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2026
09.05無脾症・脾機能低下症のノートが本文で挙げていた機能的脾機能低下の原因疾患のうち、一次資料で裏づけの取れた4疾患について、相手ノート側に脾機能低下を伴う旨の記述と出典を足し、合併症として関係づけた。あわせて、肝硬変・門脈圧亢進では脾腫と血小板減少を伴うため「脾が小さい・血小板が多い」という手がかりが逆を向く点を本体ノートに書き足した。
- 疾患無脾症・脾機能低下症脾機能低下を疑う典型的な組合せ(画像で脾が小さい+血小板増多)から肝硬変・門脈圧亢進症が明示的に除外されること、これらでは脾腫と血小板減少を伴うため通常の手がかりが使えないことを、脾機能の測り方の節とまとめに書き足した(Kirkineska 2014)。あわせて本文の有棘赤血球に受け皿ノートへのリンクを張った。関係フィールドは追加していない——逆参照は相手側から自動生成されるため。
- 疾患全身性エリテマトーデスSLEそのものが脾機能低下を来しうることを予防・フォローの節に追加した。5年間に診療したSLE 70例のうち5例が脾機能低下を示唆する血液像を呈し、3例はシンチで脾の集積を認めず、1例は肺炎球菌敗血症で死亡し剖検で脾萎縮とリンパ球の枯渇が確認されている(Dillon 1982)。合併症フィールドを新設し無脾症・脾機能低下症を追加した。
- 疾患アミロイドーシスAL型が成人の後天性脾機能低下の鑑別に挙がることを臨床像の節に追加した。原発性全身性アミロイドーシス91例のうち22例が機能的に脾機能低下で、その同定は末梢血塗抹によるもので脾シンチグラフィより塗抹のほうが鋭敏だった(Gertz 1983)。出典が1件も無かったノートに最初の出典が入った。合併症に無脾症・脾機能低下症を追加した。
- 疾患疱疹状皮膚炎セリアック病と同じく脾萎縮・脾機能低下を伴いうることを合併症・経過の節とまとめに追加した。連続24例のうち8例に明らかな脾萎縮を認め、クリアランスが正常だった16例でも脾の断面積は正常値より小さく、脾機能低下の有無はグルテン除去食やダプソンによる治療とも小腸生検所見とも関係しなかった(Pettit 1972)。合併症に無脾症・脾機能低下症を追加した。
2026
09.05成人T細胞白血病リンパ腫の治療の節が、日本の保険適用薬をモガムリズマブ・バレメトスタット・レナリドミド・ツシジノスタットの4剤で閉じていた。同じ日本血液学会ガイドラインが、CD30陽性例には未治療・再発難治のいずれでもブレンツキシマブ ベドチンが使えると別に述べている。あわせて70歳以上の推奨とHTLV-1キャリアがドナーになる場合の確認手順を補い、アフリカ睡眠病では妊婦の経過観察中の投与目的と新生児の確認を補った。
- 疾患成人T細胞白血病リンパ腫再発・難治例の節が「日本の保険適用があるのは次の4剤である」と閉じた列挙になっていたが、同じ日本血液学会ガイドラインの同じ節が、CD30陽性の再発・難治性ATLにブレンツキシマブ ベドチンが使用可能になっていると続けて述べている。CQ1の末尾でも、未治療のCD30陽性末梢性T細胞リンパ腫でBV-CHPがCHOPに優った試験を根拠に日本で保険収載され、CD30陽性の未治療アグレッシブATLに使用しうる(ただし同試験のATLL症例は少数で有効性のさらなる評価が必要)とされている(JSH ATL 2023)。日本の電子添文の効能は「CD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫」で病型名を挙げておらず、ATLLはその内側で使うこと、投与前にCD30抗原陽性の確認が要ることを、アドセトリス電子添文第4版で確かめて書き分けた(PMDA アドセトリス)。あわせて、70歳以上には同じレジメンを強度を減じて用いる推奨(カテゴリー2B)が別のクリニカルクエスチョンとして立っていること、血縁ドナーがHTLV-1キャリアの場合はドナー由来の感染細胞による再発例があるため臨床的にATLを発症していないことの確認が推奨されること(末梢血のサザンブロットは日本では保険適用外)を追記した。関係フィールドでは、本文にありながら空だった鑑別疾患に皮膚T細胞リンパ腫を、治療薬にブレンツキシマブ ベドチン・レナリドミド・ビンデシン・シタラビンを追加した。
- 疾患アフリカ睡眠病gambiense型の妊婦で経過観察が許される場合について、月1回以上の評価しか書いておらず、その間もフェキシニダゾールまたはペンタミジンを投与すること、その主目的が疾患の垂直感染の危険を下げることであること、分娩後に新生児を診察して血中の循環トリパノソーマを確認することが落ちていた。WHO 2024ガイドライン 2.7節で確認して補った(WHO HAT 2024)。非流行国の症例について「ほとんどが rhodesiense型」と書いていた箇所を、出典の記述に合わせて「多くは」に戻した。症状フィールドに本文で扱っている関節痛・筋肉痛を追加した。
- 薬剤brentuximab vedotin適応の節が「全身性未分化大細胞リンパ腫などCD30陽性末梢性T細胞リンパ腫」とだけ書いており、日本の効能又は効果が病型名ではなく大きな括りで書かれていることと、その内側に成人T細胞白血病リンパ腫が入ることが読めなかった。電子添文第4版の効能欄と、承認の根拠になったBV-CHP対CHOPの試験の対象病理組織型にATLLが明記されていることを確認して書き足した(PMDA アドセトリス)。日本血液学会ガイドラインがCD30陽性の未治療アグレッシブATLと再発・難治性ATLの双方に使用しうるとしつつATLLでの有効性のさらなる評価を求めている点も併記した(JSH ATL 2023)。
- 薬剤lenalidomide適応の表が多発性骨髄腫とdel(5q)の骨髄異形成症候群の2つしか挙げておらず、承認適応フィールドも無かった。レブラミド電子添文第7版で効能又は効果が4つに分かれていることを確認し、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫と、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫を追加した(PMDA レブラミド)。限定の掛かり方が効能ごとに違う(骨髄異形成症候群は5番染色体長腕部欠失を伴う場合のみ、リンパ腫系は再発又は難治性のみ)ため、平坦に読まない旨を注記した。承認適応フィールドに多発性骨髄腫・骨髄異形成症候群・成人T細胞白血病リンパ腫を新設した。
2026
09.05コレステロール塞栓症の「約20%が自然発生」は出典のどこにも無い数値だった。同じ出典を引く塞栓のトピックノートが発生源で、両方を原文の分母どおりに直した。あわせて脈絡叢腫瘍の疫学の分母、Coats病の受診時年齢、軟骨肉腫の術式を一次資料で立て直した。
- 疾患コレステロール塞栓症frontmatter の出典 claim が「約20%は誘因となる血管処置なしに自然発生する」としていたが、この数値は原著の全文のどこにも無かった。原文は「CESの70%は血管内治療・心血管外科手術のあとに医原性に生じるが、自然発生もありうる」で、自然発生の割合そのものを示していない(Ozkok 2019)。一方 StatPearls は「コレステロール塞栓の約80%は動脈内手技に由来し、自然発生は5%未満」と述べており、同じ「%」でも症例を分母にするもの・処置を受けた集団を分母にするもの・剖検例を分母にするものが混在していた。3つの分母に分解して書き分け、自然発生の割合は資料間で開きがあることを明示した(StatPearls NBK556091)。予後の「死亡率63〜81%」も母集団が書かれていなかったので、医原性CES 648例で63%、組織学的確診221例で剖検診断例を含め最大80%、と特定した。腎障害の3つの経過(急性・亜急性が最多で平均5.3週・慢性)、好酸球増多の頻度、素因、透析後の部分回復率を補った。NLRP3/IL-1経路を標的とする治療は提案されている段階で無作為化試験が無い旨を明記して追加した。
- トピックTypes of emboliコレステロール結晶の行が「約20%は誘因となる血管処置なしに自然発生する」と書いており、上の疾患ノートに伝播していた数値の発生源だった。同じファイルの出典 claim にはこの20%が書かれておらず、本文だけが claim を超えていた。原著どおり「症例を分母にすると70%は血管内治療・心血管外科手術のあとに医原性に生じ、残りは誘因となる処置なしの自然発生例である」に直し、claim も原文の記述に合わせた(Ozkok 2019)。
- 疾患脈絡叢腫瘍疫学の「0.4〜0.6%」が本文では全頭蓋内腫瘍を分母に、まとめでは小児頭蓋内腫瘍を分母に書かれて割れていた。原文は小児集団について全頭蓋内腫瘍を分母に述べた値で、成人の対応する割合は示していない。両方を「小児では全頭蓋内腫瘍の0.4〜0.6%」に揃え、奇形腫・グリオーマに次ぐ3番目という文脈も補った(StatPearls NBK539749)。放射線療法の記述では、本文の「無増悪生存」が原著どおり(progression-free survival)で、frontmatter の claim のほうが不正確だったので claim を直した。同じ検算で、原著が示す2つの比較(全摘出12例での P=0.012 と、TP53生殖細胞系列変異8例での放射線の有無による P=0.028)が1つに混ざっていたことが分かり、分けて書いた。著者自身が観察期間の不足で全生存の差は示せないと述べていること、無作為化されていない12例の後ろ向き解析であることを明記して、放射線を省けば長生きすると読める余地を塞いだ(Frontiers in Oncology 2021)。WHO中枢神経系腫瘍分類第5版がグレードをアラビア数字で書くよう改めているのに、このノートだけがローマ数字のまま残っていたので全箇所を直した。異型脈絡叢乳頭腫の閾値も「2個を超える」ではなく原著どおり「10強拡大視野あたり2個以上の分裂像」に直した。
- 疾患Coats病疫学の「平均146か月(中央値96か月)」を発症年齢と訳していたが、原文は age at presentation(受診時年齢)で、潜行性に進むため実際の発症はこれより早い。本文・鑑別表・claim の3箇所を直した。Shields病期3Aの細分(3A1は中心窩外、3A2は中心窩に及ぶ)が落ちていたので加えた。硝子体内ステロイド・抗VEGF薬は、まとめがレーザー・冷凍凝固と並ぶ選択肢のように書いていたが、原文は補助的(adjunctive)な位置づけで、レーザー・冷凍凝固に伴う反応性の滲出を減らす目的でそれらの前に投与されることもある、としているので格下げした。予後の内訳から落ちていた「8%は進行性に悪化した」を戻し、片眼性の割合が集団ベース調査(全例片眼性)と大規模症例集積(両眼性5%)で母集団ごとに違うことを書き分けた。網膜芽細胞腫との鑑別表でMRIと血管の行が片側だけ無出典だったのは取りこぼしで、原文が網膜芽細胞腫側の所見(T1高信号・T2低信号・ガドリニウム造影効果はCoats病には見られない)まで書いていたため脚注を補った(StatPearls NBK560682)。
- 疾患網膜芽細胞腫白色瞳孔の鑑別表がCoats病を「石灰化を欠く」と言い切っていたが、慢性の滲出性網膜剥離では骨性化生による線状の石灰化を生じうる。鑑別の軸は石灰化の有無そのものではなく、充実性腫瘤の有無と石灰化の分布(網膜芽細胞腫は腫瘤内にランダム、Coats病は網膜色素上皮に沿う線状)である。出典を添えて書き直し、あわせて先天白内障・Coats病・遺残胎児血管系の3行にリンクが無かったので張った(StatPearls NBK560682)。
- 疾患軟骨肉腫治療の節が「gradeを問わず広範切除が唯一の根治手段」としていたが、英国骨肉腫診療ガイドライン2025は部位とgradeで術式を書き分けている。四肢の異型軟骨腫瘍はまず経過観察で進行・有症状なら掻爬、低悪性度末梢性は被覆したまま完全切除、grade 2・3と明細胞型、および骨盤・体軸骨格はgradeを問わず広範切除縁、である。全体像・治療節・図・まとめの4箇所を揃えて直し、術式の表を新設した。放射線療法を「無効」としていた点も、切除不能例の根治照射・切除縁が近接ないし陽性の術後照射・緩和で用いられ、頭蓋底では高線量照射が推奨されて手術併用で局所制御80〜90%が得られるとされる、に改めた(UK bone sarcoma guidelines 2025)。「85〜90%」を中心性軟骨肉腫の割合と書いていたのは分母の付け替えで、原文は通常型軟骨肉腫全体の割合であり、その内訳に中心性・骨膜性・末梢性が入る。grade 2と3の5年生存率がどちらも53%と並んでいた表は、出典がgrade IIとIIIを合わせて示した値であってgrade別の値ではないため、合算値であることが表から読めるように直し、gradeを分けた10年生存率を別に補った。
2026
09.05脳静脈洞血栓症にDOACの位置づけが一言も無く、CIDPの神経伝導基準は7項目のうち3項目しか書けていなかった。特発性低髄液圧症候群では体位性頭痛を診断の必須項目にしてしまっていたのを、ICHD-3の原文で立て直した。
- 疾患脳静脈洞血栓症急性期後の抗凝固について「経口抗凝固薬(ワルファリンなど)へ移行する」としか書いておらず、直接経口抗凝固薬(DOAC)に一言も触れていなかった。2024年のAHA/ASA科学的声明は、非盲検の後ろ向き・前向き研究に基づきDOACがビタミンK拮抗薬の安全で有効な代替選択肢と思われる、と新規項目として述べている。⚠️ 第一選択へ格上げはしていない——この声明は推奨クラスを付けない文書で、標準は今もヘパリンからビタミンK拮抗薬への移行である。根拠となったRE-SPECT CVTとACTION-CVTの2試験を、除外基準(悪性腫瘍・中枢神経感染・外傷・妊娠/悪性腫瘍・抗リン脂質抗体症候群・妊娠)つきで表にし、妊娠中はDOACもワルファリンも禁忌で低分子量ヘパリンのみであること、授乳中はDOAC禁忌であること、抗リン脂質抗体症候群では再発が多いことを明記した。ビタミンK拮抗薬の投与期間も「一過性の誘因なら3〜12か月、血栓性素因または静脈血栓塞栓症の再発があれば無期限」と具体化した。画像はCT静脈造影とMR静脈造影を同格に扱っていたが、声明はMRI/MRVを推奨し、CT/CTVは資源が限られる施設で妥当な代替とする。ただし造影MRVの感度・特異度はCTVと同等とも述べているので両側を書いた。血管内治療は「抗凝固に反応しない進行例で選択的に検討」とだけ書いてTO-ACTの陰性結果とメタ解析で死亡率がむしろ高いことを落としていたので、声明が挙げる3条件(血栓の進展、内科的治療にもかかわらずの神経学的増悪、抗凝固療法の禁忌)を閉じた列挙として書き直した(AHA/ASA 2024)。危険因子の表の乳突洞炎は原語 mastoiditis の訳としてずれるため乳様突起炎に統一し、コーパス内の他2ファイルも揃えた。
- 疾患髄液漏特発性低髄液圧症候群の診断基準を「体位性頭痛に加えて、髄液初圧60 mmH2O未満または画像上の髄液漏所見のいずれか」と書いており、体位性頭痛を必須項目にしてしまっていた。ICHD-3の7.2の基準Aは体位性であることを要求せず、注記は「通常は体位性だが常にそうとは限らず、診断基準として依拠できない」と明記している。基準A〜Dを表にして立て直し、7.2.3が加える条件(髄液漏を起こしうる処置・外傷が無いこと、直近1か月以内の硬膜穿刺があれば診断しないこと)と、MRIで漏出所見が陽性なら髄液圧測定のための硬膜穿刺は不要とする注記を追加した。⚠️ 一方向に倒さないため、同分類が「7.2.3の大多数で明確な体位性の要素がある」「発症時の体位性を病歴で問うべきで、時間とともに目立たなくなる」とも述べている点も本文に入れた(ICHD-3)。β2トランスフェリンについて「血清や涙液には存在せず髄液・眼房水・内耳液にのみみられる」という絶対断定が残っていたので、原著の記述(主に髄液に存在し他の体液ではほとんど検出されない)に合わせて緩め、偽陽性・偽陰性の機序を機序ごとに補った(Sci Rep 2023)。
- 疾患慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー神経伝導検査の脱髄基準を3項目しか書けておらず、F波潜時・F波消失・時間的分散・遠位CMAP持続時間の4項目が落ちていた。EAN/PNS 2021の全文を取得してTable 2の7項目に置き換え、脱髄を強く示唆する場合と1神経のみで弱く示唆する場合の2段構え、および「少なくとも2本の運動神経」という要件を加えた。伝導ブロックの閾値も「30%超」ではなく原文どおり「30%以上」で、脛骨神経の除外と遠位CMAP振幅の条件が落ちていた。時間的分散のほうは30%超(脛骨神経では100%以上)なので、不等号の違いを明記した。診断基準そのもの(典型的CIDPの3項目と5つのバリアントの定義)が本文に無かったので表を新設した。急性発症CIDPは「急性発症で再燃する例がある」と曖昧だったが、原文は典型的CIDPの最大13%が4週以内に急速進行し、Guillain-Barré症候群と初診された患者の5%が後に再分類されるとし、急性期に両者を区別できる特異的な所見も検査も無いと述べている。抗CNTN1・抗NF155・抗Caspr1・抗NF140/186をもつ自己免疫性ノドパチーが、このガイドラインでCIDPのバリアントではなく別疾患として切り出されていることにも触れていなかったので節を新設した(EAN/PNS 2021)。米国でCIDPに適応をもつFcRn阻害薬の皮下注製剤についても節を設けたが、根拠試験が反応例だけを無作為化する中止試験であり、支えるのは「反応例で継続すると悪化までの期間が延びる」ことであって既存治療との直接比較ではない点を明記した(DailyMed VYVGART HYTRULO)。
- 疾患圧迫性視神経症「最多の原因は甲状腺眼症」を4箇所で無条件に断定していたが、出典は西欧では腫瘍と甲状腺眼症が最多である一方、アジア・アフリカではアスペルギルス腫・結核などの感染性が多いと、地域で分布が入れ替わることを明記している。このノート自身の出典 claim も「最も一般的なものの一つ」と慎重に書いており、本文だけが claim を超えていた。4箇所すべてを直し、地域差と、経過の速さで原因群を絞る手がかりを補った(StatPearls NBK560583)。甲状腺眼症の静注グルココルチコイドは「3日間連続投与」とだけ書いていたが、EUGOGO 2021は安全性を理由に隔日投与のほうを推している。また「反応不良例では減圧術」の効果判定の窓が1〜2週と明示されている点も落ちていた。用量の安全域(1回0.75 g以下・1クール累積8.0 g未満・連日投与を避ける)が視力を脅かす眼症を明示的に除外していることも、平坦化すると視神経症で必要な用量を出せなくなるため二段構えで書いた。静注グルココルチコイドの禁忌(最近のウイルス性肝炎・重大な肝機能障害・重篤な心血管疾患・精神疾患)に一言も触れていなかったので追加した(EUGOGO 2021)。
- 疾患慢性骨髄単球性白血病診断基準としてWHO第5版だけを示し、同じ2022年に出た国際コンセンサス分類(ICC)が並存していることに一言も触れていなかった。ICCが加える点(クローン性を必須基準とすること、血球減少を診断要件に含めること、クローン性が示せない例では単球比率の閾値が戻ること、Auer小体があればCMML-2とすること、CMUS・CCMUSの新設、若年性骨髄単球性白血病の置き場所の違い)を表にして、どちらが正しいとは書かずに並べた(ICC 2022)。治療の表が「移植可能な高リスク例」と書きながら高リスクの定義が本文のどこにも無かったので、CPSS-Molの配点・閾値・群別の生存期間中央値と48か月AML転化率を節にして補った。⚠️ 原著の抄録と本文で生存期間中央値の書き方が違うため、本文側(最良群は観察期間内に中央値へ到達せず)を採った。CPSS-Molが4遺伝子に配点する一方、このノートが既に引く2025年の総説は再現性のある予後因子はASXL1だけとしているので、どちらも消さず両論として書き分けた(Elena 2016)。
- 疾患遠位関節拘縮症原因遺伝子表がBeals症候群(FBN2)を「膠原病」と記述していた。日本語の膠原病は自己免疫性リウマチ性疾患を指す語で、Beals症候群は遺伝性の結合組織疾患であり、別の病態群に読まれる。GeneReviewsはFBN2がコードするフィブリリン2を、線状に多量体化して微細線維を作りエラスチンと結合して弾性線維を形づくる細胞外マトリックス蛋白と記述しており、コラーゲンとは書いていない。表記を改め、なぜ紛らわしいかを本文で説明した。あわせて「Marfan症候群と違って心血管系の異常を欠く」も是正した——大動脈基部拡張はFBN2の病的変異をもつ患者の最大10〜15%に存在しうるとされ、拡張の進行と大動脈解離の報告があるため、進行性の大動脈基部拡張があってもこの疾患は否定されない。思春期終了まで2年ごと、以後は条件つきで3〜5年ごとという大動脈基部径の監視間隔も追記した。くしゃくしゃ耳が決め手と読める書き方も、頻度が78%で全例ではなく、重症Marfan症候群は同じ3徴をいずれも示しうると原文が注記しているため、Marfan側の区別点(水晶体亜脱臼・強度近視・進行性の大動脈基部拡張)を併記して弱めた(GeneReviews NBK1386)。
- 薬剤efgartigimodCIDPの適応の根拠が企業のプレスリリースで、URLも企業サイトだった。プレスリリースは消えるうえ規制上の一次資料ではないため、米国添付文書へ張り替えた。承認日と「FcRn阻害薬として初」という記述は添付文書では確認できないので落とし、添付文書が実際に掲げている内容(皮下注製剤が成人の全身型重症筋無力症とCIDPの2適応をもつこと、CIDPの用法が週1回の皮下注のみで静注も希釈もしてはならないこと、根拠試験が反応例だけを無作為化する中止試験であること)に書き直した(DailyMed VYVGART HYTRULO)。
2026
09.04神経・皮膚・骨・血液を中心に疾患ノート29件を新設し、アフリカ睡眠病の治療、ハンタウイルスの致死率、糖尿病性筋萎縮の分類を一次資料に合わせて訂正した。
- 微生物Trypanosoma brucei治療表が2019年より前のレジメンのままで、しかも亜種を区別していなかった。スラミンは rhodesiense 型の薬で、gambiense 型の第1期はペンタミジンである。現在は WHO 2024 により両亜種・両病期とも経口フェキシニダゾールが一次治療で、重症第2期(髄液白血球100/µL超)ではNECTがなお優る。
- 疾患アフリカ睡眠病アフリカ睡眠病を新設。gambiense型(西アフリカ・慢性)と rhodesiense型(東アフリカ・急性)で経過も治療も違う。⭐ 6歳以上・体重20 kg以上の rhodesiense型では、病期決定のための腰椎穿刺そのものが不要になった。単回経口投与のアコジアボロールは2026年2月にEMA CHMPが肯定的意見を採択している。
- 微生物Hantaan virus致死率を「約5〜15%、旧世界型で最も高い」としていたが、一次資料では Hantaan と Dobrava-Belgrade が同列の最重症群(5〜10%)で、中間は Seoul(約1%)、最軽症が Puumala(0.1〜1%)である。無出典だった記述に出典を付けた。
- 疾患腎症候性出血熱腎症候性出血熱を新設。原因ウイルス種で致死率が二桁違うことと、5病期(発熱期・低血圧期・乏尿期・利尿期・回復期)の経過を軸にした。ハンタウイルス肺症候群(新世界型)は別症候群である。
- 疾患α-シヌクレイノパチーα-シヌクレイノパチーを新設。パーキンソン病・レビー小体型認知症・純粋自律神経不全症が神経細胞内のLewy小体であるのに対し、多系統萎縮症だけが乏突起膠細胞の細胞質内封入体という点で内部が割れる。皮膚生検によるリン酸化α-シヌクレイン検出とseed amplification assayが現在の診断の主題。
- 疾患Unverricht-Lundborg病Unverricht-Lundborg病を新設。⚠️ 「Baltic myoclonus」「Mediterranean myoclonus」という地名由来の旧称は、本症が世界中で発生するため誤解を招くとして原典が使用を戒めている。集積地はフィンランドと北アフリカ3国。フェニトインは症状を悪化させるだけでなく小脳変性を加速しうる。
- 疾患糖尿病性筋萎縮糖尿病性筋萎縮を新設。「対称・遠位・感覚優位」というDSPNの型から3つとも外れる。⚠️ 高血糖曝露が短く血糖コントロールの良好な集団と関連する一方、出典は急速な血糖管理・厳格な血糖管理も危険因子に挙げており、この2つは両立する。治療誘発性神経障害(小径線維の障害)とは別病態である。
- 疾患心因性非てんかん性発作心因性非てんかん性発作を新設。確定診断は長時間ビデオ脳波で、⭐ 「発作を捉えたうえで脳波に変化が無い」ことが陽性所見という通常とは逆の使い方をする。詐病ではなく、診断の伝え方そのものが治療の一部になる。
- 疾患無反応覚醒症候群無反応覚醒症候群を新設。開眼と睡眠覚醒周期はあるが「気づき」が無い。旧称「植物状態」は侮蔑的で気づきの有無を過小評価しうるとして2010年に改称された。⚠️ リハビリテーション施設へ紹介された慢性期患者では約40%に診断の誤りが報告されている。
- 疾患輸血関連急性肺障害輸血関連急性肺障害を新設。予防策は「経産女性の血漿を避ける」ではなく男性のみ/男性優先の血漿への切り替えである。2019年の改訂定義がARDSの危険因子の有無で type I / type II に分け、輸血関連循環過負荷(心原性)との区別が治療を決める。
- 疾患骨斑紋症・蝋流骨症骨斑紋症・蝋流骨症を新設。骨斑紋症は `LEMD3` の生殖細胞系列変異で多発性・対称性の無症候病変、散発性の蝋流骨症は `MAP2K1` の体細胞変異で片側性・非対称という正反対の分布をとる。骨転移との鑑別が実地で最も重要。
- 疾患線維性骨異形成症線維性骨異形成症を新設。単骨性が最多だが信頼できる疫学データは無いと出典自身が明記している。掻爬と骨移植は「再発する」のではなく無効で合併症を伴いうるとして推奨されない。生検は非典型例・判断に迷う例、あるいは悪性が疑われる場合に限る。
- 疾患頭蓋縫合早期癒合症頭蓋縫合早期癒合症を新設。どの縫合が癒合したかで頭蓋の形が決まり、位置的頭蓋変形との鑑別が実地で最も多い。⚠️ 乳頭浮腫は頭蓋内圧亢進の有用な指標だが比較的遅い段階で出現するため、陰性でも否定できない。
- 疾患肋軟骨炎肋軟骨炎を新設。⚠️ 圧痛で再現される痛みでも急性冠症候群を否定できない。治療は外用(温罨法・カプサイシン・ジクロフェナクゲル・リドカインパッチ)が第一で、経口薬は併せて考慮する位置づけである。
- 疾患TSH産生下垂体腺腫TSH産生下垂体腺腫を新設。甲状腺ホルモン抵抗性との鑑別が主題で、SHBGが上がるか基準範囲内かという対比が使える。⚠️ 完全摘出の判定では、遊離甲状腺ホルモンの正常化だけでは証明にならないのに対し、術後1週のTSH測定感度以下は良好な予後指標とされる。
- 疾患手湿疹日本皮膚科学会『手湿疹診療ガイドライン』(2018) の形態分類5型を追記した。進行性指掌角皮症はこの分類の1つで、指先や指腹が乾燥して粗造になり指紋が見えなくなるのが特徴。キーボードを扱う職種・水仕事の多い職業に生じる。
- 疾患ポッターシークエンスポッターシークエンスを新設。⭐ 「シークエンス(連鎖)」は単一の初発事象から二次的に連鎖する異常の集合を指し、複数の異常が共通の原因から並列に生じる「症候群」とは概念が違う。原因は両側腎無形成に限らず、前期破水による羊水流出も同じ連鎖を起こす。死因は腎不全ではなく肺低形成による呼吸不全である。
2026
09.04検査値・スコア・症状・薬剤・微生物・疾患にまたがる30件を新設し、TACOの時間枠、Xpert Ultraの精度、CPT2欠損症の発症年齢、新生児マススクリーニングの年度を一次資料に合わせて訂正した。
- 疾患輸血関連急性肺障害「TRALIとTACOはどちらも輸血後6時間以内」としていたが、TACOの2018年改訂ISBT/IHN/AABB定義は輸血中〜終了後12時間以内である。時間枠を分離し、比較表に発症時間の行を足した。6時間を過ぎた呼吸障害をTACOの候補から外さない。
- 疾患輸血関連循環過負荷輸血関連循環過負荷を新設。TRALIとの分岐が実地の核心で、こちらは容量を引く方向へ治療が動く。⚠️ 2018年定義は呼吸障害ないし肺水腫を必須としたうえで合計3項目以上を求める閾値つきの定義であり、要素の列挙ではない。血圧上昇はTACOを支持するが、急性心虚脱では低血圧が初発所見になりうるので低血圧は除外の根拠にならない。
- 疾患肝類洞閉塞症候群「デフィブロチドが有効性の証明された唯一の薬剤」と3箇所で無限定に書いていたが、出典の逐語は severe/very severe に限定されている。同じファイルの出典claimには最初から限定が入っており、本文だけが落としていた。
- 疾患先天性脂肪酸酸化異常症CPT2欠損症の筋型を「成人が反復性の横紋筋融解症を起こす型」としていたが、GeneReviewsでは発症の70%が0〜12歳である。診断が成人になりやすいのは発症が遅いからではなく、発作間欠期が無症状だからである。
- 疾患CPT2欠損症CPT2欠損症を新設。日本は約25万出生に1人と世界で最も頻度が高い。⚠️ 食事療法の第一選択はトリヘプタノインで、MCTオイルより臨床転帰が良好とされるが日本では未承認。熱不安定性多型(p.F352C)は急性脳症と関連するがCPT2欠損症の病因変異とは分けて扱う。
- 疾患黄斑円孔黄斑円孔を新設。硝子体黄斑牽引からの連続体として捉える。⚠️ 術後伏臥位について StatPearls は「400 µm 未満の円孔で有用」と一般的理解と逆向きに読める記述をしているが、無作為化比較試験5件358眼のメタ解析では400 µm 未満で上乗せが無く、400 µm 超で有意である。
- 疾患CHARGE症候群CHARGE症候群を新設。Blake(1998)の大基準は「4つのC」=後鼻孔閉鎖・コロボーマ・特徴的な耳の異常・脳神経異常であり、⚠️ 半規管低形成はBlakeではなくVerloes(2005)の大基準である。二つの基準を混ぜて数えない。
- 疾患点状軟骨異形成症点状軟骨異形成症を新設。⚠️ 根性型もCDPX2も短くなるのは近位で、分かれ目は対称性のほうである(CDPX2は約90%で非対称)。rhizomelic の訳は「根尖」ではなく「根性」。
- 疾患McLeod症候群McLeod症候群を新設。⚠️ head drop・摂食ジストニアはVPS13A病との分かれ目にならない(GeneReviewsが明記)。分かれ目はX連鎖性・Kell抗原の発現異常・心病変の重さ。ヘテロ接合体女性の有棘赤血球症は同一章の2節が食い違うため除外の根拠にしない。
- 疾患シアリドーシスシアリドーシスを新設。⚠️ 桜実紅斑は「ほぼ全例」とする資料がある一方、18報告46例の文献レビューでは白人61.1%・アジア人40.7%で、アジア人では所見が無いことが否定の根拠にならない。
- 疾患喉頭軟化症喉頭軟化症を新設。症状のピークは6〜8か月。同時性気道病変があると手術を要する確率が4.8倍になる(要旨は4.5倍と書くが本文値を採った)。小児のアデノイド扁桃摘出後に遺残するOSAの原因として重要。
- 疾患心臓粘液腫心臓粘液腫を新設。⚠️ 「心臓原発腫瘍で最多」は分母次第で、2021年WHO分類では乳頭状線維弾性腫が最多、8,849例のメタ解析では良性原発の68.7%が粘液腫、成人では粘液腫が最多である。出典がCarney複合を "X-linked autosomal dominant" と誤記していたため常染色体優性を採った。
- 疾患亜急性皮膚エリテマトーデス亜急性皮膚エリテマトーデスを新設。3分の1超が薬剤に帰しうる。⚠️ 「抗Ro/SSA 80%超」は薬剤誘発性SCLEに限定された値で、SCLE一般の陽性率ではない(薬剤誘発性ループスノート側の付け替えも訂正した)。
- 微生物Eikenella corrodensEikenella corrodens を新設。⚠️ 第1世代セファロスポリンは「耐性」ではなく感受性が一定しない(variable susceptibility)。本来的耐性が明記されているのはクリンダマイシン・メトロニダゾール・エリスロマイシンで、拳咬傷の起炎菌として30%に分離される。
- 微生物Mpox virus「重症例・免疫不全者にテコビリマットなどが使用される」に留保が無かった。PALM007・STOMPの両ランダム化試験で病変治癒の短縮を示せておらず、使用されることと有効性が示されていることは別である。
- 微生物Variola virusテコビリマットの承認について、米国は動物実験規則(Animal Rule)による痘そうのみ、日本は2024年12月に痘そう・エムポックス・牛痘・ワクチニアウイルス合併症の4適応で承認されていることを補った。
- 薬剤fexinidazoleフェキシニダゾールを新設。アフリカ睡眠病で腰椎穿刺なしに経口投与できる初の薬。⚠️ 外来投与の4条件はgambiense型の規定で、rhodesiense型は入院が原則(アルコール使用障害の既往・投与後の嘔吐も入院の対象)。
- 薬剤melarsoprolメラルソプロールを新設。⚠️ 「致死率約6%」はメラルソプロール治療の致死率であって疾患のそれではない。治療後脳症が5〜18%に生じ、その10〜70%が死亡する。用途が後退したこと自体が主題。
- 薬剤tecovirimatテコビリマットを新設。⚠️ 日本は2024年12月27日に4適応で承認されており、天然痘のみの米国より適応が広い。エムポックスでは複数の第3相試験が臨床的有効性を示せていない。
- 薬剤brincidofovirブリンシドフォビルを新設。⚠️ 枠組み警告は肝・消化管毒性ではなく「長期投与での死亡リスク増加」で、天然痘の用法が週1回×2回だけなのはここから逆算されている。腎機能障害でも透析中でも用量調節が不要な点がシドフォビルと正面から対比できる。
- 薬剤zileutonジロートンを新設。⚠️ ZYFLOラベルはジロートンをCYP1A2阻害薬とは書いておらず、記載されているのはテオフィリン・プロプラノロール・R-ワルファリンでの実測PK変化である。5-LOに働く唯一の薬で、受容体拮抗薬が届かないLTB4まで抑える。
- 薬剤chenodeoxycholic acidケノデオキシコール酸を新設。⚠️ 脳腱黄色腫症の適応は欧州が2017年(生後1か月から)、米国が2025年(成人)で、日本は胆石溶解のみである。地域で承認内容が三様に分かれる。
- 薬剤defibrotideデフィブロチドを新設。⚠️ 全身抗凝固薬・線溶療法との併用は「注意」ではなく禁忌で、線溶促進作用の中和薬が存在しないため観血的処置の2時間以上前に中止する。日本の適応は米国と違い腎・肺機能障害の併存を要件としない。
2026
09.03免疫チェックポイント阻害薬による大腸炎の頻度、がん治療関連心機能障害の定義、メタノール中毒の鑑別など、欠落ノート作成の過程で見つかった記述を一次資料に合わせて訂正した。
- 疾患免疫関連有害事象抗CTLA-4薬の「大腸炎27〜54%、併用44.1%」は大腸炎ではなく下痢の頻度だった。原著(Gupta 2015)は水様下痢27〜54%・内視鏡的な大腸炎8〜22%と書き分けており、44.1%と19.2%はCheckMate 067の全grade下痢(大腸炎はそれぞれ11.8%・1.3%)である。引いていた総説がこれを大腸炎の値として掲げていた。
- 疾患メタノール中毒鑑別表の「糖尿病性・アルコール性ケトアシドーシスでは浸透圧ギャップは開かない」を訂正。アルコール性ケトアシドーシスではアセトンとその代謝産物の上昇により浸透圧ギャップが開大しうる。「開いているから中毒性アルコール」という読み方は成り立たない。
- 疾患家族性地中海熱周期性発熱症候群の比較表を訂正。高IgD症候群の発作期間を出典に合わせて4〜6日に、TRAPSを1〜3週間に改め、「血清IgD高値」には約2割で正常という留保を添えた。IgDは病名の由来だが診断の決め手にならない。
- 疾患C1q欠損症補体C1q欠損症を新設し、SLE様病態の割合を78〜88%と幅で示した。集計により71例中55例(78%)と74例中88%の2系統の報告がある。中枢神経病変の頻度も、それを主題に集めた12例の集積と74例の集計とで像が割れることを明示した。
- 疾患Tangier病Tangier病を新設し、著明な低HDLを来す病態の鑑別(LCAT欠損症・fish-eye病・アポA-I欠損症・二次性低HDL)を加えた。角膜混濁が前面に出るならLCAT欠損症とfish-eye病を先に考える。
- 疾患成人発症Still病成人発症Still病を新設。Fautrel基準と山口基準の性能比較は、同一の検証研究(Lebrun 2016)で山口が感度96.3%・特異度98.2%、Fautrelが87.0%・97.8%であり、導出集団の値と外的検証値を並べて優劣を論じないよう書き分けた。
- トピックSkin Manifestations in Diabetes Mellitus環状肉芽腫の「通常は自然軽快性」を「自己限定性」に改めた。同じ総説が実際に自然消退が記録されたのは約2%とする報告を引いており、「大半が消える」と請け合えない。
- 薬剤dimercaprol水銀中毒の適応欄を訂正。米国の承認適応は急性の無機水銀中毒と元素水銀曝露で、慢性の無機水銀曝露は禁忌である。同ノートが引く出典自身がそう書いているのに、この一行が落ちていた。
- トピックSide effects of targeted biological therapies2022年ESC心腫瘍学ガイドラインの出典idが、同一文献でありながらDOI版とPubMed版の2系統に割れていたためDOI側へ統合した。ASCO 2021のirAE指針のURLも3ファイルでDOIへ揃えた。
2026
09.03慢性骨髄単球性白血病の診断閾値、糖尿病性ニューロパチーの疼痛治療、糖尿病性筋萎縮の分類など、欠落ノート作成の過程で見つかった記述を一次資料に合わせて訂正した。
- 疾患全身性エリテマトーデス起因薬からヒドララジンを削除した。本文に一度も登場せず、ヒドララジンが起こすのは薬剤誘発性ループスであって特発性SLEではない。受け皿となる疾患ノートを新設したのでそちらへ移した。
- 疾患心臓弁膜症「大動脈弁/僧帽弁の2×2」という整理が左心系に限られることを明示し、右心系では三尖弁閉鎖不全症が多く大半が二次性であることを1文で位置づけた。三尖弁の記述が本文に一度も無いまま下位分類として結ばれる状態を解消した。
- 疾患慢性骨髄単球性白血病慢性骨髄単球性白血病を新設。WHO第5版(2022)で診断要件が絶対単球数0.5×10⁹/L以上かつ白血球の10%以上に引き下げられ、乏単球性CMMLが取り込まれた点を軸にした。ヒドロキシ尿素とエトポシドの比較試験では生存期間で差がついた一方、急性骨髄性白血病への進展率には有意差がなかったことも併記した。
- 疾患糖尿病性ニューロパチー糖尿病性ニューロパチーを新設。疼痛治療の推奨がADA 2017の階層(プレガバリン・デュロキセチンA、ガバペンチンB、三環系B、オピオイドE)から2026年版で大きく変わり、4クラスが横並びのAに統合され、ナトリウムチャネル遮断薬が加わり、オピオイドがEからBになったことを書き分けた。
- 疾患薬剤誘発性ループス薬剤誘発性ループスを新設。抗ヒストン抗体は特発性SLEでも最大80%に検出されるため特異度が限定的であること、TNF阻害薬による型では抗dsDNA抗体が陽性化しやすく抗体プロファイルが古典型と違うことを表で分けた。コーパスで割れていた「薬剤性ループス」の表記も5ファイルで統一した。
- トピックCirculatory disorders of liver肝類洞閉塞症候群のまとめに遅発型を追記。EBMT 2016の改訂は15〜20%が21日を超えて発症すること、遅発型では高ビリルビン血症を診断の必須要件としないことを核としており、まとめ1行だけを読むと遅発型が落ちる状態だった。
- トピックGeneral characteristics of ion channels; methods of investigation; molecular mechanism of gating and permeation; spatial structure of the K+ channel; ion channel families; voltage-dependent and ATP-sensitive K+ channels; voltage-dependent Cl− channels; CFTR Cl− channel; nicotinic ACh receptor — L IIニコチン性アセチルコリン受容体の疾患欄が2016年に廃された旧称「夜間前頭葉てんかん」のみを掲げ、リンクも張られていなかった。現行名の睡眠関連過運動てんかんへリンクし旧称を併記した。
2026
09.03眼科・神経・血液を中心に疾患ノート30件を新設し、頸動脈狭窄症の手術適応の閾値と手術時期、Meige症候群の薬剤性の機序、更年期ホルモン療法の中止規則を一次資料に合わせて訂正した。
- 疾患頸動脈狭窄症頸動脈狭窄症を新設。「手術リスク3%以下」は無症候性60〜99%狭窄に手術を考慮する条件(余命5年超とセット)であって症候性を含む一般則ではないこと、症候性の手術は6か月以内ではなく14日以内が推奨で、一過性脳虚血発作なら48時間以内・脳梗塞なら3〜7日という考え方に変わってきていることを書き分けた。狭窄率の測定法の食い違い(51%)が「3法の間」ではなく「ECST法・総頸動脈法とNASCET法の間、測定単位」であることも正した。
- 疾患頸部動脈解離頸部動脈解離を新設。上位概念として束ねる軸を「内頸動脈か椎骨動脈か」ではなく「解離が硬膜を越えて頭蓋内へ及んでいるか」に置いた。そこでくも膜下出血が主役に入れ替わり抗凝固の可否が反転する。くも膜下出血を伴う頭蓋内解離では抗凝固が禁忌であるだけでなく早期の血管内治療または外科治療が推奨されることを追記した。
- 疾患Meige症候群Meige症候群を新設。原典が薬剤性の原因を「中枢のドパミン活性を高める薬剤」として制吐薬・抗精神病薬を列挙しているが、これらはD2受容体遮断薬であり機序は受容体遮断後の脱神経性過感受性である。原典の記述をそのまま写さず機序に即して書き替えたうえで、その旨を明示した。有病率「100万人あたり16〜133」がMeige症候群固有の値ではなく眼瞼痙攣および分節性ジストニアの粗推定であることも正した。
- 疾患硝子体網膜リンパ腫硝子体網膜リンパ腫を新設。硝子体内メトトレキサートの用量は400 µg/0.1 mLで、総説の一つが「400 mg/0.1 cc」と記すのは1000倍の誤りである。中枢神経病変の出現時期も、同じ論文の要旨が「1年以内」と書く一方で本文は「16〜24か月後」(別報告の中央値21.7か月)としており、本文側を採った。
- 疾患更年期症状更年期症状を新設。ホルモン療法の原則を「最小有効量を最短期間」と唱えない。専門学会の指針が支持するのは最小有効量であって最短期間ではなく、年齢や年数による一律の中止規則は臨床的に適切でないとされる。リスク側に入る境界も20年超・70歳超ではなく閉経後10年超・60歳以上で、この集団では脳卒中と静脈血栓塞栓症が増える。
- 疾患急性放射線症候群急性放射線症候群を新設。線量域は資料で食い違い、造血型が2〜3 Gy超(造血症候群のしきい値は約1 Gy)・消化管型5〜12 Gy・脳血管型10〜20 Gyという原著の値を採った。造血成長因子の投与期間も日数だけでなく絶対好中球数1,000/µL超という終点を併記した。
- 疾患Niemann-Pick病C型Niemann-Pick病C型を新設。「下方視の制限が先に来る」という広く流布した記述は72例の眼球運動計測で支持されず、下方と上方の障害の程度は同等である。さらに基本徴候は注視麻痺(46.9%)ではなくサッカード麻痺(98.2%)であり、追従眼球運動だけを診る通常の診察では初期を取り逃がす。
- 疾患Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎ヘテロクロミア虹彩毛様体炎を新設。房水中の風疹抗体の眼内産生は本症を特徴づけるが、網膜静脈周囲炎を伴う多発性硬化症でも73%に見られ有無だけでは区別できない。区別するのは抗体指数の高さ(中央値20.6、多発性硬化症の約7倍)である。顕性風疹の続発症ではないため、疾患としての風疹ではなくウイルスの眼内持続として関係を張り直した。
- 疾患びまん性内在性橋グリオーマびまん性内在性橋グリオーマを新設。出典が「WHO 2021年分類による H3K27M mutant」と記すが、これは第4版改訂(2016)の呼称で第5版は H3 K27変化型である。定位生検の位置づけも原文は「理解を深めるうえで決定的」であり、標準治療が放射線単独である現状と矛盾しないよう射程を戻した。
- 疾患LCAT欠損症LCAT欠損症を新設。魚眼病は本症とは別の疾患ではなく部分欠損型であり、完全欠損型(家族性LCAT欠損症)との分かれ目は腎病変の有無である。Tangier病の鑑別表が両者を並置していた記述もこの構図に合わせた。
- 薬剤fezolinetant日本での承認申請を伝える新聞記事を出典から外した。ニュース記事は一次情報ではないため出典に立てない。日本で未承認であること、本ノートの記述が米国添付文書に基づくことは記事に依存せず確認できる。
- 薬剤mitomycin翼状片切除の補助と緑内障濾過手術という眼科局所使用を適応表に追記した。疾患側から治療薬として結ばれているのに薬剤ノートに眼科用途の記載が一つも無い状態だった。強膜菲薄化・穿孔という重い合併症も併記した。
2026
09.03眼・神経・感染症を中心に疾患ノート30件を新設し、コビメチニブの承認区分、デング熱ノートの原因微生物、概日リズムの内因性周期を一次資料に合わせて訂正した。
- 薬剤cobimetinib組織球系腫瘍への適応を「2022年に加速承認」としていたが、承認レターは優先審査つきの通常承認で、加速承認の記載は添付文書全体に一つも無い。「2022年10月に優先審査で承認」へ改めた。
- 疾患デング熱ほかアルボウイルス感染症(黄熱・ジカ熱)原因微生物からチクングニアウイルスを削除した。本ノートはフラビウイルス属が主題で本文にチクングニアの記述が一行も無く、分類上もTogaviridae科Alphavirus属で別系統である。代わりに「同じ蚊が運ぶ別の科のウイルス」という鑑別の節を新設し、デング熱を除外するまでNSAIDsを避ける理由を書いた。
- 疾患進行性ミオクローヌスてんかん進行性ミオクローヌスてんかんを新設。Lafora病・Unverricht-Lundborg病・MERRFなどを束ねる上位概念で、Lafora病の親概念を「てんかん」から本ノートへ付け替えた。バルプロ酸とレベチラセタムが第一選択で、ナトリウムチャネル遮断薬・GABA作動薬・ガバペンチノイドがミオクローヌスを悪化させる点が実地の核。
- 疾患硝子体黄斑牽引硝子体黄斑牽引を新設。IVTS分類(2013)が定義するのは硝子体黄斑癒着・硝子体黄斑牽引・全層黄斑円孔の3つで、網膜前膜は含まれない。オクリプラスミンはEUで2023年8月に販売承認が撤回されており、入手できない国がある点も明記した。
- 疾患網膜前膜網膜前膜を新設。硝子体黄斑牽引が前後方向の引っ張りであるのに対し、こちらは膜自身の接線方向の収縮が主役で、牽引を伴わない膜も含む。牽引性の黄斑浮腫は抗VEGF薬やステロイドで漏出を止めても引かず、治療の標的が液ではなく牽引になる。
- 疾患多剤耐性結核多剤耐性結核を新設。BPaLM・BPaLは14歳以上が対象で妊娠・授乳中には適用せず、BDLLfxCは全年齢と妊娠授乳中も推奨対象という違いを明記した。全経口レジメンがQT延長薬を意図的に重ねるため、ベースライン心電図と定期的なQTc測定が治療プロトコルに組み込まれている。
- 疾患エムポックスエムポックスを新設。2022年のclade IIb流行と2023年以降のclade Ib流行を分けて書いた。クレードIの高い致死率として引かれる数値は医療アクセスの限られた環境での報告に基づき、入院・支持療法下では1〜2%台という報告がある。テコビリマットは2つの臨床試験で有効性を示せていない。
- 疾患チクングニア熱チクングニア熱を新設。弱毒生ワクチンIxchiqは米国で加速承認されたのち2025年に承認が停止され、2026年9月時点でも解除されていない一方、EUでは12歳以上の高リスク者を対象に承認が維持されている。ワクチンの可否は「承認されている」の一語で覚えず、製剤・国・時点・年齢を確認する。
- 疾患心腎症候群心腎症候群を新設。Ronco分類の5型を「どちらが先に壊れたか」と「急性か慢性か」の2軸で整理した。進行した非代償性心不全では、腎機能低下を駆動するのは心拍出量の不足より静脈うっ血(中心静脈圧の上昇)であり、足りないのは容量ではなく灌流圧である。
- 疾患結節性再生性過形成結節性再生性過形成を新設。肝硬変ではないのに門脈圧亢進が起こる代表的な病態で、閉塞した門脈細静脈が類洞より上流に抵抗を作る。線維化がないため硬度測定など肝硬変向けの非侵襲的診断が当てにならず、レチクリン染色を含む肝生検が診断の鍵になる。
- 疾患スティッフパーソン症候群スティッフパーソン症候群を新設。抗amphiphysin抗体陽性例はほぼ全例が乳癌であり、体幹の硬直と有痛性攣縮が乳癌の診断に先行しうるため、乳癌ノートにも傍腫瘍性神経症候群としての手掛かりを追記した。抗GAD65抗体は力価の水準で意味が変わり、糖尿病スクリーニングで見つかる低〜中等度の陽性は神経症状を説明しない。
- 疾患急性壊死性潰瘍性歯肉炎急性壊死性潰瘍性歯肉炎を新設。歯間乳頭の打ち抜き様壊死・灰白色偽膜・強い自然痛が定義的な所見で、他の歯周疾患が通常は無痛であることとの対比が最大の手掛かりになる。「Plaut-Vincent angina」は本来「咽頭の炎症」を指す語なので、扁桃・咽頭へ及んだ病型の呼称として用いる方針に統一した。
- 疾患アスピリン増悪呼吸器疾患アスピリン増悪呼吸器疾患を新設。上下気道の慢性好酸球性炎症はNSAIDと無関係に進行しており、COX-1阻害薬はその上に発作を上乗せする引き金にすぎない。COX-2選択的阻害薬は通常安全で、頓用の鎮痛を要する患者全員と選択肢として話し合うべきとされる。
- 疾患メチルマロン酸血症遺伝性メチルマロン酸血症を新設。ビタミンB12欠乏でもメチルマロン酸は上がるため、先天代謝異常としての本症と後天性の上昇を分ける軸を最初に置いた。ビタミンB12反応性は病型で異なり、cblA型は大半が反応、cblB型は約3分の1、mut0型は非反応性である。
- 薬剤tasimelteon出典を持たないまま用量・半減期・代謝酵素・適応を断定していた状態を解消し、米国添付文書を出典として付けた。投与は「就寝前」ではなく就寝1時間前で、この薬では用量より投与時刻が治療の本体になる。
- 微生物Mpox virusクレードIを「重症度が高い(致死率が高い)」と無条件に書いていたが、入院・支持療法下のclade Ibコホートでは死亡が1%未満、臨床試験の全体死亡率も1.7%と報告されている。致死率がウイルスの性質だけで決まらないことを明記した。
- 微生物Chikungunya virusワクチンを「承認されている(高齢者などハイリスク者が主な対象)」と書いていたが、米国で承認停止に至った重篤例はまさに65歳以上・慢性疾患保有者に偏っていた。製剤名と規制状況の流動性を明記し、適応の詳細は疾患ノートへ委譲した。
- 疾患類丹毒類丹毒を新設。丹毒とは名前が似ているだけの別疾患で、職業曝露による限局した皮膚感染である。グラム陽性桿菌でありながらバンコマイシンが本質的に無効なため、経験的にバンコマイシンを選ぶと治療が失敗する。