼は、血管・神経・結合組織・代謝の状態を生きたまま直接のぞける唯一の臓器である。眼底を見れば細動脈とがそのまま見え、瞳孔を見れば脳幹までの神経回路が、角膜とを見れば代謝物の沈着が分かる。だからの多くが眼に「名刺」を残す。覚え方は2方向ある。から眼へ(糖尿病ならと、甲状腺ならと、なら、なら Kayser-Fleischer 輪)と、眼の所見から全身へ(状を見たら高血圧・糖尿病・、なら、網膜の塞栓なら頸動脈)である。このノートは7つのごとの索引で、各疾患の詳細は同じ科目の専門のノートへつなぐ。

眼は全身を映す窓

⭐ と眼の関わりは、内科・神経内科・科・血液内科・小児科と眼科が協力するな課題である。眼の所見がの最初の手がかりになり、逆にの患者を眼科へ紹介して合併症を早く見つけることが視力を守る。

代表的な疾患 眼で見るもの 詳しいノート
1. 感染症 細菌・ウイルス・クラミジア・アカントアメーバ、 結膜炎・角膜炎・ぶどう膜炎・網膜炎 結膜炎、角膜炎の鑑別、
2. 遺伝性疾患 代謝異常症、、、、 ・・角膜の沈着 の疾患と
3. 内分泌疾患 糖尿病、甲状腺機能異常、副甲状腺機能異常 、・、の石灰化 糖尿病の、の鑑別
4. 中枢神経 頭蓋内、動脈瘤・、、 瞳孔・・眼球運動・視野 と、腫脹と視機能
5. 心血管疾患 加齢性の硬化、動脈硬化、高血圧、・、子癇 眼底の血管 障害、高血圧
6. 、、、、白血病・リンパ腫 ・静脈の怒張・周辺部の・の浸潤 —
7. 結合組織疾患(自己免疫疾患) 、、、SLE、強皮症、、多発動脈炎、、関節リウマチ、JIA ・強膜炎・ぶどう膜炎・・ 自己免疫疾患と眼表面、の炎症性疾患:と強膜炎

💡 でと薬を必ず聞く理由は眼科のと正常所見でも扱う。ここではその逆向き、「の患者の眼に何が起こるか」をごとに整理する。

1. 感染症

眼の微生物感染症の一覧

微生物による眼の病気は、病原体・・症状・感染経路・治療で整理できる。以下は微生物学の教科書的な一覧(2007年)に、現行の治療の位置づけを添えたものである。

病気 病原体 症状 感染経路 一覧に示された治療
Haemophilus influenzae 充血 直接接触、汚染された物 なし(自然に治る)
新生児の Neisseria gonorrhoeae 膿の多い急性の感染 産道 予防に・テトラサイクリン・
Chlamydia trachomatis 眼瞼の腫れ、粘液と膿 産道、プール テトラサイクリン
Chlamydia trachomatis 結膜炎 直接接触、汚染された物、ハエ アジスロマイシン
充血 直接接触 なし
ヘルペス性角膜炎 、角膜 角膜炎 直接接触、潜伏感染の が有効な場合がある
Acanthamoeba 属 角膜の。ソフトコンタクトレンズはによるアメーバの除去を妨げうる 角膜炎 との接触 イセチオン酸塩またはの点眼。やが必要なこともある

⚠️ 「治療」の欄は当時の教科書の整理で、現行の治療とは違う点がある。

抗微生物薬の選び方の全体は眼科の抗微生物療法で扱う。

眼の感染症では、次の所見を見分けられるようにする。

所見 考える病気
睫毛と内眼角にこびりつく黄色の膿性(小児) 。新生児なら淋菌を最優先に考える
全体のびまん性の充血 結膜炎
片側の額から上眼瞼にかけての痂皮を伴う皮疹と、眼瞼の強い腫れ (の領域)
で緑に染まる、枝分かれしたの欠損 性の
充血の中の角膜中央の大きな の進行例

全身の感染症と眼

全身の感染症も眼に出る。詳細はとで扱うので、ここでは索引にとどめる。

全身の感染症 眼の所見
(HIV 感染症・移植後などの高度な免疫不全) 血管に沿って広がる白色の壊死と出血。は軽い
梅毒 あらゆる型のぶどう膜炎、網膜炎、。
結核 、結節、
古い瘢痕の縁に新しい白色の、強い
・ 皮疹、角膜炎、ぶどう膜炎、周辺部から広がる網膜壊死

2. 遺伝性疾患

分類 代表的な疾患 眼の所見
アミノ酸代謝異常 (が多い)
異常 の油滴状
異常 など 、若年の
結合組織の異常 (が多い)、、
染色体異常 、、、、の白い斑点
基底膜の異常 前部円錐、網膜の白い点状の斑
Kayser-Fleischer 輪、

若年の白内障と水晶体偏位

  • 若くして起こる(初老期)は、糖尿病・代謝疾患・・ステロイドなど全身の原因を探す手がかりになる。瞳孔全体が灰白色に濁った成熟では、が消える。
  • では、した瞳孔の中にのの縁が弧状に見える。
  • の全身所見は、長身で四肢が長い体型と、くも(親指を握りこむと指先が手のの縁より外に出る)である。眼科医がを見つけたことから大動脈の病気が見つかることがあり、心臓血管の評価へつなぐ。

偏位の方向と原因の対比、手術の注意はの疾患とで扱う。

Kayser-Fleischer 輪

⭐ では、角膜の周辺部のにが沈着して金褐色〜緑褐色の輪ができる。角膜の縁に沿っての外周を縁どるように見え、初期は上下から始まるのでとでよく探す。神経症状のあるではほぼ必発で、肝臓の病型では見られないこともある。

💡 同じ角膜周辺の輪でも、()は灰白色の脂質沈着で、との間に透明な帯が残る。高齢者では加齢変化だが、若い人のはを疑う手がかりになる。角膜の沈着の一覧はーとで扱う。

3. 内分泌疾患

糖尿病

糖尿病は眼のほぼすべての部位を侵す。眼瞼と眼表面(感染・・の低下)、(の早期化、血糖による屈折の変動)、と隅角()、網膜(と)、視神経、そして眼球運動のまで及ぶ。

の眼底には、次の所見が並ぶ。

所見 見え方 意味
小さな赤い点 最も早い変化。毛細血管の壁が弱って膨らむ
点状・しみ状の赤い出血 血管壁の破綻
境界明瞭な黄色の斑点。輪状に並ぶこともある 漏れた血漿の脂質とタンパク
(状) 境界のぼやけた白い斑 の虚血(の停滞)
異常血管() 網膜の表面からへ伸びる細い血管の房 。との原因

分類・スクリーニングは糖尿病の、治療はの治療で扱う。

甲状腺:Basedow病

のには、昔から人名の付いた徴候がある。

徴候・検査 所見
計をの骨縁に当てて、角膜頂点までの距離を測る
で上眼瞼が上がり()、角膜の上に白いが見える
にらむような凝視(驚いたような目つき)
Moebius徴候 が弱い

の治療の前後の比較では、治療前に片眼の強いの充血と浮腫を認めた例で、治療後に充血と浮腫が引いている。

活動性の評価(臨床活動性スコア)、重症度、治療の現行の整理、の鑑別はの鑑別で扱う。

副甲状腺機能異常と眼底の石灰化

カルシウム代謝の異常は眼底の石灰化として現れうる。

  • 眼底には、境界明瞭な黄橙色の板状の病変が乳頭の近くや黄斑に広がる。
  • CT では、眼球のに骨と同じの板状影を認める。
  • 超音波では、に強い反射があり、その後ろがで暗く抜ける。

この病変は「網膜骨腫」と呼ばれることもあるが、ができるのは網膜ではなくである。副甲状腺機能の異常と関連するのは石灰化のほうで、次の違いで骨腫と区別する1。

項目 石灰化 骨腫
主な場所 主に。より後ろの 。乳頭の周り
患者 高齢者に多い 若年者
外見 平坦〜わずかに隆起した黄色の板状病変 境界明瞭な孤立性の病変
との関連 、、、、、、などカルシウム・リン代謝の異常 —
視力予後 黄斑から離れていることが多く、良好 の危険がより高い

石灰化を見つけたら、・リン・・などを調べる1。が見つかることがある。

4. 中枢神経と眼

眼は脳の一部である。眼科の診察で中枢神経を評価する窓は4つある。

窓 何が分かるか
瞳孔 視神経から中脳まで()と、・交感神経()
視神経 乳頭の腫脹・蒼白
眼球運動 脳神経(動眼・・)と脳幹の結合
視機能 視野(視交叉・・・の病変の位置)、VEP

この窓から見つかる代表的な病気は、頭蓋内の、(動脈瘤、、出血)、()、である。

瞳孔と RAPD

瞳孔の大きさは2つの自律神経で決まる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miosis'>縮瞳</span>(副交感神経)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oculomotor nerve (CN III)'>動眼神経</span>の Edinger-Westphal 核"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary ganglion'>毛様体神経節</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sphincter pupillae'>瞳孔括約筋</span>が縮む"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mydriasis'>散瞳</span>(交感神経)"] --> F["脊髄"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='superior cervical ganglion'>上頸神経節</span>"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dilator pupillae'>瞳孔散大筋</span>が広がる"]

(RAPD)は、片眼の網膜か視神経の障害で、その眼に入る光の信号が弱くなった状態である。

条件 瞳孔の反応
光を当てない 両眼とも中くらいの大きさ
正常眼に光を当てる 両眼とも縮む(直接反応と間接反応)
右眼の RAPD で右眼に光を移す 光を当てているのに両眼とも広がる

RAPD を起こす代表的な病気は、、の、広い、虚血型の、である。

💡 RAPD は左右差を見る検査なので、両眼が同じ程度に障害されていると出ない。またやのような透光体の濁りでは、網膜に光が届く限り RAPD は出ない(出ても軽い)。検査の手順はとで扱う。

視神経乳頭の腫れ:3つの対比

病気 乳頭の見え方 症状 見分けるポイント
乳頭の腫脹と乳頭周囲の(ではチョークのように蒼白な腫脹が特徴) 扇形の(多くは下半分)、かすみ ()かかを、()と CRP で分ける
(頭蓋内圧亢進による) 両眼の乳頭の境界がぼやけて盛り上がる 視力は比較的よく保たれる 視野はの拡大から始まる。頭蓋内の原因を画像で探す
(の一型) 充血して腫れた乳頭、周囲の出血 痛み(眼を動かすと痛む)、かすみ、 若い人に多く、と関連

は「があるが視力は比較的よい」とまとめられることもあるが、典型的な視野の変化はの拡大で、はの特徴である(腫脹と視機能)。

⚠️ 高齢者のでは、を必ず除外する。見逃すと数日のうちに反対眼も失明しうる。で確定した170例では、半数(85例)が眼の病変で受診した。この85例の眼の虚血性病変は、が81.2%、閉塞が14.1%、閉塞が21.8%(を十分に評価できた55例のうち)だった2。

頸動脈海綿静脈洞瘻

(またはその)とがつながり、動脈血が眼の静脈へ逆流する。眼の所見は上強膜・の静脈が状に太く怒張し、まで伸びることで、の充血と浮腫、を伴う。瘻を塞ぐ治療の8か月後には、怒張していた上強膜の静脈が細くなる。

鑑別すべき病気は次のとおりである。

病気 見分ける特徴
外からの感染やの感染、外傷、副鼻腔の病変。発熱、、倦怠感、
の証拠。ゆっくり進み増悪をくり返す。上眼瞼の、眼瞼の遅れ。T3・T4・TSH の異常
眼窩() 発症の速さはさまざま。筋・腱が侵され、、だけの肥厚。25%が両側性。眼を動かすと痛む。の程度はさまざま。前部が侵される(を触れる)、ぶどう膜炎の徴候、
眼の奥の持続する痛み(麻痺に先行する)、の程度はさまざま。症状は数日〜数週続き再発する。ステロイドで24〜48時間以内に反応する。CT でに異常な組織
発熱(30〜90%)、速く進み両側になる。(副鼻腔炎、顔面[25%]、耳、歯、歯肉)、。全身状態が悪化する(・けいれん・・昏睡)。死亡は30%未満

型(・)と診断はの鑑別で扱う()。

脱髄疾患:多発性硬化症

は、眼に3つの形で現れる。

1.

が障害されると、側方視で内転する側の眼が正中を越えて内転できない。

見る方向 異常
左を見る 右眼が正中を越えて内転しない
右を見る 左眼が正中を越えて内転しない

この組み合わせは両側ので、若い人に両側性に起こればを強く疑う。

2.

の最悪期には視界全体がかすみ、色も薄れる。回復したあとも、赤が褐色がかって見えるような色の見え方の低下が残ることがある。のちに乳頭は蒼白になる()。

3. VEP のの延長

15分角のを毎秒3.8回反転させる VEP で、右眼の頂点のが102.5 ms(正常)なのに対し、左眼は134.7 ms で、32.2 ms 遅れる例がある。脱髄で伝導が遅くなるため、振幅よりの延長が特徴になる。視力が回復したあともの延長は残り、過去のの証拠になる。

5. 心血管疾患

眼底の血管は、全身の血管の状態を映す。

状態 眼底の変化
加齢(退行性の硬化) 細動脈の反射が強くなり、壁が硬くなる
動脈硬化 動静脈交差現象、血管の化、
高血圧 細動脈の、出血、、
(中心・分枝) 網膜の白濁、桜実紅斑、塞栓
(中心・分枝) 静脈の怒張と広範な出血
子癇 高血圧、、(・子癇)

高血圧

高血圧の眼底では、次の所見を探す。

所見 見え方
細動脈の 動脈が静脈に比べて細い
動静脈交差現象 動脈が静脈と交わるところで、静脈がくびれて見える
炎状出血 に沿った線状の出血
黄色の斑点
白いふわっとした斑
乳頭の境界がぼやけて盛り上がる

炎状出血・・にが加わると、Keith-Wagener-Barker 分類の grade 4()になる。分類との扱いは高血圧で扱う。

網膜動脈閉塞

  • :の網膜が白く濁り、だけが赤く残る(桜実紅斑)。は蒼白になる。
  • :閉塞した枝の領域だけが白く濁り、分岐部に血小板フィブリン塞栓が引っかかっているのが見えることがある。

網膜の塞栓の種類

塞栓 見え方 頻度
コレステロール() 光る、虹色がかった小片 75%
血小板フィブリン 灰白色の細長い塊 15%
石灰化 真っ白な塊 10%

危険因子:未治療の439例の研究では、の閉塞でも分枝閉塞でも、糖尿病・高血圧・・と喫煙が一般人口より多かった。同側のの50%以上の狭窄は約30%、プラークは約70%に、を示す心エコーの異常は約半数(閉塞で52%、分枝閉塞で42%)にあった3。

💡 塞栓の多くは頸動脈のプラークから飛ぶ。狭窄の程度よりプラークがあるかどうかが重要とされる3。網膜の塞栓は頸動脈と心臓の検査の入口であり、の予防につながる。

塞栓以外の原因

  • 頸動脈の血小板プラークから放出されるセロトニンによる動脈の攣縮
  • :生検で確定したのを眼単位でまとめると、123眼で閉塞18%・閉塞25%とされる。同じ研究を患者単位で見ると、眼の病変のあった85例で閉塞14.1%、閉塞21.8%(を十分に評価できた55例のうち)である2。数字の違いは分母(眼か患者か)の違いによる
  • 、、、、鎌状赤血球症、、、ループス、リンパ腫、、吹き抜け骨折、周囲麻酔の注射、毒蛇の咬傷、ライム病、Susac症候群、片頭痛

⚠️ は「眼の脳卒中」であり、急性期の対応は障害に従う。高齢者ではを必ず考える。

網膜静脈閉塞

所見 見え方
1本の静脈の領域に扇形に広がる出血
4すべてに広がる炎状出血と静脈の怒張
の OCT 正常なの陥凹が消え、網膜が厚くなり、嚢胞とを認める
正常では整った血管が、閉塞例では漏れる異常血管と、造影されない無(虚血)を示す

危険因子は、血栓ができる3つの条件(Virchow の三徴)に沿って整理できる。

三徴の要素 全身の危険因子
血管内皮の障害 糖尿病、、心筋梗塞、心不全、、高血圧、
血流の異常 動脈硬化(高血圧・糖尿病・心筋梗塞・心不全・・に続く)、(片頭痛)
血液の凝固しやすさ 、癌、、肺塞栓症、経口抗凝固薬の使用(血栓の既往の目印)

💡 網膜の静脈は動脈と同じ鞘の中を走り、交差部では動脈と外膜を共有する。硬くなった動脈が静脈を圧迫して血流が乱れるので、動脈の病気(高血圧・動脈硬化)がを起こす。治療は障害で扱う()。

6. 血液疾患

疾患 眼の所見
(鎌状赤血球症など) 周辺部の網膜の無灌流と、その境界の扇状の。前房出血でが上がりやすい
網膜のの変化、による
(など) 静脈の怒張・と、
、、
白血病・リンパ腫 白血病:(中心が白い出血を含む)、、乳頭浸潤。リンパ腫:のサーモンの浸潤、

眼の所見としては、次のようなものを認める。

  • で、周辺部の網膜から伸びる扇状のが強く蛍光漏出し、その周辺側は造影されない無になる。
  • 静脈が太く暗くし、状の出血が広がる眼底。
  • 下方ののに、サーモンの平らな浸潤がある。
  • と小さな出血がに散在する眼底。

💡 の網膜は「血が薄すぎる(貧血)」「濃すぎる(・)」「固まりやすい(異常ヘモグロビン)」「悪い細胞が入る(白血病・リンパ腫)」のどれかで壊れる。血液検査の値と眼底を合わせて読む。

7. 結合組織疾患(自己免疫疾患)

疾患 主な眼の所見 詳しいノート
重い() 自己免疫疾患と眼表面、
、閉塞、 腫脹と視機能
急性期の性結膜炎、慢性期の瘢痕・睫毛乱生・角膜の 自己免疫疾患と眼表面
SLE、強皮症、 、(ループス)、、眼瞼の皮疹
多発動脈炎(・など) 、、 の炎症性疾患:と強膜炎
(HLA-B27):、 片眼ずつ繰り返す ぶどう膜炎の分類と前部ぶどう膜炎
関節リウマチ、JIA 関節リウマチ:・強膜炎・。JIA:無症状の 小児のぶどう膜炎

⚠️ JIA の前部ぶどう膜炎は充血も痛みもないまま進み、・・緑内障で見つかることがある。症状が無くても定期的なが要る。

Sjögren症候群

  • 1933年に Henrik Sjögren が記載した、を侵す全身の自己免疫疾患である。
  • 症状の柱は、眼の乾燥で眼表面が傷つくことと、口の乾燥でが増えることである。
  • 検査では、両眼の下眼瞼の外側にを挟む で涙の量を測り、で角膜の傷を評価する。

角膜の染色の程度は次のように点数化される。

点数 染色のパターン
0 染色なし
25 微細な点状
50 粗い点状
75 粗い点状が融合
100 1 mm 以上の面状

一次性と二次性

型 割合 特徴
一次性(乾燥症候群) 50% の全身の自己免疫疾患だけで、他の結合組織疾患を伴わない。はより重い
二次性 50% 一次性の症状すべてに、他の自己免疫疾患・結合組織疾患(多くは関節リウマチ)を伴う。進行はゆっくりで、眼の症状は軽め

合併しやすい病気:などの(10%)、頭頸部の (1%)、唾液腺の癌が挙げられてきた。現在の理解では、に合併するリンパ腫の多くは低悪性度の B 細胞性で、組織型はが主体、リンパ腫のように唾液腺など病気の活動性の高い臓器に生じやすい4。

⚠️ 耳下腺の持続する腫れを伴う では、リンパ腫を考える。

ぶどう膜炎

・に伴うぶどう膜炎では、次の所見を認める。

  • を取り巻く。
  • 角膜の後面に付く大小多数の粒状の(大きく脂っぽいものは肉芽腫性の炎症を示す)。
  • がに癒着して()、しても瞳孔がいびつになる。
  • 強い充血の中でがかすむ。

SUN 分類と原因の探し方はぶどう膜炎の分類と前部ぶどう膜炎とぶどう膜炎患者の検査で扱う。

強膜炎

flowchart TD
    A["強膜炎"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior scleritis'>前部強膜炎</span>"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior scleritis'>後部強膜炎</span>"]
    B --> D["びまん性"]
    B --> E["結節性"]
    B --> F["壊死性"]
    F --> G["炎症を伴う"]
    F --> H["炎症を伴わない<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scleromalacia perforans'>穿孔性強膜軟化症</span>)"]
  • の一部の深い赤み(扇形の充血)から、眼球全体の暗赤色の充血まで幅がある。
  • では、が薄くなって下のぶどう膜が青黒く透けて見え、白いの領域ができる。
  • は関節リウマチや血管炎(など)に多く、生命予後にも関わる全身の血管炎の徴候である。

詳しくはの炎症性疾患:と強膜炎で扱う(強膜炎)。

硝子体炎と網膜血管炎

  • に炎症細胞が浮くと、眼底が全体にかすんで細部が見えなくなる()。
  • では、血管に沿って色の白い病変が並び、血管の周りが白く鞘状に見える。
  • 重い例では、出血と白色のの病変が眼底に広く混在する。

は、、、SLE、結核、梅毒などのを探す手がかりになる(、)。との詳細ものノートにある。

薬剤による眼の障害

全身に使う薬も眼を傷つける。で必ず聞き、薬ごとの検査を行う。詳細と現行のスクリーニング指針は眼科のと正常所見の薬の表と眼科ので扱う。

薬 眼の障害
(の障害)。定期的な OCT とのスクリーニング
(両眼の・)
渦状角膜症、
ステロイド(など) 、()

部位ごとに覚える所見

眼の部位ごとに、の手がかりになる所見をまとめる。

部位 所見 考える
眼瞼 片側の額と眼瞼の痂皮を伴う皮疹 帯状疱疹(高齢・免疫低下)
眼瞼 睫毛の根元の痂皮と鱗屑(眼瞼縁の炎症) ・(眼瞼炎・)
眼瞼 内眼角寄りの上下の眼瞼の黄色い扁平な隆起()
眼瞼 、眼瞼の遅れ
びまん性の充血、膿性 結膜炎(新生児なら淋菌・クラミジア)
角膜 周辺の金褐色の輪 (Kayser-Fleischer 輪)
角膜 周辺の灰白色の輪と、輪部との間の透明な帯 (若年なら)
角膜 で染まる樹枝状の病変 (免疫低下・ステロイド)
両眼のが青く見える など結合組織の疾患
扇形・びまん性の深い充血、青黒く透ける菲薄化 関節リウマチ・血管炎
表面に散らばる多数の黄褐色の の 、の(など)
の表面との細い異常血管() 糖尿病・・()
白い放射状・点状の 糖尿病・代謝疾患・ステロイドによる
瞳孔の中に見えるの縁 ・()
の中に浮かぶ暗い点状の の炎症・出血(糖尿病・ぶどう膜炎)
網膜 で強く光る丸い腫瘤に、太くしたとがつながる ()
網膜 色素の縁どりを伴う白い萎縮性の瘢痕が多発 感染症(など)の瘢痕

💡 部位ごとの所見は「その部位が何でできているか」で覚えると忘れにくい。角膜の周辺は代謝物が沈着しやすい(・脂質)、はコラーゲン(結合組織の病気で薄くなる)、と網膜は血管(糖尿病・虚血で)、はタンパク(代謝・薬で濁る)である。

眼の所見から全身疾患を探す流れ

flowchart TD
    A["眼の所見を見つける"] --> B{"どの部位の所見か"}
    B -->|"眼底の血管"| C["血圧・血糖・脂質<br>頸動脈エコー・心エコー"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='optic disc'>視神経乳頭</span>"| D["両眼なら頭蓋内圧:画像検査<br>高齢なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythrocyte sedimentation rate, ESR'>赤沈</span>・CRP で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='giant cell arteritis (GCA)'>巨細胞性動脈炎</span>"]
    B -->|"瞳孔・眼球運動"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurological patient examination'>神経学的診察</span><br>頭部 MRI・MRA"]
    B -->|"炎症(ぶどう膜・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sclera'>強膜</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal vessel'>網膜血管</span>)"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='connective tissue disease (collagen vascular disease)'>膠原病</span>・感染症の検査<br>HLA-B27・胸部画像・梅毒・結核"]
    B -->|"沈着・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens'>水晶体</span>の変化"| G["代謝・遺伝性疾患の検査<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='copper'>銅</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ceruloplasmin'>セルロプラスミン</span>、脂質、心血管"]
    C --> H["各科と連携して治療"]
    D --> H
    E --> H
    F --> H
    G --> H

まとめ

  • 眼は血管・神経・結合組織・代謝を直接見られる窓で、の多くが眼に所見を残す。と眼はな課題である。
  • 7つの群:感染症、遺伝性疾患、内分泌疾患、中枢神経、心血管疾患、、結合組織疾患(自己免疫疾患)。
  • 感染症:細菌・ウイルス・クラミジア・アカントアメーバによる結膜炎・角膜炎。によるの予防は歴史的な方法で、治療は現行の指針に従う。全身の感染症(・梅毒・結核・)はぶどう膜炎・網膜炎として出る。
  • 遺伝性疾患:との、の、脂質異常のと、、の前部円錐、の Kayser-Fleischer 輪。
  • 内分泌:(・出血・・・)、の徴候(、Dalrymple・Kocher・Moebius徴候)、などのと関連する石灰化(若年の骨腫と区別する)。
  • 中枢神経:瞳孔の2つの経路と RAPD。RAPD の原因は・・・虚血型の・。は(扇形の、と CRP でを除外)・(視力は保たれ)・(痛みと)を対比。は状の上強膜静脈の怒張で、・・眼窩・・と鑑別。は・・VEP の延長。
  • 心血管:高血圧(細動脈の・動静脈交差現象・炎状出血・、で grade 4)。は桜実紅斑と塞栓(コレステロール75%・血小板フィブリン15%・石灰化10%)、頸動脈のプラークと心臓を調べ、高齢者ではを除外。は Virchow の三徴で危険因子を整理。
  • 血液:鎌状赤血球症の周辺部の、の静脈の怒張、白血病の出血と、リンパ腫ののサーモンの浸潤。
  • 結合組織:(と角膜染色、一次性と二次性、低悪性度 B 細胞性リンパ腫の危険)、、、SLE・強皮症・、多発動脈炎、HLA-B27 関連の、関節リウマチの強膜炎、JIA の無症状のぶどう膜炎。強膜炎は前部(びまん性・結節性・壊死性)と後部に分ける。
  • 薬剤:、、の渦状角膜症、ステロイド・緑内障。

出典

  1. 1.Sclerochoroidal Calcification(American Academy of Ophthalmology(EyeWiki)・2026)強膜脈絡膜石灰化は平坦〜わずかに隆起した黄色の板状病変で、赤道部より後ろの上耳側に多いこと。副甲状腺機能亢進症・偽性副甲状腺機能低下症・副甲状腺腺腫・サルコイドーシス・Gitelman症候群・Bartter症候群・慢性腎臓病などカルシウム・リン代謝の異常と関連すること。Bモード超音波で音響陰影を伴う高反射病変、CTでカルシウム沈着として見えること。脈絡膜骨腫は若年者の境界明瞭な孤立性の乳頭周囲病変で、視力低下の危険が高いこと。血清カルシウム・リン・マグネシウム・副甲状腺ホルモンなどを調べること。閲覧 2026-09-29
  2. 2.Ocular manifestations of giant cell arteritis(American Journal of Ophthalmology(Hayreh SS, Podhajsky PA, Zimmerman B)・1998)抄録(PMID 9559737)で確認した。側頭動脈生検で確定した巨細胞性動脈炎170例の前向き研究で、50.0%(85例)が眼の病変で受診し、この85例の眼の虚血性病変は動脈炎性前部虚血性視神経症81.2%、網膜中心動脈閉塞14.1%、毛様網膜動脈閉塞21.8%(蛍光眼底造影が十分な55例中)、後部虚血性視神経症7.1%であったこと、初診時に赤沈(Westergren法)とCRPを測定したこと。眼単位の123眼の値(18%・25%)は抄録には無く、同論文を引用した学会の教育資料の値である。閲覧 2026-09-29
  3. 3.Retinal artery occlusion: associated systemic and ophthalmic abnormalities(Ophthalmology(Hayreh SS, Podhajsky PA, Zimmerman MB)・2009)抄録で確認した。未治療の網膜動脈閉塞439例499眼のコホートで、非動脈炎性の網膜中心動脈閉塞と網膜動脈分枝閉塞のいずれでも糖尿病・高血圧・虚血性心疾患・脳血管障害の有病率が年齢をそろえた米国人口より有意に高く、喫煙率も高かったこと。同側の内頸動脈の50%以上の狭窄が網膜中心動脈閉塞の31%・分枝閉塞の30%、プラークが71%・66%、塞栓源を示す心エコー異常が52%・42%にあったこと。塞栓が最も多い原因で、頸動脈のプラークが通常の塞栓源であり、狭窄の程度よりプラークの有無が重要であること。閲覧 2026-09-29
  4. 4.Sjögren Syndrome-associated lymphomas: an update on pathogenesis and management(British Journal of Haematology(Nocturne G, Mariette X)・2015)抄録で確認した。一次性Sjögren症候群はリンパ腫の危険を高め、合併するリンパ腫の多くは低悪性度のB細胞性非Hodgkinリンパ腫で、組織型は辺縁帯リンパ腫が主体、粘膜関連リンパ組織リンパ腫など粘膜の病変が多く、唾液腺など病気の活動性の高い臓器に生じやすいこと。閲覧 2026-09-29